タカラトミー ディズニー ワンダートイパッド2 クリスタル交換

ワンダートイパッド2

タカラトミー ディズニー ワンダートイパッド2 クリスタル交換

知育玩具に使用されている4.3インチのタッチパネル付き液晶の互換性について調査した記事をこちらのスタッフブログに掲載した。

その互換性確認用として、フリマに動作がと~っても遅いというジャンク品が、格安で出品されていたので、購入してみました。

クリスタルの発振不良であることは、容易に推測できます。タッチパネル付き液晶は無事とのことなので、タッチパネル付き液晶の互換性確認が、第一の目的でしたが、修理もできてしまったので、その記事を共有したいと思います。

本来は、部品取り品なので修理を目的にはしておりませんでしたが、ドクターの性なのか修理してしまうんですよね。。。

まずは、こちらの一分半ほどの動作の様子をみてください。

おっそーい!

笑っちゃうくらい、動作が遅くて、音声もゆっくりになっていますね。

開封してクリスタルの発振状況を確認しましょう。

クリスタル

基板のフラットケーブル横にありますね。シルクには、Y1のみの記載があります。

で、発振状況をオシロで確認します。

220.932KHz

あらららという感じでしょうかね。

周波数のオーダーが、KHzであるのと、レベルもおかしいし、実は周波数を立ち上がりエッジのトリガでキャプチャさせていますが、すごく不安定でした。

動作が遅い原因は、このクリスタルの動作不良でしたね。

ドラえもん カメラでひらめきパッドの基板では、6MHzのシルクもありました。

ですが、ワンダートイパッド2の基板には、そのシルクの記載がないので、クリスタルを外して目視確認しましょう。

6MHz クリスタル

使用しているマルチメディア用のSoCは、そうそう違いものを使わないと思うので、同じ6MHzの外付けPLL回路ですね。

でさらに、6MHzのシリンダー型のクリスタルの手持ちがありません。

ですが、こちらのスタッフブログで考察した際に液晶を取り除いた、ドラえもん カメラでひらめきパッドが、2台あります。今回はこのジャンク品からクリスタルを移植してみます。

スルーホールの半田吸い取り

いきなりですが、スルーホールとVIAの違いって皆さん知っていますか?

スルーホールとは、リード型の素子を基板貫通穴に差し込んで半田付けする時の穴で、VIAは、基板の配線層間の接続に使われる穴の場合にこう呼ぶそうです。どちらも穴をあけてメッキするのですが、こういう呼び方の違いがあるようです。

今まで、意識しく区別していたのではないのですが、私も注意して呼ぶことにします。

さて、部品時の基板から外したクリスタルを取り付けます。

6MHz クリスタル取り付け

注意ですが、前述の画像はクリスタルを寝かしつけて固定していない画像になるので、基板に並行してに密着させ接着などで固定してください。

無事に正常動作に戻りましたね。

今回のワンダートイパッド2は、依頼者様からの修理依頼の案件ではないので、4.3インチ タッチパネル付き液晶の部品取りとして保管しようと思います。


東芝 ブルーレイ ハードディスクレコーダー D-BZ510 wait故障と電源入らない故障修理

D-BZ510

東芝 ブルーレイ ハードディスクレコーダー D-BZ510 wait故障と電源入らない故障修理

おもちゃ病院での修理という方向性が異なりますが、お子様の記録映像を救出したいという事態とのことでした。

同機の修理依頼が多くなってきましたので、有料修理案件として常時受け付けするようにしました。お困りの方は、お問い合わせフォームより、家電/急患等(有料)をお選びいただき、お申し込みください。

さて、今回の症状も電源投入後にwait状態からすすまず電源が切れてしまうとのことです。

電源回路の容量抜けの電解コンデンサーを交換します。

ブルーレイディスク

ふと気づくのですが、ブルーレイディスクドライブの電源ケーブルが基板に噛んでおります。このような設置では、ケーブルの断線が起きてしまいます。

うーん、いい加減なハメ方ですね、製造担当がミスったのでしょうかね。。。

ジャンパー線

目的の電解コンデンサー周辺のジャンパー線も曲がってる。

何か怪しいぞ!

電源基板を外します。

電源基板

電源基板の外し方は、過去記事を参照ください。

ではでは裏面っと。

え”-!

作業痕

既に交換した痕があるじゃなの!?

1次側の電解コンデンサーが既に交換されたであろう痕があります。

今回のwait故障は再発なのでしょうか???

チェックマーク

マジックペンで、2次側の電解コンデンサーにチェックマークが入っているので、このマークも何やら過去がありそうな雰囲気がプンプンしますね。

疑問は尽きませんが、作業は粛々とすすめます。

交換完了

取り外す際は、基板のベタGNDの熱容量を考慮して、半田ごての温度は高めで溶かし外します。逆に取り付ける際は、熱し過ぎると基板のパターンを剥がしてしますので、適温でパパっと作業をします。

組み立ては、分解と逆の作業を行い電源投入確認をします。

録画番組一覧

無事電源も入り、録画番組一覧が確認できました。

ブルーレイディスクドライブの再生確認も行い修理完了です。


後日談1となります。

電源投入からの起動までは回復できたのですが、返却後ご使用の最中に突然電源が落ちてしまう現象が発現しました。wait起動故障とは、別のあらたな故障現象のようです。

返却後、普通にご使用いただいていたのですが、約2週間程したところで発現したとのことです。

再診察のため再度送付いただき診察を開始しました。

交換をした電解コンデンサーの部品の初期不良かもと心配したのですが、一応取り付けるまでにはチャックはしているので稼働中の故障とは考えづらいです。

早速、取り外し部品をチェックしますが、目視これといった不具合はないです。

目視確認

膨れや液漏れ、焼損などありません。

部品チェック

うーん、そこで念のため他メーカーの電解コンデンサーに再度交換し、稼働テストをしばらく行おうと思います。

ルビコン製 電解コンデンサー

とここで、基板を取り付ける際に電源が入らない現象が起きました。

ん、ん、ん、早速あらたな発現かもと、これでは稼働テストもなにもできないので、基板をチェックします。

1次も2次側も電解コンデンサー端での電圧も正常に出ています。

基板間のソケットを抜き差しをしてみると、なぜか電源が入るようになりました。

今回の故障の一端がみえたのかもです。この点は、記憶に留めておきます。

ちょうど、サッカーのワールドカップ期間中でしたので、主様に許可をいただき番組の録画と再生を確認します。

イングランド vs セネガル

2時間程の録画番組の再生もイングランド戦の録画も再生も問題ありません。

もちろん、操作中に電源が落ちるような現象も起きません。

このような通常使用を約1週間経過したところで、操作中に電源が突然落ちる現象が発現しました。

発現すると、電源ボタンが効かなくなり、全くのうんともすんともな状態です。

もちろんですが、基板を再度外し電源を確認しても給電は正常です。

その他基板構成

いろいろ現象を調べると暫く時間を置くと復活し、しばらく稼働しても突発的に電源が落ちようになりました。しかも、落ちる頻度の間隔が日に日に短くなっています。

もうこうなると、メンテナンスマニュアルや設計仕様書でもない限りは原因を究明できないです。例え、原因究明できたとしても修理できるのかも不明ですね。

そこで、依頼者様と相談の上、今回は大事なプライベートデータのダビングを最優先とし、電源が付く間に急ぎダビングをしてしまいます。

ですが、またしてもここで問題が発生しました。

フォーマット不可

BD-Rがフォーマットできない!

