DOSHISYA しゃべる地球儀 起動不良修理

しゃべる地球儀

DOSHISYA しゃべる地球儀 起動不良修理

株式会社ドウシシャより『しゃべる地球儀 パーフェクトグローブシリーズ』という地球儀が、発売されている。

シリーズ化されているようで、たくさんの製品がリリースされている。メーカー様のホームページは、こちら。

やはり、玩具メーカー然り、電子化を行ってあらゆる機能を追加でもしないと、製品を購入してくれないのですね。自分の時代は、単なるくるくる回る地球儀しか知らず、まさかおしゃべりをするなんてと、驚いていたのですが、巷では話題だったらしいです。しかもインターネットからデータを更新もできるそうです。

さてさて、今回のご依頼は、地域のおもちゃ病院にてご依頼のあった案件なのですが、先のドクター様が、対応できなかったということで、引継ぎ対応しました。

では、拝見しましょう。

不具合の症状は、パーフェクトペンの電源をONにしても起動しないということです。

このしゃべる地球儀は、いろいろがバージョンが、リリースされているのですが、今回のご依頼は、パーフェクトグローブホライズンという製品です。

地球儀とタッチペンがセットになっているのですが、アンパンマンのおしゃべりいっぱいことばずかんのように、地球儀の絵柄(Grid On Put)をペンでタッチすると、対応する音声がタッチペンのスピーカーから出てくるという仕組みです。

この技術は、イメージセンサーの進化にて、多様なアプリケーションが開発されておりますね。汎用のタッチペンも発売されているようです。

当該のホライズンシリーズは、ペン側のみに電子回路が仕込まれており、地球儀本体側は、Gr絵柄のメニューや地球儀上の場所が印刷されているのみとなります。

さて、パーフェクトペンが起動しない場合の状態ですが、起動に成功すると、LEDが青色に点灯するのですが、起動に失敗すると、青と赤に交互点滅します。

起動不良時

電源ON直後は、このLEDが、青と赤に交互点滅しますが、再度電源ボタンを押すと青に点灯しますが、依然起動しません。

そこで、取り扱い説明書もあるのですが、この青と赤の交互点滅に関する説明がありませんので、インターネットでいろいろ検索してみました。

残念ながら『青と赤の交互点滅』に該当する事象はありませんでした。ですが、気になる記事を発見しました。

前述の通り、パーフェクトグローブシリーズには、いろいろなシリーズがあり、ホライズンシリーズは、パーフェクトペンでタッチするのみとなりますが、パーフェクトシリーズ ネオやエリート以降のシリーズでは、本体側にも液晶画面が搭載されており、多彩なアプリケーションが楽しめるようになっております。

この後継機(地球儀本体が起動せず、本体の液晶も映らない)に関する修理記事を拝見していた際に、システム起動時にSDカードに保存されている、データファイルを読み込み起動を行っている旨の情報を得ました。※この記事をアップされたドクター様には感謝です。

一方、今回のホライズンシリーズには、SDカードなるものはありません。そもそも本体側は電子化されていないですし。

うーんと悩みましたが、この手の製品を開発する際は、大掛かりにシステム全体を変えたりはしません。というのも、システム開発する際、製品の動作検証を考えると、一からシステムを作り変えてしまうと、検証も全て一からやりなおさないといけません。

全て作り変えるなんて、そんなこと、フツーやりません。

過去の資産で流用できる、検証済みの資産は、そのまま流用します。

だって、検証の期間も検証のコストもその分削減できますし、わざわざ新規機能の追加でバグが入り込みやすいようにはしませんよね。

ファームウェアなどのソフト資産を流用するため、起動シーケンスも前機種と同じかもと推測しました。

しかも!気になるシールを発見しました。

電池ボックスの裏蓋に、『SDカードを抜き差しすると、データが破損し故障する』という注意書きがあったので、ペンを観察したのですが、SDカードなるものは一切ありませんでした。

( ,,`・ω・´)ンンン?

なんでだ?!SDカードが無いのに、わざわざ裏蓋にシールを貼るなんてね。。。

と悩んでおりましたら、ペンの上部に何やら黒いシールで目張りされております。

黒いシール

このようなシールは、ユーザが絶対触っていけないような事態の際に貼ったりしますよね。

しかも、シールの上から触ってみると、どうもメモリカードを挿入できるような溝らしきものがあります。

おおおお、SDカードがどうもペン内部に仕込まれているかもしれません。

ですが、取り扱い説明書に、『本体は一切開封していけない』ような文句があるので、ゲーム機同様に、ユーザ側で修理などを行った場合は、メーカー側での修理など受け付けしないのだろうと思われます。

ここから先を閲覧される場合は、分解は自己責任にて、分解に際しメーカー側での修理受け付け拒否などもあるので、分解に際しての発生する問題は、全てご自身で責任をお持ちください。

さて実は、既に先行のドクターが開封しておりますので、SDカードの有無を調べてみました。

内部

かなり高度に電子化されておりますね。高密度実装されており、目視レベルでもICチップが、数個、表裏面に実装されております。外部発振用のクリスタルも数個ならんでいますので、CPUなどを搭載したSoCでしょうか。

基板

このレベルの故障解析は、おもちゃ病院でのレベルでは難しく、製品や設計仕様などそれなりの機能と情報を有した解析センターでもないと不可能でしょう。

さて、探していたSDカードはっと、、、

SDカードスロット

やはり、黒いシールの奥にカードスロットがあります。やはりユーザ側で不用意に取り出すとデータが破損するので、シールで目張りをしていたと思われます。

先の情報通り、保存されているデータファイルは、かなり重要と思われますし。

で、そもそもデータファイルが破損して読み込めないのであれば、もうここで修理不可能という診断をくださなければならないのですが、読み込めない原因が、単なる接触不良であれば、改善できる可能性があります。

そこで、抜き差しし電極をアルコールで拭いてみます。

マイクロSDカード

なんと、無事起動するようになりました。

絵柄タッチ

地図上の絵柄にも反応します。

今回の故障原因は、SDカードの接触不良で、起動時に保存されているシステム起動用のデータファイルが、読み込めなかったために起動不良を起こしていたようです。

電子回路の故障であれば、対応が難しい事案でしたが、ネットからの情報で無事修理できました。


返却した際に、お聞きしたのですが、不具合が出る前にペンを落下させてしまったとのことでした。なるほど、落下による衝撃でマイクロSDカードの接触が、ズレてしまったようですね。また、地球儀にタッチする際も振動が加われないようにやさしくタッチするようにお願いをしておきました。

以上で、修理完了です。