初代たまごっち 渡り電極折れ修理

初代たまごっちの電池ボックス 渡り電極が折れてしまったということで修理のご依頼がありました。

液漏れなどすると電極のL字の曲がり部分に腐食が進行し折れてしまうことも多いのですが、実は電池の接触を良くしようと手前に引っ張るだけでも折れてしまうことも多いです。

ここです。

既にL字に曲がっている箇所なので金属疲労で折れます。

当医院では、以前は半田付けなどして補修していたのですが、現在は、りん青銅板で電極を作成します。

その他の電極には液漏れの形跡もなくきれいです。

純正の電極厚は、0.2mm程度です。

バネ性も考慮し0.3mmのりん青銅板で作成しました。

電極を作成する際の注意点は、ボタン電池の負極側の縁に接触し正極と負極がショートすることがないように曲げます。

装着し接触ショートが起きていなかマルチメーターで確認しておきます。

渡り電極は、マスキングテープで型取りをしてカット成形します。

次に実際の筐体にはめ込み曲げ確度を調整します。

筐体とは、弾性の接着剤で固定しておきます。

いい感じです。┌|◎o◎|┘

収まりも大丈夫ですね。

動作確認

電極を新規に作成しているので、電池ボックスにボタン電極を挿入する際、側の電極を広げるようにボタン電池を挿入します。

これで、無事また遊べるようになりました。

また、ご希望があったので、蓋のネジおワッシャ付きのネジを装着しました。


思い入れのあるおもちゃだったので、壊れた時はかなり悲しくショックをうけていました。

それが修理にてまた遊べるようにして頂けて、本当にうれしいです。

対応も迅速で、修理結果も画像や動画で送っていただいたりとても丁寧で、ありがたかったです。

今後またトラブルがあれば、是非相談させて頂きたいです。

この度はお世話になり本当にありがとうございます。

~依頼者のご感想より~

たまごっちスマート 故障修理について

たまごっちスマートの故障相談をいただくことがあります。

たまごっちスマートは、操作がタッチパネルになっています。

比較的新しめではありますが、既にメーカー対応も終了しております。

相談事案に、タッチパネルの右上(もしくはその他)の反応がしないというのが多いです。

今回の相談は、液晶のバックライトが、消えてしまい液晶が見えないという故障でした。

液晶を強めに押し込むとバックライトは付くそうです。

この手の液晶回りの故障は、交換部品がないので修理不可能になる場合が多いことをお伝えすると、依頼は断念されるという決断に至りました。

ですが、当医院としてもたまごっちスマートの故障相談があるので、この機に下調べをしておこうとジャンク品を入手し調べてみました。

液晶の描画サイズ、対角線で4cmぐらいなので、1.xxxインチサイズだと思います。

では、バックライトですが、アノードとカソードの半田付け部があるので、この接続部のクラックが懸念されます。押し込むことで光るそうなので溶かし直しで効果があるかもしれません。

ついでに、たまごっちスマートについていろいろ分かりました。

声掛けで使うマイクが、ここに仕込まれています。

本来は、ソケット式でカバーを外すとすぽっと抜けるハズだったのですが、どうにもこうにも抜けず強引に引くとソケット部が取れてしまいました。

原因は、マイクを固定するシリコンのリングがカバーに強固に挟まっておりマイクもろともソケットも挟まっていたためでした。

このソケットの足もちぎれてしまったので、マイクの足を直接基板に半田付けする羽目になりました。

次に、本商品は、製品仕様を確認するためのジャンク品です。

タッチパネルの反応が悪いということでしたが、分解しても何の問題ありませんのでした。

以前、修理相談のあった時も、右上の領域の反応ができないということが多かったです。

本ジャンク品も×位置の反応がないということだったのですが、前述の液晶を知らべている際中は問題なく反応しておりました。

ですが、マイク修理を終え本体に組みなおすと、×位置が無反応になります。

おやおや、故障が発現したようです。

この原因も調べてみると、タッチパネル側の故障と判明しました。

恐らく、パネル内部でカツカツに付いていた配線が完全に切れたようです。

また、タッチ様式も静電容量式で、FPCの配線を少し触れるだけでも反応します。

もちろんですが、このサイズの交換用部品も入手できませんので、やはり修理不可能が事案になります。


たまごっちみくす サンリオキャラクターズ m!x ver. 液漏れ修理

たまごっちの乾電池を入れたままにし、液漏れで電極が腐食してしまったそうです。

電池を入れて起動確認をされ無事、起動はできたそうですが、発送前の再起動確認では起動できなくなっていたそうです。

液漏れによる電極の腐食は、腐食そのものの導通不良もそうですが、導線を腐食が伝い基板側も腐食していまいます。

時々、『え!腐食って導線を伝うの!?』と、思っている方が居られます。

錆びのメカニズムを調べてみてください。ニッケルメッキにて一応はイオン化傾向は低くなってはおりますが、長期間液漏れした水酸化カリウムに浸っていたためでしょう。金属の酸化反応です。