BD-ROMの再生は問題ありません。(T_T)半分泣きそうになっておりましたが、横にあったBD-REが目に留まりました。(∵)

ダメ元でやってみるかとフォーマットしてみると、みごと成功しました。

D-BZ510の故障記事をネット調べてみると、この手の故障も多々目にします。

レーザー出力が弱っているのでしょうか。。。

さーて、ここでも仕方がないので、BD-REにダビングしてしてしまいます。

総数10枚、1枚あたり5時間程で、プライベートデータなので、通常再生速度でのダビングになります。

最初の数枚は、電源が落ちることもなくダビングできていたのですが、枚数を重ねるごとに電源が落ちるようになり、次第には毎日電源が落ちるようになりました。

かなり状況が悪化しております。

もう、半泣きしながら電源が落ちたら、しばらく時間をおき、ダビングを続けておりました。

ダビング開始から約1週間、やっと45時間のダビングが完了しました。

大事なお子様の記録データということでしたが、無事救出できました。


後日談2

後日談1では、プライベート動画をダビングしお返ししたところまでを紹介しましたが、本機の原因をその後も解明を続けており原因も無事判明し修理回復できました。

Wait点滅故障ではなく電源自体が全く入らない故障の原因は以下となります。

ディズニー マジカルスマートノート タッチパネル液晶割れ交換

マジカルスマートノート

ディズニー マジカルスマートノート タッチパネル液晶割れ交換

ディズニーのマジカルスマートノートというタッチパネル液晶が付いた、いわゆる知育系のタブレット型のゲーム機です。

以前、アンパンマン すくすく知育パッドと同類の操作パネルと描画は、タッチパネル付きの液晶で機能させる代物となります。

今回のご依頼は、あやまってリモコンを本体に落としてしまい液晶を割ってしまったとのことです。

厳密には、液晶の上にあるタッチパネルのみが割れており、液晶の描画は問題ありませんでした。そのため、タッチペンでの反応が機能しません。

セガトイズ様でも既に製造終了で修理もしておられないとのことで、たいへんお困りとのでご依頼がありました。

アンパンマン すくすく知育パッドでのタッチペンと液晶の交換では、交換できる新品のタッチパネル付きの液晶が通販で入手できるのですが、新品では送料を含め部品代が高額になるので、稼働中古品の市場価格とご予算との兼ね合いになろうかと思います。

今回は、事前のご相談で、交換修理可能であれば、入手できる中古品からの移殖でということでご希望を伺っておりました。

まずは、現状を確認しましょう。

割れ

タッチパネルには、表面にガラスの飛散防止のため1枚のシートがあり、その奥にタッチパネルがあります。電源を入れ液晶の描写はしているのですが、タッチパネルが一切反応しません。タッチパネル付き液晶丸ごとでの交換以外には修理は難しいですね。

サイズ採寸
サイズ採寸

描画のサイズ的には4.3インチでほぼ間違いなさそうです。

では、交換を前提に搭載されているタッチパネル液晶のサイズと規格を調べます。

40pin フラットケーブル

開封すると、やはり見たことのあるケーブル規格ですね。恐らく、アンパンマン すくすく知育パッドやドラえもん カメラでひらめきパッドと同じ4.3インチのタッチパネル付き液晶と思われます。次に、液晶サイズを確認するため、取り外しますが、これが厄介でした。

すくすく知育パッドやカメラでひらめきパッドでは、本体内部に液晶や基板を固定する内部の筐体が別個に設計装着されており、その筐体を外すことで液晶も外せるようになっております。

ですが、このマジカルスマートノートは、本体内側からは液晶を取り外せない構造でした。

内部

ほら、液晶モジュールは、表面からはめ込みされているので、表面を分解しないとイケません。因みに、このマジカルスマートノートの電源は、リポの充電式で乾電池式ではありませんでした。やはり、直ぐ乾電池が無くなるのは、不評だったのでしょうね。

リポバッテリー

では、表面を確認します。

化粧シール

当初は、まったく気づかなかったのですが、表面のキラキラの化粧シールを液晶全体を覆う保護パネルと誤認しておりました。

誤認仕様

化粧シールをタッチパネルの面一のように感じたのでタッチパネルの上に、ある程度の厚みのある化粧パネルのプレートが覆っていると思い、割らずに剥がせるかかなり心配しておりました。

化粧シールの端

化粧シーツの端もピタッとくっついていたので、無理にこじって剥がすとパネルを割ってしまい、タッチパネル液晶を交換してもほぼパネルを割ってしまっては元も子もないです。

無理に抉る前に、化粧パネルを割ってしまうかもしれないといリスクに関して、ご依頼者と入念にインフォームドコンセントを行っていました。最終的には、割ってもいいのでという承諾をいただいたのですが、要らぬご心配をかけてしまったと反省しております。

本記事をご覧のドクター各位におかれては、マジカルスマートノートの液晶周辺のキラキラ部は、単なる化粧シールなので、割けないように慎重に剥がすだけで大丈夫です。

剥がす

一応ですが、強力両面テープとプラスチック製のツメ、ドライヤーを用意しましたが、どれも全く使いませんでした。

剥がし

化粧シールの端を鋭利なツメで抉ると剥がれてきます。こんな感じです。

粘着もそれほど強くありませんが、心配な場合は軽くドライヤーであたためながら慎重に剥がします。

剥がし
再利用

無事綺麗に剥がせました。早速、サイズを測ると、入手可能な4.3インチのタッチパネル付きの液晶でした。これで、中古品から移殖が可能と判断できました。

フリマアプリにて、物色していると、運よくご予算以内の、ドラえもん カメラでひらめきパッドが出品されているので、これを入手しました。

ドラえもん カメラでひらめきパッド

このカメラでひらめきパッドは、こちらのスタッフブログでも考察しているとおり、アンパンマン すくすく知育パッドなどでも流用可能で、今回取り付け可能が確認できた場合は、マジカルスマートノートでの流用の可能と判断できます。

まぁ、この手の部品は専用設計などもしないと思うので、各社同じ液晶パネルを使用しますが、新型だと5インチになっていたりもしますから、流用はいろいろ確認いないとイケなないです。

