DWE デジタルプレイメイト録音故障修理

DWE 両面デジタルプレイメイトのマイク録音ができないということで修理の依頼がありました。

このデジタル版のプレイメイトは、カード裏面において録音機能が実装されております。

取説のとおり裏面のみになりますが、録音した音声を再生し聞くことができます。

本体内蔵マイクや外付けのマイクで音声を録音し再生できます。録音データは、SDカードに保存されます。

アナログ系の機種であれば、カードの磁気に違うトラックで音声を録音しますが、デジタル系では録音のメカニズムが異なります。

事前に症状として本体内蔵のマイクでも録音できないかのご確認をお願いしておりましたが、本体側の内蔵マイクでの録音もできないとのことです。

そうすると、本体側の内部回路の故障の線が強くなります。

マイクの断線なんかは、付け根の金属疲労で断線し他のおもちゃでもよく修理をするのですが、今回はどうも事情が違うようですね。

では、現物を拝見します。

届いてすぐ、念のため本体内蔵マイクおよび外付けマイク両方の録音テストをしてみましたが、やはり録音できません。というよりは、エラーなどではなく、無音が録音されているかのような動作です。

以前、SDカードの保存ファイルの破損で動作しない修理をしたことがあったのですが、その際は、SDカード内の録音データとカードとの紐づけファイルが破損しており、録音どころか再生もできないという症状でした。もしかしたら、SDカード内の紐づけファイルが破損してしまっていたのかもとよぎりました。

ということは、まず録音できない原因箇所の切り分けをします。

まず、当医院には動作確認用のデジタルプレイメイトのありますので、その機種で今回の依頼者様のSDカードで録音できるか確認します。

無事録再生できました。依頼者様のSDカードは問題なしです。

ということは、原因は本体機種内部にありそうです。※一旦外付けマイクは置いときます。

次に当医院のデジタルプレイメイトで録音したSDカードの音声を依頼者様のデジタルプレイメイトで再生できるか確認すると、これも無事再生できました。

あら!?できちゃったのね。。。

ということは、ほぼ断線の線が強いです。当初動作確認時の動作のように録音はされていたが、無音が録音されそれを再生していたのでしょう。

本体を分解しマイク回りの目視確認をします。

本体内蔵のマイクはLEDと一緒に基板につけられております。基板の下部には外付けマイク用のジャックがあります。

とりあえず、コンデンサーマイク部品の故障の線を疑いサクッと手持ちのコンデンサーマイク部品に交換をしたましたが、やはり録音できません。コンデンサーマイク部品の故障ではありませんでした。そうすると、基板とケーブルなどの断線も懸念されます。

調べてみると、マイクジャックの切り替え端子の接触不良でした。

使用されているジャックは、PJ-306で4番と5番ピンの接触不良があります。

イヤホンジャックとかでよくあるのですが、内蔵スピーカーとイヤホンの接続を切り替えるためにプラグを挿すと回路が切れてプラグ側が有効になるという仕組みです。

今回のプレイメイトのマイクも外付けマイクを差し込むと本体内蔵のマイクは無効化するため回路が切れ外付けマイクが有効になります。

が、接触不良で回路が常時切れており外付けマイクが有効になりっぱなしです。

恐らく、マイク端子を挿しっぱなしで長期間保管したので、接点表面に腐食膜があがったのでしょう。

早速小手先ですが、接点復活スプレーを吹いてプラグの抜き差しを繰り返しましたが、全く効果なしです。ジャックを外して分解清掃でもしようかと思ったのですが、工数もかかりそもそもコネクタ分解に際し壊してしまう危険性もありました。

ちょうど、当医院に部品取り用のデジタルプレイメイトがありますので、その機種から該当のマイク基板を移殖することにしました。

サクッと移殖交換したところ、無事本体内蔵側のマイクで録再生できるようになりました。

さて、肝心の外付けマイクに作業を移します。

前述のとおり、外付けマイクが常時有効で録音できなくなっており、状況からも無音の録音っぽいので、外付けマイクの断線かコンデンサーマイク部品の故障の線を疑います。

ですが、マイクは分解が厄介です。

ネジ止めではなくマイク上部に溝が切られておりねじ込んで接着されております。当初は、境界面でノコギリでカットしようかと思ったのですが、隙間を抉るとカパッと外れます。