さて、診断を開始しましょう。

正極、負極とも液漏れの粉が付着しており、正極は腐食も進行していますね。

この状態では導通はできないので、起動不良はこの腐食が原因でしょう。

このような場合、電極以外にもつながっている導線も同じく腐食してしまっているので交換が必要になります。

例えば、このような負極線です。

やはりですが、被覆を剥いでも芯線が真っ黒ですね。

これでは半田付けできませんし、そもそも腐食で金属の強度もないので、またすぐ折れてしまうでしょう。

電極、導線まるごと交換します。

さて、目視上の不具合は目途が立ったとして、本体側の不具合はないか確認します。

電池ボックスが腐食でダメになっているので、外部電源で起動確認します。

起動しましたね。

ですが、既にオバケちゃんになっておられます。

時計画面では、無事時間は進んでいるので、本体側の不具合はないようです。

では、電池ボックス修理に取り掛かります。

電池ボックスの電極が交換できるように分解します。

単四乾電池用の電極は、新品に交換します。

ルーターで研磨も考えましたが、やっぱり新品がいいですね。

動作確認をしたのですが、オバケのままで時間設定できるかもといじっていたら、再スタートになっちゃいました。ー_-;

起動動作確認

液漏れの影響は、電池ボックス回りのみでしたので、無事修理できました。

これから遊ばない時は、乾電池を抜くということをお忘れないようにしましょう。

以前、たまごっちみーつのサンリオVerを修理したりしてましたは、今回はたまごっちみくすでした。

サンリオVerは、それぞれのたまごっちにあるようですね。


電池を抜き忘れて放置してしまった結果液漏れで電極部分がカッピカピになってしまい途方に暮れていたところ、SNSでたまたま宅配おもちゃ病院さんのことを知りました。

問い合わせから依頼を送るとすぐにお返事をいただけ、その後もスムーズにご対応いただけとてもありがたかったです。

故障の診断や修理の内容などもご丁寧に説明いただけ、安心して預けることができました。

もう遊べないかと思っていたので、また元気に手元に戻ってきてくれて本当に嬉しいです!

これからは電池の抜き忘れには注意します!

この度は本当にありがとうございました!!

~依頼者のご感想より~

ウラじんせーエンジョイ!たまごっちプラス ウラふりる 液晶レンズ曇り修理

大事にされていたウラたまの修理依頼がありました。

誤って香水をレンズ部分にこぼしてしまい、画面レンズの一部分が曇ってしまったそうです。

その部分が良くなると思い除光液で拭き取りしたら、さらに悪化してしまったそうです。

ここで一旦レンズ修理の依頼があったのですが、その後、お酒もさらにこぼしてしまったそうで、まとめて診断することになりました。

ほっほー!

いい感じの曇りっぷりですね。

たまごっちのレンズは、プラスチック製で表面がレンズのため鏡面仕上げで研磨されています。

アルコールを含む溶剤は、プラスチックを浸食してしまうので、レンズを拭き取る場合は、水一択です。

レンズの後ろには液晶があり、導電ゴムの電極もすぐそこにあります。

レンズの曇りには、部品があれば代替えのレンズに交換するか、部品がなければ時間をかけて研磨するしかないです。

もう何も見えないですね。

このたまごっちは、お酒も飲まれているので、分解し影響の有無とレンズの状態を確認しましょう!