ドラえもん カメラでひらめきパッドは、サクッと取り外せます。

移殖用の液晶パネル

中古品なので、擦れ傷もありますが概ね良好です。

次に、マジカルスマートノート側の液晶を外しますが、これも厄介でした。

強固に両面テープで液晶の裏と筐体が張り付いています。

抉る

既にタッチパネルは割れているから、えいやっとやってしまってもいいのですが、ガラスの飛散と、液晶の描画事態はまだ正常なのでここは、慎重に剥がします。小さいマイナスドライバーを差し込んで隙間にドライバーで熱風を吹き込んでは剥がすと繰り返します。

両面テープ

2列で両面テープが張り付いています。

糊とり

残った両面テープの残骸糊を綺麗にしておきます。

準備完了

ここで、やっと交換の準備完了しました。

長かった。

交換できる液晶のサイズ、規格の事前調査、作業の承諾許可。

流用するジャンク品探しと入手とマジカルスマートノートでの修理記事がインターネット上にないので、手探りで進めてきました。

取り付けて動作確認をします。

描画

描画問題なしですね。タッチパネルでのタッチペンへの反応も問題ありませんでした。

では、両面テープで固定します。化粧シールも綺麗に貼りなおしておきます。

両面テープ

フラットケーブルもカプトンテープでコネクタに固定します。

カプトンテープ固定

問題なしですねと思いきや、カメラでの撮影がピンボケしています。

ピンボケ

原因は、カメラレンズ保護用の透明なシールが歪んでいるためでした。

保護シール

指で押し込んでしまったような凹みもありますね。

裏側から

中央に濁りが出ています。恐らく押し込んだ際に凹んでプラスチックの透明部分に細かいひび割れが入り濁ったのでしょう。本体カバーを外して撮影すると綺麗に撮影できます。

ひび割れした透明なプラスチック部分は、もうどうしようもないので、シールを剥がしておくことでご依頼者様と合意できました。

事前調査など、いろいろと手こずりましたが無事稼働できるところまで修理できました。


どこにお願いしても修理不可能と言われ、もう捨てるしかないのかな…と思っていたので本当にありがたいです。

対応もとても丁寧で、こまめにメールもいただけたので進捗がわかり安心してお願いできました。

受け取った子供も大喜びで遊んでいます。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

アンパンマン ワクワク クレーンゲーム LED電飾とモーター修理

ワクワク クレーンゲーム

アンパンマン ワクワク クレーンゲーム LED電飾とモーター修理

今回は、地域のおもちゃ病院で外来診療した修理案件となります。

NEWじゃない旧式のアンパンマン クレーンゲームで筐体が赤となります。製造のデートコードは、2013年を挿していました。新型は、緑色のクレーンゲームですが、既にそのマイナーチェンジ版も発売されているようです。

旧式のクレーンゲームの特徴は、前面のパネルにLEDの電飾があるのと、天井にカプセルを入れることのできる煙突があります。クレーンゲームとしての機能としては、ほぼ同じなのですが、カプセルをキャチできない時は、残念のファンファーレは鳴らず、そのまま静かに時間切れになるだけでした。

さて、今回の故障の症状は、パケットの上下がしないのと、クレーンの移動も横移動ができないそうです。

ですが、持ち込まれた時の動作確認では、旦那さんがデモをした際は、横移動はできていたのですが、奥様がデモをされた際は、前後移動のみという、不安定な故障でした。

うーん、不安定となると、また厄介ですな。

当日中の作業完了は、難しかったので入院持ち帰りで解析をしました。

解析をすると、横移動ボタンを押すと、移動しようとビクッともせず、ボタンの押下と同時にボタンから手が離されたように押下解除されてしまいます。

また、パケットの上下もウィーンと音はしていたので、指で鎖を持ち上げたりしてみると、今度は動き出しました。

と、そうこういろいろいじっていると、今度は全てのモーターが動きだしてきました。

モーターのグリスの固着か何かかなぁ?

と、ふと前面パネルのLEDが半分点灯していないことに気づきました。

半分しか付かない

おやおや半分しか点灯しないですね。

分解ついでにLEDの基板を眺めると、消えはじめている箇所のLEDに修理痕がありますね。

プリント基板のパターンが剥がれていてLEDの片方の足で再半田されています。

修理痕

と詳しくみてみると原因は判明しました。

剥離

LEDのカソード側が剥離していました。で、剥離した箇所でカーソードとの導通はもちろんですが、パターン配線も断線してしまっていたので、このLED以降のカソードには、接続されていないため、点灯しないことになっていたわけでした。

お子様がこのLEDを指で押してしまったのでしょうかね。

さて、プリント基板のパターンが剥離してしまっているので、お隣同士のカソードをブリッジで接続します。でさっそく、余ってカットしたリードの足が沢山あるのでそれでブリッジをしました。

ブリッジ

こんな感じでブリッジさせたのですが、このブリッジの方法ではダメでした。

というのもこのプリント基板は、天井の筐体にすっぽり密着して挿入することになり、LED間に抑えの支柱があるので、リード線をブリッジさせると、支柱に干渉して基板が入らなくなります。そこで、ブリッジのリード線を基板側面に移動して接続するようにしました。※画像がなくてすんません。

こんな感じ

無事LEDは全て点灯するようになりました。

さて、回り道をしましたが、クレーンの移動故障に戻ります。

いろいろ調べていて動くようになってしまったのですが、モーターのグリスの劣化が原因の有力候補です。

特に、長期間保管した際、よくモーターが動かないことがあるのですが、軸を回してあげると動き出した経験ありませんか?→おもちゃドクター各位

ということで、横、前後、上下移動用のモーターを外しコミテータとブラシの状態を確認します。

横用モーター
横用モーターとストップスイッチ
上下、前後用モーターギアボックス

既に若干動き出しているのですが、たっぷり塗られたグリスがコミテータとブラシの間に入り込んで導通不良を起こしていそうですね。

変色し固化
劣化

この古くなったグリスをパーツクリーナーで綺麗に洗浄しタミヤのブラシ用グリスと塗布します。

これで仮組し動作を再度確認すると、あっと驚くような快適な回転と反応になりました。

当初は、何かもさっとしていたのですが、機敏に反応し快適になりました。

洗浄後のコミテータ

さて、モーター分解のコミテータを見ると、ほぼ新品なので、使用せず長期保管をしていて、あらためて使おうとしたら動きが変という感じだったのだと思います。

ブラシの擦れ溝の欠片もないです。

クレーンの動きがもっさりとしていたり、不安定だった場合は、モーターのグリスの劣化を疑ってみてください。※もちろんですが、乾電池の容量はいの一番に確認してくださいね。


ナイトライダー USBシガーソケット充電器

ナイトライダー風 電飾
裏面

ナイトライダー USBシガーソケット充電器

玩具ではありませんが、有料での修理のご依頼がありましたので、修理記事としてご紹介します。※残念ながら修理は不可能でした。

アメリカのドラマだと思うのですが、ナイト2000という車に乗ってなんかしているドラマだと思います。※すみません、よく知りません。

その車には、人工知能的なシステムが組み込まれていて、キット(KITT)と呼ばれ、主人公の相棒となり悪を懲らしめる正義の味方(!?)だと思います。^^;

