恋するたまごっちゅ ラブチェック不可 修理不可能

恋するたまごっちゅという、まぁなんともあれな商品の修理依頼がありました。

オス側とメス側を通信させることでキャラクターがキスをして愛情度が上昇し育成していくというようです。

ラブチェックというようです。

故障というのは、いくらやってもラブチェック(キス)ができないそうです。

中古で購入し初回の一度だけラブチェックできた後、まったくできなくなったそうです。

オス側とメス側を向かい合わせてDボタンを押しあうとちょうど向かい合った赤外線の送受信素子が通信しあうというメカニズムです。

ラブチェック以外の動作上は、時計設定もでき問題なく時を刻みます。このラブチェックのみ通信できないという状況です。

では、届いた状態で赤外線のチェッカーで送出のみざっくり確認します。

赤外線送出確認

検出器は、38khzのパルスが出ているかどうかのみを赤いLEDの点灯で確認できるのですが、送出は両方のたまごっちで確認できました。

LED点灯確認
LED点灯確認

別途、赤外線のパターン解析治具で、この9回のH/Lパターンの送出と一致していました。

パターンのH期間の長さでどうもオスとメスの区別をしていそうで、通信のハンドシェイクパターンと思われます。

では、分解して内部の確認をします。

一応、念のためですがクリスタルの発振は確認しておきます。

時間設定もできているし、時間も問題なく進んでいるのですが問題ありませんね。

では、赤外線の通信回りを確認します。

赤外線の送受信に関わるチップ部品の半田付けを溶かしなおしてみます。

しかし、とても高密実装されており、もう通常の小手先ではあてることすらできません。

拡大鏡越しに極細の小手先で溶かしなおしをします。

残念ながら変化なしです。

ここで一旦まとめます。

先の送信は正常としても、オス、メス側両方で通信できないとう自体が解せません。

どちらかの送信が正常と仮定すると、その信号を受信した側のどちらかのラブチェックは成立しそうです。

また、両方の送受信がいづれも故障しているという事態も考えづらいです。

現状、他の恋するたまごっちゅが無いので、確認のしようがないです。

もう何かできる策が既になく、残すは赤外線の受信信号を確認します。

受信のために給電用PNPの2Aチップトランジスタのコレクタと受信信号のパターンを確認できるように基板から導線を引き出します。

これをオス側、メス側で引き出し、いづれも相方の送信信号が受信できているか確認します。

オス側引き出し

オス側オシロ波形

メス側引き出し

メス側オシロ波形※2ch側の給電波形は落ちたままなのは、キャプチャー時に配線の半田が取れたしまったためでした。

オス側、メス側との事前に解析してあった、ハンドシェイクパターンと一致していました。

LEDの送信信号が、受信モジュールでも無事受信できているようです。

さてさて、困りました。

もうここまでとなると、そもそも送信しているパターンがオカシイとか、COBモールド内の断線かIC故障などしか推測できません。

残念ながら、当医院の解析能力の限界で修理不可能という判断になりました。


たまごっちゅのほうは輸送中に奇跡が起きて直ってないかな〜と電池を入れてみ ましたがやはりそんなわけはありませんでした。

でも丁寧に確認していただいて、修理不可能とわかったことで諦めがつきました。
毎回相談のメールにも丁寧に、すぐに返してくださるし、進捗状況も細かくご連 絡くださるので安心しておまかせすることができます。

壊れないことがいちばんなのですが、また壊れたときにはご相談させてくださ い。頼りにしております。

~依頼者のご感想より~

たまごっちプラスカラー液晶バックライト修理


プラスカラーのほうは問題なくバックライト点灯しています。いったん諦めたも のでしたので回復してくれて大変嬉しく思っています。

でも丁寧に確認していただいて、修理不可能とわかったことで諦めがつきました。
毎回相談のメールにも丁寧に、すぐに返してくださるし、進捗状況も細かくご連 絡くださるので安心しておまかせすることができます。

