フィッシャー プライス コード・A・ピラー 起動スイッチ、傾斜センサー修理

フィッシャー プライス コード・A・ピラー 起動スイッチ、傾斜センサー修理

外来勤務をしている、地域のおもちゃ病院でのご依頼案件です。特に頭部の切開時の切断支柱の箇所は、とても大変なのでこの場で情報共有をさせていただきます。

因みに、コード・A・ピラーは、英語でCode a pillarという綴りらしいのですが、pillar(数珠つなぎ)をコード(プログラミング)するという意味なんでしょうかね。

裏側の電源スイッチを入れても、背中の電源ボタンを押してももうんともすんともということです。このおもちゃの遊び方を調べてみると、裏側の電源を入れた時点で音やLEDなどの効果音や点滅で起動がわかり、背中の電源ボタンで接続された本体の状態(これをプログラミングと呼ぶ)を読み込み、その接続の状態で動作を開始するという遊び方とのことです。

プログラミングは、USBコネクタでカスケード接続された順に実行するというフローになります。

さてさて、うんともすんともですが、まずですが電源回りを確認します。

スイッチ

電源スイッチを呼んでしまっておりますが、正確には起動スイッチとなります。というのは、このシステムは、電池ボックスに電池(1.5V * 4 = 6.0V)を入れた瞬間から既に基板側へは、6.0Vが供給されており、実は制御ICは、実行を開始しております。ですが、裏側の起動スイッチが入るまでは、スリーブの状態のようです。電源供給だけなら、2本か、コンデンサのディスチャージがあれば3本かと思いますが、5本が繋がっています。

恐らくですが、この5本が何かしらのポートにつながっていて、起動スイッチのON/OFFでプルアップかプルダウンされ、その状態で起動するといった流れでしょう。

さて、修理に話を戻します。

この起動スイッチの動作は、ピーピーチェッカーで正常に切り替わることは確認済みだったのですが、どうも不安定な接触不良があって、また頭部内の傾斜センサーの固着とも相まって起動できなくなっていたようです。

ここでようですと推測のような表現をしているのは、頭部の切開作業中に傾斜センサーの固着が解消され、その時点で再度の動作画にをした際に正常起動してしまったため、何か主たる故障原因であったか切り分けできなくなっています。

まず時系列に沿って説明します。

起動スイッチの切り替えを確認した後、本体内部の仕様を確認しようと思いますが、頭部内にある各種センサーやLEDにつながるケーブルも確認したいため頭部外します。ですが、この頭部の取り外しがとても厄介でした。

こちらの記事を参考にされていただいたのですが、やはり支柱の詳細箇所の記載がなかったので、手探りで探しました。また、記事には、頭部内になるであろう傾斜センサーについての説明があったので、とても参考になりました。実は、その傾斜センサーから金属ボールのカラカラ音がしていなかったため、傾斜センサーの固着が発生していて、それがが故障の何らかの原因にはなっているだろうという前提で作業はしておりました。

さて、頭部の切開です。

本体内部から

本体内部側から覗いた風景ですが、頭部に2本支柱があります。この支柱ですが、手前の支柱は、手持ちののこぎりでギリギリカットできましたが、遠くの支柱は、とてもでないですが、不可能です。また、分解すると分かりますが、この2本の支柱は、前進中に障害物に頭部がぶつかった際の検知スイッチに連動しているので、支柱中央部のカットは修復後にスイッチに干渉してしまうので、中央以外の箇所でカットしないといけません。

また、この2本支柱だけでは頭部は開かず、頭部外周の別の支柱も外側からカットしないといけません。

外周のカット

今回は、支柱カットの情報が皆無な状態で作業を行ったのですが、致命的なミスは辛うじて起こさずに開封できました。まずは、外周の支柱の箇所である3か所です。

外周支柱

黄色丸印の位置に支柱が接着固定されています。こじって運よく抜けるかもしませんが、恐らく筐体側もひどく割れると思いますので、後々の補修を考えて、より綺麗に補修するには、のこぎりで支柱をカットした方がいいと思います。その際深く鋸を入れてしまうと、目のLED基板を切ってしまうので、注意して鋸をいれないといけません。次に内部の支柱です。

内部の支柱

特に2の支柱はカットというよりは、ちぎるというような感じです。というのも、本体内部からのアクセスが非常に悪くノコギリの歯がサイズ的に入りません。仕方なく、ルーターで届くところまで削りあとは、マイナスドライバーでこじってちぎりました。

ここまで分解作業を進めながら、途中ちょいちょい動作させてみていたのですが、記憶では、頭部の傾斜センサーの金属ボールがカラカラと音が復活し出したあたりと、電池ボックスの蓋を強く締めたあたりで正常に起動しだしました。ですが、最初は、起動音が一瞬鳴って止まっていたので、起動スイッチの接点に接点復活剤を吹いて2,3回スライドさせてところで、定常的に無事起動できるようになりました。※なので、恐らく電源系の接触不良があったように推測します。

この時点では、傾斜センサーの金属ボール固着が復活した事象と起動スイッチの接触が回復した2つの事象で元のように起動しました。

さて、傾斜センサーについては、起動スイッチの接触を復活されたとしても、本体が横になっていると誤認してしまうので、どちらにしても頭部は開封して傾斜センサーを復活させる必要はあったのは確かです。今回は運よく頭部開封の振動で金属ボールが動き出したので、これはこれで運も良かったのかなとも思います。

傾斜センサー

ここまでの状態で起動し連結されたコードの認識も動作も問題ないので、数日開封のまま動作を確認し問題なければカットしたところに沿って接着剤を流し込み頭部を固定し修理完了です。