今回の商品は、その車の電飾を捩ったのだと思いますが、車のシガーソケットに差し込んで、エンジンを掛けた際の効果音や電飾効果と上部の押しボタンで11種類の音声も楽しめるとのことです。もちろんですが、商品がUSB充電器で側面に1.0Aの口が2ポート実装されています。

USB充電口

さてさて、故障の症状は、エンジンの起動時およびボタンの操作でも音が出ないとのことです。

車載用の電飾ですが、安定化電源で12Vを印加しますが、故障対策で安全のため電流は、300mAでリミットを掛けておきます。

12V印加

早速動作確認をしてみると、筐体周辺のLEDは点灯しますが、起動時の効果音も押しボタンへの反応もありません。

押しボタン

押しボタンの接触も導通状況も問題ありません。

因みに、正常時の動作は、YouTubeに動作時の動画上げて居られる方の動画を確認しました。

参考動画

仮面ライダーのベルトもそうですが、ファンにはたまらないのはないでしょうか。

※””私はナイト2000だ”、”異常な振動を察知した”etc…トーキングウッディのようだというと怒られるのかも。。。

本題ではありませんが、周辺のLEDが1個点灯していないので、半田付けし直したら点灯するようにはなりました。

半田不良

さてさて、どうしたもんかと悩んでおりました。

全くのウンスンであれば、シガ―ソケットのヒューズ切れや断線を疑いますが、部分的なLEDは点灯しております。

ここで基板上の電源回路を整理します。本機の機能を大きく分けると3ブロックとなります。

  1. 常時点灯LED・・・5V系
  2. 音声や電飾制御・・・3.3V系(シーケンス制御マイコン COBパッケージ)
  3. USB充電・・・5V系(VBUS)

この状態で電源の供給状態を確認すると、自動車の12V電源を2系統に減圧しながら分岐されておりました。

と!ここで、基板中央部のCOBに供給されている5.0Vを3.3Vに減圧している、LDOが異常加熱しております。型番は、ME6208Aです。

ME6208A

早速電圧を測ってみると、VINは、5.0V印加されておりますが、VOUTは、1.2V程しか出ていません。

おおお!

制御マイコン用の3.3Vが上がっていないばかりかLDOがチンチンになっています。

ユメルの時同様にLDOの故障で3.3Vの給電ができなくなっていそうですね。

原因はこれだ!(と思っていました。この時は。)

USB充電側の5.0Vでは、CP1504なる給電ICで12Vから減圧された電源が正常に給電されておりました。

CP1504

ではでは、3.3Vの給電を正常にすれば動作するんじゃね的に考えていました。

異常加熱のLDOは、ME6208AでVINのMaxが18Vまで印加できる高耐圧仕様です。

ですが、今手持ちは、XC6206AとME6211Aの2種しかありません。このどちらもVINが、6V程度の仕様となるので、安易に交換はできません。そこで、回路図を起こしてみました。

電源回路図

既にこたえを記入しちゃっておりますが、ME6208Aの役目は、CP1504で減圧された5.0vを3.3Vにさらに減圧するためでした。従いまして、VINのMaxは、6.5V程度でも十分なので、XC6206Aで仮試験をしてみます。因みに、安全のために電流は300mAで制限を掛けます。

6208Aと6206A

早速、XC6206Aに交換をしてみると、挙動が変わりました。うんともすんともではありますが、安定化電源の電流が制限されました。過電流が流れていたようで検知し電流を制限しています。LDOの異常加熱はなくなりました。

先の6208Aが異常加熱していた際は、130mA程流れていたのですが、XC6206Aに交換した場合、主電源の電流が300mA以上にまで増えたことになります。

おおおと直ぐさま電源を落とし追加の確認を考えます。

交換したLDOが、適切でなかったのかもしれので、それならば3.3VをGND共有で別途外部から安定化電源で給電することにしました。こんな時2系統ある安定化電源が役立ちます。

ですが、やはり電流制限でリミットが掛かります。

この症状は、3.3Vを単独で印加しても変化ありませんでした。

ここで再度整理します。おなじみのひとりブレスト。

  • 主電源12Vを与えて電流制限が起きる。
  • LDO後の3.3Vを別経路で与えても電流制限が起きる。
  • 3.3Vのみを単独で与えても電流制限が起きる。
  • 若干だがCOBが暖かくなっていた。

恐らく、届いた時点で既にCOB内のICには電流リークのパスが存在しており、このリークがそもそもの原因であった。

この電流リークが原因で、3.3Vを生成し給電するLDOにも負荷がかかり、直ぐ破損したが、故障モードが内部で高インピーダンスになったため、主電源の過電流は抑えられ、代わりにLDOは異常加熱をしていた。→当初観測した事象

XC6206Aに交換すると、LDO内の高インピーダンス状態は解消され3.3Vは給電されるようになったが、COB内の電流リークはそのままなので、今度はCOB側が過熱され始めた。

という経緯と推測しました。

どちらにせよ、基板上のLDOからの給電でも外部からの給電でも過電流という事態なので、どちらにも共通するCOB内の電流リークなのでしょう。

もうこうなると手足も出せませんので、残念ながらCOB内の電流リークによる故障で修理不可能と判断せざるを得ないです。

USBポートの充電機能は使用できるので、異常加熱のLDOは除去しておきます。


東芝 ブルーレイディスク ハードディスクレコーダー D-BZ510 修理

D-BZ510

東芝 ブルーレイディスク ハードディスクレコーダー D-BZ510 修理

玩具ではありませんが、以前スタッフブログに修理記事を掲載した際に、たいへんお困りの方からの修理依頼がありましたので、有料修理という前提で修理を承っております。

さて、東芝製ではありますが、船井電機様のOEM品でwait点滅故障のため、容量抜けの電解コンデンサーを交換します。

2011年製

既にメーカー様の修理受け付けも終了しております。まずは、蓋を開け内部を確認します。

内部

SATAのHDD 320GBとブルーレイディスクドライブと基板類と電源やチューナー類ですね。

320GB

因みに、容量アップもHDDのお代をご負担いただければ換装も承っております。ただし、録画番組の移動はできませんのであしからず。

けど、本体内部の埃が、、、こういう時は、エアダスター!※ドラえもんのような言い方で。

エアダスター

かなり重宝しています。自作PCの本体内部などの埃飛ばしにも大活躍です。

使用前

ほら、埃を吹きとばすとかなり綺麗になります。

使用後

電源基板に鎮座している三棟の電解コンデンサーを交換します。HDDを外して前面パネルも外します。前面パネルを外さないとB-CASスロットが電源基板に干渉して外れません。

