念願であった、デビルっちのたまごっちの黒を新品で入手できたそうです。
恐らく、かなりの投資をされたと容易に推測できます。
当医院のブログ記事も事前に予習をされておられ、ネジ潰れやネジ折れのリスクがかなり高いこともご認識されての依頼でした。
また、今回は、たまごっちみくす2台もついでで依頼がありました。
では、早速診断しましょう!
デビルっちのたまごっち 黒

とあるインターネットの記事でこのデビルっちのたまごっちがレアになっている原因は、発売当時やはり『デビル』という悪魔のイメージから売れ行きがあまり良くなかったようで、そのため生産数も少なくなり現在に至るという解釈を拝見しました。
そのため、状態の良い商品の流通も少ないため、中古市場でも価格が爆上がりなのでしょう。

新品のピカピカです。

ネジの状態も新品です。
新品未使用の罠でもあるのですが、発売後にすぐネジ外しをしてネジが折れるなどあった場合は、すぐ初期不良品として交換できたのだと思います。


ネジの頭の溝も新品のままです。
デビルっちのたまごっちに限らずネジの頭が折れる場合は、眺めのネジが強くねじ込まれていたと推測されます。

他のたまごっちでも確認できたのですが、ネジが折れたたまごっちの本体内部を確認すると、ほとんどでネジの軸の箇所が白化しているので、かなり強くねじ込んでいたようでした。
そのため、ネジの頭をドライバーで回しても筐体の界面で折れてしまうということになります。
無事にネジを外すということは、ネジの強度から不可能なのでしょう。
超音波レベルの振動をドライバーに与えてネジをグラグラにでもとも考えたのですが、そうするとネジは抜けるかもしれませんが、ネジ穴が拡張されてネジで止めることはもうできなくなりますね。

マスキングして開封の挑戦をします。

出てきました。

右側のネジは無事成功しました。
別の案件で、デビルっちのたまごっちのピンクでも右側が成功したので、製造時の誤差で右側が幾分緩んでしょうね。
さて、左側です。

こちらもマスキングして作業をします。
かなり固くびくともしません。
溝が潰れるかどうかという力加減調整で微調整しますが、あえなく折れました。


きれいにぽきっと折れました。
まぁ、想定内というかデビルっちのたまごっちでは、当たり前ではあるのですが、成功を願いつつの作業では、やはり少し落ち込みます。

絶縁シートのない右側のボタン電池で液漏れがありますね。

ですが、付着箇所も限定的で腐食も軽微です。
もし、導通不良があったりで母材まで腐食が浸透しているを本体を分解しなくてはなりません。
というのも、以後の選択肢に大きく影響するからです。
まずは、電極表面の腐食を軽く削り取り導通できるようにします。

現状では、右側のネジ止めしかできませんが、ボタン電池をおさめ起動はできます。
問題なく起動しボタン操作もできます。
心配なら、ネジのない側をマスキングテープで貼り付けるなどしてもいいです。

初期のコウモリです。

デビル初級のズキデビっちに無事変化します。
そう、このままでも遊べるのです。
ネジが折れた場合の以後の選択肢としては、
- そのまま遊ぶ
- リスクを許容して埋没したネジの除去に挑戦する
の2択です。
このリスクというのは、本体内側から折れて埋没したネジを除去するには、本体も分解しないといけないのです。

そうなのです。
容易に想像つくとは思いますが、蓋のネジ同様に黄色丸枠の本体のネジも固く折れるのです。
過去のピンクのデビルっちのたまごっちで折りました。
このネジが折れた場合、折れた本数にもよりますが、最悪4本とも折れてしまい、それも筐体のネジ穴の界面ギリギリで折れた場合ももうそうすることもできなくなります。
本体を留めることができなくなります。最悪接着!?になるかもしれません。。。
でも、ボタン電池の接触の問題も発生しそうです。
ネジ外しの1本が成功しており、本体の動作もできているので、現状で十分遊んでいただき、今後踏ん切りが付いた時に折れたネジの除去にリスク許容で挑んでも遅くはないのです。
依頼者様と本件相談をし、今回は現状のままでとなりました。
たまごっち用のケースに入れて遊ぶため片側のネジ止めがなくても大丈夫そうです。

