ボイスフォーメーションDXブイレックスロボ リモコン修理

赤外線のリモコンで変形や各種操作ができるヒーローもののロボットの修理依頼がありました。

半年前までは稼働していたということで中古で購入したが、購入時には既に故障で動かない状態だったようです。

リモコンの電池ボックスの液漏れを既に確認できており、依頼者様でリモコン内の液漏れの影響がありそうというところまでは確認できていました。

ご提示の画像です。

乾電池の負極からの液漏れで基板側にも腐食が出ていますね。

電源用のスライドスイッチも全滅のようです。

ですが、電極に盛った液漏れの粉をみると、半年前まで稼働していたということはなさそうですよ。

この塊の状態なら、少なくとも年単位で経過していそうです。

兎にも角にもお困りのようなので診断をしましょう。

この赤外線のリモコンです。

各動作ボタンに赤外線LEDと動作状態がわかるLEDとなんとマイクが付いています。

というのは、発声のパターンで操作するコマンドを設定するというもののようです。

後に分かるのですが、この声でコマンドを設定するというのは、マイクで拾った音声というよりは周囲の音によって、押しているボタンのコマンドが有効になるだけのようです。

2000年代の玩具でこの時代に音声認識のような仕組みを玩具に組み入れることは、恐らくできなかったと推測されます。

ではでは、内部を診断します。

地獄絵図

うあ”~~という感じですね。

液漏れの粉で各素子の半田部も腐食していそうです。

軽くブラシで粉を綺麗にするだけで、チップ抵抗や配線パターンもめくれます。

あ”~ですね。

200Ωのチップ抵抗が取れています。

後で分かるのですが、マイク端子の配線がめくれています。

電源用のスライドスイッチへの配線も全て取れています。

できる限りで綺麗にして動作できるかどうか確認します。

このような状態を?

ここまで綺麗にします。

取れたチップ抵抗は、リードの抵抗で代替えし腐食の半田はできる範囲で溶かし直ししておきます。

外部電源で赤外線LEDが反応するか確認します。

赤外線確認

うぉー!

とりあえず、何か反応してる!

うれぴー!

ではでは、リモコン側を組み立てて、ロボ本体側を操作できるか確認しましょう。

仮付けの抵抗を本付けします。

電池ボックスの電極が液漏れで腐食しているので外して綺麗にします。

負極の電極が完全に破損していたので、新品の端子に交換します。

接触の抵抗値も計測し確認します。

スライドスイッチも新品に交換し配線も一式交換します。

さーって、動作するかな?

ロボ本体側には、不具合はないと勝手に思い込んで動作確認をはじめました。

ろぼ本体は、電源を入れると、v

んんん、(´・_・`)

リモコンに全く反応しません。

ブォンブォン音が鳴りっぱなしです。

ブォンブォン音

何をどう操作しても、何も変わりないです。

おやおや、ロボ本体側にも何やら不具合が隠れていたのかもしれません。

というか、先のブォンブォン音が鳴りっぱなしが、納得いきません。

取扱説明書をみると、起動音が鳴りコマンド待ちになると、吠えるそうです。

この起動音が鳴るといういうのは、ブォンブォン音が鳴りっぱなしなのか分かりません。

電池ボックスを再確認すると、負極のバネに錆があがっております。

研磨して綺麗にしてみましたが、主原因ではありませんでした。

うーん、困りました。

とここで、商品到着時に足の稼働軸が抜けている事態を発見しハメていたを思いだしました。

ということは、もしかするとギア噛みなどでそもそもロボ静止状態の待機姿勢になれていないのかもと思いました。

ビンゴでした!

動画のブォンブォン音は、ロボ形態と恐竜形態の相互変形する際の変形音で、商品が届いた際に、輸送中の振動か衝撃で稼働部の噛み合わせに異常があり、変形途中をご認識したままだったようです。

原因を知ってしまうとわかるのですが、この状態が変形途中であるまでは流石に分かるはずもなく、結構な時間悩んでいました。

きっかけは、底面のタイヤをくるくる回したところぎゅーんとギアが回り変形の最後の締めまで動作したところで、先のブォンブォン音が止んだのです。

おや!?と思いリモコンで操作してみるとぎゃおーんと反応がしました。

この事態が分かるまで半日程かかりました。

さてさて、本体側のロボが待機状態になったので、リモコンの操作で動作をするか確認します。

動作確認1
動作確認2
動作確認3

動作するにはするのですが、肝心のマイクでコマンドを設定できません。

途中コマンドが照射されてはいる場面もあるのですが、マイクでの反応と連携が微妙です。

と、取扱説明書をみると、周囲の音が大きいとマイクの音声と誤認しコマンドを照射してしまうような記載があります。

なるほど、マイクは単なる音拾いで何を言っているまでは認識していないのですね。

でも、マイクで音自体も拾えていない位動画がおかしいです。

もう一度、リモコンの腐食部を目視確認します。

マイク線から伸びてチップコンデンサーにまでつながっている配線の途中が剥がれています。

J1シルクの恐らくテストランドがあった箇所が綺麗に剥がれて配線の途中が切れています。

おおお!

マイクが効いていない原因は、この断線ですね。

銅箔の上にのったレジストを剥がし余った線で接続しようと頑張ったのですが、液漏れの腐食であちこち脆くなっており周辺のパターンも簡単に剥がれるようになっています。

なんとか、半田付けできるようにギリギリの箇所で接続できました。

これでどうでしょうか?

動作確認

コマンドの操作ですが、マイクでの音声認識なしに即コマンドを送出できることがほとんどになってしまいました。

本来は、コマンド認識の待機状態にて、マイクに声を出しながらコマンド名の声だしするはずが、恐らくマイク回路の腐食や先のジャンパー接続で、常時コマンドを認識するようにマイクレベルが上がったままになってしまっているようです。

これはこれで操作はできるのですが、取り扱い説明書のような声によるコマンド設定にはなっていません。

ですが、リモコンの腐食基板の状況も考えると、ここまでの修理作業ができる限界のように感じます。腐食基板をこれ以上さわると、致命傷を与えかねないことを懸念すると、本来の操作手順ではありませんが、一連の操作ができる現状のままの方がよいと判断します。

依頼者様にご説明したところ、ここまでの作業で終え返送することで合意できました。

液漏れの腐食の状況を目視した際は、これはもうどうしようもないかもしれないと悲観的になっていたのですが、一連の操作ができるところまで何とか復帰できたのは良かったと思います。

ロボ形態から恐竜形態にまで変形する動作がカッコいいですね。

また、パンチやミサイルがリモコンで飛ぶのもいいですね。

私世代では、一度飛ばしたパンチは直ぐ無くなり、皆おもちゃは手のひらがないとい人が多かったですね。


問題なく動きました! 修理の内容や動作の動画など分かりやすくご連絡いただいたおかげで安心してお任せできました。 治していただき本当にありがとうございます。

~依頼者様のご感想より~