壊れないことがいちばんなのですが、また壊れたときにはご相談させてくださ い。頼りにしております。

~依頼者のご感想より~

たまごっちプラスカラーの修理依頼がありました。

液晶が暗くなり、うっすら何か映ってはいそうだが、画面が真っ暗のままということです。

液晶のメカニズムをご存じであれば、バックライトが切れているか点灯していないかという推測はすぐつくかと思います。

ざっくりですが、バックライトを背面から照らしRGBのフィルターで光の透過を制御し画像を描画しているというメカニズムです。

では、早速状況確認します。

分解し起動すると、やはりうっすら画面が映っていますね。

では、故障診断をします。

たまごっちnano クリスタル交換

たまごっちnanoの修理依頼がありました。

未開封品ということで購入されたそうですが、液漏れを起こしており起動しないそうです。

当医院の記事でも度々啓蒙活動をしておりますが、オークションやフリマで出品されている、未使用品というのは、ほぼ100%液漏れしており本体内部も腐食で使い物になりません。

過去に多数の依頼を対応しておりますが、皆さまやはり未使用という言葉で購入を決意をされたようです。

たまごっちという商品は、ボタン電池が一応は絶縁シートで絶縁はされておりますが、なんと!本体内部に収まったままなので、数年経過すると自然放電して100%液漏れします。

この液漏れは、電池の安全装置なので、逆に液漏れしないボタン電池ということがあり得ないということになります。

さてさて、うんちくはここまでとして診断をしましょう。

購入された当初、ボタン電池からの液漏れが酷く、ご自身でできる範囲できれいにされたそうです。液漏れした液体(=強アルカリ性の水酸化カリウム)が、取り扱い説明書にも染み出していたそうです。

ぱっと見、電極の腐食も酷くなくですね。致命的ではなさそうです。

綿棒にアルコールを湿らせ電極の突起部を拭き上げてもらいましたが効果なしでした。

漏れた液か揮発した気体で本体内部の素子や基板を腐食しているかもしれません。

では開封し内部を確認します。

ですが、たまごっちnanoは、隠しネジの蓋がきついのです。

やみくもにこじってしまうと傷が付いてしまうので、超強力の両面テープで引き抜きます。

片方は成功しました。

ですが、もう片方がとてもきつく抜けません。

超強力両面テープ→グルーガンとも失敗です。

かなり、キツキツにハマっています。

ここまでやっても抜けないので、最終手段です。

極細のドライバーで抉ります。

ちょい傷が付きましたが、まぁまぁ大丈夫の範囲です。

早速ですが、基板を確認しましたが、腐食が広がっています。

ボタン電池の負極に錆が広く上がっています。

横にあったネジも錆びてました。

接点復活剤で拭き上げきれいにはなりました。

それ以外を確認すると、、、あ”ー!

クリスタルですが、足が錆さびです。

シリンダー本体をコキコキしてみると、もうグラグラして抜けそうなので、足が内部で切れているか断線しています。

ほぼ100%このクリスタルの発振不良で起動できなくなっていますね。

早速交換します。

さてさてどうでしょうか?

無事起動しました。

クリスタルを交換しているので、卵が孵るかしばらく放置してみます。

無事、卵からリンゴ!?に孵りました。

動作確認

押しボタンの反応も問題ありませんので、これにて修理完了です。


ご感想

~依頼者のご感想より~

初代たまごっち 渡り電極折れ修理

初代たまごっちの電池ボックス 渡り電極が折れてしまったということで修理のご依頼がありました。

液漏れなどすると電極のL字の曲がり部分に腐食が進行し折れてしまうことも多いのですが、実は電池の接触を良くしようと手前に引っ張るだけでも折れてしまうことも多いです。