お酒の影響はなさそうですね。

基板や液晶周辺がお酒でねばねばしているかもしれないと心配していましたが、幸い筐体の枠周辺のみにしか付着していませんでしたので拭き上げておきます。

ついでにシリコンボタン周辺もきれいにしておきます。

裏の台紙が湾曲していましたので矯正しておきました。

さてさてレンズは、ちょうど部品取り用のたまごっちプラスが一台あり、今回はそれからの移植となりました。

こうやってみると、曇り具合が一目瞭然ですね。

液晶も無事見えるようになりましたね。

動作確認

たいせつなたまごっちということで無事修理もできました。


余談ですが、自分はたまごっちの修理をしておりますが、育成には詳しくありません。

レンズ交換の際にふと見ると左下のポストが点滅していることに気づきます。

あ”~、液晶と基板の電極の接触が不安定でポスト部分が点滅していると誤認し、再度分解し電極部分を綺麗に拭き上げてみました。

ですが、まだポストが点滅しています。

メニューでポストを選ぶと、なんと郵便が届いています。

なんだ~、ポストの点滅は郵便が届いているってお知らせだったんですね。

勉強になりました。

ポストを選択すると、自動的に郵便が読み上げられ、なんと就職試験の案内でした。

あら!就活中だったようです。

と、そのまま、なんと試験会場に行ってしまいました。

何やら、事が進んでいることが心配でならなかったのですが、面接官から

『あなたはダンサーには向いていないようです。』

とうことで面接に落ちてしまいました。

たまごっちの世界って厳しい世界なんですね。


追記

曇ったレンズの研磨をやってみました。

細目の研磨剤からスタートし、耐水ペーパーで荒削りします。

コンパウンドで時間をかけて仕上げ、鏡面仕上げ剤で仕上げてました。

溶剤で曇っても研磨できそうですが、コストがかかるので、今回はレンズ交換でよかったと思います。

以上、ウラたまも今後も大活躍してくれるでしょう。


発送前に初めにお願いした内容から変更があったにもかかわらず、迅速かつ丁寧に対応していただいて感謝にしかありません。

小さい頃からの大切なものでしたので、諦めきれず修理をお願いしましたが、瀧下様に修理をお願いして本当によかったです。

これからも大切に使わせていただきます。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

connection ver.5 たまごっち液晶故障 修理不可能

connection ver.5という海外版のたまごっちの修理依頼がありました。

国内の製品でいうと、『ふぁみりーイロイロたまごっちプラス』と同じ商品のようですが、外装の仕様が違うようです。

ボタン電池を挿入し起動すると、ビープ音は鳴るが、液晶が映らないという症状です。

届いてすぐ確認しましたが、液晶の描写が薄く途切れ途切れです。

分解し基板上を目視確認しましたが、これといった故障はありませんでした。

依頼者のところで一度分解しておられたそうで、圧電素子の導線が取れていますが、その他で何か液晶に関わるような不具合はなさそうです。

液晶描画確認

液晶を描画させると、まったく映らないというのはなく、時間の経過とともに途切れ途切れの映りがハッキリしてきます。

そのうち、時計合わせなどでは、数字がうっすら確認でき、ボタンの押下で設定も一部できているところも確認できます。

ボタンの押下のタイミングでのビープ音との連動なども音のみでは正常のようです。

残すは、液晶の導電性ゴム電極の導通不良です。

この導線性については、過去に評価した経験があり、AC特性など解析して測定されたSパラメータで高速な信号など伝搬させることができます。

一方、恐らく素材上の品質劣化から伝達特性が変化することも容易に想像できます。

いろいろ試してみると指で押せるような単純な押し圧不足ではありませんでした。

基板上に設置し電極ゴムの上を指で押してあげると、押し圧の増加で液晶の映りは濃くはなりますが、基板が撓むようなほどの圧力でやっと少し変化が出るぐらいです。

導通不良が描画不良の一因であることは、どうも確かそうです。

といっても、これ以上の確証を得ることが難しいです。

交換用の液晶も手持ちになく、依頼者にお聞きすると、国内版のふぁみたまでもないと液晶の移植交換もできないそうです。

というのも、おなじたまごっちプラスシリーズでも、『ケーたま』や『エンたま』などのたまごっちプラスとこの『ふぁみたま』のたまごっちプラスは、描画している液晶が違うそうです。

中古市場では、ジャンク品の流通もなく、いわんや同じ『connection ver.5』も『ふぁみたま』もおいそれと購入できるような価格帯での流通ではなくなっています。

状況も依頼者へ報告し、ここまでで修理不可能と判断し、もし今後移植用の液晶が入手できた時点で再度検討をされるそうです。


瀧下様 まずはじめに、この度は依頼をお受けいただき誠にありがとうございました。

今回お預けしたたまごっちは、数年前の中古購入時から動作せず、地元のおもちゃ病院に見せた際は中を見ることもなく門前払いされ、また当然ですが素人の私では自力で原因を調べようもなく、私としてはなんとも諦めのつかない状況で数年間くすぶっておりました。

