DX超合金魂 超電磁ロボ コン・バトラーV バトルマリン効果音 修理

バトルマリン

DX超合金魂 超電磁ロボ コン・バトラーV 修理

今回の修理内容の前に少し、商品について触れておきましょう。

バンダイスピリットから2017年に発売された商品です。こちらで紹介されております。既に玩具の域を超えている感ハンパない感じです。

シリーズ化もされており、ボルテスVやマジンガーZ、グレートマジンガーなどもあります。

ネットの記事によると、時代時代で合体の精度やプロポーションや効果音などの電飾系も追加され進化を続けているようにみえます。

同じような商品として、コンプリート セレクション モディフィケーションの仮面ライダー1号変身ベルトも当医院に修理のご依頼がありますが、同じくバンダイから発売されております。

まさしく、放送当時少年であった方々には、たまらない商品だと思います。

当医院に修理のご依頼の方からは、皆様それぞれも思い出や思いが込められており、当医院としてもできる限りで、ご協力できるようと心掛けております。

話をコンバトラーVに戻すと、5機が合体しロボットになるわけですが、今回のご依頼は、脚部のバトルマリンと呼ばれる機体の不具合となります。

ご依頼当初の不具合としては、以下の3点となります。

  1. 左足膝関節がグラグラしている
  2. バトルマリンの合体待機音がボタンを押しても鳴らない
  3. バトルマリンとバトルクラフトとの合体時の合体音も鳴らない

さて、ご相談の当初から、当商品は、ご依頼主様が大事にされておられた商品であり、また、修理作業での破損や傷などの懸念もありましたので、事前に修理方針について合意をさせていただきました。

ご希望としては、不具合箇所の修理はして欲しいのだが、筐体を割ったり切ったりすることはしたくないとのことです。そもそもネジ穴自体も画像から分からなかったので、分解も難しいかもしれない懸念をお伝えすると、膝裏と脚部カバーを外すとネジ穴があるという情報を得ました。であれば、分解の可能性が見えてきましたので、以下の方針で受付をさせていただきました。終始作業は、傷破損に十分に気を付けて必要があるので、常に気を張った作業の連続でした。

  • 切ったり、割ったりしないと筐体の分解が難しい場合は、修理不可能と判断する
  • ネジあけなどで支柱の破損が懸念される場合も修理不可能と判断する

当初の添付画像からも、筐体設計の精度の高さが見られ、固定用のネジ穴が見当たりませんでした。全てカバー内やぱっと見分からないような箇所に固定用のネジ穴になるよう徹底的な設計がされております。※このこだわりには、恐れ入りました。

正面
裏面

ね!すごいでしょう。表面にも裏面にも脚部のネジ穴がないんです。

まず左足の膝関節のグラグラを診ます。

膝関節

この黄色い関節部品で腿とひざ下を連結しているのですが、ぐらぐらは、腿の内部で起きておりました。感触から腿内部にこの黄色い部品の回転軸が入っており、ポリキャップか軸受けの損傷でぐらぐらしているようです。

ですが、この腿の開封が難しいです。

腿カバー

腿の部分は、金属の2つ筐体に挟まれるように膝の関節が仕込まれており、それらを覆いかぶさるようにしてプラスチック製のカバーが裏面側に掛けられております。金属製の筐体同士は、バトルマリンの羽の隙間から覗くと支柱あるのは分かるので、カバー内部でネジ止めされており、そのネジ類を隠すためにプラスチック製のカバーが掛けられているのだと分かります。

では、このカバーを破損させずに綺麗に外せるかです。

つなぎ目をマイナスドライバーでこじると、カバーをの端が割れそうです。というか、割れますね。

バトルマリンの羽の隙間からこじれるか覗いてみます。

厳しい

どこかで、筐体金属側にツメで固定されているんだろうけど、無理にこじるとツメが折れますね。綺麗には外せそうにありません。

腹をくくって隙間からマイナスドライバーで押し上げて、ツメが折れるバキバキ音がしそうです。

つなぎ目をこじると端が割れるが、バトルマリンの羽の隙間からこじった場合は、ツメが折れるだけでも済みそうですが、折れたツメは元には戻せませんから、カバー自体を接着固定することになろうかと思います。※実際は、そう簡単にはいかないでしょう。

