たまごっちピース 断線修理とヒューズ交換

たまごっちピース

たまごっちピース 断線修理とヒューズ交換

何らかの必要があって開封した際にお子様が導線を引きちぎってしまったとのことです。ご依頼時は、3本の内蔵ケーブルの取れてしまい断線の目視もできていたそうで、事前に画像でも確認できていました。

では、早速拝見しましょう。

断線

まぁ、断線というよりは半田付けが取れたという方が正しいですね。電池ボックス負極側と圧電スピーカーの2本の半田付け箇所が取れているようです。

とここで、たまごっちピースは、液晶もカラーの解像度も高くなっており、初期のドットの荒井液晶とは雲泥の差ですね。本体の基板もCOBではなく高密度実装されたチップ部品がひしめきあっています。

さくっと半田付け

取れたところは、さくっと半田付けします。圧電スピーカーは、中央が正極で周辺が負極なのですが、負極側は、接着剤に埋もれているので、ピンセットで綺麗に剥がして半田付けします。

負極側

さて、ここで動作確認をしますが、電池入れてリセットボタンを押してもうんともすんともです。因みに、電池ボックスの蓋を閉めない場合は、リセットボタンを一度押下しないと起動しません。実は、この電池ボックスの裏蓋は、開閉時に裏蓋の突起で強制的にリセットボタンが押下される作りになっておりました。

( ,,`・ω・´)ンンン?参ったな、、、。どうしよう。。。調べるか、、、。

まず電池ボックスから基板へ電源が正常にあがっているか確認すると、あれ!?あがっていませんね。目視確認すると、電池ボックスには、104のパスコンと横に何やら、、あ”!ヒューズが付いている!おもちゃの故障あるあるかもと調べてみると、やはりヒューズが切れていました。

原因の裏取りとして、暫定的にヒューズ箇所を短絡して動作をみると無事起動しました。

起動

ヒューズも切れていたようですね。ヒューズも交換をしますが、保安部品なので、切れた原因を調査しないとまた切れてしまうので、またまた一人ブレストします。まず、ヒアリングした内容からです。

  1. 何らかの必要性でご依頼者様が開封をした。
  2. 目を離した隙にお子様が導線を引っ張り引きちぎってしまった。
  3. 引きちぎってしまう前までは、正常に動作はしていた。

ここで、ヒューズが切れる原因といえば、そもそも何らかの原因でヒューズに規格以上の電流が流れたかヒューズ自体の故障でしょうか。ただ、前述のタイミングで故障したということであれば、お子様が引きちぎった際に何か過電流の要因となる事象が起きたのかもと推測しました。ですが、取れた負極導線は、基板側ではなく、電池ボックス側なので、あやまって正極に触れて正極⇔負極間の短絡が起きることはないです。圧電スピーカーの端子も正極⇔負極間の短絡がおきるような接続も考え難いです。うーん、やはりヒューズの経年劣化による故障なのでしょうかね。

さて、ヒューズの交換ですが、実はこれも困った事態です。というのも、ヒューズの規格が分からないのです。黒線1本のこのヒューズの溶断値はいくらなのか?

500mA

ネットでいろいろ調べても分かりません。同じような故障修理記事を見つけましたが、ヒューズと取っ払い接続している方も居られましたが、保安部品を取り払いのは危険ですね。

決してやってはいけません。

溶断もしくは故障の要因がはっきりしない場合、最悪、制御LSIを破壊してしまいます。

動作電流

たまごっちピースの起動時からの動作電流をモニターしてみました。約15mA流れているので、動作電流値を動作させながら数をサンプリングし、バラツキから4σ位の範囲で電流の上限を決めれば恐らくは大丈夫と思います。本来は、製品の電気特性や信頼性との兼ね合いで取り決めされるはずなのですが、そんな企業秘密を知る由もないわけで、また、そもそも規格上限を決めれても交換できる適切なサイズのヒューズが入手できなかったります。

とここで、ポリスイッチへの交換も検討しました。使ったことのある方は、ご存じですが、ポリスイッチって過電流で切れるエネルギーを熱に変換しているので、切れた際に熱くなります、冷めると再度電流が流れるようになるのですが、この切れた時ですが、指で持てないくらいチンチンではないですが、かなりの熱が出ます。ご依頼者様のたまごっちピースは、とてもお大事ということで、取り付け箇所からも切れた際に筐体が溶けることは避けたいので、入手できる最小容量のリード型ヒューズに交換をします。ここまで書いておいてなんなのですが、無いよりはマシという規格になってしまいました。( ̄▽ ̄;

ご依頼者様には、前述のご説明をし、その旨のご了承をいただき交換をしました。

動作確認を行うと液晶が暗いです。ご依頼者様にもご確認いただくと、色も黄色を帯びているようだとのこと。まずは、明るさは、メニュー設定で調整できました。

ですが、この点の調整でMAXの明るさにしても、劇的に明るくはならず、色も変化ありません。元々の正常な状態を見たことがないので何とも言えませんが、たまごっちでよくある、紫外線により液晶焼けが進行していると思われます。フィルターが紫外線で損傷をうけると、色再現や映りに影響しますね。液晶も改善できないかご相談をうけましたが、この手の液晶は、修理はできないと思った方がいいですよね。

というのも、液晶がモジュール化されており単体での部品は市場で流通しておらず、交換をするにしても同じたまごっちからの移殖しか手がなさそうです。また、基板との接触ズレ等を過去に修理したことがあったのですが、基板から剥がす際に導電ゴムも一緒に剥がしてしまい、液晶を全滅させてしまった暗い過去があります。

一方、中古市場でこのたまごっちピースを調べてみると、なかなかのプレミアがついており、ジャンク品もみつからずで液晶に関しては、今回は現状のままとなりました。

以上で今回の修理完了ですが、今時のたまごっちは、ほんとキラキラしていますよね。自分が学生だった時分のたまごっちは、白黒の大きなドット液晶で通信もできない時から比べると、かなりの進化ですね。


とても大切していたたまごっちだったので諦めかけていたのですが、お願いして本当に良かったです! 本当にありがとうございました!!

~ご依頼様のご感想より~