DWE アナログプレイメイト修理

DWE アナログプレイメイト

DWE アナログプレイメイト修理

乾電池でもACアダプターでもカードが自走せず、もちろんですが音も鳴らないということで修理の依頼がありました。

どちらの電源でもうんともすんともということなので、事前のヒアリングでカードを差し込んだ時に本体内部でモーターの回る音がしているかを確認してもらったところ、まったくしていないとのことなので、電源系の不具合があると思われます。

ですが、製造から数十年経過もしているので、ゴム系部品の劣化もしているだろうから、電気系の故障修理とゴム系の劣化部品の交換作業になるのかなと推測されます。

まず、ACアダプターを調べます。テスターで電源を計測しますが、まったく上がっておりません。指でDCプラグの付け根とかコネクタあたりをいじっていると導通するので、プラグの樹脂内で断線しています。樹脂内部ですと、切り開くことになり、以降の使用時のプラグの強度も考えるとDCプラグを新品に交換した方が良いので交換をします。

断線
断線箇所

半田箇所が取れておりますね。新品に交換をしますが、この新品のDCプラグですが、汎用品のためツマミ部分がねじ込み式で取れやすいです。また、ケーブルが細いと曲げ部分がガバガバになり、金属疲労でまた直ぐ断線してしまいます。

2層構造

そこで、プラグ内部は、ケーブルと接続後に接続弾性のエポキシ接着剤で充填し固めます。また、ケーブルの曲げ部分もガバガバなのでここも弾性のエポキシ接着剤で充填した後、収縮チューブで覆います。そうしないと、はみ出したエポキシ接着剤がねばねばします。

半田付け

まずは、ケーブルを剥いて綺麗に半付けし留めます。

1段目

次に半田付け部を収縮チューブで覆います。これで1段目完了です。次に弾性のエポキシ接着剤を収縮チューブの回りとネジ部に塗りDCプラグのケースをねじ込みます。

曲げ部

曲げ部にもエポキシ接着剤を追加で押し込み固まり始めたら収縮チューブを被せます。

完成

DCプラグ内部を弾性のエポキシ接着剤で充填しているので強度的には抜群ですが、プラグ内部で断線が再発した場合は、同じように交換することになります。

作業の途中途中で電圧を測り作業ミスが起きていないか確認しながら作業を行います。でないと、接着剤が固まってしまい、最後の最後でミスに気付く事態ではやり直しが効きません。

次に本体開封してその他を診断します。

長ネジ位置

本体を開封する際、このアナログプレイメイトには、長さの違うネジが使用されております。長めのネジは、電池ボックスの蓋側の2箇所が長ネジで留められております。

電池ボックスの錆

乾電池を挿入して電圧を計測すると約1V程、この錆で電圧降下を起こしておりました。バネを迂回させ負極を導通させると、無事稼働するので、乾電池でも動かなかった原因は、この錆でした。

さび

ルーターで綺麗に研摩し接点復活スプレーを吹いておきます。

研摩後

電池ボックスに液漏れの跡があったので、この錆の原因は、液漏れだったのかもしれません。

電源系の故障は、原因が直ぐわかり対処できました。モーターも回り始めました。

次に懸念されるゴム系部品の状態を確認します。

ゴムベルト

ゴムベルトが溶断していますね。

過去の修理事例でも同じですが、経年するとゴムベルトが溶断して方々に粘着します。

粘着ゴム

まぁまぁのレベルですが、アルコールでサクッと綺麗にします。

ですが、今回はプーリーに溶けたゴムの成分が表面に張り付いて、アルコールでも、IPAでもフラックスクリーナーでもパーツクリーナーでも落ちません。

落ちない汚れ

そこで、真鍮製のプーリーですので、ピカールで研摩します。

激落ち
ピカール

やはり綺麗に落ちますね。ピッカピカです。

しかし、このピカールですが、磨いた後は残留の研磨剤を綺麗に落とさないと交換したゴムベルトに粘着するので、アルコール拭きは入念にします。

アルコール洗浄

その他の稼働部も綺麗にアルコールで洗浄しゴムベルトを交換します。

リチウムグリス

プーリーと位置決めの金属球は、例のリチウムグリスを塗布しておきます。理由は、過去修理事例のこちらを参照。

ゴムベルト交換

ここまでで、電源系とゴムベルトの交換が完了し、ひとまずカードが再生できるまで完了しました。

ゴムローラーも劣化はありますがカードを自走させるだけの摩擦は残っております。

ここからは、必須ではありませんがオプション的にゴムローラーの表面研摩をします。

ゴムローラー

手前が、録音用のローラーで奥が再生用のローラーです。録音用のローラーを外す際は、注意が必要です。録音用ローラーは、カードを戻す際の逆回転用のローラーで、外し戻す際に軸位置が低すぎるとフライホイールに干渉しガリガリというノイズがしますので、ゴムローラー軸先端と面一で合わせます。

M2ネジ

今まで診てきたプレイメイト全てなのですが、録音用のM2ネジが、付いていません。

これは、元々なのかどうか不明なのですが、修理毎にM2のネジを取り付けておきます。

恐らく逆回転とかする際の振動で緩み取れてしまうのでしょうね。

表面

酷い固化ではないので、このままアルコール拭きでもよさそうですが、念のため表面をサンドペーパーで研摩しざらつかせます。

これで幾分かは凹凸ができ食いつきが良くなります。

今回は、同封カードの1枚が部分的に避けておりましたので、そこも補修をして修理完了です。


早速孫が楽しんでカードを差し込んで遊んでおります。

孫と一緒にママも自分の子どもの時に戻ったように 一緒に楽しんでいる姿を見てほっこりしております。

30年前のものが今もまだ子供たちを笑顔にしてくれる。 とても嬉しく思います。

公式サイトで問い合わせしましたが修理不可能と連絡があり、 諦めていたところ、おもちゃ病院さまのサイトを知りご連絡させていただきました。

いつまでも大切に使っていきたいと思っています。

このような活動をされている事に感動し 丁寧で迅速なご対応に心から感謝しております。

~依頼様のご感想より~