Benesse World Wide Kids ベネッセ ワールド ワイドキッズ カードリーダ 修理

ベネッセ ワールド ワイドキッズ カードリーダ

向かって左側のスロットのカードリーダが、反応しないとのことです。右側は、正常にカードを読み込んでくれます。

分解をしましたら、カードの挿入を検知するスイッチの片方が破損しておりました

レバー折れ
基板外観

この検知スイッチは、1スロットあたり2個が使用されておりスロットの両端に設置されています。片側のみの検知では、正常な位置にカードが挿入されていないとしてカードの読み込みをしない仕様となっております。検知スイッチの間には、10個のフォトディテクタが設置されており、カードには、そのそれぞれの位置に黒塗りされたラインがあり、検知位置によってあらかじめ記録された音声を再生するようになっております。

さて、修理の方針を検討します。本来であれば、破損のスイッチを交換するのですが、国内で同じスイッチが流通しておらず探すのに苦労しました。スイッチのサイズを接点位置から探すとPanasonic製のESE13H01C(ボス無し)が適用できます。しかし、表面実装用なので、作業に必要な設備(ヒートガンとリフロー)が当医院にはありません。

う~ん、、、どうしようと思案し、以下の2段階で検討しました。

  1. 回路を解析し破損の検知スイッチを短絡してもカード検知が機能できるかを調査し動作しそうであれば破損スイッチの短絡を行う。※つまり、常にONの状態にする。因みに、両スイッチをONにしてしまうと、フォトディテクタが、常時ONになるので、読み込みエラーおよび電池の消耗が激しくなると思われます。
  2. もし、検知スイッチの短絡でカードの読み込みエラーなどが発生するようであれば、スイッチの交換を設備を使用しない策で頑張る。その場合、検知スイッチを海外から調達し手持ち半田ごてで、既存の破損スイッチの取り外しと半田付けを挑戦する。

では、1.に着手します。

解析回路図

回路を調べましたら、両側の検知スイッチは、個別に接続されたスイッチではなく、カスケード接続されており、その二つが導通してはじめて回路にカード挿入の検知が通知されます。スイッチは、直列接続なので、破損スイッチを短絡し片側一方のスイッチのみでもカードの挿入は検知できるようですね。

検知スイッチのランドサイズ

さて短絡させるため、スイッチのランドにリード線を半田付けしてします。※コネクタ端での短絡を検討しましたが、フォトリフレクタを外光の外乱から守るためのカバーをする関係でコネクタ端での半田付けができず、スイッチのランド端での作業が必要になります。画像の通り、通常サイズのこて先(右)では半田付けが不可能でしたので、極小用のこて先(左)に切り替えて着手します。

短絡処理@拡大鏡

拡大画像では、大きそうに見えますが、0.8mmのランドサイズなので、とても心労する作業でした。

カバー装着

カバーを装着し無事収まりもよく、当初懸念されたカードの読み取り不良もなく動作確認もできました。

このカードの挿入を検知するディテクタスイッチの耐久性についてですが、残りの片側の残存スイッチが破損すると、スイッチの交換が必要になるので、その点注意が必要です。


【ご依頼者さまのご感想】

玩具では無いのですが、どうしても学習に必要だったのでお願いを致しました。ドクターの承諾を得まして、無事に治療して頂きました。問題無く学習が出来ています。

作業内容の詳細を画像付きで教えて頂き、確認動画までも、と至れり尽くせりでした。また当方が梱包した時よりも、綺麗に梱包されて退院をして来まして….本当に嬉しく思いました。