2022.7.9 おもちゃ修理に関する雑記

当医院の修理記事は、情報共有を目的に公開をしております。その目的は、以下を期待してのことです。

  • 修理経験の無いおもちゃでもインターネットで情報を入手できると修理の確率がうんと上がる。
  • 参加しておりますおもちゃ病院の先生より『三人寄れば文殊の知恵』という方針に賛同しておりまして、独りでは無理でも情報が集まれば頼もしくなるという点です。
  • 自分もインターネットから情報を多く入手し、かつその情報で修理を完遂できたこともある。
  • インターネットで情報を公開すると、『おもちゃ病院で壊れたおもちゃが修理ができる』という事実自体を知らない皆様に、おもちゃ病院という活動を紹介できかつ、利用をしてもらうことで、共にWin-Winの関係を構築できる。
  • 修理したという事実やおもちゃの画像を載せただけでは、単なる自己満足な日記でしかない。どのような症状をどのように原因と突き止め最終的にどうなったのかと時系列で追えるようにする。

うれしいことに、当医院のホームページを参照し修理完成ができたという、お礼のメールをいただくこともあり、うれしい限りです。

ただ、私の文才の低さからか、修理実績の記事は、修理のポイントをわかりやすく端的に紹介をしておりません。その目的としては、修理完遂の達成率を向上させるためには、以下の段取りが重要ととらえているためです。

故障の症状から原因を推測する術を身につけて欲しい

特に慣れていないおもちゃドクターや、そもそも修理初挑戦の方が、陥りやすい罠なのですが、とりあえず分解することは止めて欲しいのです。

分からないときは、『分解すれば何とかなるでしょう』的な修理記事もインターネット上で拝見しますが、一方、『とりあえず分解したんだけど、原因が分からなくて、調べているうちにあちこち壊しちゃって、元にも戻せないくなっちゃんだよね。』というおもちゃドクターのヘルプ要請を受けることも多くあります。

電源スイッチの接触不良が原因なのに、とりあえず分解したんだけど、基板の部品が取れちゃって、導線もどこについていたかもわかんなくてなっちゃった。という相談が過去にありました。『取れた導線を適当に繋いだら、煙がでたんで、修理をやめました。』ということです。これは、負極の導線を間違えて繋いでしまい、つないがのが、トランジスタで貫通電流で焦げてしまいトランジスタを交換をしました。

この場合、うんともすんともであれば、まずはじめに電源から怪しむで、電池の容量→電源スイッチ→基板端の電圧という流れを身につけて欲しいという点です。

状況証拠を集める

こちらのスタッフブログにも掲載しておりますが、もともと設計仕様も何もない状況から故障解析をするわけですから、正常に動いていた正確な情報を如何に多く確実に入手できるかが、修理可否を分ける大きな分岐点となります。

  • 正常に動いていた際の動作を持ち主に詳しくヒアリングする
  • インターネットやYouTubeで実際の動きを確認する
  • がんばっても分からない時は、分かっている状況証拠から想像する。←最終手段

外来のおもちゃ病院では、親御さんが持って来られることも多く、『子供が遊んでいたんで私にはどんな動きをしてたかは分からない』や『頂きもので説明書もないので、分からない』という風なことも多く、そのような時にはできる限り想像力を働かせて、こう動いていたはずというポイントの確実性を上げなくてはなりません。

何事もそうですが、修理完成度は、ある種の情報戦ですので、如何に多くの情報を知り得ているか、もしくは集められるかです。

当医院のホームぺージは、この情報共有を大きな目的としております。

故障原因を突き止めるまでのドラマ的な流れ

神様でもない限り、パット見て原因がすぐ分かるはずもないです。

さっぱり分からない状況から故障原因を推測して、周囲の外堀から埋めていく作業というのは、今後の修理に十分活かせるスキルだと思います。

おもちゃドクターの中には、『で、どう修理すればいいの?』、『故障を調べるのはできないから修理方法を示して欲しい。』という診断はできないから修理という作業を示して欲しいということをお聞きしたことがあります。

悲しいかな、故障原因を突き止めて、修理を実施するという醍醐味があるはずなのですが、故障原因を突き止めるのは、たいへんでイヤなようです。

私も新卒の頃の上司に『丁稚の使い』にはなるなという、自律して物事を考え示し行動をしなさいという教育を受けました。その後の社会生活で、何事も自身で考え判断し行動するように心がけており、その後の人生においても自身の重要な財産となりました。

おもちゃの修理も、『誰かに指示され修理をする』のでは、面白くないし、それって手の器用な人なら誰でもいいよねということになります。

他人のふんどしで相撲を取るなですね。

折角、時間を割いてお客様の大事なものをお預かりするのですから、責任をもって作業にあたりたいものです。

今回は、おもちゃドクターとしての心得的な内容となりました。

それと、本題からは逸れますが、ホームページのブログって新しい記事(アップ日時が新しく)がないと、休眠状態なのかと思われることが多く、他愛もない記事なども、雑記を交えてアップしております。