ドラえもんのたまごっち どらえもんっち ドラミっち 液漏れ修理

どらえもんっちとドラミっち

ドラえもんのたまごっち どらえもんっち ドラミっち 液漏れ修理

たまごっちあるあるですが、未使用品を購入したのだが、長期保管のためボタン電池がそのままだったため、液漏れしていたとのことです。

液漏れは、電極や内部基板などの腐食の原因になるので、長期間保管する場合は、ボタン電池を抜いておくのが鉄則です。

どらえもんっちの電池を新品に交換をして少し使ったのだが、数時間でリセットされてしまうとのことでご依頼がありました。ドラミっちも液漏れがしていたとのことなので、一緒に拝見することになりました。

さて、ではどらえもんっちから拝見しましょう。

どらえもんっち

後ろのイラストがいいですねー!早速電極を確認します。

負極電極

負極側の液漏れの粉がすごいですね。これでは、このままボタン電池を入れても辛うじて接触しても何かのはずみで接続断となりリセットされてしまうでしょうね。

正極電極

正極の片側の粉もあり、腐食も出ていますね。中和洗浄し腐食部は研摩します。

この粉ですが、強アルカリ性なので、水溶した場合は、皮膚や目などの付着はくれぐれも気を付けてください。化学火傷や失明の危険性があります。

で、問題が発生しました。2つのボタン電池を接続する電極の一部分が腐食か金属疲労で薄くなっていたらしく折れてしまいました。( ̄▽ ̄;

電極折れ

粉を除去したら折れてしまったので、カツカツで付いていたのかもしれません。代替えの電極もないので、半田付けで補修します。

ですが、ほんと小さい部品なので作業がしづらい。。。

半田付け

格闘すること10分。やり直しやり直しで、まま使えそうなまでに補修できました。盛った半田は、ケースに入るように研摩して薄くしておきます。

良い感じ

良い感じですね。黒く変色した腐食部分は、ルーターで研摩して表面を綺麗にします。この電極のパーツは、ケースの溝にはまっており、半田コテか何かで溝の一部を溶かして固定しているだけなので、今回は弾性の接着剤で固定をしておきます。

接着固定

これにてどらえもんっちの修理は完了です。時刻を設定しボタンの反応も確認します。

時計セット

念のため三日間、適当な持ち上げやボタン押しも行い動作を観察し途中でリセットが起きないこと確認します。


では、次にドラミっちの作業に入ります。

ドラミっち

因みに、どらえもんっちもドラミっちもですが、液晶画面が口になっているのですね。まぁーでかいお口。

さて、ドラミっちは、液漏れの影響も限定的でしたので、さくっと作業します。

液漏れ粉

腐食部分を研摩しておきます。電極の裏側も確認しましたが、まったく影響はありませんでした。

きれい

ボタン電池を入れて動作を確認します。

ドラミちゃん

よさそうですね。ドラミっちも三日間、ボタン押しなども併せて動作を確認します。

以下、余談です。

オークションやフリマなどで新品未使用としてたまごっちが販売されておりますが、厳密な意味合いとしては、『新品購入時から開封も使用もせずにそのまま保管した中古品で一切の動作確認もしていませんので、如何なる保障もしません。』という意味合いと理解しております。

新品未使用 ≠ 新品

なので、今回のようなボタン電池からの液漏れを防ぐため、一部の販売者の方は、『液漏れを防ぐために開封し電池を抜いています。』と注意書きをしていたりします。

こういった方から購入しましょう。


この度はお忙しい中修理を引き受けて下さり、ありがとうございました。

コロナ禍で地元のおもちゃ屋病院の開院も中止となり、どこにお願いしたら良いのか困っていたところで、瀧下様の宅配おもちゃ病院に辿り着きました。

遠方で直接会ってお話出来ない不安があったのですが、写真付きで詳しくどこが原因でどんな修理を行ったのか随時連絡をくださり、終始安心して修理をお任せすることが出来ました。