なんと!
折れたネジの頭も同封して返送したところ、両面テープを小さく貼ってネジの頭を貼り付けたそうです。
見た目、分からないです。
※ネールもおしゃれできれいです。
デビルっちのたまごっちの作業は以上までとなります。
たまごっちみくす 水玉

液晶の描画に黒い線があるとのことです。
以前、他のシリーズのたまごっちで液晶縁の黒い線を診断したことがあります。
その際は、レンズの湾曲の下限で液晶外の黒い部分が蜃気楼のように見えているだけでした。

その際の画像です。
機種は、たまごっちp’sで右側の赤枠の黒い線です。
よくよく見ると、黒い線の端が、蜃気楼のように細くなっていますよね。

液晶の描画は、ドット単位で点灯と消灯をするので、このような描画はしません。
したがって、レンズを外して液晶を拡大鏡で確認してもドット抜けはないことが分かります。
ですが、今回の黒い線というのは、こちらです。
分解しレンズを外して確認すると、

あら(´・_・`)
これは、液晶のドット抜けです。

そうですね。
液晶交換でもしないかぎり修理は不可能です。
また、たまごっちみくすは、簡単に液晶効果ができない機種です。
液晶のFPCケーブルが基板に直半田付けされており、恐らく接着剤でも固定されております。
しかも、交換用の液晶もありません。
残念ですが、液晶について修理は不可能となりました。
次に真ん中のBボタンの押し心地悪いということです。

分かりづらいですが、ネバネバした何かが付着しています。

本体側の穴内側にもネバネバが付着しているのでアルコールで拭き上げておきます。

何故か、基板のネジの1本がユルユルになっています。明らかに筐体のネジ穴が削れています。

眺めの同じ径のネジで代替えでねじ込んでとめておきます。

ボタンも快調になりました。
では、次行きましょう。
たまごっちみくす ストライプ

電池を入れても起動しないとのことです。

電池ボックスの正極に腐食があります。
ここが問題だったと推測されます。

負極のネジの奥に液漏れの形跡があります。
中古で入手されたそうですが、このような液漏れの件は明記されていなかったとのことでした。
試しに電池を入れて起動してみると、、、

あら、動いちゃった。。。ー_-;
あ”-正極の腐食が原因で、電池の入れ加減で電極が接触したりしなかったりなのでしょうね。
負極の液漏れはありますが、導通には大きな影響はなさそうということで正極の研磨のみもしくは電極交換でというオプションを提案しました。
が!
ドクターとして失格な判断でした。
液漏れが少しでもある場合は、電極交換です!
幸い、依頼者様から電極の総交換ということだった本体内部を確認することができました。
今回は、中古で入手されたということなので、売った方は、できる限りそのような形跡は隠すはずです。
そうなのです。

あ”~
これは酷い。

猛省します。
こでは、100%電極交換です。
でなくても、分解し液漏れの処置が必要です。
新品の電極に交換します。

正極側

負極側
毎回感じますが、新品の電極は何か気持ちがいいですね。

では、きれいにくみ上げて動作確認です。

問題ありませんね。
今回は、3台のたまごっちの修理でしたが、当医院でできる限りの処置をさせていただきました。
何が何でも作業を進めるのではなく、持ち主様のご事情や経緯も鑑み最適な方針を相談しながら、よい到着地点でおさめることができました。
デビルっちは、折れたネジの頭にまったく傷がないことに本当に驚きました。
こんなきれいな状態だったら、蓋の表面のネジ穴のところに、折れたネジの頭を接着剤でつけて飾りにしてしまおうと思います。
片方がちゃんと機能してくれているので、蓋をしめる目的としては十分ですし、何より、見栄えが元通りになります。
折れたパーツも同梱してくださって、ありがとうございました。
みくすの水玉は、今はもう手に入らないデータがたくさん入っているので、ボタンを治していただけて、本当に嬉しいです。
画面のドット抜けの黒い線は、当初より左右に横にのびて画面半分の長さになっていたので、そのうち、右半分にものびていって最後には一本線になってくれたら、枠の一部のようになって目立たなくなるかも。。。と期待しつつ、これからを見守っていきたいと思います。
みくすのストライプは、ほぼ死んでしまっていた状態から完全回復するまでに救っていただきました。
電池を入れたらまるで何事もなかったように新しいたまごっちが誕生していました。
腐食していた電極を新しいものに交換していただいたおかげで、きらっきらの輝きを放っています。
新しいものって、いいですね;)
~依頼者のご感想より~