半田コテ先の温度とメンテナンス

今回は、おもちゃドクターの皆さんも日常的にお使いになっている半田コテ先についての記事になります。

自分は、goot製とHAKKO製のコテを使い分けている。

小手先は、下地に鉄のメッキがあり、その上層に錫メッキが施されています。

銀色にピカピカに光っている部分がメッキ部分です。

先日、地域のおもちゃ病院で診察で、半田付けが得意でないドクターのヘルプをした。

液漏れした電池ボックスの負極が腐食して電極も導線も全て腐食していた。

まず、付着した粉をブラシなどで取り除いたまではご自身でできたのだが、そのまま半田盛りをお持ちのコテで温め溶かそうとしていた。

見た目から30Wの普通のコテで細かい作業ができるように細目の小手先が装着されていた。

腐食した半田の盛りをヤスリで表面を削ったようだが、削りが足りなくそのまま小手先を当てたままにしておられた。

また、フラックスの役目も使用方法も習得しておられないようで、ヤニ入り半田のヤニ成分のみで半田付けしようとしており、フラックスを充分に使っておられなかった。

すこし様子見していたが、危険と察知し作業を交代した。

このまま電極に小手先を付けで温め続けた場合、電池ボックスの電極周辺の筐体が溶けてしまいます。

これがプリント基板の電極の場合は、ランドが剥がれてしまいます。

以前、横浜のおもちゃ病院での出来事ですが、紙フェノール製の片面基板にリードのTO-92のトランジスタの足が半田付けされておりました。足が曲がっていたのもあって、なかなか外せないのでしばらく小手先を当てていたらパターンが剥がれてしまったという相談を受けたことがあります。

プリント基板の配線パターンは、温度を掛け過ぎると剥がれてしまいます。

参考画像ですが例えば、このような電極に盛られた腐食した半田の盛りに小手先をあてても温度が上がりません。

容易に想像できると思いますが、腐食の錆が断熱材代わりになり半田に熱が伝わらず溶けません。

導線も腐食して使い物にならないので、ささッとカットして錆をヤスリで研摩してピカピカにし半田を露出します。

しかもですが、お使いの半田コテを使わせていただいたのですが、細目の小手先が真っ黒でした。

HAKKO社のメンテナンス紹介ページにあるように真っ黒でした。

ここで小手先云々の話しはできないので、自分のコテを使って作業をしました。

ここでの振り返りとしては、細い小手先は放熱で熱が上がりにくいので、温度管理できるようにパワーコントローラーを付けて温度管理しないとイケません。

ただ、新規に温度管理のできる半田ステーションを購入する必要もなく、お持ちの半田コテの電源を制御して温度管理できます。

ただ、ダイヤルのツマミ位置とお持ちの半田コテ先の温度の位置関係が分からないため、どの位置でどの位の温度になるのかを調べないとイケません。

このような熱電対で小手先の温度を計測できますので、ツマミ位置と温度をメモすると便利です。因みに、小手先を異種に交換した場合も温度確認が必要です。

さらに、日常から小手先のメンテナンスが必要です。

既に酸化が進行した小手先は、錫メッキも剥がれてしまっている場合も多いので、そのような場合は小手先を交換するしかありません。

表面的な酸化膜が少し黒変している場合は、使用している半田の適正温度(320℃~380℃)で半田送りしてみるといいですが、多くの場合すでに手遅れです。

小手先に付着酸化した不純物を小手先の拭いなどで綺麗にし市販のポリッシャーでメンテナンスすることをお勧めします。

以下にまとめます。

  • 半田コテ先の温度管理を徹底する。(320℃~380℃)
  • 温度管理できる半田コテを購入するまでもなく市販のパワーコントローラーを接続し温度管理する。小手先温度計でパワーコントローラーのツマミ位置と温度をメモする。
  • 小手先は日常的にメンテナンスする。
  • 酸化してしまったら、洗浄ポリッシャーでメンテナンスする。
  • それでも小手先が復活しない場合は小手先を交換する。

されに半田作業時も以下に気を付けたいです。

  • 半田作業終了時は、残り半田が付いたままにしメッキ部の酸化を予防保管するようにする。