子ども達も大変喜んで毎日お世話しています。 大切に使わせていただきます。

~ご依頼様のご感想より~

タカラ テプラ ルシールカーニバル バネツメ折れ修理

ルシールカーニバル

タカラ テプラ ルシールカーニバル バネツメ折れ修理

旧タカラ製のラベルライターのルシールカーニバルというテプラの修理のご依頼です。以前、ハローキティとのコラボのテプラを修理しましたが、全く同じ機種となります。

テプラなので、基本おもちゃではなく、文房具という位置づけなのですが、以前は、ハローキティとのコラボ商品だったので、おもちゃとして扱うか、、、としていたのですが、この手の製品も有料修理対象とするかは、悩ましいですね。

ということで、ご支援のご協力をとしてご依頼を受け付けることとしました。因みに、今後は、どなるかは分かりません。。。

故障の症状は、印刷をしても印字されないということです。ハローキティとのコラボ商品の時と同じ症状なので、十中八九、例のバネのツメが折れたのでしょうね。。。

最速開封します。

ゴムローラー

印字部は、テープカートリッジの直ぐ下に熱転写ヘッドに押しつけられているゴムローラーが見えます。このゴムローラーをヘッド側に押し付けているバネが手前のバネです。

もう既に何かツメが浮いているように見えますね。分解を進めます。

裏蓋のネジを外し電池ボックスの導線コネクターを抜きます。そうすると完全に表面と裏面に分かれます。

ゴムローラーの部品を上下に稼働させている軸のE型止め輪を慎重に外しレバーピンからも外します。軸のE型止め輪は、不用意に外すとぴょんと飛び上がってしまいどっかに紛失していまうので、気を付けます。

次にゴムローラーを抉って外すとバネが取れますので、目当てのツメを確認します。

ツメ割れ

やはり、ぱっかり割れていますね。ここが割れると、バネでゴムローラーを押し付けることができなくなるので、熱転写ヘッドにインクカートリッジのテープが密着できる印字もできなくなります。

東芝 ブルーレイ ハードディスク レコーダー D-BZ510 wait 故障 電源コンデンサー交換

D-BZ510

東芝 ブルーレイ ハードディスク レコーダー D-BZ510 wait 故障 電源コンデンサー交換

当院は、玩具を対象にしたおもちゃ病院ですが、こちらのスタッフブログ記事をご覧になられた方から、お子様の大事な思い出のビデオ映像が保存されているため修理できないかというご依頼がありました。先のブログ記事のご依頼者様もお子様の大事な録画番組があるとのことでした。

そこで、公平性の観点からも有料修理でならということで修理をお受けすることにしました。

さて、故障の症状は、電源を入れてもWAIT表示から一向に進まないとのことです。

D-BZ510によくある電源回路の平滑コンデンサーの容量抜けと思われます。今回は、前回の記事では見送った+5V側の2200uF 25V ~105℃ の電解コンデンサーも準備済みですので、まとめて交換をします。

因みにですが、IC類を触るので、静電対策をしての作業です。

内部

ブルーレイドライブにSATAのHDDと電源回路とチューナーなどなど。

では、まず大事なSATA HDDを外します。大事な思い出の映像が保存されておりますので、慎重に作業します。

SATA HDD

HDDの土台がケースにネジ止めされておりますので、各所取り外し、SATAケーブルと電源ケーブルを外します。

SATA HDD
無事取り外し

おおお!その下から電源基板の目的の電解コンデンサーが見えてきました。ですが、まだまだ他に外さないといけないものがあります。

電源部をカバーしているプラスチック製のカバーとブルーレイディスクドライブ用の電源ケーブルも電源基板から直付けのケーブルで出ているので ブルーレイディスクドライブ側のコネクターを抜きます。

電源1次側のカバー

このカバーは、タッピングネジでネジ止めされているので外します。

ブルーレイディスクドライブ用電源コネクター

この電源コネクターを外す際は、注意が必要です。ディスクドライブの筐体側面にフラットケーブルが両面テープで張り付いているので、ペンチでなんかで抉ると誤って側面のフラットケーブルに接触し下手すると断線します。コネクター抜きで横から慎重に抜きます。

電源基板とメイン基板側は、金属部がむき出しの橋渡しのようなコネクターで接続されていますので、これも慎重に抜きます。電源基板のネジは、他に数本残っているので外します。