ここです。

既にL字に曲がっている箇所なので金属疲労で折れます。

当医院では、以前は半田付けなどして補修していたのですが、現在は、りん青銅板で電極を作成します。

その他の電極には液漏れの形跡もなくきれいです。

純正の電極厚は、0.2mm程度です。

バネ性も考慮し0.3mmのりん青銅板で作成しました。

電極を作成する際の注意点は、ボタン電池の負極側の縁に接触し正極と負極がショートすることがないように曲げます。

装着し接触ショートが起きていなかマルチメーターで確認しておきます。

渡り電極は、マスキングテープで型取りをしてカット成形します。

次に実際の筐体にはめ込み曲げ確度を調整します。

筐体とは、弾性の接着剤で固定しておきます。

いい感じです。┌|◎o◎|┘

収まりも大丈夫ですね。

動作確認

電極を新規に作成しているので、電池ボックスにボタン電極を挿入する際、側の電極を広げるようにボタン電池を挿入します。

これで、無事また遊べるようになりました。

また、ご希望があったので、蓋のネジおワッシャ付きのネジを装着しました。


思い入れのあるおもちゃだったので、壊れた時はかなり悲しくショックをうけていました。

それが修理にてまた遊べるようにして頂けて、本当にうれしいです。

対応も迅速で、修理結果も画像や動画で送っていただいたりとても丁寧で、ありがたかったです。

今後またトラブルがあれば、是非相談させて頂きたいです。

この度はお世話になり本当にありがとうございます。

~依頼者のご感想より~

たまごっちスマート 故障修理について

たまごっちスマートの故障相談をいただくことがあります。

たまごっちスマートは、操作がタッチパネルになっています。

比較的新しめではありますが、既にメーカー対応も終了しております。

相談事案に、タッチパネルの右上(もしくはその他)の反応がしないというのが多いです。

今回の相談は、液晶のバックライトが、消えてしまい液晶が見えないという故障でした。

液晶を強めに押し込むとバックライトは付くそうです。

この手の液晶回りの故障は、交換部品がないので修理不可能になる場合が多いことをお伝えすると、依頼は断念されるという決断に至りました。

ですが、当医院としてもたまごっちスマートの故障相談があるので、この機に下調べをしておこうとジャンク品を入手し調べてみました。

液晶の描画サイズ、対角線で4cmぐらいなので、1.xxxインチサイズだと思います。

では、バックライトですが、アノードとカソードの半田付け部があるので、この接続部のクラックが懸念されます。押し込むことで光るそうなので溶かし直しで効果があるかもしれません。

ついでに、たまごっちスマートについていろいろ分かりました。

声掛けで使うマイクが、ここに仕込まれています。

本来は、ソケット式でカバーを外すとすぽっと抜けるハズだったのですが、どうにもこうにも抜けず強引に引くとソケット部が取れてしまいました。

原因は、マイクを固定するシリコンのリングがカバーに強固に挟まっておりマイクもろともソケットも挟まっていたためでした。

このソケットの足もちぎれてしまったので、マイクの足を直接基板に半田付けする羽目になりました。

次に、本商品は、製品仕様を確認するためのジャンク品です。

タッチパネルの反応が悪いということでしたが、分解しても何の問題ありませんのでした。

以前、修理相談のあった時も、右上の領域の反応ができないということが多かったです。

本ジャンク品も×位置の反応がないということだったのですが、前述の液晶を知らべている際中は問題なく反応しておりました。

ですが、マイク修理を終え本体に組みなおすと、×位置が無反応になります。

おやおや、故障が発現したようです。

この原因も調べてみると、タッチパネル側の故障と判明しました。

恐らく、パネル内部でカツカツに付いていた配線が完全に切れたようです。

また、タッチ様式も静電容量式で、FPCの配線を少し触れるだけでも反応します。

もちろんですが、このサイズの交換用部品も入手できませんので、やはり修理不可能が事案になります。


たまごっちみくす サンリオキャラクターズ m!x ver. 液漏れ修理

たまごっちの乾電池を入れたままにし、液漏れで電極が腐食してしまったそうです。

電池を入れて起動確認をされ無事、起動はできたそうですが、発送前の再起動確認では起動できなくなっていたそうです。

液漏れによる電極の腐食は、腐食そのものの導通不良もそうですが、導線を腐食が伝い基板側も腐食していまいます。

時々、『え!腐食って導線を伝うの!?』と、思っている方が居られます。

錆びのメカニズムを調べてみてください。ニッケルメッキにて一応はイオン化傾向は低くなってはおりますが、長期間液漏れした水酸化カリウムに浸っていたためでしょう。金属の酸化反応です。