そんな中、ネット検索で瀧下様の宅配おもちゃ病院のページへたどり着き(実は数年前から存じ上げておりましたが、その頃は受付を休止しておられました)、この方であればたまごっちの依頼を門前払いされることはないであろうと、希望を持ってご連絡させていただきました。

その後のご返信および診察のご対応は、想像していたよりも遥かに詳細かつ丁寧で、写真も多数用いてご説明いただき、大変に納得できる内容でした。

今回は結果として修理不可ではありましたが、パーツ交換によって修理できる可能性も示していただき、色々と勉強させていただけて非常に有意義な依頼となりました。

代替パーツは時間をかけて探していこうと思いますが、もしも用意できた際は、是非また瀧下様に修理を依頼させていただきたいと考えております。

その際はどうぞよろしくお願いいたします。

重ね重ね、今回は誠にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ケーたま エンたま 修理

たまごっちマニア界隈では、ケーたまとは、『祝ケータイかいツー!たまごっちプラス』呼ぶそうです。エンたまは、『超じんせーエンジョイ!たまごっちプラス』をそう呼ぶそうです。

『森たま』とか皆さまの呼び名がいろいろあり勉強になります。

今回が、ケーたまとエンたまの二つのたまごっちの修理依頼がありました。

まずが、エンたまからです。

ボタン電池を入れてもうんともすんともな状態です。

ビープ音にならず、押しボタンにも無反応です。

水没反応もなく綺麗な状態です。

分解しボタン電池からの給電も基板端に正常に給電されております。

うんともすんともなので、クリスタルの発振を確認します。

32.768kHzの発振が確認できます。

基板上も発振端にはコンデンサーが付いているのですが、ピンセットちょんちょんするなどで挙動に変化があるなど確認しましたが、半田クラックなどはなさそうです。

基板を眺め目視上問題な点も発見できませんでした。

念のため、基板上の半田付けされている全部品の半田部分を溶かしなおしもしてみましたが、変化ありませんでした。

安定化電源から給電し電流もモニターしましたが、電流もほぼ流れていないので、COB内のICに給電できておらず起動できていないように感じます。

残念ながら原因不明にて修理不可能と判断をさせていただきました。


次にケーたまです。

ケーたまは、シリコンボタンの反応が全くないとのことです。

起動時のビープ音、液晶も映るとのことです。

シリコンボタンの反応は、シリコンボタン側に塗布されている導電塗料が基板側に粘着したのと、導電塗料の表面も劣化しているだろうから、まとめてきれいにします。

やはり粘着していますね。

きれいにアルコールで拭き取りします。

櫛型の電極のパターンの隙間にも入りこんでいる場合は、鋭利なピンセットと拡大鏡でそぎ落とします。

ボタン側の塗料表面も軽く研磨しておきます。

ボタン反応確認

これでボタンの反応自体の修復はできました。

今回は、その他の部分もまとめてメンテナンスします。

まずは軽いところから。

蓋のネジの溝が潰れているので、新品のなべネジに交換します。

フックも曲がっているので矯正しておきます。

ついでにメッキ表面も研磨してできるだけピカピカにしておきました。

次に液晶についてです。

初代のたまごっちでもよくある不具合なのですが、劣化して液晶や基板側との接点の状態で液晶の反転したドットの上下に影のようなものが出ます。

前述の動画にも映っております。

確たる原因は不明なのですが、液晶を交換したりすると解消や改善した経験がありました。

依頼者と相談し、今回は先のエンたまが修理不可能と判断されましたので、エンたまの液晶とレンズを丸ごとケーたまと交換することにしました。

解消すればラッキーというレベルです。

裏面の台紙も交換しておきます。

元々ついていたレンズも傷がついていたので、より状態のよいエンたまのレンズに交換します。

動作確認

影は解消しませんでしたが、気持ち改善したかもしれないというところでしょうか。

今回は、残念ながら、エンたまは修理不可能となりましたが、ケーたまは、無事遊べるところまで修復できました。


メールをお送りしてから迅速に丁寧に対応してくださり直らないと思っていたケーたまをここまで修理して頂いて本当にありがとうございました!

宅配おもちゃ病院様を見つけることができて本当に良かったです!

