SNOOPY & FRIENDS DIORAMA メロディIC基板 DFPlayer mini + ATtiny85 換装

SNOOPY & FRIENDS ジオラマ

メロディIC基板のCOB不良により代替え機能としてDFPlayer miniとATtiny85にてWAVファイルの再生機能をインプリした事例となります。

加藤工芸株式会社製スヌーピーとその仲間たちのジオラマ模型の修理依頼となります。底面電池ボックス(単三電池3本 4.5V)電源スイッチをスライドさせると電源が入り、本体を振動させると、内蔵された電子メロディが、ジオラマの各所に散りばめられた光ファイバーの光と連動して鳴り始め、さらに振動をさせると曲をスキップできる仕様となります。

故障の症状は、電源を入れると、振動無しに光ファイバーが光出し点滅を繰り返したまま、振動を与えても曲メロディがスタートせず、もちろんですが、スキップもしないということです。

恐らく、振動センサーの不具合ではないかと予想し、本体下部より内蔵の制御回路がのる基板を取り出し解析をしました。

内蔵基板

内蔵の基板は、3枚構成となり、上記画像でいうと、奥側の基板は、束ねた光ファイバーを点灯させるLEDドライバで三色を駆動できる基板となります。裏面にCOBにて制御ICが搭載されており、電源線の+と-線がメイン基板に接続されています。次にその下隣りにメイン基板があり、圧電スピーカーからの振動検知信号を入力しメロディIC基板への駆動信号を生成しています。また、一番手前に縦に接続されているのが、メロディICとなり、メイン基板からの駆動信号を入力し、メロディの駆動を行います。

メロディは、白線の先につながるスピーカーモジュールを直接メロディICが駆動しますが、振動検知信号が、トランジスタ2SC945のダーリントン接続で増幅され、最終段のLED駆動ドライバでLEDの駆動も行っております。

基板回路(手書き起こし):Bottom View

回路の仕様を確認すべく、基板の配線を手で追いました。主要機能の回路は、以下となります。

振動検知信号の増幅とLEDドライバの駆動

圧電スピーカーからの電圧の変位をダーリントントランジスタで増幅し、そのまメロディICに入力されます。また、さらに後段のトランジスタにてLEDを駆動させております。仕様の通り、メロディが流れるタイミングでLEDからの光も点灯される機能は、このように実現されていることがわかります。

さてさて、回路が判明しましたので、原因を追究すると、メロディICが全く機能していないことがわかりました。圧電スピーカーからの電位の変化によって増幅印加された駆動信号が全くメロディIC側に受け付けされておりませんでした。駆動信号の印加がなされているにも関わらず、メロディも流れず、またLEDの駆動信号も固定されたまま状況が変わらない状況をオシロスコープにて目視確認しました。裏付けとして電圧の変位を手動にて与えてもメロディが鳴り始めないため、メロディICのCOB不良を判断しました。

このメロディIC基板には、13曲のクリスマスのメロディが格納されて、残念なことに汎用的な基板ではないため、入手できない状況でした。本来は、ここで修理を断念するところですが、ご依頼者と相談の上、一部仕様を変更し、クリスマスのオルゴールを鳴らすため、マイクロSDカードのMP3再生モジュールを代替えで内蔵しマイコンにて制御を行うようにしました。

タカラトミー社のおやすみホームシアターでも使用したことのある、DFPlayer miniをATtiny85にて制御するようにしました。

要件は、以下のとおりです。

  1. FAT32形式の音楽WAVファイルをマイクロSDカードに保存再生できる。
  2. モノラルスピーカーを駆動できるようアンプが必要。
  3. 音量や再生曲順などの制御をマイコンを用いて行う。
  4. 振動検知によるメロディの演奏スタートとスキップ機能は、削除。
  5. 光ファイバーのLEDは、電源ONにて駆動開始し常時3色を交互駆動。
  6. スピーカーは、既存の本体内部の物を流用。

DFPlayer miniは、MP3のデコーダと2Wのモノラルアンプ、記録メディアとしてマイクロSDカードを搭載しており、百数十円という価格で入手できるため今回のインプリには、適切を判断し作業を開始しました。

自前で持ち得ていたプログラムは、Arduino Pro mini(ATmega328)向けでしたので、ATtiny85をArduino化し、そのままソースコードを流用できるか下調べをしました。結論としては、換装は無事できたのですが、ATtiny85をそのままArduino化しても、Fuse bitのデフォルト設定値で動作周波数は、8逓倍(1/8)されてしまうので、シリアル通信のbau rateを8倍にする必要があります。というか、fuse bitを書き換えればいいじゃんということもありますが、、、。

ATmega328シリアル通信波形(IP資産)
ATtiny85シリアル通信波形

実は、内部発信の逓倍の違いでシリアル通信が開通できていないことが判明するまで、時間を要してしまい、オシロスコープにて、過去資産の波形と問題の波形のbau rateがまったく違うのがわかった次第でした。お恥ずかしい。。。

DFPlayer mini + ATtiny85

制御プログラムは、至極単純でシリアル通信の前設定をして、ボリューム値、再生コマンドを送出後、スリープさせるという内容です。しかし、無事インプリも完了し、テスト視聴の最中に新たな問題が検出されました。

もともと、恐らく単純な音階のメロディを奏でるICと思われますが、本MP3(厳密には、WAV形式)モジュールでの再生では、スピーカーの高域の帯域が足りなく、音割れをおこしてしまいます。また、不定期に予期せず発信ノイズが、起こり原因も電気的ではなく、どうも本体内部の機械的な問題で共振が起きているようです。

内蔵のスピーカーは、本体内部に接着固定されており、構造的に分解し取り外しての解析が不可能であるため、この点については、ご依頼者様のご理解を頂き、そのままの状態で今回の作業は完了としました。


【ご依頼者様のお声】

壊れてしまい再購入を考えたのですが、古い商品のため八方探しても新品が見つかりませんでした。

「亡き母がクリスマスシーズンに楽しんでいたこともあり、できることなら再びメロディを奏でてほしい」、そんな思いで修理をお願いできる先をインターネットで探している中で、瀧下さまの存在を知りました。

瀧下さまには問い合わせから引き渡しに至るまで、実に丁寧で誠実なご対応をしていただきました。たいへん感謝しております。

診察内容の詳細なご説明はもとより、代案のご提案など、心から信頼できるおもちゃドクターだと感じております。

予定よりずっと短い期間の中で、あれだけ丁寧な分析/対応を、しかも無償(※)でしていただけたとは、感激です!

瀧下さまにお願いしてほんとうによかったです。

また機会があればぜひお願い致します。

この度はお世話になり、ありがとうございました。

重ねて御礼申し上げます。

※2020年10月より、代替え機能追加作業は、有料作業となります。


インプリに使用しました、DFPlayer miniは、こちらより購入できます。