さて、診断を開始しましょう。

正極、負極とも液漏れの粉が付着しており、正極は腐食も進行していますね。

この状態では導通はできないので、起動不良はこの腐食が原因でしょう。

このような場合、電極以外にもつながっている導線も同じく腐食してしまっているので交換が必要になります。

例えば、このような負極線です。

やはりですが、被覆を剥いでも芯線が真っ黒ですね。

これでは半田付けできませんし、そもそも腐食で金属の強度もないので、またすぐ折れてしまうでしょう。

電極、導線まるごと交換します。

さて、目視上の不具合は目途が立ったとして、本体側の不具合はないか確認します。

電池ボックスが腐食でダメになっているので、外部電源で起動確認します。

起動しましたね。

ですが、既にオバケちゃんになっておられます。

時計画面では、無事時間は進んでいるので、本体側の不具合はないようです。

では、電池ボックス修理に取り掛かります。

電池ボックスの電極が交換できるように分解します。

単四乾電池用の電極は、新品に交換します。

ルーターで研磨も考えましたが、やっぱり新品がいいですね。

動作確認をしたのですが、オバケのままで時間設定できるかもといじっていたら、再スタートになっちゃいました。ー_-;

起動動作確認

液漏れの影響は、電池ボックス回りのみでしたので、無事修理できました。

これから遊ばない時は、乾電池を抜くということをお忘れないようにしましょう。

以前、たまごっちみーつのサンリオVerを修理したりしてましたは、今回はたまごっちみくすでした。

サンリオVerは、それぞれのたまごっちにあるようですね。


電池を抜き忘れて放置してしまった結果液漏れで電極部分がカッピカピになってしまい途方に暮れていたところ、SNSでたまたま宅配おもちゃ病院さんのことを知りました。

問い合わせから依頼を送るとすぐにお返事をいただけ、その後もスムーズにご対応いただけとてもありがたかったです。

故障の診断や修理の内容などもご丁寧に説明いただけ、安心して預けることができました。

もう遊べないかと思っていたので、また元気に手元に戻ってきてくれて本当に嬉しいです!

これからは電池の抜き忘れには注意します!

この度は本当にありがとうございました!!

~依頼者のご感想より~

ウラじんせーエンジョイ!たまごっちプラス ウラふりる 液晶レンズ曇り修理

大事にされていたウラたまの修理依頼がありました。

誤って香水をレンズ部分にこぼしてしまい、画面レンズの一部分が曇ってしまったそうです。

その部分が良くなると思い除光液で拭き取りしたら、さらに悪化してしまったそうです。

ここで一旦レンズ修理の依頼があったのですが、その後、お酒もさらにこぼしてしまったそうで、まとめて診断することになりました。

ほっほー!

いい感じの曇りっぷりですね。

たまごっちのレンズは、プラスチック製で表面がレンズのため鏡面仕上げで研磨されています。

アルコールを含む溶剤は、プラスチックを浸食してしまうので、レンズを拭き取る場合は、水一択です。

レンズの後ろには液晶があり、導電ゴムの電極もすぐそこにあります。

レンズの曇りには、部品があれば代替えのレンズに交換するか、部品がなければ時間をかけて研磨するしかないです。

もう何も見えないですね。

このたまごっちは、お酒も飲まれているので、分解し影響の有無とレンズの状態を確認しましょう!