これで電源基板が筐体から外せるのですが、ここからが、一番の難関です。

電源基板が、外れないのです。

というか、周辺の部品などを全て外してしまえば簡単なのかもしれませんが、全面パネルからなかなか抜けないです。

ズレ防止用のツメががっちり基板の食い込んでいます。基板を撓ませないとイケないくらい抜けません。しかし、撓みを大きくするうと、今度が基板が割れてしまいます。

ここは、ツメが外れる程度の撓みを調整しながら慎重に外します。

ツメ
ツメ
電源基板外し

格闘すること、数分。基板に問題が出ないか冷や冷やしながら外れました。

では、早速ですが、目的の電解コンデンサーを交換します。一応、位置と電極の方向をメモしながら外します。

交換電解コンデンサー

今回は、2次側+15V, +5V全ての平滑コンデンサーを交換します。

+15V側・・・3300uF

+5V側・・・2200uF * 2ヶ

無事交換できたところで、組み上げ、ドキドキの電源投入テストです。

おおお!

WAIT表示から待つこと数秒、無事、WAITの状態から地デジモードに遷移しました。

無事保存されたデータも表示されております。

保存番組

今年のお正月明け直ぐに不具合が出たのですね。

電源コネクターを一度引っこ抜いているので、ブルーレイディスクドライブの動作テストもしましたが、再生問題ありませんでした。

譲さん

これにて起動故障の修理は完了ですが、同封のリモコンの電池ボックスの液漏れがあったので、ついでにお掃除をしておきました。

液漏れリモコン

東芝に問い合わせても、部品がなく修理不可と言われ諦めていたので、入院治療で完治して帰ってきたので感激しております。

本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

踊る豚のぬいぐるみ ギア割れ交換 スイッチ接点清掃

踊る豚

踊る豚のぬいぐるみ ギア割れ交換 スイッチ接点清掃

踊らなくなったとのことです。左手の起動スイッチで音楽にあわせ踊るそうです。

過去にも首を絞めると鳴く鶏踊るペンギンなどの修理経験もありましたが、同様のぬいぐるみと思われます。

起動スイッチは、反応する時もあるそうなので、単なる接触不良かもと推測し診断開始です。

お尻のところに電池ボックスがあり、そこに単三乾電池3本を入れて主スイッチをONにします。この時点では、まだ反応はありません。基板上のCOB内のマイコンはスリープしており、左手のスイッチでウェイクアップしメロディとダンスを披露するような感じでしょうか。

到着後に動作確認を行うと、左手のスイッチはやはり接触不良で強く押し込んでも三回に一回しか反応してくれません。しかも、反応しても内部で何かモーターがうぃーんと鳴ったままうんともすんともです。

背中

では、内部の状況を確認するため、開封しますが、一応念のためご依頼者様に開封の許可をいただきます。

実は、開封を使用と背中の縫い目を探していると、既に手で縫い合わされたような形跡があります。なので、開封はいとも簡単でした。

手縫いの痕

ぬいぐるみを切り開くと、外側の皮の内側にガーゼ生地の内張りがあります。

内張りの縫い方かたしても、何やら人の手が加えられているようです。後で事情をお聞きしたところ、このぬいぐるみは、譲り受けたぬいぐるみで、以前の主様がおもちゃ病院に出したことがあったそうです。

開封すると、左手のスイッチの導線が、本体側とコネクターで接続されているのですが、恐らく以前の修理は、そのコネクターが抜けてしまったようで、コネクターが接着固定されておりました。

鶏?

脱皮をさせると、豚というよりは、どう見ても鶏にみえますが、恐らくこの手のぬいぐるみには、同じ機構が流用されているのでしょう。皮を変えれば、鶏にも猫にも犬にもなるのでしょう。

それと尻尾です。尻尾には、梱包用の針金が仕込まれているのですが、どうみても胴体側のフリフリ機構にも接続できるような感じもあります。ですが、接続用の部品に一切なにもないので、豚の場合は、尻尾は振らないのでしょう。犬などに転用する場合は、尻尾にロッドのような部品があって、フリフリ機構にネジ止めすると、ダンス中は、尻尾も振るようになるのでしょうね。

ここで再度動作確認をすると、なんと!無事に動作します。メロディがなり、ダンスをし始めます。

モーターが空回りもせず、ダンスをしはじめました。ん?(。´・ω・)ん?