電源基板
B-CASスロット

まず、SATAのHDDドライブと台座を外したところです。次に前面のパネルを外しと電源基板が外せるようになりますが、ここで注意です

ブルーレイディスクドライブ用の電源ケーブルが、ブルーレイディスクのフラットケーブルに干渉しています。無理にこじるとケーブルが損傷するので慎重に外します。

干渉部

心配であれば、ブルーレイディスク側のフラットケーブルも外してもいいです。

で、電源基板をメイン基板間もコネクタで接続されています。

コネクター抜き

コネクター抜きでサクッと外します。これ、かなり重宝しますよ。

最後に電源ファンにある黒いカバーを外してやっとですが、電源基板を外せます。

電源ファンのコネクターは、元に戻す際に忘れずにコネクターを戻してくださいね。

サクサクッと電解コンデンサーを交換します。

半田を溶かして外しますが、平滑用の電解コンデンサーの負極側がサーマル接続されておらず、電源基板のGNDとの熱容量が大きいです。溶かすだけなので、半田コテの温度は400℃にして溶かして抜きます。

ネットDIYの方でこの半田作業にチャレンジされた方のブログでは、なかなか溶けず強引にこじったら配線パターンが剥がれ修理不可能になったという事故を拝見しました。

ベタGNDの端子と溶かすには、それなりの経験が必要と思います。

サクッと抜いて交換します。電解コンデンサーの容量と位置、極性はメモや写メでも撮影して間違わないように注意してください。

交換前
交換後

交換する電解コンデンサーは、容量と耐圧はもちろんですが、温度範囲も気をつけてください。さて、元も戻し起動確認をします。

起動成功

無事wait点滅も解消され起動成功しました。

ご依頼者様の大事な録画番組を救出できました。


REGZAレコーダー到着致しました。

ありがとうございます。 たいへん喜んで感謝しています。

とても信頼の出来るお取引きをして頂きまして 心から感謝しております。

ありがとうございました。 自宅に帰って、レコーダーを繋いで 保存している続きを見たいと思います。

とても楽しみです。

~依頼者様のご感想より~

アンパンマン すくすく知育パッド タッチパネル割れ 交換修理

すくすく知育パッド

アンパンマン すくすく知育パッド タッチパネル割れ 交換修理

お子様が誤って付属のペンでタッチパネルを強く叩いてしまい、タッチパネルが割れてしまった修理記事となります。

因みにですが、この割れた事態を液晶割れと表現するのは正確ではなく、正確には外付けのタッチパネルであり、描写の液晶は今回は無事でした。こちらのサイトでその構造が分かります。

取説

タッチパネルが割れてしまうと交換する必要があるのですが、市販品で取り付けできるタッチパネルが入手できないことがほとんどです。しかもタッチパネルのみでの入手も困難なので、交換するとしても液晶とタッチパネルがアセンブリされたモジュールごとの交換です。以後、このアセンブリされたモジュール一体をタッチパネルと呼ぶことにします。

ですが、今回は同じすくすく知育パッドのタッチパネルを交換したという修理記事をネットで見つけ、しかも国内の通販でそのタッチパネルが入手できるという情報も得ました。

たいへん、ありがたいです。

この手の修理は、交換できるタッチパネルが入手できないので修理不可能になるのですが、部品代も事前に把握でき、ご依頼者様とも費用について合意が取れましたので交換を行いました。

では、状況を確認します。

割れ

液晶は無事映るのですが、タッチ操作ができません。描写する液晶は無事ですが、その上にあるタッチパネルが破損していますね。

ほら

タッチパネル部の交換が必要ですが、入手できる部品がタッチパネル付きTFT液晶なので丸ごと交換をします。既に先人の諸先輩方の記事から入手先も掴んでおりますので、早速発注をしますが、ここで注意が必要です。

すくすく知育パッドに装着されている修理記事作成時のパネル型番と同じかも念のため確認します。

過去に、先走って部品を発注してしまったことがあり、到着し開封するとマイナーチェンジ後で、装着されている部品の型番が違ったというオチを経験しております。

ここでは、確かに『MT43G03B』であることを確認します。

純正のタッチパネル

因みに、右側の半田付け部分がタッチパネルをTFT液晶をつなげている半田付け部分になります。タッチパネル無しの場合は、この部品がありません。取れないように裏側が接着されています。

従いまして、タッチパネルのみの交換もできることになり、海外からならこの4.3インチのタッチパネルのみの購入もでき交換もできますが、綺麗に割れたタッチパネルのみ取り除けるかでしょうね。。。※ガラスだし。

また左側のAは、アノードで、Kは、カソードで、バックライト用の端子となります。

40ピンの1,2番ピンは、アノードとカソードで、37~40ピンは、タッチパネルの端子となります。

話しを修理に戻します。

まずは開封してタッチパネルを外します。

フラットケーブルは、コネクタにテープ留めされておりケーブルは、両端の黒いツメでロックされています。ロックはずしテープも剥がしケーブルを抜きます。

ケーブルコネクタ

裏返してパネル留めのテープも剥がします。

ゴムテープ

筐体カバーとパネルの間の緩衝材となっており両面テープで張り付いています。剥がしますが、両面テープの糊を剥がすのに一苦労しました。

干渉ゴム材
テープ糊
タッチパネルとTFT液晶

ご依頼様は、保護用のシートも貼っておられたようですね。ですが、ペンの衝撃が強すぎたのか、そもそも割れ易かったのか、、、。

余談ですが、ネットでは保護シートは貼っても割れてしまったというコメントを拝見したので、割れやすいパネルだったのかと思います。

発注したタッチパネルも翌日には届きサクッと交換します。

上:割れたタッチパネル、下:新品のタッチパネル

さて交換に際し1つ問題がありました。

すくすく知育パッド専用のタッチパネルではないので、タッチパネル側のフラットケーブルの曲がり癖がかなりキツイです。先の本体側の白い筐体に収めようとすると、このフラットケーブルが前面にはみ出てしまい先のゴムのテープが貼れません。そこで押し込んでみたら、タッチパネルの端子と液晶側の端子の半田付け部を固定している接着が少し剥がれてしまいました。

😨

接着剥がれ

といっても、画像からも半田付け部までは及んでいませんが、今後同じようにパネルを交換する際は、この点に注意しないとイケません。剥がれないように事前にテープをはるか、万一剥がれても弾性の接着剤を塗布しなおしておくのが良いと思います。

もろもろ交換をおこないケーブル類はカプトンテープで固定しておきます。

テープ止め

蓋をして動作確認をします。

修理完了

綺麗に取り付けできました。緩衝用のゴムもはみ出ていませんね。

動作の状況も問題なしですね。

タッチパネルと液晶の互換性に関する記事をスタッフブログにアップしております。こちらも参考にしてください。


この度は、本当にありがとうございました。

子どももそれはそれは喜んでおり、その姿をみて、感謝の伝えようがないほどです。

子どもがとても大切にしていた玩具を壊してしまったのは暫く前のことでした。

その落胆は、私が使い方を注意するのを躊躇するほどのもので、直ぐに修理を考えましたが、 修理しようにも、メーカーに断られ、地元では電子系の玩具修理を受けて頂ける方を見つけられず困っておりました。