また機会がありましたら是非依頼させて頂きたいと思います。

~依頼者のご感想より~

祝ケータイかいツー!たまごっちプラス ぴんく ボタン接点修理

たまごっちプラスのボタンの接触が悪いということで依頼がありました。電源や液晶の描画は問題ないそうです。

接触が悪い原因のほとんどが、シリコンボタン側に塗布されていた導電塗料が剥がれ基板側の電極の隙間や表面に粘着するためがほとんどです。

左のボタンの反応が悪いそうです。

ボタン反応確認

届いてすぐボタンの反応を確認したのですが、おやおやボタンの反応は全滅っぽいですよ。

全く反応しません。

指が太いからというのもありそうですが、、、。( ̄b ̄)シー

では早速診断しましょう。

因みに、このピンクのたまごっちプラスですが、筐体が日焼けするとオレンジぽく変色します。

裏面にその痕跡があります。

ほら、蓋の内側がピンクですね。

本体内部には、経年での汚れや異物が入り込んでいるのでお掃除しておきます。

液晶のレンズも擦れ傷が目立っていたので、研磨してピカピカにしておきます。

さてさて、肝心のボタンの接点を確認しましょう。

やはり、導電塗料が剥がれ凹みの谷間に粘着していますね。

シリコンボタン側に塗布されているこの黒いのが導電塗料で基板の電極に押し付けることである程度の抵抗値(数kΩ)で導通します。

IC側がAD変換しボタンの押下を認識すると思われます。

まず、アルコールで拭き取り汚れと異物をきれいにします。

でも、アルコールの拭き取りでは完全に回復しません。

電極のパターンの凹みに入り込んだ塗料の残骸ってとれません。

そこで、極細の鋭利なピンセットの先で地道にこそぎ落とします。

さらに、シリコンボタン側の塗装面も軽くサンドペーパーで研磨もしておきます。

長年、強く押し込みされ続けたので、塗装が剥がれ粘着します。

注意点として研磨の程度が重要です。

というのも、塗装面が薄いので研磨をしすぎると塗装が完全に剥がれますので、そうなると元も子もないです。

この剥がれた塗装の残骸は、もう導通に寄与できませんので、きれいに除去しないとだめです。

では、組み立ててボタンの反応は回復しましたかな?

ボタンの反応確認

完璧ですね。

完全に回復しました。

蓋のネジも表面が錆で黒変していましたので、研磨してきれいにしておきます。

これで、またたくさん遊べますね。

因みに、この裏面のシールのキャラクターは、『まめっち』というそうです。


動作確認も行い、しっかり使えるようになっていて感動しました!

ありがとうございます。

~依頼者のご感想より~

新種発見!たまごっち スポンジズレ修理

当医院のYouTubeチャンネルにアップしている動画をみたという方からの依頼です。

たまごっち液晶押圧確認動画

こちらの動画は、液晶のゴム電極と基板の端子が導通に不良が起きており、指でその電極を押してあげるだけで液晶の描画が切れている箇所が映りだすという現象です。

ゴム電極は、押し圧で導通する仕組みなので押し圧を増すだけで改善します。

さて、今回のご依頼は、事情が違いました。

右下1/4程度しか描画しないのは同じなのですが、原因は違うようです。

押しても映らない

動画の通り、押し圧を変えても描画に変化がありません。

どうも液晶の描画範囲が切れてしまう要因は別のようです。

早速分解して内部を調べてみましょう。

おおおお!

どうして、こうなった!?┐( ̄へ ̄)┌」

向かって左の壁紙の上下にあるのが、ゴム電極です。

液晶の上下に配置されており、右側の基板上の電極に向かい合わされ接触し導通します。

本体をネジ止めすることで押し圧が確保され電気的に導通します。

が!

本来、液晶の壁紙と基板の間に挟まっていたスポンジが45度ズレてしますね。

よく見ると、電極の上に被さっており液晶の電極の導通を阻害しています。

本体側のネジも少し緩めだったので、恐らくご自身で分解された際にズレてしまい、そのまま組み立てたのだろうと思います。

正常な位置に戻して組み立てます。

折角なので押しボタンの接点をアルコールで拭いておきます。

さて、どうでしょうか。。。

動作確認

無事描画しましたね。

因みに、液晶が反転し黒く描画されているドットの上下に影が出ています。

確たる原因はいまだ不明なのですが、以前も同じような症状を解析したことがあったのですが、原因は分からずです。

液晶を交換するときれいになったりしたので、恐らくは液晶の劣化だとは思うのですが、現状のままでお使いいただくことになります。

液晶ドットマトリックスのRow、Columnsのデコーダは活きているようなので、周辺液晶の誤反応のように感じます。

さて、今回は液晶の描画不具合の依頼でしたが、蓋のネジが鉄製の純正のネジでした。

恐らく、今後潰してしまう危険性大です。

相談の結果、ワッシャー付きネジをご希望でしたので装着して修理完了です。


修理をご依頼したたまごっちを受け取りました。
とても古いおもちゃですので半ば諦めておりましたが、正常に動いて感激しました。
これで姪っ子に渡せます。ありがとうございます。

