2021年 コロナと同じように騒がれている、半導体不足に関する所感と主観をブログで一部お伝えしようかと思います。
全容は、ブログ何ぞでは完全にお伝えすることはできませんし、そもそも、その全容とは何なのか?となると、ドキュメンタリー番組を製作できる規模になると思われます。NH〇スペシャルなんかのドキュメンタリー番組なってくれるといいなぁーと思います。因みに、電子立国日本の自叙伝は、好きなドキュメンタリー番組でした。
あらかじめ、お断りしますが、所感と主観をが入り交じり、根拠・証拠などの情報もできる限りは、載せるようにはしますが、本件内容について当方は、一切の責任を持ちませんので、お読みなった各自がそれぞれに内容について確認し情報のお取り扱いをしてください。
それと、一応ですが、自分の半導体に関する経歴です。
工学系の大学で半導体に関する研究を3年しており、その後、外資系の半導体会社に入社し6年程、車載マイコンの開発、設計、製造に携わり、後にゲーム機や携帯音楽機、テレビなどでお馴染みの日系の半導体部門の設計会社に転職し15年ほど、担当から管理職業務まで従事しました。
製造ラインの立ち上げ、先端製造ルールの国際競争力強化、マイコンやCPUの設計開発、テスト工程などなどほぼ全ての業界分野に従事しております。※設計者としては、当時の6インチラインでしたが、クリーンルームの全工程も経験しております。
もう、ネットでの記事や動画を拝見すると、おかしい箇所が多く、どこで仕入れてきたのか、その意味を理解していない言葉を切り貼り連呼し、それらしく解説して居られますが、皆さんご注意ください。なんかおかしいです。
そんな、単純じゃないですよ。
2021年も暮れに差し迫った11月、半導体不足という言葉が、ニュースやネットで騒がれております。半導体不足によりゲーム機、自動車、給湯器、エアコン、暖房機器などの製造ができず、製造数量を減産するに至っているそうです。
さて、皆さん、半導体不足って理解しています?
うん、うん、半導体っていう部品が無いんでしょ?
少し分かっている方なら、ニュースやネットで見たことのある、あの黒い四角いちっちゃい虫みたいに足がいっぱい生えているやつでしょ?
QFP
BGA
※先日、YouTube上で家電修理を公開されている方がおられ、パソコンのCPUを交換した動画がアップされておりました。中古でCPUを購入し、そのCPUが、アルミホイルに包まれ届いた際に、『何でアルミホイルに包んであるの?』と、その意味が分からないようでした。あ”-、電気/電子系エンジニアさんかなと思っていたのですが、非常に残念ですね。最近は、静電対策された袋やケースで届きますが、学生の時分は、そんな高い袋が買えなかったため、皆アルミで包んで保管しておりました。まぁ、ESD設計もされているから、よほどのことでもないなら壊れないので、実害を受けたことがないのかもしれませんね。
もしくは、キラキラ光っている円盤が無いんでしょ?
ちがうよ!キラキラ光っている四角い板に何か線をちょいちょい機械でくっつけているやつだよね。
どれも正しいのですが、どれも中途半端です。
その原因は、『半導体不足』という言葉があいまいなまま世の中に連呼されているためだと思います。
半導体という言葉自体は、導体と絶縁体の中間に位置するため、半分の半が用いられ、半導体と表記されていますが、PN接合やトランジスタたMOSなどという言葉にも波及しますので、ここではその説明は省きます。
というか、ネット記事でも皆さん困っているのが、半導体不足を説明するのに、半導体って何?から始めないとイケないため、事前予習が必要なのです。
半導体を理解するのも、工学、理学系の教養課程の一部をおさめるほどになるので、『そんな難しいことはいいや』という人は、半導体と正確ではないがそう呼ばれている電子部品があるんだねとしてください。※ただ、マイクロマシンのように半導体のプロセスを使った電子部品でない機構部品もあるので、ここでは簡単のため電子部品とさせてください。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、家電製品を減産させる位に不足している半導体とはなんぞや?に戻ります。
一部のYouTuberの方の動画や、ネットのコンサルタントの方の記事などを読ませていただいておりましたが、確固たる理由は、以前不明です。というか、皆さん、どこで見たのか、裏をちゃんととっているのか、ネットの図やグラフを切り取ってそれらしく語っていますが、それも影響が少なからずあるが、家電製品や自動車を減産に追い込むような主犯格ではないです。
なので、ここでは、私の推測を交えていきたい思います。
まずですが、私の予想する原因は、需要に対する生産量が足りないことです。この生産量が足りない原因は、ありとあらゆる原因が、大小星の数ほどあって、それらが、まとまって影響したのが正解と思われます。
コロナで工場の操業を抑えたとか、停電とか、米中摩擦とか、工場の火事とか、物流とか、材料不足とか、、。
訳の分からん方が、一時的な変動要素を、全世界的な要因として、平気で言っています。数ある工場の製造品種も違えば、最終製品で使っている半導体も違い、一言でそれが原因とは言えないでしょう。
一例をあげると、あるYouTuberの方がサブストレート不足と言っていますが、サブストレートってインターポーザのことですよね。インターポーザ不足って、意味がおかしい。※たぶん、サブストレートの意味を知らずに、連呼して居られます。
パッケージ開発設計した経験あれば、じゃあ、インターポーザの何が無いの?ってなります。いやはやそれだけで全世界的な半導体不足にはならんだろう。って、インターポーザ使っていない場合もあるし、そもそもMCMやBGAなどの一部のパッケージ前提って何なの?