お酒の影響はなさそうですね。

基板や液晶周辺がお酒でねばねばしているかもしれないと心配していましたが、幸い筐体の枠周辺のみにしか付着していませんでしたので拭き上げておきます。

ついでにシリコンボタン周辺もきれいにしておきます。

裏の台紙が湾曲していましたので矯正しておきました。

さてさてレンズは、ちょうど部品取り用のたまごっちプラスが一台あり、今回はそれからの移植となりました。

こうやってみると、曇り具合が一目瞭然ですね。

液晶も無事見えるようになりましたね。

動作確認

たいせつなたまごっちということで無事修理もできました。


余談ですが、自分はたまごっちの修理をしておりますが、育成には詳しくありません。

レンズ交換の際にふと見ると左下のポストが点滅していることに気づきます。

あ”~、液晶と基板の電極の接触が不安定でポスト部分が点滅していると誤認し、再度分解し電極部分を綺麗に拭き上げてみました。

ですが、まだポストが点滅しています。

メニューでポストを選ぶと、なんと郵便が届いています。

なんだ~、ポストの点滅は郵便が届いているってお知らせだったんですね。

勉強になりました。

ポストを選択すると、自動的に郵便が読み上げられ、なんと就職試験の案内でした。

あら!就活中だったようです。

と、そのまま、なんと試験会場に行ってしまいました。

何やら、事が進んでいることが心配でならなかったのですが、面接官から

『あなたはダンサーには向いていないようです。』

とうことで面接に落ちてしまいました。

たまごっちの世界って厳しい世界なんですね。


追記

曇ったレンズの研磨をやってみました。

細目の研磨剤からスタートし、耐水ペーパーで荒削りします。

コンパウンドで時間をかけて仕上げ、鏡面仕上げ剤で仕上げてました。

溶剤で曇っても研磨できそうですが、コストがかかるので、今回はレンズ交換でよかったと思います。

以上、ウラたまも今後も大活躍してくれるでしょう。


発送前に初めにお願いした内容から変更があったにもかかわらず、迅速かつ丁寧に対応していただいて感謝にしかありません。

小さい頃からの大切なものでしたので、諦めきれず修理をお願いしましたが、瀧下様に修理をお願いして本当によかったです。

これからも大切に使わせていただきます。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

connection ver.5 たまごっち液晶故障 修理不可能

connection ver.5という海外版のたまごっちの修理依頼がありました。

国内の製品でいうと、『ふぁみりーイロイロたまごっちプラス』と同じ商品のようですが、外装の仕様が違うようです。

ボタン電池を挿入し起動すると、ビープ音は鳴るが、液晶が映らないという症状です。

届いてすぐ確認しましたが、液晶の描写が薄く途切れ途切れです。

分解し基板上を目視確認しましたが、これといった故障はありませんでした。

依頼者のところで一度分解しておられたそうで、圧電素子の導線が取れていますが、その他で何か液晶に関わるような不具合はなさそうです。

液晶描画確認

液晶を描画させると、まったく映らないというのはなく、時間の経過とともに途切れ途切れの映りがハッキリしてきます。

そのうち、時計合わせなどでは、数字がうっすら確認でき、ボタンの押下で設定も一部できているところも確認できます。

ボタンの押下のタイミングでのビープ音との連動なども音のみでは正常のようです。

残すは、液晶の導電性ゴム電極の導通不良です。

この導線性については、過去に評価した経験があり、AC特性など解析して測定されたSパラメータで高速な信号など伝搬させることができます。

一方、恐らく素材上の品質劣化から伝達特性が変化することも容易に想像できます。

いろいろ試してみると指で押せるような単純な押し圧不足ではありませんでした。

基板上に設置し電極ゴムの上を指で押してあげると、押し圧の増加で液晶の映りは濃くはなりますが、基板が撓むようなほどの圧力でやっと少し変化が出るぐらいです。

導通不良が描画不良の一因であることは、どうも確かそうです。

といっても、これ以上の確証を得ることが難しいです。

交換用の液晶も手持ちになく、依頼者にお聞きすると、国内版のふぁみたまでもないと液晶の移植交換もできないそうです。

というのも、おなじたまごっちプラスシリーズでも、『ケーたま』や『エンたま』などのたまごっちプラスとこの『ふぁみたま』のたまごっちプラスは、描画している液晶が違うそうです。

