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今回は、たまごっちiDLという初代たまごっちよりおおきめのたまごっちです。
詳しいシリーズは知らないので、どのたまごっちがどのシリーズなのかはよく分かりません。
さて、本品は、2011年発売で、最近中古で購入されたそうです。購入から1週間は使えたそうで、突然画面が真っ白になり、うんともすんともな状態で電池を変えても変わらずでリセットしたら画面が真っ黒のままとのことです。
この手のたまごっちは、COBの制御ICとプログラム用のフラッシュメモリと周辺部品という構成でその他カラー液晶と圧電スピーカーで回路構成されております。
さて、依頼者様はご自身で先に分解され、その際に導線が取れているのを発見したそうです。
液漏れ痕もあるとのことで画像も頂きました。この時点でもうご自身では手に負えないということで依頼がありました。
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外れた導線は圧電素子の正極側なので、起動しない原因はこれではないですね。
過去の修理でヒューズ切れで起動いないという経験があるのでヒューズも怪しいです。
では、診断します。
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使えていたということですが、電池ボックスの負極バネに明らかな液漏れ痕があります。導通はしていたとのことですが綺麗にしておきます。
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次に外れた導線を再半田します。
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念のため負極側も再半田しておきます。
さて、懸念されたヒューズを調べます。
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なんか、リードが錆錆していますが、外して導通チェックします。
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溶断していますね。切れるような電流が流れたか個体の劣化故障なのか分かりませんが、手持ち500mAのヒューズに交換します。
![](http://www.takishita.jp/toy_hospital/wp-content/uploads/2023/12/IMG_20231201_214207.jpg)
ここまでの作業で一旦起動確認をしましたが、変わらずうんともすんともです。
では、他の故障解析をします。
他のたまごっちでもあった発振子故障を疑いチェックします。
基板上に2つの発振子があります。
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32.768kHzのクリスタルと18.4MHzのセラロックです。
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![](http://www.takishita.jp/toy_hospital/wp-content/uploads/2023/12/495ce2d4bd64c69e30872f91410fda2e.jpg)
いづれも発振も問題ありませんでした。
もちろんですが基板端まで正常に電圧も上がっております。
この時点で、ほぼほぼチェックできる箇所はもうなくなりつつあります。
基板上の各素子の半田クラックを懸念して溶かしなおしできるところをやってみます。
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チップ系の部品は、以前溶かしなおしで部品ごと取れた経験でパターンも話してしまった苦い過去があるので起動に寄与しそうな部品を選定します。
上部に昇圧回路があります。
コイル、ダイオード、昇圧ICなど半田を溶かしなおしします。
乾電池の3.0Vを3.5V程に昇圧して供給しております。電圧も正常でした。
でも起動しないのは変わりません。
もう最後はホットガンでCOBのICを温めてみます。
ちょうどその上に液晶端子の半田があるので、ついでに溶かしなおししてみました。
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ですが、起動したからと言っても冷めると元に戻るだろうからしようがないのですが、、、。
とここで、変化がありました。
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液晶のバックライトが付きました。
バックライト付くだけで、その他はうんともすんともです。
試しにリセットを押すとプツンと消えもうそれきりになりました。
依頼者様の動作と同じです
と、ここで交換したヒューズが切れてることに気づきます。
なるほど、、、。
COBパッケージ内の短絡故障などで大電流が流れたのでしょうね。
ワイヤボンディングや素子故障でIDD系の不良が起きヒューズが内的要因で溶断したようです。先のバックライトが付いたのも素子の状態が加温で変化しただけでしょう。
ここまでの解析でIC故障と判断できるまでの材料は揃ったようです。
まぁ、LSIの不良解析のようになってしまいましたが、IC故障と結論づけるにはここまでやらないといけないでしょう。
以上で、今回は修理不可能であったIC故障についての解析のご紹介でした。
直らなかったことは残念なのですが、とても丁寧で迅速な対応をしてくださり、ありがとうございました。
もしまた機会があれば、お願いしたいです。
この度は本当にありがとうございました!
~依頼者様のご感想より~