SNOOPY & FRIENDS DIORAMA 制御IC不良 修理不可

SNOOPY & FRIENDS DIORAMA 制御IC不良 修理不可

当医院の過去の同じ商品の修理実績をご覧の方からの修理のご依頼でした。ある日突然、音と光がしなくなり、致し方なく同じ商品をもう一つ入手しましたが、暫くして同じ症状で音も光もしなくなったそうです。ということで、同じ商品、同じ故障症状の2つの修理のご依頼です。

底面

機構や電子回路は、底面から取り出すのですが、ネジが4本ありますが、このネジを緩めただけでは、取り出せません。このネジは、裏側の電池ボックスを固定しているだけです。開封には、ホットボンドで固めてある周囲を地道に温めてボンドを取り除く作業となります。

無事取り出すと、こんな感じに制御基板を取り出せます。

基板構成

基板は、左からLEDドライバ基板、メイン基板とCOBでモールドされてある制御ICが載っている基板の3枚構成です。

故障解析をすると、以前の事例と同じ制御ICのCOB基板が故障しておりました。電圧も無事上がっていますが、トリガ信号に無反応です。

今回は、2つの同じ商品のご依頼でしたが、片方は、完全に故障しており、もう片方は、LEDドライバ基板の制御信号は、出ており振動に反応してLEDのみ発光点滅をしておりました。

さて、COBの制御ICが故障しており、交換もできません。前回の症例のようにMP3プレーヤーとATtinyマイコンでの換装をご提案したのですが、ご依頼者様より、プリインストールされているスヌーピーのメロディがお気に入りだったとのことで、今回はMP3プレーヤーでの換装は、断念しました。その代わり、LEDドライバ基板に電源を直接接続させ、電源スイッチに連動して点滅するようにはしました。

故障COB

LEDの点滅のみ動作するようにして作業終了です。


瀧下様の所に辿り着いて 本当に良かったです。

ありがとうございました。

もうすでに我が家では リビングがクリスマスの様相です 。

~ご依頼者様のご感想より~

デビルっちのたまごっち 液晶修理

デビルっちのたまごっち

デビルっちのたまごっち 液晶修理

今回のご依頼は、つぶれたネジではなく、液晶ドットの縦抜けの修理依頼です。

因みに、この黒筐体のデビルっちのたまごっちは、激レア物らしく、中古市場では、数万円で取引されているようです。もう、おもちゃじゃありませんね。※たまごっちは、なんでも鑑定団でも鑑定にだされているものもあるようです。

液晶の表示不良は、液晶自体の故障もありますが、液晶モジュールの端子と基板間の接触不良でも表示不具合がでます。

抜け具合

完全に表示ができないというよりは、反応するラインとその周辺のちらつきもでているような、アナログチックな症状です。

接触ズレであれば、位置の調整で元も戻りますが、どうでしょうか?開封して状況を拝見します。

液晶モジュール端子面

他のたまごっちを修理したことがあると分かりますが、この端子面は、ゴム製でゴムの中に電極の粒子が埋め込まれております。以前のお仕事で、この手の電極が埋め込まれているゴムを使ったことがあるので、同じ形態のようですね。画像でも認識できますが、表面に凹凸ができています。

これは、接触する基板側の電極パットの形がそのまま押し当てられているので、その形状が残ったものです。まずは、表面をアルコールで洗浄し位置ずれがないか確かめしましたが、どうも位置連れではなさそうです。

画像にもあるようにアライメントを調整するため、液晶を固定する抑えがあります。なので、容易に位置ズレは起きなさそうですが、念のため微調整しながら表示の改善がされるか試したところ、まったく改善されません。また、抑えの力が弱くなった可能性も考え、端子上部にテープフィルム一枚程度を貼り付け抑えを増しても 改善されません。

小手先の対応では、どうも無理そうです。ゴム電極表面を軽く研磨してみようかと思ったのですが、研磨作業でゴム電極諸共剥がしてしまうリスクもあったので、ご依頼様にその旨ご相談したところ、現調査まで諦められる旨とのことでしたので、修理不可とし返送をさせていただきました。