ようやく、瀧下さまのおもちゃ病院に行き着いて、こちらなら受けて頂けるかもと思ったのですが、 ちょうどその当時、ご依頼が立て込んでいらっしゃって受付を中断されている時でして、 これも運命と、一度、修理を諦めていました。

月日か経ち、子どもも玩具のことは忘れていると思っておりましたが、 クリスマスの話になったとき、 「プレゼントは、サンタさんにアンパンマン号なおしてもらうの」と言い出しまして、、 新しい魅力的な玩具はたくさん出回っているのに、そこまで思っているのならと、 再度、修理について調べ始め、もしかしたらの希望をもっておもちゃ病院のサイトを訪問させて頂いた次第でございます。

たくさんのご依頼あって、その1つ1つのご対応にも手間暇かかることと想像に難くないですが、 とてもご丁寧に連絡頂きまして、安心してお任せすることができました。

また、ご対応の早さにもかなり驚きました。 メルマガの記事も面白く、専門的なことは分りませんが、楽しく拝読させて頂いております。

お持ちの知識や技術も含め、ボランティアの域を超えていらっしゃるように感じてしまいます。

重ねてになりますが、この度は本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

TAKARA マーメイドメロディーぴちぴちピッチオルゴールメーカーCuteBlue 修理

オルゴールメーカー

TAKARA マーメイドメロディーぴちぴちピッチオルゴールメーカーCuteBlue 修理

長期間、乾電池を入れたままで保管し液漏れを起こしていたそうです。

ご近所のおもちゃ病院に依頼されたそうですが、液漏れで基板がダメになっているので、修理不可能と返されたとのことでご依頼がありました。

他院にて一度修理不可能と診断されたそうですが、過去の修理事例でも経験があるのですが、手に負えない代物だと、詳しく診断せずにCOB不良とか基板不良とか、それらしい専門用語を使って返却してしまったかもと心配しています。※『私には修理不可能だが、他のおもちゃ病院に相談してみてください。』と伝えるだけでいいのに。

前任のドクターがそうでないことを祈りつつでは、診断を開始しましょう。

液漏れ

電池ボックスの液漏れはよくあるような液漏れなので最後に取っておきます。給電は、直接導線に給電して動作確認します。

ディスク

このオルゴールメーカーは、付属の穴の沢山空いたディスクに好きなメロディーが鳴るようにピンを差立てます。

ピン立て

因みに、一番外側は音階ではなく半音上げなので、半音上げる時に音階と同時に立てておきます。

そのピンが、本体にある押しボタンを押下して音色を奏でるというおもちゃで、右側にある手回しのノブでディスクを回します。

なので、メロディーの再生スピードは、手回しのスピードとなります。

押しボタン

各音階が鳴るタイミングで3つの内のどれかのLEDも連動して光ります。

では、本体を開封します。

本体下部

液漏れの影響で、電池ボックスの渡りと負極の導線、手回しのスイッチの根本に粉が吹いております。導線は交換しておき、手回しノブのスイッチの粉は綺麗に除去し再半田しておきます。

次に制御基板を確認します。

制御基板

こちらは綺麗ですね。基板には、セラミックのヒューズとセラミック発振子、電解コンデンサーが実装されています。では、パターン面を確認します。

基板

まぁ、汚れはありますが、液漏れの影響はなさそうですね。

※前任のドクター様は、何を診断されたのでしょう???COBと電子回路をみて早々に断念したのでしょうか?

この状態で電源の導線から給電して診ます。

やはりうんともすんともです。押しボタンにも手回しのノブにも無反応です。

先の実装部品で、クリスタルが気になるのでオシロで波形確認をします。

早速ですが、発振していないことが判明しました。指でつまんでみると、グラグラしているようです。動かしていると、起動メロディがなったりもします。

セラミック発振子
紛らわしいZ文字

印刷の文字が、非常に紛らわしいのですが、2.0MHzの発振子です。Zは、恐らくメーカーの識別用の文字ですね。※Z2.0って、最初22.0MHzと勘違いしていました。

再半田

で、早速再半田してみますと、無事に起動メロディーもなり、ディスクのピンにも快調に反応します。

ほらね!

快調!快調!直った!直った!と喜んでおりました。この時は、、、。

とりあえず状況を依頼者様に報告し了承の上、残る電池ボックスの液漏れを直して返却という心づもりで翌日を迎え、再度起動してみると、、、

なんとー!

うんともすんともです。ガーン。😨

なんで?!┐( ̄へ ̄)┌」

いろいろ考えていると、イヤな予感がします。

裏を取るべく分解しクリスタルを再半田します。

無事、起動メロディが鳴るようになりました。音階の押しボタンにも反応します。

もしかして、COB内のPLL回路のボンディングワイヤーが、カツカツで断線しているか、そもそもセラミック発振子側の接触不良がどちらかが起きており、半田コテの熱で膨張接触と冷却断線を繰り返しているようです。

切り分けが難しいので、交換ができるセラミック発振子を入手します。

といっても、国内では入手できないので、いつもの海外より注文してひと月程待ちます。

部品除去
交換セラミック発振子

約ひと月後に無事届き早速交換します。

実装

原因の切り分けのためだけですが、部品交換を行います。

というのも、PLL回路のパターンに半田コテを当てると、発振子もボンディングワイヤーのどちらにも同等に熱が伝わってしまうので、ここわ一つづつ潰していきます。

で、早速交換を行うと、やはり無事に起動しメロディーを奏でます。

で、時間をおきます。じっくり冷めるまで数時間置きます。

因みに、この時期の青森の朝晩は、寒くなってきております。

翌朝、同じように電池を入れ起動確認すると、なんと!

うんともすんともです。残念。。。( ̄▽ ̄;

数分、悲しみに暮れていると、今度は自然に起動し始めました。

先の再半田だけの時は、何をしてもうんともすんともから改善はしなかったのですが、時間を置くと起動できるようになりました。

セラミック発振子の故障は、ほぼ間違いないのですが、他の故障も複合的に発生していそうです。ここは、確実に一つづつ潰していきます。

部品発注の間、約ひと月あったのですが、電源SWの接触が悪化しております。

到着当初は、接点復活スプレーを吹いておいてのですが、時間を置くと接触が悪くなって、電源ONにしても雑音交じりになり、恐らくチャタリングのようにONとOFFが瞬時に繰り返されているようなので、電源SWを交換します。

電源SW

次に、基板に実装されている電解コンデンサーが気になります。ここも要因から排除するため、新品の電解コンデンサーに交換しておきます。

電解コンデンサー

この交換作業を行い、数時間置きました。

で、再度起動確認をすると、今度は起動時に”キキキ”というノイズを発するようになりました。電源ON/OFFを繰り返すと無事に起動しだしたりします。何らかのアクションで起動はするようになりました。

