古い置き時計

2003年の秋でした。

もう20年前になりますが、転職地が横浜に決まり急ぎ荷造りをしました。

目覚まし時計として、実家の部屋にあった置き時計を横浜に持って行った。

普通にどこのお店でも売っている置き時計で目覚まし機能が付いている。

まだ若かりし頃で朝は目覚ましナシでは、やや厳しいお年頃でした。

20年もの間のいろいろな出来事に立ち会った時計です。

実家に戻ることになった時も無事にそのまま持って帰ってきました。

が!

とある時に秒針がピクピクしたまま動かなくなっていました。

多分、落下の衝撃だと思う。

この手の修理経験があればご存知かもしれませんが、コイルを芯による電磁石の極をICで正確な間隔で切り替え、ギアのあるドーナツ状の磁石を刻々と回転させ秒針を刻みます。

壊れた当初は、修理に挑んだのですがギアのあるドーナツ状の回転体がピクピクとは動きますが、何か回転するというよりは何かに反応してピクついているような感じで故障原因がチンプンカンプンでした。

これは手に負えないということでそのまま放置して5年。

そのまま棚の上においてありました。

ふと止まったままのその置き時計が目に留まり再度原因解析に挑戦しようと分解しました。

ドーナツ状の磁石にギアのカバーに亀裂があります。

原因はこれだったようです。

カバーの亀裂で回転体の径が微妙に膨らみコイルの芯に干渉していたのと、回転体の重心も偏ったせいもあって正常に秒を刻むことができなくなっていました。

割れた箇所にサラサラ系の瞬間接着剤を垂らし、重心調整のため逆側にも同じ量を垂らし固めました。

固着後、亀裂で膨らんだ分をサンドペーパーで削りました。

さらに、以前修理した際に、安易に吹いてしまったシリコンスプレーの液体の残りをアルコールで綺麗に拭き上げます。シリコンスプレーの液体の表面張力でギアの回転が妨げられておりました。

アルコール洗浄と磁石カバーの補修で無事正確に秒を刻むことができるようになりました。

放置し止まったままの置き時計を眺めていると、何か申し訳ない気持ちになったままでしたが、無事可動できるようになり、また活躍してもらえます。