画像のとおり、しこたま接着剤が塗られているので上部のカップを割らない程度にこじって外しましょう。

あとで再度ねじ込むので接着剤の残りとこじってボロボロになった溝を整えておきます。

さて、外付けマイクの故障を調べます。

すぐ分かりました、半田付け箇所が取れております。これですね。

これも策と再半田しテストすると無事録音できるようになりました。

緩衝用のウレタンスポンジとこじってはずした箇所をスーパーXで点付けしておきます。

組み立て後に最終録音テストで確認し修理完了です。


ソニー リピートカードプレーヤー CP-33修理

ソニー リピートカードプレーヤー CP33の修理依頼がありました。

CP-33は、製造時に使用されているゴム素材が原因で、経年すると溶けて粘着するということがほとんどです。

溶けたゴムベルトは除去し洗浄すればいいのですが、ゴムローラーは磁気ヘッドのコア部に密着しているので、粘着すると厄介です。

コア部のアモルファス合金の層間にあるこちらも接着剤に癒着し固化すると剥がせません。物理的に剥がすとコアを破損してしまいます。

過去には、研摩などを行って修復をはかったのですが、いづれも失敗しております。

このような理由からCP-33は難治であることをこちらのスタッフブログでも紹介しております。

依頼様より事前に粘着による不具合はない旨をお聞きしておりましたので、一安心し受け付けをしました。

昨年まで使えていたが、今夏突然カードの自動で引き込み再生しなくなったということです。

カードを手で押してあげるとスピーカーから再生音は出ているそうです。

磁気ヘッドおよび回路部には問題はなさそうですね。

では診断を開始します。

内部は綺麗ですね。

カード検知のスイッチを入れるとモーターは回ります。

おっやー!

プーリーのゴムベルトが無くなっていますね。

モーターが空転しています。

不具合の原因のひとつはこれですね。

ここに居た!

こちらも外れかかっています。

ゴムベルトが伸び伸びで柔らかくなっています。溶ける寸前のようです。

ゴムベルトのみを暫定交換して動作を確認すると無事カードを引き込み再生してくれました。

音質も問題なく再生速度も問題ありません。

最重要なゴムローラーも現状は引き込みできていますが、ご相談の結果交換することになりました。

今後の末永くご使用になる場合は、交換がお勧めです。

※フリマやオークションで、メンテナンス品と称し販売している方がおられますが、この最重要なゴムローラーを交換せずに出品されているのを見たことがあります。既に製造から数十年経過して硫黄成分も抜けきっていますので固化するのも時間の問題で、メンテナンス済みというのを勘違いして、不具合がすぐ起きてしまうかもしれません。。。売りっぱなしなのでしょうね。。。しかも、当医院の修理費用よりも、かなり高い。

話しを修理に戻します。

その他の不具合を確認します。

あらー、基板に腐食のような汚れが広がっていますね。

ここにもあった。

93年にメーカー修理をした履歴があったので、その痕かもしれません。

クリーナーで綺麗にしておきます。

コネクタの接点には復活剤を吹いておきます。

磁気ヘッドもきれいですね。

後は粛々と作業をします。

古い劣化したグリスは綺麗に洗浄し各所もアルコールで綺麗にします。

左:劣化ゴムローラー、右:交換ゴムローラー

ゴムローラーも新品に交換します。

本体内部も各所綺麗に清掃します。

動作確認

問題ありませんね。これにて修理完了です。


素晴らしい技術力でいらっしゃいます。 心より感謝申し上げます。

~依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 2台修理

ソニー製トーキングカードプレーヤー CP-1100 2台の修理依頼がありました。

1号機

付箋のとおり、カードを挿入してカードが自動で引き込まれるが音声が再生されないそうです。

過去の経験では、よくあるスピーカーの故障が一番に考えられます。その他にも、今回は違いますが、ご自身で修理挑んだ方であれば磁気ヘッドモジュールのアジマス調整ネジを安易に回してしまい狂ってしまい磁気ヘッドがカードの磁気テープに触れていないときもありました。重症の場合は電子回路の故障ですね。では本体内部を拝見します。

カードの自動引き込みはされているのですが、ゴムローラーの表面の劣化固化が出始めていますね。

ゴムベルトも保管時の曲がり癖がついて伸び始めています。

先日、当医院の補修部品についての質問があったのですが、いづれのゴム部品も当医院オリジナルの開発部品で市販されていない部品となります。

さて、音の出ない原因を探ります。

ボイスコイル断線ですね。チェッカーでもO.L.ですね。

このスピーカーは、CP-1100専用設計か製品の量産当時のスピーカー部品で同じ形状のスピーカーは見つかりません。そこで、ケースに収まるように口径のみ同じサイズのスピーカーを入手して台座をお手製で作成して固定します。

