デビルっちのたまごっち 修理 フォロー

デビルっちのたまごっち 修理 フォロー

今回は、とても残念な記事を掲載しないといけません。

たまごっちの潰れたネジを取り除いて欲しいということで、依頼者様の近隣のおもちゃ病院に潰れたネジあけをお願いしたところ、いい加減な修理作業で筐体の破損が起きた記事となります。

依頼者様お持ちのデビルっちのたまごっちの裏蓋のネジが潰れたそうです。よくあるネジの溝潰れです。

依頼者によると、蓋は開封できたが、ネジの頭だけ取れてしまい、なぜか液晶も付かなくなったということで、埋まったネジの残骸の除去と点灯しなくなった液晶の修理を依頼されました。

1次診察では、画像を拝見できなかったので、まぁよくある事案だろうと高を括っており、届いたまたごっちをみて、『なんじゃこれは!』と思わず声が出てしまいました。

(∵)

予想ですが、まず、ネジ自体を回転させ綺麗に取り除くことに失敗し、何としても蓋を開けようとネジ頭をドリルで削ったようです。蓋の穴の状況からルーターなどの扱いが下手のようで、手元が狂いまくり穴周辺も汚く削った跡があります。

次に何とかネジの頭を取り除いたのだが、蓋が取れない事態に遭遇したのでしょう。

作業をしたドクターは、ネジの頭を取ったのになぜ蓋が取れないの?と焦ったでしょね。

当たり前です。ネジの溝がまだ蓋に噛んでいるからです。

それを知らずに、今度は、蓋の隙間にマイナスのドライバーを差し込んでこじったようです。

現状は、こんな状況です。

蓋を開けるこが、一番の目的でたまごっちはどうなってもいいはずがありません。

酷い1
酷い2
酷い3
酷い4
酷い5
酷い6
あああ”

この蓋はもう使えません。傷だらけのローラ状態です。

お聞きしたところ、ご近所で開催されているおもちゃ病院に持ち込んだところ、ドリルでゴリゴリやっているようで、依頼者様も作業を横で見ていたらしく、不安になっていたようです。