中古市場では、ジャンク品の流通もなく、いわんや同じ『connection ver.5』も『ふぁみたま』もおいそれと購入できるような価格帯での流通ではなくなっています。

状況も依頼者へ報告し、ここまでで修理不可能と判断し、もし今後移植用の液晶が入手できた時点で再度検討をされるそうです。


瀧下様 まずはじめに、この度は依頼をお受けいただき誠にありがとうございました。

今回お預けしたたまごっちは、数年前の中古購入時から動作せず、地元のおもちゃ病院に見せた際は中を見ることもなく門前払いされ、また当然ですが素人の私では自力で原因を調べようもなく、私としてはなんとも諦めのつかない状況で数年間くすぶっておりました。

そんな中、ネット検索で瀧下様の宅配おもちゃ病院のページへたどり着き(実は数年前から存じ上げておりましたが、その頃は受付を休止しておられました)、この方であればたまごっちの依頼を門前払いされることはないであろうと、希望を持ってご連絡させていただきました。

その後のご返信および診察のご対応は、想像していたよりも遥かに詳細かつ丁寧で、写真も多数用いてご説明いただき、大変に納得できる内容でした。

今回は結果として修理不可ではありましたが、パーツ交換によって修理できる可能性も示していただき、色々と勉強させていただけて非常に有意義な依頼となりました。

代替パーツは時間をかけて探していこうと思いますが、もしも用意できた際は、是非また瀧下様に修理を依頼させていただきたいと考えております。

その際はどうぞよろしくお願いいたします。

重ね重ね、今回は誠にありがとうございました。

~依頼者のご感想より~

ケーたま エンたま 修理

たまごっちマニア界隈では、ケーたまとは、『祝ケータイかいツー!たまごっちプラス』呼ぶそうです。エンたまは、『超じんせーエンジョイ!たまごっちプラス』をそう呼ぶそうです。