底面のスポンジも劣化で惨いことになっています。

綺麗に除去してあたらしい台座を作成し固定します。

以前はウレタンスポンジを加工して収めていたのですが工数がかなりかかるのとウレタンスポンジの在庫がなくなったのと機に固まる台座で固定することにしました。

その他、各所メンテナンスのため分解しアルコール拭きやグリス交換をします。

電池ボックスの正極の汚れがあるので接点復活剤で綺麗にしておきます。

カード再生速度、磁気ヘッドのアジマス調整確認を行い修理完了です。

動作確認

では、2号機に着手します。


2号機

カードを挿入してもモーターが回らずカードの引き込みもされず、もちろんですが音声の再生もされないそうです。ただ、カードを手で押してあげると再生音がスピーカーからは出ているそうです。

駆動系の故障で電子回路は生きていそうですね。

本体を開封して動作を確認するとモーター大丈夫でした。静音だったので気が付かなったのでしょう。ただ、ゴムローラーが完全にツルツルなのでカードが引き込まれません。

ゴムがカチコチのテカテカですね。

新品のゴムローラーに交換します。

ゴムベルトも保管時曲げ癖が付いて伸び始めています。ゴム系部品は丸ごと新品に交換します。

ゴム系部品の交換でカードの再生はできるようになりますが、これ以外の不具合も診断します。

ボリュームにガリノイズが出ています。致命的ではありませんが、この機交換をします。

CP-1100で使用されているボリュームも先のスピーカー同様に専用設計か量産当時の部品で同じ外形のボリュームが入手できません。これも市販品を当医院で外形加工して取り付けます。

各所の劣化してグリスを交換します。

初期ロットの場合、プーリーに本体のケースのネジ支柱が干渉するので干渉部分を削っておきます。この初期ロット以降は手で削られております。

以上で修理完了です。

動作確認

大きな故障もなく2台とも無事修理完了できました。


キチンと作動し、カード音声を再生する事を確認しました。長い間眠っていたこの機械が見事に復活することができて、感動しました。本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

CP-1000の修理のご依頼がありました。

乾電池を入れたまま長期間保管されておられたらしく液漏れがあったとのことです。

ご自身で液漏れ部に接点復活剤を拭いて稼働するところまで対処されたとのことですが、カードの自動で引き込みされず、もちろんですが再生もされないということでのご依頼です。

早速拝見しましょう。

故障の主因は、ゴムベルトが用のプーリーのグリスが劣化固着していたためプーリーが回転できなくなっておりました。またその影響か伸びたゴムベルトも外れて底面に落ちていました。

ゴムベルトが、もうかなり伸びきっており、溶ける一歩手前でした。

この状態で1年程経過すると、恐らく溶けていたかもしれません。

また、ゴムローラーも表面が劣化固化し始めておりますので、ゴム系部品を一式交換します。

さてさて、電池ボックスの液漏れですが、電極の接点側は綺麗になっておりましたが、裏側の粉がそのまま沁み込んで固まっております。

取り外して綺麗にします。

毎回思うのですが、青い粉なのでアルカリ乾電池からの液漏れと思われます。

綺麗なスカイブルーですが、水溶すると強アルカリ性でとても危険です。

しかも、粉としておりますが、固まるとカッチコチで削らないと取れない程固いです。

綺麗に残存の粉と腐食部分を研磨します。

おおよこれでカード再生できるようになります。

各所メンテナンス実施します。

新品のゴムローラーもカードと磁気ヘッドとの当たり確認します。

さて、もう1点気になったことがありました。

恐らくご自身で開封された後にネジを強く締めた影響と思われますが、複数のネジの支柱にひび割れが出ていました。

ネジを絞めすぎると支柱が割れて折れてしまい、もう補修ができなくなります。

蓋が閉まるだけでいいので、強く締める必要はありませんので、注意しましょう。

動作確認

動作も問題なく良好ですね。

これにて修理完了です。


諦めていたのに見事に蘇り、感動しています。とても嬉しいです。本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100修理