対面のおもちゃ病院で作業のお願いをすると、口をはさむだけで逆に叱られるようなドクターも居るので、口を挟めなかったのでしょうかね。とても残念でしかたありません。

ネジ穴が破損しもうネジは留まりません。蓋下部のツメも折れて無くなっており、酷く下からこじった傷が痕が多く見えます。

依頼者様もボロボロになるとは思っていなかったと思います。

ここで悔やんでいても、もう仕方ありません。

できるだけ、元に戻せるよう頑張りましょう。

まず、点灯しない液晶を先に確認します。液晶が修理不可能であれば、その他の作業も不要かもしれませんしね。

まず、全く点灯しない原因は、使っていたボタン電池が膨れて空になっていたためです。

膨れたボタン電池

早速、外部電源をつなげてみると点灯しました。

列抜け

ですが、液晶の1列抜けていますね。

液晶と基板間の導電ゴムの接触不良か異物を挟んだとかでしょうか。早速調べます。

液晶と基板

まず、液晶モジュールをはずし導電ゴムの表面を拡大鏡で目視確認しアルコールで洗浄。

次に基板側の金パットの接点も目視確認し異物など挟まれたいないか確認。

基板の配線を眺め断線やビアホールの不具合もないことを確認しました。

であれば、過去の修理事例で覆い導電ゴムの押し圧の低下も懸念し0.1mmのプラバンを挟み点灯確認をしました。

0.1mm プラバン

いづれも原因ではありませんでした。うーん、これはIC側の問題かもしれません。

そこで、手持ちの部品取り用のたまごっちの液晶モジュールで点灯確認してみます。

やっぱり

液晶の列抜け出ますね。ここで、液晶モジュールは白と判明しました。

では、プリント基板はIC側に問題あります。目視確認で基板上に不具合は無さそうです。

たまごっちは、ICをCOBでモールドパッケージしているので、ここで冷却スプレーでモールドを冷やして手早く装着し点灯確認します。

COBパッケージ

おおお!すると、部分的に抜けていたドットが付きました。

しばらく置くと元に戻りました。

ボンディングワイヤーが断線していますね。これはおもちゃ病院のレベルでは修理できません。

コスト度返しでどうしても修理した場合は、X線解析で断線箇所を探します。次に資格を持ったエンジニアか請け負い業者にモールドをドラフト内で薬剤で溶かしワイヤーボンディングを露出させます。断線したワイヤーを何とか綺麗に取り除くかできなければ、根本をカット(できるのかしらんけど)してマニュアルのボンダーで再度ワイボンし蓋をします。

こちらのような企業様ホームページが参考になります。

液晶の列抜けですが、ワイボンの断線の原因は、なんだったのでしょうか???

潰れたネジ開封時の振動とかでしょうか。。。

話をたまごちに戻します。

液晶は、悔しいですがもうどうしようもないので、このまま列抜けでお使いになるかヒアリングしました。残念ではあるが、列抜けのままでよいとのことなので、ネジの方の調査をします。

傷が酷いので、裏面のケースと蓋を丸ごと別のたまごっちから移殖するかお聞きしたところ、蓋は手持ちがあるので、埋もれたネジを除去し溝を再建して欲しいとのことでした。

埋まったネジ

蓋を取った後、恐らく少しはネジの残骸の先が出ていたのでしょう。

ニッパーか何かで摘まんだのかこじった痕もあり綺麗に無くなっています。

もうこうなると、ネジの残骸を綺麗に取り除くことはできませんので、現状以上見た目が酷くならないようにネジの受け溝の再建を目指します。

過去の修理経験で、裏側からルーターの削り用刃先でくり抜くと、その回転方向から残骸の先が出てきた経験があります。

今回も裏面からルーターで削り始めます。

ですが、残念ですが今回はビクともしませんので、そのままくりぬいしまいます。ただ、表面をカツカツで残しますので、影響は最小限にします。

削る

後でプラリペアを充填するので円筒状にくり抜きます。

残骸

うまく除去できました。影響も最小限です。少し穴の形状を整えます。

穴形状整え

では、ネジ用の受け溝を再建します。

蓋をしてネジを装着し固定します。蓋はもう使えないので、手持ちの蓋で代用します。

ネジ止め

穴はこんな感じです。

ネジ

ここにプレリペアを流し込み固めます。

プラリペア充填

しばらく放置し表面も確認します。

プラリペアの溶剤で少し周辺が溶けたようですが、溝はできておりました。

このプラリペアでの再建は、元のような強固なネジ溝には、もちろんですがなりません。裏蓋の留めるだけの強度しかありませんので、締めすぎると溝は削れ折角の作業が無駄になります。

一応最終の動作確認を行います。

蓋留め

今回は、他ドクターの尻ぬぐい的な記事となってしまいました。

スタッフブログにも掲載しておりますが、人様を診る病院と一緒でおもちゃを修理するおもちゃドクターもいろいろな方が居られます。

信頼できるおもちゃ病院のおもちゃドクターであるかどうか判断するのは難しいですが、心配になった時は修理をやめてもらうよう伝える勇気といい加減な修理の場合は、クレームが言える良き環境になるよう願っております。


あれだけ、思い切り入り込んでいたネジも取って頂き、また中蓋、外蓋のネジ、ネジ穴の修復も綺麗にして頂き誠にありがとうございました。

配列抜けは残念ですが、他の動作はしっかりできて感動しました。

こんなことなら最初から瀧下様にご依頼をお願いしていればよかったと後悔が残りますが…

最初のおもちゃ病院の修理不可からここまで修繕して頂き誠にありがとうございました。

これからは大切に使いたいと思います。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~