液晶モジュールを中古のジャック品から流用できるかも検討しましたが、先の通り、中古市場では流通はもとより、そもそも高額取引されているためジャックパーツも無理です。

※それとですが、液晶モジュールを他のたまごっちからの流用も考えましたが、液晶の背景が変わってしまうため、これも断念しました。

アンパンマン ワクワククレーンゲーム プーリー滑り修理

ワクワククレーンゲーム

アンパンマン ワクワククレーンゲーム プーリー滑り修理

なんか久しぶりのおもちゃらしいおもちゃの修理でうれしいです。※独り言

遊んでいる途中でお子様がクレーンのパケットを引っ張ってしまい、それからパケットが上下しなくなったとのことです。クレーン移動時の縦横の動きには問題ないが、パケットの上下のみ動かなくなったそうです。

垂れたパケット

垂れたパケットは、こんな感じ。

このワクワククレーンゲームについては、内部構造を詳しくこちらで解析・解説しております。

2019.2.7 [備忘録] アンパンマン わくわく クレーン ゲーム の動作仕様

アンパンマン クレーンゲーム ギアボックス 修理

パケットを上下するには、内部のプーリーで鎖で巻き取ることになりますが、巻き取れない原因は、ギア関係かモーター関係か電源回りかさて診断してみましょう。

まず、動作確認ではモーター音もしており、何やら空回りのような気配です。分解してみると鎖を巻き取るプーリーと軸が完全に滑っておりました。

垂れた鎖
滑っているプーリー

このプーリーが軸を滑ってしまうと鎖を巻き取れません。金属製の軸には、溝が付いており、プラスチック製のプーリーと噛み合うように設計されております。ですが、プーリー側の山が完全に削り取れてしまい滑っておりますので、恐らくはパケットを引っ張ったときに削り取れてしまったのでしょう。

さて、修復の案です。まずは、エポキシ系の接着剤で金属製の軸とプーリーが接着できるか確認します。ポイントは、このパケットは、上下する際に上死点でトルクギアを故意にスリップさせるため、その力に耐えうるだけの強度を確保できるかです。強度が低いとスリップの際に、接着した箇所が再度スリップを起こしてしまいます。強度が、保てなかった時は、軸径のサイズに合う圧入できるギアを用意し、プーリー側の穴を拡張加工しはめ込み接着という案を考えておりました。

クイック5

エポキシ系の接着剤には、クイック1というのもあって、クイック5は、5分で硬化開始、クイック1は、1分で硬化開始です。以前、クイック1を使っていたのですが、1分だと接着後の微調整でもたつくと硬化し始める弊害があったので、クイック5を多用しております。

赤いプーリーには、パケット開閉のためも半周分の回転しろがあるので、横のプーリーに接着剤が付かないように十分注意し接着剤を付け一晩おきます。翌日の確認テストで、十分な強度も確認できましたので、接着は成功としました。※実は、以下の新たな不具合の解消のため、数時間に渡るテストを行ったので、強度テストには、十分過ぎるほどの強度であることも確認できました。

横ずれスリップ

パケットの上下の動きに問題がないかを確認していたところ、新たな不具合が発見されました。以下の動画を確認ください。上記画像のポイントで横ズレの際スリップが発生します。かなりの高確率で横ずれの際にスリップを起こします。

一難去ってまた一難。

横ズレの際に内部のトルクギアがスリップして動けなくなります。この症状が出た際、一旦電源を落としてみると、正常に動きだします。蓋を開け上部からスリップの際の動きを観察すると、どうもクレーンがホーム位置に戻る途中の最前位置に来た際に、横レールのギアのかみ合わせに無理に力が加わりかみ合わせズレが起きているようです。力が加わったままですと、ズレが解消できずトルクギアのスリップが起きますが、一旦電源を落とすと、その力が一旦抜けかみ合わせが元に戻るので、再度動きだせるようになった訳でした。

さてさて、困りました。かみ合わせズレを起きないようにするには、どうすべきか、、、。そもそも最前位置まで動いた際に無理な力が加わるの抑制すべきか、スリップしないようトルクギアの滑りを抑制すべきかを悩んでおり、いろいろ調べてみると、原因がはっきりしました。

トルクギアの摩擦が、ほとんどなくなっております。回転時に指で軽く抑えただけでも、スリップして止まってしまいます。

グリスまみれのトルクギア

トルクを逃がす接面にグリスが入り込んでいるので、一旦アルコール脱脂してみましたが、ゆるゆる感です。このトルクが逃げる強度までの閾値が低すぎて、ちょっとの抵抗ですぐスリップしております。備忘録にも掲載しておりますが、トルクを上げるためにスプリングに針金を一周巻き付けてみました。