トークアロンカードを自動で引き込み再生しないという症状で修理のご依頼がありました。

カードを手で押してあげると音声がスピーカーからは出るということなので、磁気ヘッドを含む電子回路経路には問題なさそうですね。

ゴムローラーがツルツルのてっかてかで滑るまくっています。

長期保管時に接触しっぱなしであったピンチローラーの押し痕も残っていますね。

ゴムベルトも伸びて一部ひび割れも発生し出していますね。

ゴム系の部品は丸ごと新品に交換してしまいます。

その他には、ゴムベルトの干渉している支柱を削ったり、プーリー軸のグリスを交換したりしあす。

ボリュームのガリノイズもないので、最後にアジマス調整をして修理完了です。

動作確認

動作確認も問題ありませんね。


ソニーカードリピーターCP-55修理

CP-55修理のご依頼がありました。

お子様が公文にて使用されていた機器を20年ぶりに稼働させお孫様にもということでした。

CP-55の場合は、経年劣化は、ゴムローラーとゴムベルト部品一式交換が必要ですね。

ゴムベルトが長期間の保管で伸びて曲がり癖が付いていますね。

ゴムローラーもピンチローラーの押し跡がついていますし表面の固化が進んでいますので、丸ごと新品に交換してしまいます。

プーリー軸のグリスが劣化し固化粘着して回転できなくなっております。こちらも分解しメンテナンスします。

CP-55は、ゴムローラーが溶解することはないので、磁気ヘッドに粘着する恐れはなく実際に粘着はありませんでした。アルコール拭きしてアジマスも確認のみで調整は不要でした。

若干カード再生速度が、若干遅くなっておりましたので調整して修理完了です。

動作確認

丁寧な対応と動画や写真を送って頂き、ありがとうございました。

20数年前に子供達とこのカードリーダーで遊んでいた時を思い出し懐かしくて胸が熱くなってウルウルしてしまいました。

捨てたり、買ったりするのは簡単だけど、こうして蘇らせて頂き物の大切さを改めて教えて頂きました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

当医院ではお馴染みのソニートーキングカードプレーヤーCP-1000の修理となります。

主様にて開封しゴムローラーが既に破損しているところまで、ご確認し依頼がありました。

ゴムローラーが加水分解しボロボロになる機種は、CP-33とCP-1000に多いです。

特にCP-33は、そのほとんどがこの加水分解でゴムの残骸が磁気ヘッドに粘着します。

それだけなら除去すればいいのですが、ヘッドのコアに使われている、恐らくコア材をサンドイッチする時に使われている接着剤にも粘着し綺麗に除去できません。

以前、物理的に剥がしたところ、コア部ががっつり破損して取れてしまうようなことになりました。

がっつり粘着していますね。

出来高となりますが、研摩シートでカードの磁気テープとのあたりを付け慎重に注意して研摩します。

やはり破損してしまったのですが、カードの磁気が拾えるまでには回復できました。

ですが、研摩ポイントをRのかかったカーブの頂点にしているので、歪んだカードでは研摩ポイントがズレてしまい音質が低下します。

Rのかかったもっと広範囲を研摩すべきかもしれませんが、何せ手作業での研摩なので失敗すると、全く磁気を拾えなくなるなど元も子もなくなりますので、程度の見極めと依頼者様と事情を相談し可能な限りの最良なところを落としどころとします。

さて、ゴムローラー以外にもゴムベルトも溶けて切れていますので除去し交換します。

プーリーの溝に溶けたゴムが入り込むので、たいへんですがアルコールで綺麗にします。

ここで、組み上げ試聴します。

モーターの回転ノイズが大きいです。

使用されているモーターは、往年のカセットテープなどでも使用されているオーディオ用のモーターなのですが、回転時にサーというノイズがします。

スピーカーからのノイズではなく、物理的なモーターからのノイズです。

経年劣化でノイズの発するモーターノイズもときどきあるのですが、カードの再生音でほとんどが隠れてしまう位のノイズです。

撮影機器のマイクでは拾えない位なのですが、依頼者様と相談しモーターも新品に交換することになりました。

これでノイズの消え正常にカードを再生できるようになりました。

故障交換部品もやや多くメンテナンス作業もありましたが、何とかカード再生できるまで修復してお返しできるようになりました。

折れや歪みのないカードでは問題ありませんが、当医院のカードは、劣化で折れや湾曲があるので、ところどころで音質が低下しますが、今回のような磁気ヘッドの研摩の限界というところとなります。


この度の修理にあたっては、故障箇所の診断と修理過程の説明など、大変わかりやすく納得できるものでした。大切に保管していた機器なので、元通り動くようになって喜んでおります