けど、私は騙されないぞ!

ご経験のあるドクター様なら、ここで直ぐギア割れか何かで空回りが起きていたと推測できると思います。

ぬいぐるみの皮を被ってた時は、機構の動作に何らかの抵抗(両腕のバタバタさせる動作など)があり、ギアの空転が起きていたが、ぬいぐるみの皮を取り払うとその抵抗が無くなったので、空転せずに回り始めてだけですね。

案の定、指で腕を抑えると、メロディが止みギアが空回りし始めました。

このぬいぐるみは、モーターに過大な負荷がかかると、メロディ再生ができなくなります。恐らく、モーターの回転が異常な力で押さえつけられるかなどのでコミテータ部に過電流がながれ、メロディ再生の制御側がダウンしてしまうのでしょうね。

では、空回りしているギアを突き止めましょう。

内部

ギアボックスは、下部の下っ腹にあります。完全に脱皮っせるため、両足の股間の付け根のネジを外し両足を外します。そんで、邪魔なので、首と両腕と尻尾の機構も外してしまいます。

ここで、ギアボックスが外せるようになります。ギアボックスは、モーターがプーリーゴムを回しその回転がギアボックス内のギアに伝播しております。

発見!

ピンセットで少しずらしてみると容易に軸を移動します。ピニオンギアが割れて軸に対しスカスカになり空転しております。完全に割れていないので、回転抵抗が低いと力は伝播していたようです。

ギアの縦割れ
交換ギア

がっつり割れていました。ギアの規格は、よくある8T m=0.5ですので、手持ちのピニオンギアと交換します。

さて、ここで1点気になることがありました。

先のぬいぐるみの皮は剥いだ状態での動作確認時ですが、ダンスの最中、モーターが正転と反転を繰り返し切り替えするのですが、そのタイミングのメロディが変になり音量も低くなります。何とも違和感がありました。恐らくですが、モーターも駆使され続けグリスが焦げてかしているのだろうと思われます。

今現在、回ってはいるのですが、消費電流が多くなりモーターのブラシの寿命や電池の持ちも改善したく、今回もモーターのオーバホールをすることにしました。

モーターのサイズは、マブチ製モーターの260型モーターと同型です。

劣化グリス

やはり、グリスがえらいことになっておりました。綺麗に除去しブラシ用のグリスと塗布しておきます。

お掃除
ブラシグリス

ブラシ用のグリスは、ミニ四駆でお馴染みのタミヤさんのモーターグリスを使用しております。

モーターも再度組み上げ安定化電源で動作確認を行います。かなり静音になり、消費電流も幾分低くなりました。早速、ギアボックスに戻します。

ギアボックス

交換したピニオンギアもギアボックスの筐体にギリ接触しないように気を付けてねじ込みます。この時点でギアボックスのみの動作確認を行います。

問題なさそうですね。正転/反転切り替え時の不具合も出なくなりました。

ここまでいろいろ作業をすると、基板に半付けされていた導線が次々ともげてしまい再度導線を剥き直し半田付けします。

導線外れ

ギアボックス回りの修理は、以上となりますが、左手スイッチの接触不良を診ます。

左手のスイッチ

『PRESS HERE』ここを押せ!の下にはタクトスイッチが仕込まれおります。接触の具合をみるため、手のひら!?を開きます。

接点汚れ
電極

やはり表面が汚れておりましたので、接点復活剤を吹いて磨いておきます。また、極間のショートに使われる電極のたわみを改善して接点も磨いておきます。これでかなり接触が改善できました。