針金の巻き付け
ギアボックスとの緩衝に気を付けて

残念ですが、その効果も全くないほど、ゆるゆるでした。 残すは、トルクギアの構造を改造するしか策はないと思うのですが、ご依頼者様にお聞きすると、そもそもこの状態は、購入した直後から発生していたとのこと。 ̄▽ ̄;あー。。。

初期不良として交換もできた可能性もありましたが、トルクギアの摩擦増強策が、思いつかないため、ご依頼者様と相談し、修理はパケットの上下のみとし、本不具合が発生した際は、一旦電源を落として遊んでもらうことで合意できました。トルクギアの摩擦を上げる方策は、今後の宿題としたいと思います。


さっそく、息子は大喜びで遊んでいました。 本当にありがとうございます。 メールや郵送等、やり取りがスムーズで、大変ありがたかったです。 また、すぐに修理に取り掛かっていただき、動画付きの丁寧なメールでの進捗状況を伝えていただき、分かりやすく安心して預けることができました。 修理も早く、大変驚きました。 私ではどうすることもできずに困っていたところたまたまネットで見つけ、瀧下さんに出会えたことに感謝しています。 また何かおもちゃで困ったことがあったときには、ぜひ瀧下さんにお願いしたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん クリスタル交換

おしゃべりいっぱいことばすかん

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん クリスタル交換

10年程前に購入されお子様が使われて居られたとのことで、ご兄弟も遊べたらと動かしてみら、動かなくなっていたとのことです。

動作を見てみると、起動音もなりLEDも点灯しますが、絵本の絵柄への反応がまったくありません。過去の経験では、ペン先イメージ認識のモジュール部分の半田は取れてしまったのと同じ症状です。ということで、半田剥がれかどうか開封確認します。

開封

目視チェック問題ありません。ペン先の半田も剥がれておりません。

スピーカーの単体も問題なく基板まで電源も上がっております。

ペン先の半田剥がれの予想も外れましたが、赤外線チェックで原因が判明しました。ペン先のイメージセンサーモジュールの赤外線LEDから赤外線が出力されておりませんでした。制御ICに何か起きているのかとしれませんので、まずはクリスタルの発振をチェックします。

クリスタル

オシロスコープにて、発振波形をチェックすると、メインIC用のクリスタルは、32KHzにて正常に発振しておりますが、イメージ処理IC用のクリスタルは、固定値に張り付いたままです。正常ですと16MHzにて発振しております。

32kHz
Stuck fault

この発振不良時ですが、オシロスコープなりを持ち合わせておりませんとチェックが厳しいのですが、こちらのおもちゃ病院では、発振不良時のテストポイントでのチェック電圧を公開されておられます。

ただ、このシリンダータイプの16MHzのクリスタルって国内だとなかなか手に入らないですよね。基板のスペース的に同じシリンダータイプで換装したいのですが、やむなく HC-49/S パッケージで代用することにしました。

リード足

本体を裏返し両面テープで貼り付けリード足を曲げても片方の長さが足りませんでした。やむなく継ぎ足し半田付けします。

実は、16MHzの在庫をちょうど切らしており、またこの発振不良以外の不具合もないかを先に判断したかったため、16MHzのパーツが届く前に手持ちの8MHzで動かしてみたところ、絵柄の反応は復活しましたが、認識不良を起こしておりました。

正規格のクリスタルの交換にて無事動作画にも取れ修理完了です。


本当に正常に反応していて、 信じられない気持ちです。 素人からすると、 おもちゃは壊れたら、もうダメで、 メーカーに修理依頼などとは、 どうせ高額だし、 考えてもみないことで、 もう処分するしかないという 思考以外ありませんでした。 まさか、もう反応がなかったおもちゃが また目の前で、前のように、 作動している・・ 信じられないです。 迅速な対応、丁寧な説明、本当にありがとうございました。

~ご依頼者のご感想より~

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 電源スイッチ交換

おしゃべりどうぶつずかん

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 電源スイッチ交換

おしゃべりいっぱいシリーズの動物ずかん版ですね。緑色の筐体です。

タッチペンの電源が入らないということでご依頼がありました。起動音も鳴らずLEDも点灯しないという、まったくのうんともすんともな状態とのことです。もちろんですが、新品の乾電池にて動作確認も事前にお願いしておりますが、単純な電池の容量不足ではないようです。

