すみっコパッド マイナーチェンジ版 USBコネクタ換装

すみっコパッド

すみっコパッド マイナーチェンジ版 USBコネクタ換装

すみっコパッドのUSBコネクタが破損してしまいUSBケーブルからの給電ができないでお困りという案件をご紹介します。

同様のUSBコネクタの破損修理は、以前換装修理を行った経験があります。

前回は、同じUSB Type-Cコネクタのまま換装しても同じように再度破損してしまうことを懸念しUSB Type-Aで換装をさせていただきました。

今回は、コネクタ外しで失敗する懸念があったので、USB Type-Aのコネクタに換装する案は撤廃し、電源基板を事前に用意し基板を丸ごと換装することで修理の完成度を上げようという作戦で挑みました。

ですが、作戦に失敗してしまいました。T_T;

まずは、電源基板を比較しましょう。

上:MC前換装基板、下:MC後USB破損基板

レジストの色はともかく、明らかにUSBコネクタの位置が違いますよね。

実は、すみっコパッドという商品をネットで拝見すると、いつも目にする青緑色の筐体色の製品と黄色筐体の製品を見かけます。

てっきり、同じ商品で色を選べるのだと思っていたのです。

※因みに、ピンク色もあるようです。

依頼の際に破損したUSBコネクタの口の画像を拝見した際に気づくできでした。

コネクタ口

明らかに青緑色のすみっコパッドに比べ手前に出ていますよね。

これは、恐らくUSBコネクタの破損事例が多いので際込みがより容易にかつ力がかからないようにするために手前に移動させたのだと思います。

従って、筐体の色をまとめると以下のような感じです。

MC前後
  • 青緑色のすみっコパッド・・・マイナーチェンジ前の初期版でUSBコネクタの口は奥まっていて良くコネクタが破損する。
  • 黄色のすみっコパッド・・・マイナーチェンジ後のすみっコパッドでUSBコネクタの口が手前に出て配置されている。

マイナーチェンジ(MC)後の筐体ですと、以前に施行したUSB Type-Aのコネクタへの換装も不可能となります。

破損箇所

さてさて、折角基板を用意しましたが、基板を丸ごと換装できませんので、仕方ありませんが、USBコネクタの換装を実施します。

以前は、ヒートガンで熱しながら剥がしていくという手段でコネクタを剥がしましたが、レジストの一部を焦がしてしまう事態に遭遇しました。

また、他のおもちゃ病院でのコネクタ換装事例を参照しても、コネクタ外しに際し失敗してパターンを剥がしてしまったという事例も散見されます。

一応、新卒の頃は自身で設計したマイコンの評価でこの手のQFP剥がしなどの経験はありますが、もうそのような技量も怪しくなっております。

そこで今回は、低温半田を使用して剥がしたいと思います。

この低温半田とは、通常の半田にビスマスなどのレアアースを混ぜることで融点をぐっと低くできるという代物です。

ですが、ジャンジャンと使えるような資材ではないですね。

まぁまぁお高いです。

事前にいくつかの同じUSB Type-Cのコネクタ外しで練習をしておきました。

さて、今回のMC後の基板でUSB Type-Cコネクタ外しに挑戦します。

コネクタ外し

結論から申し上げますと、失敗してしまいました。( ̄▽ ̄;

どっと汗がでました。

十分な半田を盛っておけなかったのが失敗の要因を反省しております。

電極の端子には、十分に事前に通常の半田を盛っておき、その半田に特殊ハンダが十分混ざるようにてんこ盛り混ぜ混ぜします。

ここで少しでもケチってはイケません。

自分は、これで失敗したと反省しております。

融点が、100℃以下に落ちるので余熱でも半田は溶けたままですが、コネクタのプラグシェルのツメが基板穴に引っ掛かりがあり、ある程度の力引っ張ることになるのですがその際に電極の半田が十分溶けていないとパターンが剥がれてしまいます。

ハイ、2本剥がしてしまいました。

TL3というテストポイントが出ているA8 SBV1のパターンとA1 GNDの2本を剥がしてしまいました。

パターン剥がれ

2023.7.7(金)追記

すみっコパッドのUSB基板のUSBコネクタの半田付けを外す点について見解が出ました。他のおもちゃ病院でも同じようなコネクタ剥がし失敗事例が多いのです。純正基板のUSB Type-Cコネクタのランド面積が小さいことが判明しました。基板の見た目ランドの面積も十分のように見えますが、このランド位置でコネクタを載せると、後述の説明のようにほとんどランドがコネクタの足の外に出ていません。

そうなのです。

この半田ランドは、リフロー用のランドなので小手先などをあてるようには設計されておりません。従いまして、低温半田を用いたとしても小手先が十分あたらず、そうすると低温半田も十分混ざりません。

従いまして結論としては、純正のコネクタを外して新品のコネクタに換装するという修理方法は、ほぼ確実にランドは剥がしてしまう可能性が高いです。


TL3の配線 A8 SBV1の信号は、実装後は使用されていないので、このままとします。

A1のGNDは、ランドの上部1/5が残っているので端子との間に半田を盛って接続させてしまいます。

今回も致命的なパターン剥がれではなかったので、このままコネクタを換装してしまいます。

で!重要な作業があります。

低温半田で剥がしているので、基板のランドに残留しないように、半田付けのランドに通常の半田を盛って吸引線で吸取っておきます。

自分、2,3回これを繰り返しました。

この残留の特殊ハンダを除去しないと半田付け部が脆く折角コネクタを換装しても何かの応力で半田クラックがすぐ入ってしまいます。

さて、コネクタの半田付けも、これもまたたいへんです。

見えません。(∵)

半田付け

端子が小さすぎますので、拡大鏡越しに半田コテを使用しますので、間違って頬を火傷しそうです。

無事換装

半田外しに失敗してしまいましたが、幸いに致命的なパターンではなかったので無事稼働できるようにはできました。

MC後のすみっコパッドも事前に基板を用意できるようにしておこうと思います。

動作確認

USBからの給電で起動確認を行い、またUSBケーブルで接続したパソコンからも保存されたデータにアクセスできることを確認できました。

以上で今回の修理は完了です。


届いたお品を拝見しましたが、修理前と変わらない様子で、修理の痕跡が分からないくらいで驚きました。

子供は届いた箱を開封するなりすぐに遊びたいと早速給電ケーブルからの給電にて電源を入れて夢中で遊んでおります。

今日に至るまで約3ヶ月ほどかかってしまいましたが修理受付していただき本当に感謝しております。

子どもの喜ぶ顔が何よりの証拠です。

修理依頼する決心をして、ご連絡差し上げて、それを受け付けて頂いて本当に良かったです。

そうでなければ今日このタイミングで夢中になって遊ぶ子供の姿には出会えなかったです。

今回修理いただいた場所が場所だけに、また壊れてしまわないか心配ですが、大切に使わせていただきます。本当に色々とありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~