~依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-70修理

CP-70

動作しないということで修理のご依頼がありました。

このCP-70は、CP-33とほぼ同じ仕様なのですが、1点カードサイズの大きいタイプにも対応しており、リピート時の録音時間も約8秒と長いです。

CP-33では、小さいサイズのカードのみしか対応していないので、大きいサイズのカードを再生しリピート再生しても、カードの後ろ半分しか再生できません。

では、診断を開始します。

本体の診断前に付属のACアダプターがあるのですが、付け根が切れて取れていますね。ケーブル自体は断線も接触不良もありませんが、将来この部分が疲労断線しないように補強しておきます。

弾性のエポキシ接着剤で固定しその周りをビニールテープで巻き最後に収縮チューブでガッチリ固めます。

付け根取れ
弾性エポキシ接着剤

エポキシ接着剤で固めたままだと、ねばねばしてしまいます。

ビニールテープ

ビニールテープでぐるぐるに巻きます。

最後に熱収縮チューブで丸ごと固めてします。

さて、本体に作業を移します。

ゴムローラーは溶けずに無事ですね。

劣化し表面がカチコチになっていますので、新品に交換します。

ひとまず、溶解したゴムが磁気ヘッドに粘着していないので、致命傷にはなっていないようです。

プーリーがカチコチになっています。

やはりグリスが劣化固化で回転できなくなっていますね。

と、ゴムベルトがー!

溶けて切れてるー!

まぁー、コツコツとゴムを除去し綺麗にします。

ゴムの残骸を物理的にざっくり除去します。

残ったゴムをアルコールで溶かして除去します。

プーリーの溝の奥に入り込んだゴムって取りづらいんですよね。

ここまで綺麗さっぱりします。

あとは、粛々と組み上げ動作確認します。

問題ありませんね。これにて修理完了です。

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100修理

CP-1100

CP-1100が作動しないということで修理のご依頼がありました。

いろいろな原因は考えられるのですが、まずがお送りいただいたのですが、梱包の箱を開封する前で問題が発生しました。

ヤマト運輸の営業所で受け取ったのですが、既に箱の中から”ブーン”とモーターが回っている音がしています。

ヤナ予感がします。

恐らく乾電池を本体に入れたまま梱包発送され何かのトラブルで電源がONのままになっていたようです。

容量低下

今回遠方からのご依頼だったので、約2日から3日程モーターが回りっぱなしでした。

正規の電圧の1.5V→1.4Vまで容量が減っていますね。

CP-1100は、乾電池の容量がそのままカードの再生速度の直結するので、動作確認には別の乾電池を使用しないといけません。

でもですね、不具合は、作動しないということだったのですが、摩訶不思議です。

さて、開封すると、ご依頼者様は、発送前に動作確認を再度されたとのことで、カードは自走でスライドしないが、カードの再生音はスピーカーから出ていたそうです。

で!

その際にモーターが回っているような音がしていたとのことでした。

恐らくですが、依頼者様はそのまま乾電池を本体に入れたまま発送されたようです。

ご覧の皆様へ、発送時の注意事項として乾電池は外して梱包するようお願いしております。作動したままで発送すると、大事故につながる恐れがあります。

他の荷物を破損した場合や、火災出荷の原因になると、賠償請求される恐れがあります。くれぐれもご注意ください。

さて、故障原因の一つが既に判明しました。

カード電池スイッチ

CP-1100でのよくある故障ですが、カードを挿入した際に検知するマイクロスイッチがあるのですが、このスイッチが故障してONにならない故障は経験があるのですが、内部のバネが破損しONしっぱなしになつという故障です。

交換スイッチ

スイッチは新品のスイッチに交換します。

その他の不具合を調査します。

ゴムベルト切れ

ゴムベルト2本の内1本が切れていますね。

モーターが空回りしますね。無事な1本も伸びきっております。

劣化ゴム系部品

ゴムローラーもバリカタ並みにカチコチになって滑ってしますので、ゴム系部品は一式交換します。

その他にボリュームもガリノイズが出ていますので交換します。

交換ボリューム

因みに、今回のCP-1100は初期ロットの製品で使用されているモーターは、速度調整が難しいモーターです。

速度調整は、できなくはないのですがモーターを分解しなくてならず、過去に速度調整しようと分解したのですが失敗して壊してしまった過去があるので、このタイプのモーターは速度調整不可としております。

