ソフビのお人形 足股関節破損修理

ソフビのお人形

経年劣化で割れが生じ片足が取れてしまったとのことです。ご依頼者様のお母様が大事になされておられるとのことで修理にも気合が入ります。

さて、状況を確認します。

割れ

足股関節部分で回転させるためのはめ込み部分が完全に割れて取れておりました。

以前に修理した形跡があり、糸で内側を縫い合わせ最後に接着しておりました。

ご依頼者様のご要望としては、できれば元通りにして欲しいが、難しければ座位にて接着固定して欲しいとのことでした。

割れ部分を拝見すると、非常に接着面積が狭いのと、足を回転させるだけの強度も確保せねばなりません。もちろん外れないことが大前提です。

以前の修理方法を自分も踏襲しますが、今回は強度をいかに確保するかが鍵となります。ソフビも懸念劣化で非常に脆くなっております。

前処理として、以前の修理痕に付着している接着剤の残りをルーターできれいに削り取ります。

ワイヤー固定

そして、割れ部分を合わせこみ内側にワイヤーを通す穴をあけます。ルーターを使い1mmのドリル歯で複数個所あけます。そこに、0.5mmのステンレス線を個別に通します。

ぐるぐる巻きに通してもいいですが、一か所が何らかの原因で切れた場合、全体にその影響が及ぶのをさけるため、全て個別に巻きます。

擦れる部分

本体と擦れる部分にもワイヤーが露出しないよう注意します。おそらく、前回の修理の際、縫い糸を使用したようなのですが、この擦れる部分に露出してしまったようで、摩擦で糸が切れていたようです。

接着固定

最後に弾性のエポキシで割れ部分とワイヤー全体を覆うように接着します。ソフビですので、弾性接着剤でないと、固化後にとれる危険性があります。

はめこみ

接着剤が完全に固まる前にはめ込みを完了し後は接着剤の固着を待つのみです。

約1時間ほどで固化は完了しますが、実用強度を確認するため、翌日までそのまま固定し回転強度を確認すると、無事また回転できるよう接着もできました。

立位、座位共に問題なく修理できました。

およそ50年前の商品ということで、材質上の劣化も進んでおりますので、ご依頼者様には、そっとやさしくお取り扱いをお願いして作業完了としました。


お手数お掛けしました。 ありがとうございました。

このお人形は私が7、8才の時にお誕生日に買ってもらった物です。

そんな私も62才になりますので50年以上前のものです。

一人っ子だった私にこのお人形を買ってもらった2年後位にお人形にそっくりな弟が生まれました。

両親は大変喜び、弟も経緯を聞いているので、母にもしもの時があっても、家宝として一生大切にすると言ってます。

本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~