この度は大変お世話になりました。
ありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

たまごっちプラスカラー 液漏れ腐食重症 発振回路修理

たまごっちプラスカラーの修理の依頼がありました。

数年ぶりにたまごっちを遊ぼうということで電池を交換したが、時計が進まず卵が孵化しないとうことでした。また、起動できても1日ほど経過すると電源が落ちることがあるそうです。

因みに、羽化(うか)は、昆虫で、孵化(ふか)は鳥類や爬虫類だそうです。

じゃあ、たまごっちはどっちなの?

たまごっちは卵なので孵化ですね。

では、早速診断を開始します。

まず、電池ボックスの電極の液漏れの腐食が広がっています。

恐らく導通が取れていたのかもしれませんが、カツカツだったかと思います。

前述の1日ほど経過すると電源が落ちるという症状は、この接触不良かと誤認していたのですが、こちらは単なる液漏れで後述で判明する主因ではありませんでした。

電池ボックスの外からの目視では液漏れの影響は、それほどでもないかな!?

と思いきや本体を分解すると…

┌|◎o◎|┘

まさしく地獄絵図かのような光景です。

アルカリ乾電池から強アルカリの水酸化カリウムが染み出し固まった光景です。。

保管時の乾電池外しは徹底しましょう。

電極の腐食が酷いので電極を交換してしまいます。

単四用の電極がサイズぴったりです。

電池ボックスの蓋止めのピンも削れていましたので、補修しようかと思ったのですが、蓋と止めるだけなので、現状のままとなりました。

さてさて、本体を分解して内部を確認しますが、そもそも卵が孵化しない場合、時計が進まないのが原因です。皆さんもご存じのとおり、32.768kHzの発振に不良が起きていますね。

クリスタル部品自体の故障か、発振回路の故障かなので、詳しく調べてみましょう。

早速ですが、分解し開くと電池ボックスの負極も腐食があり分解のタイミングでもげてしまいました。

カツカツで接続していたのですが、分解のはずみでポロっとちぎれたのでしょう。。

芯線も腐食していたので、導線は正極/負極とも交換します。

やはり発振回路にひろく液漏れの腐食が広がっていますね。

ちょうど、電池ボックスの負極の向かい合う裏側にこの発振回路が位置していたので、液漏れの液がこの基板側にも付着し影響がモロに出たようです。

では、この状態で電源導線を仮付けし起動してみます。

お問い合わせ時に通り、卵は、コロコロしますが、やはり孵化しません。

もちろんですが、時計も進んでいません。

やはり発振回路が停止していそうです。

因みに、時計用の発振とシステム用発振回路は別々回路なので、時計が進んでいなくとも起動しますし、システム自体は動作します。

時計用の32.768kHzの発振もオシロで計測してもうんともすんともです。

まぁ、そりゃそうだよね、発振回路がこの腐食状態であれば発振はできません。

給電のHi側に張り付いたままです。

発振回路を詳しく目視確認します。

発振回路の外付けコンデンサーや帰還抵抗、制限抵抗も液漏れの粉で埋もれ基板の配線にもこびりついています。

テストパッドも設けられていますが、粉が吹いています。

アンプバッファは、COBモールドのICチップ内と思われますが、その他の回路は、基板からも推測できました。

発振回路については、こちらに詳細がありますので、勉強できます。

自分は、車載マイコンの設計と評価をしていたエンジニア時分に、これでもかという解析と評価をしていたので、たまごっちでも同じような発振回路にお目にかかれるとは思いもしていませんでした。

液漏れの腐食によるリーク電流や基板の誘電率の変化、何より各部品の劣化が進行しているので、この時点で本来であれば修理不可能と判断となります。

このレベルの液漏れ腐食は、小手先の腐食部分の洗浄などは無力と思われます。

ですが、宅配おもちゃ病院は違います!

他のおもちゃ病院では、お手上げでもできる限りは尽くします!