もう、最後に残すは基板上の素子の半田を全て溶かしなおししてみます。

過去にたまごっちでも経験済みです。基板上の目視では分からないクラックや腐食には交換あります。

半田汚れ
2MHz

念のため発振子の発振も確認します。

すると、不具合が綺麗さっぱり消えました。

不具合は、不思議なように消えました。

なんと、一番効果のあったのが、基板上の半田を溶かしなおしでした。

でも、騙されないように、この状態で十分に時間をおき冷まします。

このような起動確認を分解した状態で数日繰り返します。

約四日間、一日二回づつ時間間隔を十分に開けて繰り返し起動確認すると、無事問題なく起動します。時々、電源ON時にノイズ混じりになりますが、電源の入れなおしたりで無事起動します。

良好そうですね。

では、液漏れの電池ボックスの対処を行い、筐体に組み込み再度動作数日確認をします。

電極洗浄
再固定
液漏れ修理

組み立てた状態でも問題ありませんね。

いやー、長かったです。対処療法でしたが、懸念される原因を一つづつ潰していかないとイケませんでした。特に厄介だったのは、熱を当てると復活する点で、いちいち冷まさないと本当に解消されたのかが分からない点でした。


我が家でも問題なく動いてくれました。

感動です!

逐一詳しい状況の連絡メール、写真、動画をくださり、安心して預けて待っていられました。

又、こまめに動作確認をしてくださり、あまりの丁寧な対応に感謝しきりでした。

一時は諦めたおもちゃ達ですが、思い切って瀧下様にお願いして本当に良かったと心から思います。

特にオルゴールメーカーは、治療困難だったと思います。

諦めず最後まで手を尽くしてくださり、無事復活して戻って来れたので孫の代まで大切にしていきたいと思います。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ケータイかいつー たまごっちプラス

たまごっちプラス

とある日、新しい電池を入れたら、起動も正常に画面も描写されたが、電池の蓋をして、表に返したら、それっきり全く動かなくなったという問い合わせでした。

時間をおいた後でも故障の再現性もあるそうです。

当初は、蓋のネジを絞めすぎか異物の挟み込みで基板か電極の接点が離れたのかなと思い調べてみました。

到着後、直ぐ動作確認をしましたが全く問題なく、電池の入れ替えや蓋の開け閉めの繰り返しを行っても全く問題ありません。

うーん、、、。

このままでも仕方ないので、一応開封し内部に異物でも入りこんでいないか確認します。

内部

液漏れの形跡もなくきれいです。

異物らしき物もありません。

さて、どうしようかと悩みボタン類の接点のアルコール洗浄と電池の電極とクリスタルを再半田して元に戻し様子見することにしました。

数日、このままで電池の入れ替えと起動確認、ボタンへの反応をみます。

並走修理をしていた、別の案件の部品到着までひと月ほぼ時間があったので、その間様子見をしましたが、問題なく起動しましたので、現状のまま返送をすることになりました。

故障が再現せずとなりますが、依頼者様のところでは再現性もあるとのことですが、当医院では全く再現しません。

まさか電池の入れ方とかじゃないと思いますが、返却し動作を再度みていただくことにします。

それと、裏蓋のネジの溝がつぶれかかっていたので交換をしておきました。

蓋のネジ

我が家でも問題なく動いてくれました。

感動です! 逐一詳しい状況の連絡メール、写真、動画をくださり、安心して預けて待っていられました。

又、こまめに動作確認をしてくださり、あまりの丁寧な対応に感謝しきりでした。

一時は諦めたおもちゃ達ですが、思い切って瀧下様にお願いして本当に良かったと心から思います。

諦めず最後まで手を尽くしてくださり、無事復活して戻って来れたので孫の代まで大切にしていきたいと思います。

この度は本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

たまごっち 潰れたネジ外し 5個

たまごっち

たまごっち 潰れたネジ外し 5個

当医院ではお馴染みの初期型たまごっちの電池裏蓋の潰れたネジ外しのご依頼となります。

当初は、依頼者様ご自身で開封を試みたようで、潰れかけたところで心配になり開封を諦めご依頼がありました。

このご判断は適格でした!^^/~

そのおかげもあり、ご依頼5個のたまごっち全てにおいて、綺麗にネジ外しができました。

ご自身でとことん迄こじった後でギブアップしご相談される方も居られるのですが、どこをどうしても開封できない事例もあります。

潰れたかも?と思ったら、即開封を諦め早めに相談ください。

今回のご依頼は、ネジ外し以外にもそれぞれのたまごっちの動作確認をして何らかの故障があれば、その修理もということでした。

潰れ程度

まず、一通りネジの潰れ具合を目視すると、3グループに分けることができました。

潰れ程度が酷いのから、良好のまでいろいろでした。

では、まず1個目のてんしっちのたまごっちから着手します。


てんしっちのたまごっち

こちらもお馴染みのてんしっちのたまごっちです。※名前くらいは詳しくなりました。

潰れ具合

既に片側のネジはご自身で外せたとのことで、残り片方を外します。

まぁまぁ山は残っていますね。溝の残り程度から開封の望みも十分あります。

出てきた

適切なサイズのドライバーで適切な外し方をすると、時間はかかりますがネジを外せます。

ご覧の通り頭が出てきました。

開封

無事綺麗に外せました。ネジ穴のくぼみに黒色のザラザラした粉が付いていましたが、これは市販のネジ外し剤のようです。

残念ながら、たまごっちのような極小のネジには無意味です。

残存の粉を綺麗にお掃除をします。

動作確認も問題ありませんでしたが、蓋のツメの片方が折れておりました。

既に開封済み側のツメだったので、誤って蓋をこじ開けた際に折れてしまったのかもしれません。

ここ
ツメ折れ

このツメは、たまごっちの本体側のツメがすっぽり入る穴に挿入され蓋を固定する役目を負っています。接着面に小さいです。

当初、エポキシ接着剤かプラリペアで盛って補強しようかと思ったのですが、そうするとツメ穴に入らなくなってしまいます。一応接着はしておきます。

接着

新しいネジで軽く絞めて作業完了です。

後のたまごっちで動作不良の修理不可能なたまごっちがあったので、依頼者様のご希望でそのたまごっちの蓋と交換装着することになりました。


どんどん行きましょう。では、引き続き2個目のてんしっちのたまごっちです。

てんしっちのたまごっち

では、ネジの具合を見ましょう。

左側
右側

こちらもまぁまぁ溝が残っていますね。こちらもネジ開け剤の痕がありますが、この程度で依頼をされた依頼者様のご判断は吉とでました。

開封

無事綺麗に開封できました。ですが、挿入されていたボタン電池の液漏れで腐食が出ています。錆の粉が本体内部に散らばってました。

動作確認もしないといけないので、電極の錆を落とします。

電極

ボタン電池間の電極が酷い錆です。取り外して研摩します。

あ”あ”あ”