アンパンマンシリーズのタッチペンで多い不具合は、タッチの衝撃でペン先モジュールの半田付けが取れてしまう不具合が多いですが、起動は鳴るものもありLEDも点灯します。

今回は、電源系の不具合でしょうか、ということで早速開封します。

基板等の目視では、断線はなさそうです。

ペン先半田付け

ペン先の半田付けも大丈夫でスピーカーも単体テストで問題ありませんでした。

液漏れ

電池ボックスに液漏れの跡がありましたが、導通が取れないレベルではありませんでした。清掃しておきます。基板を筐体から取り外し単体でのテストを行うと原因がはっきりしました。電池の電圧が基板まで上がっておりませんでした。

電源スイッチ
左新品、右故障品

電源スイッチのON側がON時に全く導通しておりませんでした。この電源スイッチは、アングルタイプのスライドスイッチで、接点復活剤で回復を試みましたが、ダメでした。

でもしかしON側のみに不具合が出ているので、何とも不可思議ではありますが、スイッチを交換して修理完了です。


ありがとうございました。

子どもたちが大変喜んでいました。

乾電池の質問にも丁寧に対応してくださり、感謝します。

なによりも無償でこのようなことをされていること素晴らしいことだと思います。

これを機会に、子どもたちにも物を大切にすることを教えていけたらと思います。

本当にありがとうございました。

あたたかい人柄もやりとりの中で感じさせていただきました。

また機会がありましたら、よろしくお願いします!!

お身体お大事に今後も頑張ってください。

~ご依頼者様のご感想より~

ベネッセ はてなんだくん スピーカー交換

はてなんだくん

ベネッセ はてなんだくん スピーカー交換

再生音声の音量は小さく雑音が出ているとのことで修理のご依頼です。

このはてなんだくんのスピーカー故障、多いです。というか、当医院へのご依頼は、ほぼ全てこのスピーカー故障でした。

お子様が、耳をそばだてて聞いていたとのことで、お子様のためにも頑張りましょう。早速ですが、再生音は、測定器でチェックするまでもなく、スピーカーの構造体の破損です。振動板が、何かに触れているらしくひどく擦れたノイズで音量も微かというレベルでした。

破損スピーカー

当医院在庫のスピーカーと交換をします。筐体にセットせずにスピーカーからの音量を確認すると、あれ!?低くない?と気づきます。ですが、実は、この筐体は、スピーカーをはめ込むと音響効果で音量が増幅され大きく聞こえるようになっています。最後にスピーカーとリード線まわりをホットボンドで固定します。

ホットボンドで固定

因みに、このはてなんだくんの故障についてとは、こちらでも修理に関する記事を拝見できます。六か月以内であれば交換してもらえそうですが、流石に運よく故障もしないので、お困りな方は、ご相談ください。



丁寧な対応をしていただき、返信、返送をありがとうございます。

おかげ様で、音の聞こえるようになった、はてなんだくんでさっそく遊び、とても楽しそうです。

ありがとうございますm(_ _)m

とても感謝しております。 不具合あった部分の写メ、YouTubeでの動作確認と、わかりやすく安心してお任せできました。

~ご依頼者様のご感想より~

はてなんだくん メモリ半田剥がれ修理

はてなんだくん

はてなんだくん メモリ半田剥がれ修理

以前の修理記事で、この『はてなんだくん』と『はてなんだろうくん』と表記してました。正しくは、『はてなんだくん』のようです。

さて、今回のご依頼は、電源投入後、帽子のLEDは点灯するけど、起動音や絵本へのタッチ反応がないとのことです。

当医院に過去に依頼のあった実績の多くは、スピーカー自体の故障スピーカーの断線が多く、今回の症状もスピーカー関連の問題だと思って、高をくくっていたら全く違いました。

帽子のLED

電源投入すると帽子のLEDは点灯しますが、あとはうんともすんともです。反復して電源等ON/OFFを繰り返すと、LEDの点灯にしたりしなかったり、点灯してもしばらくすると消えたりという不安定な状況です。早速分解して内部を調査します。

スピーカー本体

スピーカーも目視では、リード線の取れもないようです。取り外し単体でチェッカーで確認しましたが、問題なしです。リード線内の断線もありません。

基板側

基板側の根本も固定用の先着剤を取り除き確認しましたが、断線や半田剥がれ、端子間のショートなどもなく問題なしです。 予想が、外れました。 因みに、基板の電源端にも正常に電圧が上がっていることも確認済みです。

  • 整理すると、電源は正常に基板端子まで供給されている。
  • 電源LEDは点灯するが不安定
  • 起動時も絵本タッチ時も音声反応がない

うーん、しばし基板を拡大眼鏡で眺めておりましたら!

