トーキングウッディ 紐修理

ウッディ

トーキングウッディ 紐修理

当医院の修理記事をご覧になられたとのことで修理のご依頼がありました。今回のウッディは、初期の英語バージョンで20年前に購入されてそうです。

故障の状況は、引っ張る背中の紐が元に戻らず、おしゃべりもせずで、その状態でかなりの期間保管していたそうです。

電池ボックスも外せないそうで、中の乾電池もそのままということでした。

早速拝見しましょう。

電池ボックス

初期のウッディは、電池ボックスを発声モジュールが別々になっております。

で、電池ボックスは、腰のマジックテープの裏に仕込まれいるのですが、これがまぁ、きっついです。チューブから練り粉でも押し出すような感じで電池ボックスを押し出さないと引き出せません。電池ボックスのケーブルも断線させる恐れがあるので、ケーブルには気を付けてください。

電池ボックス

やっと引き出せました。次に発声モジュールの状況を確認するので、開腹します。

回復

発声モジュールは、この縫い目の奥に仕込まれいるので、糸を切って回復します。背中の紐は、プラスチック製の輪に縛られているので、事前に外しておきます。

アセトン

紐はプラスチック製の輪に一旦しばれて固結びされています。さらに、外れないようにシアノアクリレート系の瞬間接着剤で固められています。

固くて外せないからと言って切ってしまってはいけません。紐が短くなりますので、アセトンで柔らかくして外します。

出てきました

発声モジュールと電池ボックスが、ウッディから外せました。

ではでは、紐の状況を確認します。

内部

( ,,`・ω・´)ンンン?

紐どこだ?

あった!

黄色い丸枠に紐の端があります。

本来は、巻き取りようのボビンに固定されているはずですが、ボビンから取れて筐体外側ケースの穴に引っかかっていますね。

こんな感じ

紐は、端を固結びして真鍮の輪で抜けないようかしめてボビンに止めてあったようです。

でボビンの状況は?

ボビン

止めてあったろう穴が割れていますね。それで紐が抜けてしまったのですね。ですが、こんなにもボビンが変形し破損するって、結構強く引っ張っていたのかもしれません。

後に説明しますが、紐は強くとか速くとか引っ張る必要は全くありません。

ボビンに取り付けてある電極同士が回転によって接触することで発声しますので、強さとか速さとかは無関係です。

ですが、どう修理しましょうかね?

破損したボビンを修復するには、強度的にも紐が抜けないような耐性が必要です。

銅板を側面に貼って穴をあけて取り付け強度を増しましょうか、、、、

といろいろ見ていたら、あっさり解決しました。

反対側にも穴

画像のとおり、抜け取れた穴の対面側に同じ穴がもう一つ空いています。

実は、同じ初期側のウッディの過去の修理記事を確認しておりましたら、過去の修理では、もともと対面側の穴に紐が固定されているのを発見しました。

製造時期でどの穴に固定するかは違うのでしょうね。

事なきを得て紐は無事に再度固定することができました。

因みに、破損した側の穴は、幸いにバネを引っかけるツメには影響がなく、割れた部分は単に紐を巻き取るだけの役割しかないので、そのままでも大丈夫でした。

どのウッディでも同じですが、バネを巻きながらボビンを筐体に収めるのは、毎回苦労します。巻いて収めようとして外れバネが開いての繰り返しで数回四苦八苦しました。

次に、電池ボックスを確認します。

電池ボックスをウッディから抜き取りできないということで、長期間そのままだったとのことです。恐らくは、内部で乾電池の液漏れが出ていると予想していたのですが、予想に反し無事でした。挿入されていた乾電池は、内部抵抗が大きくなっており、電流を流せなくなってはおりました。

壁が厚い

ですが、なぜか単四の乾電池を仕切る壁が厚くはめ込めません。

購入当時から挿入されていた、単四の乾電池はすっぽり入るのですが、新品の単四の乾電池はきつすぎて入りません。仕方ないので、壁をルーターで削りました。

また、負極のバネのカシメ部分がゆるゆるになっていましたので、半田付けして固定もしておきました。

半田付け

では、修理作業も大詰めですね。

裁縫

発声モジュールを再度お腹に収め開いた部分をぬっておきます。

紐固定

紐は、再度結んで瞬間接着剤で固定しておき、発声モジュールも紐の穴とウッディの背中の穴位置を合わせて位置調整します。

修理完了

以上で、修理完了となります。

初期オリジナル英語版の発声となります。


受け取ってすぐに乾電池を入れたのですが、スムーズに入れる事が出来ました。 20数年ぶりにウッディがお喋りしている姿を見て感動致しました。

子供達も喜んでいて、一緒に寝たいと言って取り合いをしていました。

元に戻らないだろうと諦めかけていた所に瀧下様のホームページに行き着き、この様になおして頂いて本当に感謝です。ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~