と、ここまでで丸一日が掛かってしまったので、最終の縫製は翌日取り掛かります。

一応念のために皮を被せる前での動作確認をします。問題なさそうですね。


翌日

作業を再開します。

裁縫

内張りをその皮のぬいぐるみを縫い合わせます。手持ちの縫い糸で近い色の糸で縫い合わせます。

内張り
ぬいぐるみ

途中の尻尾や左手の縫い合わせも忘れずに。


診断から修理に至る要所要所で、細やかで適切な説明と 画像、動画を添付して頂き安心してお任せできました。

玩具の内部を見ることは無かったので、驚くことも多く、 興味深く見せて頂きました。

「チキンダンス」のメロディに合わせてぬいぐるみが踊り終わった後、 手のバッグが揺れている姿をまた見られて家族で喜んでいます。

本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

ドレクセル ノアの方舟 オルゴール 修理

ドレクセル ノアの箱舟 オルゴール

ドレクセル ノアの方舟 オルゴール 修理

地域で外来勤務しているおもちゃ病院にて、オルゴールの修理のご依頼がありました。

症状としては、ゼンマイを巻いてもオルゴールが鳴らないとのことです。動かしてみてもゼンマイは巻けるようですが、オルゴールは一向になりません。

このオルゴールは、木製の本体の中にオルゴールのムーブメントが内蔵されており、ムーブメントの回転に合わせて中央の水車の滑車のような回転体が回るという仕組みです。

本体を眺めてみます。

側面

各所の飾りは、接着剤で貼ってあります。ネジ止めはないです。

ゼンマイのツマミ

ムーブメントの羽を止める機構がないので、ゼンマイを巻くとそのままオルゴールが演奏される仕様のようです。

オルゴールの仕様に、羽をレバーかピンなどで、止めておき演奏の開始と停止を制御できる機構があります。このオルゴールもその羽の部分に何か不具合が出て演奏ができなくなったものかもしれません。

底面

板材で接着してあります。また、両側の板も木製の軸で接着してあります。原因調査のために分解方法から検討せねばなりません。

ご依頼様に分解に際し、ノコギリなどで接着部分のカットの了承を得ておきました。また、オルゴールのムーブメントが破損し修理不可能な場合に備え、元々の曲名もお聞きしたのですが、不明とのことでした。

まず、接着部分は、底面の板2枚、上面の方舟の屋根、支柱4本です。

底面の板と方舟の屋根は、接着面を剥がして剥離します。支柱は、綺麗に抜くことができないため、ノコギリでカットします。元に戻す際にできる限り綺麗に戻すためノコギリを入れる箇所も最低限にします。

ノコ入れ
ノコ入れ完了

可能な限りで綺麗にカットし無事開封できました。分解前に本体の内部は、ネジ止めしてあるとムーブメントまでのアクセスが容易になるので、それを期待していたのですが、やはり残念ながらネジが見当たりません。(XoX)

ネジがない

回転体中央の金属製の円盤は、オルゴールのムーブメントの軸にネジ止めできる円盤であることは分かるのですが、そのムーブメントがどのように固定されているのか分かりません。

オルゴールのムーブメントの機構については、こちらが参考になります。

背面のゼンマイのツマミと滑車の金属板は、同じ軸の両側にねじ込んでいると思われます。ゼンマイのツマミ同様に滑車の金属板も反対に回せば外れるように思いますが、ムーブメントの故障の状況が不明なので、不用意に回してしまうと破損してしまいます。

うーん、困った。ー_ー’

いや、待てよ。これでは製造時にネジ止めもしていないのだから、ムーブメントは、接着固定で間違いないと思われます。そこで、背面のゼンマイのツマミを外して押してみます。

バキバキ音がします。マズイかな!?

滑車を引き上げてみます。また、バキバキ音がしましたが、うまくかなり剥離できました。

接着固定

やはり推測どおり、ムーブメントは、接着固定してありました。で、ムーブメントは、こちらです。

ムーブメント

やっと、ムーブメントに出会えました。横から覗いてみると、すぐに異変に気付きます。

板バネの終端が変

分かる人ならすぐ分かるかと思いますが、ゼンマイのハウジング内の板バネを外で引掛けている終端が無くなっています。これでは、ゼンマイをいくら巻いてもバネは巻けませんね。原因の一つが判明しました。滑車の中に、このような破損部品が転がっていました。

破損部品

多分、バネの終端の取れた止め部分でしょう。

でもこのままでは故障の解析ができませんので、滑車からも分離します。ですが、ビクともしません。プライヤーでゼンマイのツマミ軸を強固に摘まみ滑車を逆に回してみると回りだしました。ですが、かなり固いです。