とここで、自分が使用している拡大ルーペを紹介します。

このループは、左右に拡大率の違うレンズを取り付けることができるので、とても便利です。作業時は、左目メインで半田付け後の基板や端子チェックは、右目メインでというふうに切り替えが容易です。倍率の違うレンズと取り付けて、左右同時に見るとエライことになりますので、ご注意を。

基板を拡大鏡で眺めておりましたら、なんとメモリICの半田が剥がれているではありませんか!

半田剥がれ

カパカパいっていました。これで因果関係があいました。

このメモリIC MX29LV640Eは、Macronics製のFlashメモリでして画像認識してスピーカーから流す反応音声を格納していると思われます。当然、半田が剥がれておりますと、音声データが読み出せませんので、音声は無反応になります。

また、恐らくですが、起動時に起動用の音声データが正常に読み出せなかった場合は、電源が落ちるようになっていたのでしょう。そのため、起動後少し時間がたってからLEDが消灯するケースが現れたように推測します。

このICは、0.5mmピッチで再半田には少々苦労しました。手法は、人それぞれでしょうが、いつもは半田を盛って吸い取る手法ですが、今回は、残った半田にフラックスを流してコテあてでいけました。

これで無事起動も絵本へのタッチ反応も確認でき修理完了です。

アンパンマン おしゃべりいっぱい! ことばずかんDX タッチペン スピーカー断線

おしゃべりいっぱいことばずかんDX

アンパンマン おしゃべりいっぱい! ことばずかんDX タッチペン スピーカー断線

使っている途中で音が途切れ途切れになってしまうとのことです。

受け取り後に起動してみると、問題なく起動音が再生され絵本でのタッチ動作も問題ありません。使っていると、不具合が出てくるそうなので、しばらく使ってみましたが、不具合が再現されません。困りました。。。

と、思いきや、ペンを裏返しにしてみると、起動音が切れるではないですか!

微妙にペン本体を反らせてみると、同じように音が途切れます。

やりました!不具合を再現できました。音声のみの不具合なので、予想されるのは、スピーカー回りに断線で、むき出した電極にぎりぎり触れているかいないかの具合で、接触が付いたり離れたりしているのでしょう。内部を拝見しましょう。

半田取れ

リード線の電極部分は、ホットボンドで固着されていたので、目視のレベルはすぐわからなかったのですが、基板との半田が取れておりました。正位では、かろうじて接触していたのだが、本体を反らせたり、曲げたりすると接触が離れてしまい音声の途切れが出てしまったのでしょう。

再半田で修理完了です。


アンパンマン おしゃべりいっぱい! ことばずかんDX スライドスイッチ交換 修理

おしゃべりいっぱい!ことばずかんDX

アンパンマン おしゃべりいっぱい! ことばずかんDX スライドスイッチ交換 修理

当医院でもお馴染みのアンパンマン おしゃべりいっぱい! ことばずかんDXのタッチペンの修理依頼です。

外来勤務している地域のおもちゃ病院のドクターからのヘルプにて対応しました。症状としては、日本語と英語の切り替えスライドスイッチの摘まみ部分が折れて取れてしまったとのことです。

因みに、DX(デラックス) と Super DX(スーパーデラックス)の違いは、こちらのブログで詳しく説明されており、赤筐体はSuper DXで黄色筐体が、DXのようです。今回のご依頼は、DX版となります。

さて、分解して内部を確認します。

折れたスイッチ摘まみ

黄色丸枠の赤四角部分にあったはずのスライドスイッチの摘まみ部分が折れてしまっていますね。本来は、この摘まみにスイッチノブをかぶせてはめ込むのですが、摘まみがないために英語と日本語の切り替えができなくなっていました。

このスイッチのサイズを調べます。

スイッチのデータシート

データシートからもこのスライドスイッチは、ガイドのボスが付いております。恐らく、取り付けのガイドと小さなスイッチですので、スライド時の基板への耐応力のためのものかと思います。

当医院には、交換スイッチの在庫がありますので交換をしますが、表面実装パーツなので、半田付けに少々技術を要求されます。表面実装をきれいに剥がせますでしょうか!?

