はたらく トーマス プリント基板パターン剥がれ修理

はたらく トーマス プリント基板パターン剥がれ修理

外来にて勤務しております、地域のおもちゃ病院でご依頼のあったはたらく トーマス プリント基板パターン剥がれを修理しました。

3つの押しボタンにて異なるおしゃべりやメロディがなるおもちゃですが、押しボタンを押しても鳴らなくなってしまったそうです。

調べてみると内蔵のプリント基板の電源の導線が半田付けされている箇所のランドが剥がれてしまったのが原因なのですが、途中不可思議な現象に遭遇したので、ご紹介します。

まず、本体開封後にプリント基板端まで電源が来ているかを確認し正常な電圧が上がっていることを確認しました。ですが、押しボタンを押しても音が鳴りません。

ん?ん?(。´・ω・)ん?

と悩みに悩んで、こういう場合はプリント基板を眺めるのが一番なのですが、眺めていると原因が分かりました。

プリント基板

電源の+側のリード線ががプリント基板端にある電源用のランドに半田付けされているのですが、リード線の負荷がかかったらしくパカパカと剥がれていました。

さて、このランドの剥がれが原因と結論づけましたが、実は開封時に電源にマルチメーターをあてて電圧を測っています。この時は正常な電圧値をさしていました。

あれ?ランドが剥がれていたのに電圧は正常って?変ですよね?

実は、ランドは剥がれていましたが、マルチメーターで測っていたのは、リード線上の半田部分なので、これではパターン剥がれか気が付きません。

さて、パターン剥がれによってCOB内のマイコンが起動できなくなっていると予想し剥がれたランドは取り去り電源を別の箇所からCOBに供給させます。また、画像からも分かるように、電源-GND間には、チップパスコンとリードの電解コンがついていいます。

ランド剥がれが原因かどうかを確認するため、半田付け前に指でパスコンランドに電源のリード線と電解コンの+を押し当ててボタンを押してみると、メロディが鳴りました。やはりランド剥がれが原因だったようですね。

ということで、画像のようにチップパスコンのランドに電源のリード線と電解コンのリードをまとめて半田付けします。ですが、押しボタンを押しても鳴りません。 ̄▽ ̄;

なんでだ?

もう一回半田付けを取り払い、指で押し当ててボタンを押すと、なんと!鳴ります!

指で押し当てると鳴るが半田付けすると鳴らないなんて、どういうことだ?

私の指は、神の指なのかもしれません。なんて。。。

この原因は直ぐ判明せず、地域のおもちゃ病院会場から持ち帰りで引き続き解析しました。

剥がれたランド付近を拡大鏡で確認すると原因がすぐわかりました。

2系統の電源経路

剥がれたランドは、COB側のみに供給されているとおもいきや、プリント基板上のシルクにも騙されたのですが、押しボタン側にもつながってしました。画像緑枠のところです。

指で押し付けた際は、運よく電源側にも押しボタン側にも押し付けられておりボタンを押すと音が鳴ったわけで、それをしらずに電源側のみに半田付けしてもCOBは起動しますが、ボタンへの反応はしないというメカニズムでした。チャンチャン♪

私の指は、神の指ではありませんでした。

さて、そうすると2系統に配線を復旧しないといけないので、プリント基板のレジストを剥がしリード線でプリッジさせて最後に電源のリード線を接続します。

ブリッジ半田

電解コンも半田付けしないといけませんので、カプトンテープで絶縁をしておきます。

今回は、プリント基板のランド剥がれによる故障でしたが、基板上のシルクにて断線経路がわからなかった事案をご紹介しました。

余談ですが、顔のついたプラレールや電車を全部トーマスと呼んでいたのですが、トーマスは一体だけで、それぞれ違う名前があるそうです。お子様からのご指摘をうけました。