『森たま』とか皆さまの呼び名がいろいろあり勉強になります。

今回が、ケーたまとエンたまの二つのたまごっちの修理依頼がありました。

まずが、エンたまからです。

ボタン電池を入れてもうんともすんともな状態です。

ビープ音にならず、押しボタンにも無反応です。

水没反応もなく綺麗な状態です。

分解しボタン電池からの給電も基板端に正常に給電されております。

うんともすんともなので、クリスタルの発振を確認します。

32.768kHzの発振が確認できます。

基板上も発振端にはコンデンサーが付いているのですが、ピンセットちょんちょんするなどで挙動に変化があるなど確認しましたが、半田クラックなどはなさそうです。

基板を眺め目視上問題な点も発見できませんでした。

念のため、基板上の半田付けされている全部品の半田部分を溶かしなおしもしてみましたが、変化ありませんでした。

安定化電源から給電し電流もモニターしましたが、電流もほぼ流れていないので、COB内のICに給電できておらず起動できていないように感じます。

残念ながら原因不明にて修理不可能と判断をさせていただきました。


次にケーたまです。

ケーたまは、シリコンボタンの反応が全くないとのことです。

起動時のビープ音、液晶も映るとのことです。

シリコンボタンの反応は、シリコンボタン側に塗布されている導電塗料が基板側に粘着したのと、導電塗料の表面も劣化しているだろうから、まとめてきれいにします。

やはり粘着していますね。

きれいにアルコールで拭き取りします。

櫛型の電極のパターンの隙間にも入りこんでいる場合は、鋭利なピンセットと拡大鏡でそぎ落とします。

ボタン側の塗料表面も軽く研磨しておきます。

ボタン反応確認

これでボタンの反応自体の修復はできました。

今回は、その他の部分もまとめてメンテナンスします。

まずは軽いところから。

蓋のネジの溝が潰れているので、新品のなべネジに交換します。

フックも曲がっているので矯正しておきます。

ついでにメッキ表面も研磨してできるだけピカピカにしておきました。

次に液晶についてです。

初代のたまごっちでもよくある不具合なのですが、劣化して液晶や基板側との接点の状態で液晶の反転したドットの上下に影のようなものが出ます。

前述の動画にも映っております。

確たる原因は不明なのですが、液晶を交換したりすると解消や改善した経験がありました。

依頼者と相談し、今回は先のエンたまが修理不可能と判断されましたので、エンたまの液晶とレンズを丸ごとケーたまと交換することにしました。

解消すればラッキーというレベルです。

裏面の台紙も交換しておきます。

元々ついていたレンズも傷がついていたので、より状態のよいエンたまのレンズに交換します。

動作確認

影は解消しませんでしたが、気持ち改善したかもしれないというところでしょうか。

今回は、残念ながら、エンたまは修理不可能となりましたが、ケーたまは、無事遊べるところまで修復できました。


メールをお送りしてから迅速に丁寧に対応してくださり直らないと思っていたケーたまをここまで修理して頂いて本当にありがとうございました!

宅配おもちゃ病院様を見つけることができて本当に良かったです!

また機会がありましたら是非依頼させて頂きたいと思います。

~依頼者のご感想より~

祝ケータイかいツー!たまごっちプラス ぴんく ボタン接点修理

たまごっちプラスのボタンの接触が悪いということで依頼がありました。電源や液晶の描画は問題ないそうです。

接触が悪い原因のほとんどが、シリコンボタン側に塗布されていた導電塗料が剥がれ基板側の電極の隙間や表面に粘着するためがほとんどです。

左のボタンの反応が悪いそうです。

ボタン反応確認

届いてすぐボタンの反応を確認したのですが、おやおやボタンの反応は全滅っぽいですよ。

全く反応しません。

指が太いからというのもありそうですが、、、。( ̄b ̄)シー

では早速診断しましょう。

因みに、このピンクのたまごっちプラスですが、筐体が日焼けするとオレンジぽく変色します。

裏面にその痕跡があります。

ほら、蓋の内側がピンクですね。

本体内部には、経年での汚れや異物が入り込んでいるのでお掃除しておきます。

液晶のレンズも擦れ傷が目立っていたので、研磨してピカピカにしておきます。

さてさて、肝心のボタンの接点を確認しましょう。

やはり、導電塗料が剥がれ凹みの谷間に粘着していますね。

シリコンボタン側に塗布されているこの黒いのが導電塗料で基板の電極に押し付けることである程度の抵抗値(数kΩ)で導通します。

IC側がAD変換しボタンの押下を認識すると思われます。

まず、アルコールで拭き取り汚れと異物をきれいにします。

でも、アルコールの拭き取りでは完全に回復しません。

電極のパターンの凹みに入り込んだ塗料の残骸ってとれません。

そこで、極細の鋭利なピンセットの先で地道にこそぎ落とします。

さらに、シリコンボタン側の塗装面も軽くサンドペーパーで研磨もしておきます。

長年、強く押し込みされ続けたので、塗装が剥がれ粘着します。

注意点として研磨の程度が重要です。

というのも、塗装面が薄いので研磨をしすぎると塗装が完全に剥がれますので、そうなると元も子もないです。

この剥がれた塗装の残骸は、もう導通に寄与できませんので、きれいに除去しないとだめです。

では、組み立ててボタンの反応は回復しましたかな?

ボタンの反応確認

完璧ですね。

完全に回復しました。

蓋のネジも表面が錆で黒変していましたので、研磨してきれいにしておきます。

これで、またたくさん遊べますね。

因みに、この裏面のシールのキャラクターは、『まめっち』というそうです。


動作確認も行い、しっかり使えるようになっていて感動しました!

ありがとうございます。

~依頼者のご感想より~