イワヤ 犬のリモコンぬいぐるみ 断線修理

リモコンぬいぐるみ

イワヤ 犬のリモコンぬいぐるみ 断線修理

動作が不安定とのことでリモコンのボタンの効かないとのことで修理のご依頼がありました。さて、リモコンの取っ手部分は、イワヤ様のぬいぐるみではよく見る形状で、動かないという症状では取っ手の縁の箇所でケーブルの内線が断線しているケースが多いですね。今回もそうではないかと早速調査してみます。

到着時の状態

到着時は、真後ろを向いたまま電池を入れてもうんともすんともな状態ですが、何やら頭の中でモーター音はします。もちろんですが、リモコンにも一切無反応です。では、開封です。

本体

本体のぬいぐるみと頭部を開封します。主だった不具合は外見なさそうです。

駆動部分と基板

制御基板は、腰のあたりのスペースに格納なれております。牛の部位でいうとランプ肉の辺りです。トランジスタが、多数あるのはHブリッジのモータードライバだと直ぐ分かります。

ギヤ外れ

まずひとつめの不具合がありました。モーターのピニオンギアが外れております。実は、この時点で『なぜズレたのか!?』を気付けばよかったのですが、接続されるギアののシャフトの10Tのギアが割れたいたため、ズレたのでした。結構修理も進んだ後の動作確認で、あれ!?モーターが回っているけど動かないという段階でギア割れが判明するという始末でした。※我ながら経験不足ですね。

ギア割れ

この段階でもまだうんともすんともです。さて、次は基板回りを見ます。

モーターの配線取れ

次の不具合も発見です。モーターの白色配線が取れています。が!基板のどこから取れたのか分かりません。おもちゃ修理でのあるあるで、これ結構厄介なんですよね。今回はモーターなので、さっきのトランジスタで構成されているモータードライバの回路図を起こせばいいので早速起こします。ただ、今回は運よくモーター配線なんですが、ジャンパー線だったりした倍は、もう探す術とかないので、基板を目視して取れた形跡とか追ったりします。

どこかわかならない
X:断線箇所

すこぶるシンプルなオーソドックスなHブリッジ回路ですね。型番不明なNPNのトラジスタは、チップ型で刻印がフラックスで見えなかったです。まぁ洗浄すればいいのですが、今回は、断線箇所が分かればいいので。さて、無事基板に半田付けしたところで、動作確認をします。

電池を入れ電源をONにすると、頭部がいきなり後ろを向いて正面に戻ります。ん!ん!ははーん、このぬいぐるみは、起動時はかならず首を後ろに振るという仕様なんだなと勝手に解釈していましたら、まったくの勘違いでした。後の動作確認で気付くのですが、頭が少しでも正面からずれていると正面を検知するスイッチがズレるため、振り返り動作をしてしまいます。頭部の回転を制御しているモーターのプーリーを手で回して正面にしないと外した頭の殻さえもはめ込むことができなくなります。こちらの届いた当初、頭が後ろを向いていたので、元の位置に戻せばいいや程度に考えていたのですが、全くの間違いで正常に正面にしておかないと頭部の殻のはめ込みと動作もおかしくなります。この頭部の位置については、後々正常な位置に戻すとしてその他の動きの確認です。

さて、修理作業に戻ります。配線系で肝心なリモコンの操作もまだうんともすんともなので、ケーブルの断線をチェックします。

リモコンの根っこ
ケーブル

6芯のキャブタイヤケーブルが使用されており、ケーブル端での導通チェックでは、6本中5本で断線しておりました。かなりの重症です。リモコンの押しボタンはシンプルで、各配線をVccに接続する押しボタンのタイプなので、暫定的に本体基板側のケーブル間をVccに短絡し動作をみましたら、前進など動作を確認できました。ケーブルの断線修復必要です。

早速、お馴染みの待ち針でリモコンの根のあたりをチェックしましたが、導通しています。

おや?

では、本体側の根かなと確認しますが、本体側も導通しております。困りました、ケーブルの端近くのよく折れ曲がる箇所で金属疲労による断線と期待していたのですが、どうもケーブル中央部の断線のようです。こうなってしまうと非常にまずいです。

端の断線なら、いつもの手で少しケーブルを短くしてやれば良いのですが、ケーブル中央ですと6芯のキャブタイヤケーブルを丸ごと交換する必要があります。というか、それしかありません。6芯のキャブタイヤケーブルは、まぁまぁお値段がするので、ご了承を得て交換することにしましたが、課題もあります。適切な太さが見つかりません。0.3mm2サイズが一番細くこのサイズでは、黄色のリボンをかろうじて通すことができましたが、リモコン側が閉まりません。

シース除去

やむなくケーブルのシースと取り払い収縮チューブで補強して挟み込みます。

接着

リモコンは、ネジ止めされておりますが、シースを取り払っても完全に絞めることもできませんので、結束バンドで固定しズレないように隙間も含めてエポキシで固めました。ケーブルが太いとこういった対処も必要になりますね。

スピーカー交換

スピーカーもコーン内部の配線に錆があがっているので、交換をします。縫い合わせもできたところでまた一難

頭が入らない
むちゃずれている

ここまで来て頭がはめ込みできません。どうやってもはめ込みできません。あれあれこちらに届いた時は頭ははまっていたんだけど、、、詳しく調べてみると、首が殻のネジ穴に干渉しています。なぜだー!まったく分かりません。違いぬいぐるみの首?

と、時間がかかりましたが、前述の正面に向けてはめ込みまないとネジ穴が干渉するようになっています。というのも、この犬のぬいぐるみ、リモコンの振り返りボタンを押すと、後ろを振り返り頭を上げる動作をします。実は、この干渉していた箇所に引っかかり振り返った際に頭を上げるカラクリでした。※このカラクリを知らないと迷宮に迷い込んだままです。さて、無事頭をはめ込んだところで、なんとまた別の不具合が発見です。

一難去ってまた一難。。。とうか、二難、三難、、、。

振り返り用駆動プーリー

頭部の殻とぬいぐるみを被せていない場合、重量も摩擦も低いので、軽々振り返りしていました。その時点では、不具合に気付かなかったのですが、頭部の殻をはめて、ぬいぐるみをかぶせ、首を結束バンドで止めて、前掛けを縫い合わせると結構な重量となり、前掛けの摩擦も手伝って振りけることができなくなっていました。このプーリーは、経年で伸びて緩んでしまっており交換が必要ですが、生憎手持ちのゴムリングもありません。

既に着手から3週間、部品代でも結構かかっている事情も相談し、頭部の振り返り機能の修理断念することになりました。

復活

長い道のりでしたが、ここまで修復できました。部材の代金や往復の送料を考えると、どこまで修理に投資できるかが判断のポイントとなります。今回の案件のように修理作業の途中であれよあれよと故障個所が沸いて出てきてしまうケースでは、後戻りもできないため、ある程度コストがかかったところで折り合いをつけるケースもあろうかと思います。今回の事案は、良いケース勉強となりました。