DWE デジタルプレイメイト録音故障修理

DWE 両面デジタルプレイメイトのマイク録音ができないということで修理の依頼がありました。

このデジタル版のプレイメイトは、カード裏面において録音機能が実装されております。

取説のとおり裏面のみになりますが、録音した音声を再生し聞くことができます。

本体内蔵マイクや外付けのマイクで音声を録音し再生できます。録音データは、SDカードに保存されます。

アナログ系の機種であれば、カードの磁気に違うトラックで音声を録音しますが、デジタル系では録音のメカニズムが異なります。

事前に症状として本体内蔵のマイクでも録音できないかのご確認をお願いしておりましたが、本体側の内蔵マイクでの録音もできないとのことです。

そうすると、本体側の内部回路の故障の線が強くなります。

マイクの断線なんかは、付け根の金属疲労で断線し他のおもちゃでもよく修理をするのですが、今回はどうも事情が違うようですね。

では、現物を拝見します。

届いてすぐ、念のため本体内蔵マイクおよび外付けマイク両方の録音テストをしてみましたが、やはり録音できません。というよりは、エラーなどではなく、無音が録音されているかのような動作です。

以前、SDカードの保存ファイルの破損で動作しない修理をしたことがあったのですが、その際は、SDカード内の録音データとカードとの紐づけファイルが破損しており、録音どころか再生もできないという症状でした。もしかしたら、SDカード内の紐づけファイルが破損してしまっていたのかもとよぎりました。

ということは、まず録音できない原因箇所の切り分けをします。

まず、当医院には動作確認用のデジタルプレイメイトのありますので、その機種で今回の依頼者様のSDカードで録音できるか確認します。

無事録再生できました。依頼者様のSDカードは問題なしです。

ということは、原因は本体機種内部にありそうです。※一旦外付けマイクは置いときます。

次に当医院のデジタルプレイメイトで録音したSDカードの音声を依頼者様のデジタルプレイメイトで再生できるか確認すると、これも無事再生できました。

あら!?できちゃったのね。。。

ということは、ほぼ断線の線が強いです。当初動作確認時の動作のように録音はされていたが、無音が録音されそれを再生していたのでしょう。

本体を分解しマイク回りの目視確認をします。

本体内蔵のマイクはLEDと一緒に基板につけられております。基板の下部には外付けマイク用のジャックがあります。

とりあえず、コンデンサーマイク部品の故障の線を疑いサクッと手持ちのコンデンサーマイク部品に交換をしたましたが、やはり録音できません。コンデンサーマイク部品の故障ではありませんでした。そうすると、基板とケーブルなどの断線も懸念されます。

調べてみると、マイクジャックの切り替え端子の接触不良でした。

使用されているジャックは、PJ-306で4番と5番ピンの接触不良があります。

イヤホンジャックとかでよくあるのですが、内蔵スピーカーとイヤホンの接続を切り替えるためにプラグを挿すと回路が切れてプラグ側が有効になるという仕組みです。

今回のプレイメイトのマイクも外付けマイクを差し込むと本体内蔵のマイクは無効化するため回路が切れ外付けマイクが有効になります。

が、接触不良で回路が常時切れており外付けマイクが有効になりっぱなしです。

恐らく、マイク端子を挿しっぱなしで長期間保管したので、接点表面に腐食膜があがったのでしょう。

早速小手先ですが、接点復活スプレーを吹いてプラグの抜き差しを繰り返しましたが、全く効果なしです。ジャックを外して分解清掃でもしようかと思ったのですが、工数もかかりそもそもコネクタ分解に際し壊してしまう危険性もありました。

ちょうど、当医院に部品取り用のデジタルプレイメイトがありますので、その機種から該当のマイク基板を移殖することにしました。

サクッと移殖交換したところ、無事本体内蔵側のマイクで録再生できるようになりました。

さて、肝心の外付けマイクに作業を移します。

前述のとおり、外付けマイクが常時有効で録音できなくなっており、状況からも無音の録音っぽいので、外付けマイクの断線かコンデンサーマイク部品の故障の線を疑います。

ですが、マイクは分解が厄介です。

ネジ止めではなくマイク上部に溝が切られておりねじ込んで接着されております。当初は、境界面でノコギリでカットしようかと思ったのですが、隙間を抉るとカパッと外れます。

画像のとおり、しこたま接着剤が塗られているので上部のカップを割らない程度にこじって外しましょう。

あとで再度ねじ込むので接着剤の残りとこじってボロボロになった溝を整えておきます。

さて、外付けマイクの故障を調べます。

すぐ分かりました、半田付け箇所が取れております。これですね。

これも策と再半田しテストすると無事録音できるようになりました。

緩衝用のウレタンスポンジとこじってはずした箇所をスーパーXで点付けしておきます。

組み立て後に最終録音テストで確認し修理完了です。