膝関節について、ご依頼様と相談をした結果、カバーを割ってまでもというご意向ではなかったので、膝関節のグラグラは見送ることになりました。

では、次に脚部の効果音の修理に移ります。

まず、LR41 ボタン電池 3個による電子回路であるので、症状からすると、内部配線の断線、スピーカーの故障、電源スイッチの接触不良などあります。

では、分解前に動いているかどうかを確認するため、外部電源による消費電流を計測してみます。

電流測定

全く流れておりません。

スピーカーの故障などであれば、音がでないだけなので、メロディICなどは生きているだろうから、電流はある程度流れると予想されますが、まったく流れません。uAオーダーの揺らぎ位はありますので、注意してくださいね。IC不良か電源スイッチ不良の線が強くなってきました。

では、開封作業に移ります。ネジ穴の一つ目は、脚部のカバー内に仕込まれております。ここを外すと膝の黄色いカバーとその周辺の赤いリングが取れます。

膝のネジ

次にバトルマリンの合体待機音用のボタン電池を入れる際のカバーを外すと、まずネジ2箇所があります。

ですが、この2つのネジを外しても分解できません。

かなり悩みました。隙間から覗くと足首の辺りにネジの支柱が見えます。

そうです!足首のあたり、つまり踝の内側に隠しネジが仕込まれております。

ネジ

この3つのネジは外してようやく分解できます。ですが、無理にこじってはいけません。傷が付いたりや割れます。

電子回路

やっと見えましたね。では、早速スピーカーを確認します。

で、ここで気付きます。基板が外れません。というか、バトルマリンの黄色い羽を収納するパーツが基板の上に接着されており基板を外せないです。

接着面

ここが接着されており基板を外すには接着面を外さないといけません。うーん、バトルマリンの羽の収納庫なので、位置合わせが大事なのでしょう。

接着面を剥がさずに作業をします。

スピーカーチェック

8Ωのスピーカーですね。断線はなさそうです。次に電源スイッチを確認したところ、まったく導通できておりませんでした。電源スイッチの接触不良がありました。

基板が外せないので、外部からスイッチの接触に接点復活剤をスプレーして、ON/OFFをコキコキしたところ、ビックリするくらい回復しましまた。これで基板端へ電源が供給できましたが、依然うんともすんともです。

次に、バトルマリンの合体待機音用のプッシュボタンを診ます。

外せない羽収納とボタン接点

ボタンは、基板裏側にあり、よくある導電性のパターンに押しボタンの接点で導通させるタイプです。本来であれば、分解し接点を掃除したいのですが、基板が外せませんので、横からクリーナーと接点復活剤を吹いてこちらもON/OFFを繰り返してみます。

かなり接点が汚れているらしく、1,2回の洗浄では復活しません。

ゴムのボタンカバーをピンセットでめくり、洗浄と復活時を数回交互に入れてみると、徐々に接触が復活しはじめました。ですが、まぁまぁ強く押さないと反応しません。

既に数回いろいろなスプレーを吹いてしまったので、脚部内部が汚れてしまいました。しかも拭きとれません。

うーん、基板も外せないし実用的に復活できるレベルが限界のようです。

次に、バトルクラフトとの合体時の効果音についてです。

検知スイッチ

バトルクラフトとの合体を検知するためのスイッチが、底面にあります。このレバーが合体時押し込まれ検知反応しますが、このスイッチもON時に導通しておりません。

おやおや、スイッチというスイッチ全てが接触不良とは不思議です。

依然、アンパンマン おしゃべりものしり図鑑のタッチペンの電源スイッチ接触に関する考察記事をスタッフブログにアップしました。

こちらのスイッチメーカーの使用上の注意として、電気的な接触面は常に稼働させ、物理的に接点をこすりつけることで常にあたらしい金属面で接することで導通を保つとあります。

今回のご依頼様にお聞きしたところ、約4年半の間、合体したままの状態で保管していたそうです。合点がいきました。長期間、接点のそのままであったため、表面に酸化膜が広がり接触不良がおきたのでしょうね。ですが、それ以外にも問題がありました。