人の記事を切り取って、さもこれが原因と言って広めるのはやめてほしいです。
記憶にもあたらしい、2019年に隣国に輸出規制した際の材料も半導体製造に欠かせない材料でしたね。一国や一工場のある事情で該当する工場にのみ生産に影響したのなら、理解はできます。でも全世界的に影響する事態を予想すると、万一台湾にあるTSMCさんの全ての工場が焼けたとなると、これは大事です。マジでヤバイです。※TSMCさんのシェアと品種をご存知であれば、理解できると思います。
半導体の製造は、すそ野が自動車産業のように、非常に広く、原材料から、製造装置、設計やアセンブリやテストなど多くの業種が細かく絡み合いひしめきあっています。コロナの影響で、この絡み合いが、一部分がほどけた場合、おそらく大勢に影響をするでしょう。
次の原因として、製造の優先順位が変わったです。
SoCの製造を委託する場合、単価計算をして、開発にかかった経費やコストなどと製造コストや歩留まり、最終的に生産する生涯のロット数を鑑み、委託工場を契約を交わします。
ですが、工場のライン数には限りがあります。枯れたラインや、先端の2nmのラインなど。ところで、TSMCさんは、2nmを2022年に建設し、2024年に量産開始とありました。2年で量産までもっていくんですね。
もうかなり前ですが、90nmプロセスの立ち上げで、量産歩留まりまで半年で立ち上げるというミッションがあり、それまでは工場から戻れないという人質になったことがあります。
さて、工場のラインを立ち上げるのは、とても、非常にたいへんです。一度立ち上げたラインは、停止できません。地震や火事などの事故でラインに影響が出ると、元に戻すまでかなりの時間と費用が掛かります。私も、地震の際の自社工場の模様をみましたが、さらなる設備投資や、そもそもそれができるエンジニアにもかなりの負荷をかけます。車載や医療向けなどの製造になるともう気が遠くなりますね。
さて、話を戻します。
既存のラインで製造する場合、ライン数には限りがあるので、工場としては、より利益のある品種を製造しますよね。実際、過去に隣国のファブに製造委託の契約をするため、打ち合わせを重ねますが、やはりその中では、より美味しい契約しか結びません。それは、ライン数に限りがあるためです。コロナ禍の影響で、昨今叫ばれている5Gや巣ごもり系の半導体を優先して製造するように舵を切ったのでしょう。そのあおりを受けて、家電や車載向けなどの半導体の製造量を計画的に減らした矢先の経済回復基調で、原油はもとより、ありとあやゆる原材料の高騰もあり、同じように半導体不足にも陥ったのでしょう。
今、我々が困っている家電製品のほとんどでは、使われている半導体は、安く叩かれた部品と思われます。そのため、製造委託する場合の契約金が高くなれば、それが製品価格に転嫁されてしまいます。
なので、半導体不足は、製品価格に転嫁できれば解消に向かうのかもしれませんが、TSMCの20nmプロセス工場を熊本に新設するというニュースではっきりしました。※日本政府が、8000億も拠出するって、あーあ”って感じです。
恐らく、この20nm世代のラインのキャパがひっ迫していますね。このプロセス世代が、今後安定し継続し受注できると見込んだとみました。
それは、2nm以降の世代は、資料からですが、トンネル効果でMOS構造が成り立たなくなってきます。そのため、微細化からFinFETなどの構造化に舵をきったわけですが、そのような事情であれば、今後家電などで使用されるプロセスは、20nm世代で継続するだろうからと、さらに20nmなどの枯れた世代であれば、自国外にだしても機密的にも緩くできますし、それよりも、日本国から自分の会社の利益のため、8000億円もの支援をもらえるんですから!
コロナ禍もあいまって限りのある製造ラインの取り合いが生じ、身近にある製品向けの半導体が供給が低下しているのだと思います。そのため、サムスンやTSMCも自国外に工場を新設する動きが加速したと思います。
こちらの記事のように総崩れにならないことを祈るばかりです。
私は、90年代と2000年代の半導体不況と2度経験しております。先輩には、80年代の半導体不況もご経験された方もおられ、それはそれは悲惨が状況だったそうです。
このように半導体の工場は、一度作ってしまうと、永遠操業しないといけなく、受注がないからとラインの停止も簡単にはできません。
その裏付けとしてガートナーの2020年の売り上げのシェアで確認できます。
どのベンダーもマーケットグロースは、+(プラス)です。半導体不足は、2018年頃から叫ばれていますが、どのベンダーさんもプラス成長しています。
また、おかしいことに、半導体不足のためファブに増産をお願いしたところで、ライン数には限りがあり、はい、わかりましたってできないですよね。
また、不況のリスクがあるので、簡単にライン数は増やせません。現状でも、ファブの操業は、いっぱいいっぱいでウハウハなので、現状を維持し、半導体不況の改善は、複雑に絡み合った原因のひとつひとつが解けるのを待つしかなさそうです。
次があれば、続けます。