ᕙ( ‘ω’)ᕗ

クリスタルを交換し、基板や部品に影響の出ないクリーナーで掃除します。

強くゴシゴシすると、弱ったパターンが剝がれるので、拡大鏡で確認しながら洗浄します。

クリスタル交換します。

クリーナーでざっくり除去できるこびりついた粉を物理的に除去します。

それでも残った粉は極細のピンセットで地道に剥がします。

この過程を4,5回繰り返し、もうこれ以上物理的に剥がすとパターンが剥がれてしまうかもしれないという程度までとしました。

次に半田付け部分に腐食とクラックも入っているだろうから、各チップ部品の半田付け部を溶かしなおしします。

すると、時計が進み始めました。

⸜(´・∀・)_∠※ ヤッター!

しばらくすると、卵も孵化し成長し始めたました。

ですが、だいたいこの手は、糠喜びがほとんどです。

時間が経つと再発します。

というのも、半田ごてで一度熱しているので、その熱の影響で一時的に動作しただけであり、熱が冷めると再発することが多いです。

で、このまま時間をおき経過観察します。

ごはんやおトイレ、お風呂や庭の植物に水をやったりします。

自分も夕食を取りお風呂にも入って様子見しましたが、なぜか時間の進み方に早かったりと不可思議がことが出ています。

やや怪しい気配がムンムンしていますが、リセットしてみたり様子見を継続します。

ですが、翌朝、時計が停止してしまいました。

というか電源も落ちていました。

_| ̄|o チーン

もう、強制リセットしても、時計は進むことはありませんでした。

依頼者のところで、1日経つと電源が落ちるという現象は、これだったのですね。

もう、ここまでか、、、。(´・_・)

COB内のボンディングに剥がれがあって基板を温めるとくっつき、冷めると離れているのかもしれません。

であれば、やはりもう、ここまでか、、、。(´・_・) Part2

いやいや、こんなことではあきらめません。

何度もですが、こういうときは基板を眺めるに限ります。

なんと!

メインICのあるCOB側の基板面にVIAの穴を伝ったであろう液漏れの粉と腐食が広がってします。

ただですが、この回路付近は、発振回路とは無関係ではあります。念のためですが洗浄と粉を除去しておきます。やはり、時計は止まったままうんともすんともです。

この腐食については、何を期待してもいなかったのですが、再度基板を眺めていると、この時です!

歴史が動きました!⸜(´・∀・)_∠※

再度、発振回路を眺めていると、原因が判明しました。

※やはり、行き詰ったときは基板を眺めるに限りますね。

前述の発振回路のチップ部品の底面に取り切れない液漏れの粉が詰まってします。

25xの拡大鏡でやっとわかるレベルです。

おそらく、この粉で制限抵抗や帰還抵抗の抵抗値が変化していそうです。

また、外付けコンデンサーにおいても容量値も変化し発振条件の定数が変化します。

もう、この影響しか考えらませんというか、もうここに望みを託すしかありません。

極細ピンセットで残留の粉をそぎ落とします。

無論、一時的な回復はするのは分かり切っていますので、十分を時間をかけて経過観察しようと思ったのですが!

時計が安定しません。悪化しています。

万策尽きました。_| ̄|o チーン チーン

でも、また時計も止まるんでしょう!?

やっぱりね。しばらくすると止まります。ー_-;

ですが、何気にクリスタルの足をピンセットでちょんちょんしてあげると再度動き出しました。

この状態で24時間経過観察しましたが、やっぱり時計は再度停止します。

外付けコンデンサーなりの定数が変化してしまい、外部からトリガを与えないと初動しません。

んんん?

クリスタルの足をピンセットでちょんちょんして動き始めるなら、また半田クラックでもあるんじゃね?

ってことで、期待もせずクリスタルを再半田してみました。

するとどうでしょうか!

時計が進みだしました。ですが、これも糠喜びにならないように熱が冷める十分時間が経過するのを待ちます。

ドキドキです。

また停止してしまわないか、ドキドキしながら待ちます。

待つこと24時間以上経過しました。

無事です。

これ、直ったんじゃね!?

たまごっちもスクスクまめっちに成長しています。

途中、なんども乾電池の抜きと差しを時間おいて繰り返しやってみたり、強制リセット繰り返したりしましたが、無事稼働します。

これ、直ったんじゃね!?