腐食の影響で折れてますぅ。というか、折れています。

では、錆を研摩して綺麗にし折れた箇所は、半田付けで接続しましょう。

まず、ルーターで隅々を研摩します。やりすぎると電極の厚み薄くなりこれまたそこで折れてしますので、研摩は注意しましょう。

折れた箇所にあらかじめ半田を盛っておき、注意深く最後に接続します。

持った半田が今度は筐体の溝に入らないので、コテ先であたためで圧入します。

無事装着できました。

ネジ装着

以上で、てんしっちのたまごっち2個は無事ネジ開封と動作確認ができました。


次に行きましょう。

名前が分からないので、緑のたまごっちと呼びます。※名前、知っている方居られたら教えてください。

ネジの具合を見ましょう。

左側のネジ山は、過去の程度と比較すると、ほぼ残っているに等しいですね。

さくっと開封

これもサクッと開封できました。

ボタン電池の液漏れもありません。動作確認をしましたが、表面の押しボタンの反応がイマイチです。

強く押し込まないと反応しません。分解しボタンの接点をアルコールでお掃除します。

ボタン側
基板側

ボタンの接点と基板のパターンをアルコールで拭きます。

明らかな腐食などはないのですが、この手の感度が悪い原因は、シリコン製のボタン側に塗布された導電性の塗料の劣化で抵抗値が大きくなったせいと思われます。

全く反応しない場合は、覚悟を決めてアルミ箔で補修しますが、まだある程度感度が残っている場合は、無理に対応はしません。理由は、アルミ箔を接着剤で接着してしまうので、補修に失敗しても元も戻せないためです。

過去のこの塗布された塗料を何とかできないか検討をしたのですが、まだよい解決策がありません。

導電性の塗料Agペンがあるのですが、シリコン製のボタン側に塗っても時間をおくと剥がれてしまいます。また、円形の抵抗値のある導電性の補修部品も市販されているのですが、たまごっちのボタン先のサイズがそもそもなく、あったとしても厚みが厚すぎて貼れないということもあります。

依頼者様に事情を説明して今回は、この反応具合でとお許しをいただきました。

まぁ、指先で押し込めばいいんですけど、てんしっちのたまごっちの感度が良いので何とかできないかなぁと悩ましいですね。

5個中3個の作業が完了しました。一日目は、これにて就寝し残りは翌日対応します。


残り2個のたまごっちの作業を再開します。

同じオレンジ色のたまごっちです。※このたまごっちも名前が分かりません。誰か教えてください。

オレンジのたまごっち

ネジの具合を確認しましょう。

既に右側のネジは開封作業中の画像ですが、無事にネジの開封はできました。

ボタン電池から液漏れしています。

開封

が、電池ボックスの電極の錆があるので錆取りをします。

液漏れ錆

このままで錆取りをしても本体内部の錆は残ってしまうので、電極の半田を溶かし電極を外して研摩します。※本体を分解せずに表面の錆だけちょちょっと削るような手抜きはダメです。

本体は、4本のネジ止めされています。

この4本のネジも何故かきつく締められており、左下のネジがネジを回していると折れてしまいました。

ネジ折れ

ドドットイヤな汗が出ました。~~;

基板を外しネジをペンチでツマミ回転させ外しますが、過去の別のたまごっちの修理依頼で、同じように本体のネジが折れた修理可否相談がありました。依頼者は、ペンチで残ったネジ先を摘まんで回したらしくネジ穴の根本でネジがさらに折れたという、非常に残念な依頼相談ありました。ネジ穴の根本で折れると本体裏側からドリルで穴をあけネジ丸ごとを取り外すしかないです。その際の依頼者にお伝えすると、本体には傷を付けたくないとのことで埋まったネジ外しは断念されました。

話しを本件に戻します。

ネジを慎重にラジオペンチの先でツマミゆっくり慎重に回転させます。無理に力を掛けると同じように根本で折れます。

折れたネジ

無事に折れたネジも除去できました。当医院には、電池の裏蓋のネジ以外にも本体側のネジの在庫もあるので、この折れたネジは新品に交換します。

さてさて、話しを電極の錆に戻します。

隅々をルーターで研摩するので基板から電極を外します。

粉粉

この粉は、液漏れの粉ではなく電極のニッケルメッキの腐食による錆で、とても固く簡単には取れませんでした。ルーターで根気よくかつ慎重に研摩します。

研摩

研摩を行い基板に半田付けし直してやっと動作確認ができます。

無事装着

外部電源で電源を給電し液晶の映りとビープ音を確認します。

液晶は、筐体に収まっていないので、導電ゴムの押し圧が足りず液晶の映り欠けがあったも大丈夫です。

ウンスン

うんともすんともです。基板を眺めていたのですが、先の電極の腐食同様に基板の所々にも腐食が広がっていたのは気になりますが原因を探ります。

まず、過去の知見からたまごっちのクリスタルの故障を疑います。

クリスタル故障

まさしくビンゴでした。クリスタルが発振していません。先の基板の腐食もあったので、クリスタルの交換を基板上のチップ部品の半田を再半田しておきます。

クリスタル交換

さてこれでどうでしょうか?

映った

無事液晶も欠けありですが映り出しビープ音もし出しました。

ではでは筐体に収め再度動作確認をします。

液晶列欠け

液晶の1列に欠けがありますね。さらに表面の3つの押しボタンも全く反応しません。

うーん、、、。

液晶の欠けは導電ゴムの押し圧の足りないかもとプラシートを1枚挟めてみたのですが、改善しません。押しボタンも接点を掃除してみたのですが、これも改善しません。

基板の腐食

押しボタンの配線パターンには腐食が広がっていたので、目の細かいサンドペーパーで軽くこすりできるだけパターンが復活するようにしました。液晶の欠けた1列も基板上のどこかの配線が腐食で切れたと思われます。

基板上の腐食断線を見つけることも修復することもかなり難しいです。特にスルーホールをなると手も足も出ません。

この状況からオレンジのたまごっちは、ネジ開けは成功したが本体の修理は不可能という判断にしました。

まぁ、電池蓋のネジが取れないので電池も液漏れしてしまうし、それが原因で基板もダメになってしまうという事態でしょう。

どのたまごっちもそうですが、保管時は電池を抜いておきましょう。


では最後のオレンジのたまごっちを診断します。

オレンジのたまごっち

先のたまごっちと同じたまごっちです。

ネジの状況を確認します。

この程度の潰れでしたら、サクッと開封できますね。

サクッと開封

こちらも液漏れがありますが、液漏れの青い粉がちょっぴり電極に付着している程度です。お掃除をして動作確認をします。

液漏れ粉
新しいネジ

液晶の映りもビープ音も正常に起動し押しボタンの反応も問題ありません。

やはり液漏れの影響の大小でこれほどに差が出るかと実感して2つのオレンジのたまごっちでした。


以上で、今回は5つのたまごっちの潰れたネジ外しと動作確認の記事となります。

ネジ外しは、全数無事成功でしたが、修理は、5個中4個の成功となります。

総括すると、長期間の保管時は必ず電池を抜いておくこと、蓋のネジを外した際、少しでも削ってしまったと思ったら、深追いせずご相談をすることですね。