くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

くすぐりエルモ

くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

外来で勤務をしている地域のおもちゃ病院にて、エルモ 2体の修理を受け持ちました。今回は、その内の1体のエルモの修理についてご紹介をしたいと思います。

まず、このくすぐりエルモとは、顎、お腹、左足首のスイッチを押すと、笑い転げてくれる、とても楽しいぬいぐるみです。たぶん、かなり有名なので、動作については詳しい説明は不要かと思います。

さて、ご依頼の内容は、笑い転げる動きが変ということです。

通常は、いづれかのボタンを押下すると、左腕を上下に振り笑い始め、次に尻餅をついて、両足をバタバタ笑い転げて最後に起き上がるのですが、動きが緩慢で動作の途中で止まることもあります。モーターが空回りしている、ウィーンという回転音はするものの、ぬいぐるみの動きは止まったままという感じです。

やはり一時期、商品がバカ売れしたおかげでインターネットには、修理記事が沢山掲載があります。特に、この点の動きが変という事案では、ピニオンギアの割れが原因の殆どのようです。

さて、前振りはこのぐらいで診察開始です。

切り開き

まず、背中の縫い合わせに沿って切り開きます。ですが、赤いパイル生地に赤い糸で縫い合わせているので、糸が非常に分かりずらいです。間違ってパイル生地の布地側を切り開いてしまわないように注意が必要です。また、舶来品なので、縫い合わせの品質も少しテキトーな感もありますので、糸は綺麗に外そうとせず、バシバシカットして開いた方が早いです。

また、首を結束バンドで固定しておりますが、300mm長のバンドで間に合いますので、綺麗に外さずにカットして交換した方が早いです。

開封

では、ピニオンギアの所在ですが、腕用のモーターは、画像に移っている上側のモーターで両足用のモーターは下部のモーターとなります。早速確認します。

腕駆動モーター
腕側モーターのピニオンギア

腕側のモーターに付いてあるピニオンギアですが、画像はピンぼけですが、縦割れを起こしておりました。

8T m0.6 1.9

このピニオンギアは、8Tの穴径が、Φ1.9mmでmは、0.6となります。

次に両足を駆動するモーターのピニオンギアを確認します。両足のギアボックスのカバーを開ける必要があるのですが、スプリングの付いていない左足側を外す必要があります。

股関節固定のネジ

股関節固定用のネジ2本とその下に両足同期用のシャフトのボール受けがあるので、それも外します。

電極

ここで、重要な部品が現れます。両足が、今どの角度の位置にあるかという位置を認識するため、円形の電極基板があります。その基板のランドと接触してランド間の導通をする、画像の電極とバネパーツが出てきます。大事な部品なので、破損や紛失などしないようにします。

接触導通状況

さていよいよギアボックスの開封です。止めネジを外すとピニオンギアが現れます。やはり割れを起こしておりました。

両足駆動モーターのピニオンギア

ですが、このピニオンギアは、特殊規格となり入手できません。8T 穴径Φ1.9mm m=0.6ではあるのですが、ギアの長さが、10mm必要です。

他のドクター様のおかれては、割れた部分をワイヤーで巻いて固定したりと皆様ご苦労をされて居られる記事を拝見しました。ですが、私は、時代の利器を活用させていただきました。

3Dプリンター♪※ドラえもん風

日本おもちゃ病院協会では、3Dプリンターにて該当ギアを製作されたドクター様が居られそのギアを配布使用させていただきました。

タフレジン製ギア

穴径

修理実績のあるギアを配布いただいたのですが、本案件のモーターのシャフトは、少し細いせいか、付加がかかる場面で空回りを起こすことがありました。そこで、エポキシ接着剤を併用し接着固定を行います。

接着固定

2点のピニオンギアの交換で無事にエルモは動作するようになりました。

ですが、電池ボックスに正極の接触不良のような不具合もありました。挿入した電池にもよるのでしょうが、正極の電極が曲がってしまい、出っ張りに届かない電極なので、曲げを戻します。

正極電極の曲がり

以上、縫い合わせを元に戻し、修理完了となります。

縫い合わせ

補足ですが、規格違いのネジが多く、分解時に場所と本数は、よくよく注意した方がいいです。