検知スイッチ位置

検知スイッチに接点復活剤をスプレーしてこれもON/OFFを繰り返してコキコキすると、接触が復活しました。また、このコキコキの間に脆くなっていた半田も取れてしまい再半田もしました。これが良くなかったです。

画像奥側の電極ですが、半田を盛ってしまうと、筐体に仕込んだ際に隙間に触れてしまい、要らぬ応力がかかり接触しなくなります。手前のネジを絞めると途端にスイッチが反応しなくなります。おやおや、、、。

半田付け

持った半田を少なめにしたところ回復したのですが、今度はケーブルの引き回しの応力で接触の感度が悪くなります。おやおや、、、。

うーん、困った、、、。

この影響も恐らくは、長期間合体のまま保管していたので、検知スイッチ的には常にONの状態だったと思われます。そうです、接点のバネに力が掛かったまま、約4年半です。

バネは折れてはいないようなのですが、変に内部で曲がってしまっているのかもしれません。

画像からも直ぐわかりますが、この検知スイッチは、このコンバトラーV用に専用設計されており、筐体にすっぽり入り、電極の位置、導線の引き出し位置なども調整されております。

現状のスイッチを何とか復活させる以外になさそうですな。

そこで、先の半田の盛り方と導線の引き回しに注意してネジ止めのネジの締めも組み立てながら反応を探り組み立てました。

当初は、それと知らず組み立てて、あれ!?反応しなくなったぞ!と焦りまくりました。

それでも、十分に効果音を楽しめるレベルまでには持っていけました。

合体待機音が清流が流れるような音で、合体音はシャキーンとカッコイイ音がします。

因みに、合体待機音を鳴らしながら合体させると、合体待機音は停止します。このあたりのシーケンス設計も大丈夫ですね。

さてさて、どのおもちゃでも同じですが、電気系スイッチの接触不良は、一時的に改善しても直ぐ再発するのも多くあります。

そこで、二両日様子見をし、問題の再発がなければスイッチ接触系の修理は完了としました。

で、ここで終わりません。

組み立てて直している最中に、気づかなかった新たな不具合2点を発見してしまいました。

  1. 右脚の股関節がグラグラしている
  2. 左脚の股関節の前後位置がズレている
股関節

右脚を左右に開く際ですが、こちらも内部の軸回りが破損しているらしくグラグラしています。また、その反対側の左脚もよく見ると垂直から少しずれています。

ズレ

こちらのズレは、軸受けが破損したか何かでその破片が噛んでいるようです。このズレからビクとも動きません。さてさて、どちらの修理も先の腿裏とお尻のカバーを外す必要があります。

カバー

綺麗なプロポーションやネジ穴を隠すためにいろいろな策を講じ完成度を高めておりますが、一方でこのような開封の限界にもなっております。

これらのカバーを破損を前提に開封もできるのですが、それでは折角ここまで良い状態をキープした努力がもったいなく、ご依頼様としては、とても修理を切望をされておりましたが、破損を前提にしてまでの作業は、流石にお勧めしませんでした。

このプログをご覧の方々へ、カバーを綺麗に外せる策をご存知の方は、是非画像付きで教えて頂けるとうれしいです。

※因みに、本製品は、オークションやフリマ市場では、価格が市販価格以上に高騰しておりますので、お試しにジャンク品を安く入手してカバーを外すテストもできませんでした。(*´Д`)

合体待機音および合体音の確認も二両日経過も問題ありませんでしたので、今回の修理はこの時点で完了をさせていただきました。

修理の道半ば感は否めませんが、大事なお品物を取り扱うという案件ですので、これが当医院でご提供できる技量の限界かと思います。


この度は迅速、且つご丁寧にご対応頂きまして、誠に有り難うございました。

困難だったにも拘わらず、しっかりと修理して頂いて、本当に嬉しく思います。

手元に返ってきた玩具が、元通りの状態に直っていることを確認し、童心に返って喜んで弄りました。

また、診断や修理の状況も、細かくお知らせして頂いたので、とても安心してお任せすることができました。

また機会がございましたら、お世話になりたく思います。 瀧下様は最高に腕が良い、信頼できるドクター様でございます!

~依頼様のご感想より~