こんな感じで動作確認

当医院での診断と修理は以上までができる限界でしょう。

もう何度も途中くじけそうになりました。

この状態で依頼者様に返却し、依頼者様のところで、数日稼働をみてもらいます。


ここで返却し数日経過、、、。

※もうドッキドキです。


本日、3日目の動作確認させていただきました。

昨日と同じく、無事稼働しております。

また修理について感想なのですが、液漏れという酷い状態から、何度も何度も細かい所まで作業していただいて、ただただ驚いておりました。

時計も無事稼働しており、卵から孵化した瞬間も興奮して動画を撮っていました☺️

私の思い出のたまごっちに再び命を入れてくださりありがとうございます。

瀧下さんの熱心な治療のおかげです。

この度はありがとうございました🥰

ボランティア活動、陰ながら応援しております☺️

本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

と、返却から三日経過確認してもらい無事稼働とのことでした。

めでたしめでたし~。

液漏れの影響は、千差万別で今回は致命的な基板や回路への影響は低い方でしたが、回路が正常に稼働しない原因もあり一つづつ潰して解決しました。

くれぐれも保管時は乾電池を外すことを徹底したいとところです。

てんしっちのたまごっち 白/青

てんしっちのたまごっち 白/青 2個の修理依頼です。

てんしっちのたまごっち 白

蓋のネジが固く開けられるとのことです。幸いに致命傷になる前にご依頼をいただいたので、開封の確率はグーンとアップします。

新品未開封で購入されボタン電池の絶縁シート抜いても起動しないそうです。

固くで回らないそうです。

左側、若干頑張られた感がありますが、溝はほぼ無事です。

右側もほぼそのままです。

開封作業に着手しましたが、かたは固く鉄製のネジでは、恐らくすぐ削れまくってツルツルになりそうです。

焦らず、定石方法で適切な治具を用いて開封します。

ネジが思いのほか固かったですが無事外せました。

ボタン電池の液漏れもありますね。

では、次に起動確認をします。

残念ながら、うんともすんともです。

電極も液漏れによる腐食などなく、念のため接点復活剤で拭きあげてましたが、やはりうんともすんともです。

本体内部に故障がありそうですね。

では、分解して診断します。

すぐ原因が判明しました。

シリンダー型のクリスタルの足の半田付け部分が変です。

足も曲がってしまって短絡していそうです。

これって、明らかに初期不良の交換対象になりそうな案件ですが、恐らく個人の方のデッドストックだったのかもしれません。

半田が取れて足が浮いています。

もう片方の足の曲がりも変に気になります。

調べてみると、半田が取れてしまった原因と片方の足が曲がった原因もはっきりしました。

このシリンダー型のクリスタルの位置をテキトーにして半田付けすると、クリスタルの筐体とたまごっちの筐体の縁が干渉し内側に押し込まれます。

その力でまずは、筐体外側の足の片方が曲がってしまったようです。

で、で、で、その力が内側の足にかかり半田付けが弱かったので、半田付け部分が取れたようです。

足の曲がりで両足の短絡がおきたりもします。

実は、この故障解析前に曲がった足をまっすぐにして取れた半田付けを再半田しただけで筐体に収めると、カバー閉まりません。

収まりが悪く、強引に押し込むと同じように足が曲がりました。

と、ここで故障原因がはっきり分かったという次第でした。

筐体との干渉に注意して足の長さも切りそろえ再半田しました。

これで無事起動できるようになるでしょう。

動作確認

問題ありませんね。

最後に当医院オリジナルのワッシャー付きネジを装着しておきます。


てんしっちのたまごっち 青

青のてんしっちのたまごっちのネジも同様に固かったですが、無事外せました。

やはりこちらも液漏れしていますね。

依頼者様より絶縁シートを抜くと一瞬起動するが、すぐ切れてしまうそうです。

まぁ、このボタン電池の具合では起動すらできないですね。

電極にも液漏れの粉が付着していますね。

のぞき込むと半田の残骸が、ボタン電池の底面シートの上にのっているので剥がしておきます。

ルーターのブラシで研磨します。

では起動確認しましょう。

動作確認

問題ありませんね。

こちらも同様に当医院オリジナルのワッシャー付きネジで装着しておきます。

久しぶりのおばQです。


フリマサイトで購入したたまごっちの電池の蓋ネジが固く修理をお願いしたのですが、他にも不調箇所を見つけて直していただけて、本当に助かりました〜…!

遊べるようになってとても嬉しいです!

修理の内容なども写真と動画で丁寧に送っていただけて、安心してお任せできました。

この度はありがとうございました〜…!

~依頼者のご感想より~