おもちゃドクターの姿勢について

品質

私もおもちゃ修理に手詰まるとインターネットで修理記事を参考にすることが多いです。

また、当医院の修理記事が参考になり修理できたとうれしい報告をいただくことも多いです。

今回のスタッフブログは、そんな記事やいただいた質問に関する記事となります。

『高額がおもちゃを販売しておいて、壊れやすい設計になっていたり、修理などのアフターサービスがないことや修理のための情報を開示してくれない』とメーカー様の批判記事が目につきます。とても残念です。

恐らく、製品開発や事業管理などのご経験のない方のご意見なのかもしれませんが、このような事態にしてしまった一因は、我々にもあるように考えます。

製品開発をすると、自ずとビジネスとして成功するかどうかが重要な点になります。

例えば、家電製品並みの信頼性試験や高品質の部品を揃えた場合、恐らく現在の数倍の製品価格になることは容易に想像できます。まして、幼児や児童を想定し落下/振動試験、信頼性試験などもできるわけないです。

キャラクター物にしないと売れなくなり、そうすると高額なライセンス料の支払いが必要です。少子化で競争も激化、その中で生き残りをかけて各社が新しい製品開発を日々頑張っておられます。

玩具としての価格設定は、他社の競争なのでPayできるラインをマーケティング部隊や開発部隊と相談して設定します。

現在の価格でも高いというのと逆に、この価格で販売してくれて、かなり頑張られたという一面もあろうかと思います。

このようなビジネス環境においてしまったのも、我々消費者です。玩具の開発や事業をやめてしまっては元も子もありません。

このような見えない圧力を消費者が与えているのも一因です。

製品のライフサイクルとその間の生産台数の見込みなどを綿密に計画し製品価格を設定し、どのような部品が使えるかと、どのレベルまでの試験で出荷すると、顧客サービスはどのレベルまで対応できるかなどです。

私も、以前HDDレコーダーの製品開発で、競合他社とのコンペにおいて、出荷試験コストが自ずと決められ、その中で実施することになります。

玩具も同じく、そのような制約のなかでできることしかできません。

批判ばかりで、メーカー様に的外れなクレームを申し入れ、その回答をホームページに掲載して晒すような、酷い方もおられ、残念でしかたありません。

我々おもちゃドクターは、壊れたおもちゃを修理するという使命から逸脱し、いつしかメーカー批判にばかり尽力するような事態になっています。

部品ひとつひとつに高信頼性を求め、商品も10年無事稼働するよう設計とそれに見合う製品価格を想定し、アフターサービスもある玩具を想像してみてください。

おもちゃドクターの任務は、壊れたおもちゃを修理をして元のように遊べるようにすることです。