モーター

電子回路には不具合はないので、あとは粛々と作業します。

分解清掃

隅々まで分解し清掃します。

アルコール洗浄

古いグリスの除去しアルコールで拭きとります。

修理完了
動作確認

速度の速さの差ほど気になる程度ではなさそうですね。

多分、多くの修理をしている自分なので速度差を聞き分けれるのかもしれません。。。

以上で修理完了です。


43年前 私の子供たちが愛用していたトーキングカードプレイヤーで再び孫がトーキングカードで楽しく学べることができるのがとても嬉しく大喜びしています。

修理状況を丁寧に詳しく説明してくださり 瀧下様の誠実さが伝わってきて 大変安心できました。

瀧下様のような良心的な人に巡り会えたのは幸運でした。

修理を早く完了していただき満足しています。

本当にありがとうございました。 心からお礼申し上げます。

~依頼者様のご感想より~

ソニーカードプレイヤー CP-55 CP-55A CP-70修理

3台 修理

CP-70, CP-55, CP-55A 3台の修理依頼がありました。

CP-70は、CP-33と同じ筐体と中身なのですが、カバーの青色だった部分が橙色です。また、リピート時の録音時間も大サイズカード同じ8秒程録音できます。

いづれもカードの引き込み自走再生できないそうです。

では、CP-70から診断します。

CP-70

CP-70

CP-70の機構系の中身はCP-33と同じなのですが、懸念される溶けたゴムローラーが磁気ヘッドの粘着しているかもしれません。また、ゴムベルトもプーリーに粘着しているかもです。

液漏れ腐食

電池ボックスの負極側に液漏れによる腐食が広がってしますね。

取り外して研摩します。

抵抗値チェック

研摩後の抵抗値もチェックします。

研摩

G17ボンドで固定しておきます。

溶解

やはりゴムベルトが溶けて粘着しまくっていますね。

プーリー軸のグリスも固化して粘着しています。

カードの自走不良は、グリスの固着とゴムベルトの溶解切れですね。

この溶けたゴムを綺麗に除去します。これたいへんなんですよね。。。

手が真っ黒

手が真っ黒になります。地道な作業です。

各所

各所を分解取り外しアルコールで拭きとり綺麗に洗浄します。

組み上げ

後は、組み上げ動作確認をして修理完了です。

動作確認

問題ありませんね。では、次にCP-55を診断します。

CP-55

CP-55

CP-55では、ゴム系部品が溶けてしまうような事態は経験がないので、単純なゴム系部品の経年劣化と思われます。

ゴム系部品

ズバリそうでした。ゴムベルトは、長期間の保管で曲がり癖が付いてしまっていますね。

CP-55もプリーズ軸のグリス固化でカチコチになております。

洗浄して綺麗にします。

アルコール洗浄

あとは粛々と組み上げます。

組み上げ

ゴム系部品の劣化以外の不具合はありませんでした。

動作確認

では、最後のCP-55Aを診断します。

CP-55A

CP-55A

CP-55AもCP-55同様にゴム系部品の劣化とプーリー軸のグリス固化が原因でした。

劣化ゴム系部品

劣化部品の交換と各所のメンテナンスを粛々を作業します。

アルコール洗浄
ゴムローラー

因みに、ヤフオクやフリマで、修理業者の修理記事や販売内容を拝見することがあるのですが、このゴムローラーを交換せずにそのままの状態で販売されている方がおられます。

経年で固化するともうカードをスライドできるだけの摩擦が残っていません。

販売してもカードのスライド不良で返品を迫られることになろうかと思うのですが、大丈夫なんですかね?

CP-55Aも修理完了です。

動作確認

今回は、3台のそれぞれ違い機種でしたが、いづれもゴム系部品経年劣化とプーリー軸のグリス固化による動作不良でした。

3台とも無事修理できます。


お陰様で、カードが自走し、音もちゃんと聞こえ、3台とも快調です。

こんなに早く直して頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。 ブログを読ませて頂くと、CP-70は特にお手を煩わせてしまったようですね。

CP-70は、30年以上前に子ども達が使用していた品で思い入れがあり、懐かしく、復活してくれたことが本当に嬉しいです。

根気強く修理をして頂き、ありがとうございました。

近いうちに孫たちに届け、カードリピーターで遊ぶ姿を見たいと思っています。

お預けしてから何度も、瀧下様から迅速で丁寧なメールを頂き、安心して待っていることができました。

~依頼者様のご感想より~