除去成功

ペンチで摘まみコテの温度を若干上げ、周囲の半田を溶かしながら剥がしました。

まぁ、破損したスイッチですので、基板からきれいに取り除ければよく、外すスイッチは、壊れていますので、さらに破損しても問題ありません。

交換スイッチ

過去にスイッチの接触不良などでは、接点回復剤で復旧を試みますが、破損の場合は流石に交換となります。

無事動作確認も終わり修理完了です。


コンプリートセレクション 仮面ライダー1号 変身ベルト モーター修理

豪華化粧箱

コンプリートセレクション 仮面ライダー1号 変身ベルト モーター修理

本品は、修理実績の記事から検索された方からの修理依頼があります。発売から既に年月が経っており、経年によるモーターグリスの固着でモーターが駆動しなくなる事象が多いです。こちら参照

中古市場では、新品未開封のお品が高額で取引されておりますが、恐らくその多くは、同様の不具合で何らかの不具合が生じるように思います。

さて、今回のご依頼は、前述のように新品未使用として購入されたのですが、手元に届いてからLEDが点灯しない不具合があり、交換を申し入れたが、やはり経年による不具合ということで断られ、お困りとのことでした。

当医院では、故障品と知りつつ購入され、その修理を依頼されるケースもあろうかと思いますが、有料修理となるおもちゃにもあるように有料修理とさせていただいております。

前置きがいつも長いですが、前述のご事情もあり、それでは是非当医院で修理をさせていただきたく受け付けをさせていただきました。早速状況を拝見しましょう。

やはり動作を確認すると、プッシュボタンの押下で起動音声は正常に鳴りますが、肝心のタイフーンのLEDが点灯しません。

電池ボックスの錆

電池ボックスの負極に腐食痕がありますが、致命的ではありません。

本体

分解し本体と取り出してみても外観的な断線や不具合は見当たりません。

が!なんと!改造(もしくは修理)されているではありませんか!

マブチ製 FA-130RAモーター

新品未使用のはずが、がっつりモーター交換されています。マブチ製のFA-130RAモーターです。

過去の記事でも説明していますが、本品で使用されている純正モーターは、制御回路向けの専用モーターで市販のモーターに交換した場合、恐らく動作しませんというか、今回のご依頼で動かないのが実証されました。

動作状況を調べてみると、明らかにモーターへの供給電流が足りずLEDの同期が取れなくなっております。回転がのろのろです。そのためにLEDも点灯しなくなっておりました。試しに、外部電源でモーターの回転数を上げると綺麗に模様を描いてくれます。この事実をご依頼者様へお伝えしたところ、ショックを受けられておられました。他のおもちゃ病院などでは、おそらく通常は、ここで修理不可能としてしまうかもしれませんが、当医院は違います。何とか、LEDが光るまでの策を検討します。

このLEDは、最近駅看板などでもよくみる、残像の視覚効果を利用した点灯パターンを回転するプロペラ上に映し出す仕組みなります。仕組み参考ページ

変身ベルトは、タイフーンのスリット間の縦に5つ並んだLEDを使用してタイフーン裏の同期用LEDと本体側フォトダイオードで回転同期を取り点灯パターンを作りだします。なので、タイフーンが回転する速度とそれに同期した信号の生成がLED点灯に重要な要素となります。

まずは、いつもの通り回路図に起こします。タイフーン内LEDと モーターは、ダーリントン回路で制御されておりました。注意:タイフーン内回路は、回路がどうなっているのか不明なので、LED二個で代用記載しています。実際は、LED五個と同期制御回路など複雑となりますので、ご注意ください。

既存の製品回路図(一部)

ここでいったんひとりブレストタイムです。なぜブレストをするかというと、中古で購入された当初の持ち主の方が、なぜ市販のマブチ製モーターに交換をされたのかと疑問に感じたからです。