ムーブメントを取り出すと、やはり板バネの終端が無くなっており、ゼンマイを巻いてもハウジング内部で空回りしておりました。そこで、終端部分の処置は、後ほど考えるとして仮止めをして動かしてみます。

仮止め

ですが、仮止めをしてゼンマイを巻いても動きません。なるほど、板バネの破損以外にも故障原因があるようです。調べてみると、速度調整用の羽の溝に糸くずが絡まっておりました。

糸くず

糸くずを綺麗に取り払うと羽が勢い良く回り出しました。やっと回ってくれました。一安心です。

羽回転

ここで、新年一発目の故障原因に関するひとりブレストをします。

  • ゼンマイを巻いてもオルゴールが鳴らない
  • 羽に糸くずが絡まって回らない
  • 板バネの終端の止めが破損して取れている

まず初めにムーブメントの羽に糸くずが絡まってオルゴールが鳴らなくなったと推測されます。おや?巻がたりないのかな?と思い、さらにゼンマイを巻いてしまいます。でも鳴りません。だって、羽に糸くずが絡まっているんだもん。

たぶん、もっと巻いてみれば、鳴るのかもとさらに追巻きをしてしまったのかもしれません。そうすると、板バネに強大な引きの力が掛かり終端の止めが引きちぎれてしまったのだと思います。調べてみると、オルゴールのゼンマイの巻きは、3周程度とあります。そのため、板バネがハウジング内で空回りしていたのだと思います。

恐らくですが、板バネの終端が引きちぎれてしまった時には、大きな音が鳴ったと思います。さて、原因が分かったところで修理の方針です。

絡まった糸くずは、除去できたので、板バネの終端をどうするかです。元のようにくびれのある終端を作ってあげてもいいのですが、先の通り、元に戻しても再度引きちぎれてしまうことが予想されるので、今回はより確実に止めることができるようネジ止めをします。

終端は鉄に焼きが入っているSK材のように固いですが、M2のドリルで穴をあけてM2のネジとナットで止めます。

M2の穴

焼き部分の中央に穴をあけてM2 * 20mmのネジを入れてネジの真ん中でダブルナットで絞めます。

ネジ止め
ダブルナット

こうすれば、ちょっとやそっとではちぎれないでしょう。ダブルナットには、ネジ止めとして、ロックタイトの嫌気性の接着剤で固定します。この状態でオルゴールの動作確認をします。

ムーブメント動作確認

問題なさそうですね。あとは、粛々と分解した本体を組み上げていきます。

ですが、滑車とムーブメントのねじ込みで、早速問題が起きました。元のような位置までねじ込みができません。元々ネジ止め用にネジ止め剤が塗布されていたのですが、溝内部まで綺麗に除去できなかったためかもしれませんが、プライヤーで固定し、自分の全力をもってしてねじ込みできる位置までねじ込んでも元々の位置までねじ込みできませんでした。これ以上やると、軸が折れそうです。ねじ込みがあまいと、滑車が本体側面板に干渉してしまうのですが、本体の接着固定時に調整をします。

ねじ込みが完了したら、滑車とムーブメントを側面版に接着します。元の接着剤の残りは、綺麗にルーターで除去し脱脂しておきます。貼りつけ完了まで重しで固定します。

重し

先の懸念とおり、側面との浮きが元の状態より広くなってしまったので、逆側の側面に滑車が干渉してしまいます。そこで、位置をずれし側面版を貼りつけます。

浮き

側面版の接着固定時に厚紙を挟み、底面の板を方舟の屋根を接着します。

厚紙
側面接着

支柱のは、ノコギリでカットした長さと+α滑車の浮き分隙間が空きます。浮きは、オルゴールの上部がより広くなっておりますので、上部の支柱には2mm程の木材を噛ませて接着し下部の支柱は、木工用ボンドを隙間に流し込み接着固定しました。

無事滑車の擦れもなく修理完了しました。

本体内部が、どのような故障しているのか、分解はどのようにすべきかを模索しながらの修理でしたが、無事作業ができて安心しました。