推測ですが、大事に保管していたベルトを久しぶりに動かしてみたら、モーターが”うんともすんとも”で、ぱっと見、マブチの130モーターを同じ外形をしているからと交換をされたのかもしれません。それとも、モータードライバの回路に不具合にあり、モーターではなく回路に不具合があったのかもしれません。はたまた、当医院の修理実績のように単なるグリスの固着を故障と間違えて交換してしまったのかもしれません。どちらにしても、現回路が正常かどうかをざっくり判断します。回路図から、IBの値を計算します。

IB = (3.3 – 2.1)/10k = 0.12mA

NPN 8050のデータシートを確認し、IC – VCEの特性グラフを参照すると、やはりベース電流が低めにみえます。ダーリントン構成ではありますが、LEDは光らない状態でモーターのみの電流を実測すると、250mA程度で、これも低くでています。ベース電流低く、ダーリントンのコレクタ電流も低いためのようです。製品仕様が不明であるので、ベース電流の正否は正直分かりませんので、試行的にベース電流の制限抵抗を調整しベース電流を増やしてみると、今度は、モーター起動時にCOB側の電流が減ってしまったようで、音声の再生が途切れ途切れになっていました。かなり作りこまれた回路仕様だったと分かりました。安易に回路常数を変更するのは危険そうです。

最終的には、以下方針をご依頼者と相談し決定しました。

  1. 純正モーター仕様に近いモーターを探してみる。
  2. モーターが見つからなかった場合は、モータードライバを外付けして制御信号と同期させLEDを光らせる。

まず、適用できるモーターですが、手持ちモーターは全て全滅で現状の回路が正しいとすると、如何に低電流で高回転するモーターであったかが分かりました。ローター内のコイルの巻き数や配線径が専用に設計されていたのでしょう。

他の市販品もそうですが、実測でLEDが同期して光るためにはやはり500mAは流せないとLED光りそうにないです。高トルクや高回転系のモーターは、ピクリともしないモーターもあり、結局代替えモーターは見つかりませんでした。実用的回転は、やはりマブチ製のモーターでした。

★ひとまず、純正モーターを市販のモーターに交換してはイケません。

では、モーターは、市販のマブチ製130モーターを使用することで決定とすると、駆動できる回路検討をします。モータードライバは、実装できる回路面積や構成できる電源も考慮すると、シンプルなトランジスタでのスイッチ回路ですが、 COBのIOHの進行性の劣化不良が原因だった場合は、安易にIBを取り出すのは危険と判断しMOS FETでの実装としました。また、電源も6Vも不要なので、モーター起動時の突入電流における電圧降下も考えると、1.8V程度に降圧してドレイン電圧に供給します。※モータードライバは、設計を誤ると貫通電流などで、発火の危険性もありますので、回路はご紹介しません。

回路

ちょうど裏面のタイフーン横にスペースがありましたので、お手製のヒートシンクに横並べて結線しました。一応、SS8050での構成も下記動画通り動作検証しておりLEDの点灯確認しているのですが、前述の安全性からMOS FETでの実装としていいます。

余談ですが、当初の検討では、バイポーラトランジスタSS8050を想定してベース電流を抵抗で制限して、電源に6Vを供給して電流を診ながら調整しようとしましたら、やはりSS8050がチンチンになり、ベース電流のみで制御は難しいと判断しました。そもそもモーターの規格も3.0Vですし。また、乾電池での動作では、やはりというかやっぱりというか、モーター起動時の電圧降下が激しく突入電流と同期してCOBの音声起動にも途切れが出てしまいました。

この症状は、MOS FETでの構成でも同じく発生してしまい、特にモーターの温まりや周囲の温度で大きく変化します。十分に電流を確保できなくLEDが全く点灯しなかったり、点灯してもパターンが不安定だったりします。

ここらへんもCOB制御では、モーター起動→音声発生開始というタイムラグでも挿入して解消していると思いますが、如何せん外付け回路のみでいっぱいいっぱいなので、次回以降の宿題として検討したいと思います。

最終組み立て動作確認も済み、起動時の音切れや不安定動作が残っている旨、報告し現物で最終の出来をご確認いただきことで修理完了としました。

おもちゃの修理という範疇を大きく逸脱していますが、お困りな状況もありましたので、今回は頑張りました。

P.S どの修理案件でも同じですが、自己責任でのご使用を前提にさせていただきました。今回の修理は、発火の危険性のある回路のインプリでしたので、ご使用に際する誓約をご依頼者様と交わさせていただきました。