アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんDX 修理

ことばずかんDX

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんDX 修理

外来勤務をしております、地域のおもちゃ病院での修理案件となります。

お馴染みのことばずかんです。今回は、DX版となります。

会場で受け付け時にご依頼様に状況をお伺いした際は、電源をONにすると起動音が鳴りましたが、絵本の絵柄への反応は一切しないという症状でした。

既に先行の修理案件に着手していたので入院扱いで、そのまま自宅に持ち帰ったのですが、いろいろ面白いことがありました。

まず、持ち帰って同じように付属の電池で起動しようとしましたが、起動音が鳴りません。

あれれ!?

全くうんともすんともだな。電源のLEDも点灯していない。。。

と改めてで電池ボックスをのぞき込んでみると、衝撃的な光景が目に入りました。

まず、電池の正極が電池ボックス正極の電極に届いていません。

あれ?電池がズレているのかな?

指でくりくりしてみると、なんと電池がズレるではないですか!

なんでだ?

奥をのぞき込んむと、なんと!

なんかある!

なんかいる

どうもアルミ箔のようです。

受け付け時は、恐らくですがおもちゃ病院に持ち込むので、アルミ箔を詰めて持参し、受け付けの初回は辛うじて導通したが、押し込みで縮んだので、次に起動確認をすると導通できないという顛末だったのかと推測しました。

なので、開封してみます。

と!ここでも衝撃的なことが、他にも起こります。

ペン先

ん!

なんで、ペン先のイメージセンサーのモジュールのピンは抜けてるの?

しかも、基板側のコネクタも曲がってなんか変になってるし。。。

これは、何かありそうだぞ!

コネクタの曲がり

こんなことになっていました。

辛うじて基板の配線パターンは剥離していませんでした。

何をやったの?

返却するときに少し確認してみたいと思います。

このペン先のモジュールのコネクタは、コネクタ内の配線順があるので、ピン番号を揃えて差し込まないといけません。

最近、流行りの”無謀なDIY”ってやつですかね。。。手に負えなくなったから、おもちゃ病院に持ち込んだとか。。。

さてさて、肝心の電池ボックスの負極です。

地獄絵図

なんか、地獄絵図のような風景ですね。

アルミ泊

電池ボックスの支柱が折れて起動しなくなり、支柱の補修はできないけど、アルミ箔を詰めて何とか導通させておけば、起動するんじゃね!?的な発想でしょうか。

で、その作業でペン先も抜いてはみたが、元に戻せなくなったので、コネクタを曲げて強引に元に戻したのかもですね。

これは、大変危険です。アルミ泊が、基板の他の回路に接触ショートでもしたら電子回路の故障で修理不可能になる可能性ありますし、この時の依頼者の方は、こともあろうにニッケル水素の充電池を使っておられました。アルミ箔がショートの原因になっていたかと思うと火災になっていたかもと思うとぞっとします。

実は、このタッチペンの案件の前に他のタッチペンの修理案件が入ったいたのですが、電池の極性を逆に入れて動かしていたようで、あらためて電池を正常に入れてみると、電解コンデンサーが、チンチンになっていました。電極が逆で電解コンデンサーが逝ってしまったと思われます。

と、電気関係については、いろいろが不具合があるので、アルミ箔を詰め込むようなことは危険なのでしないでくださいね。

さてさて、補修作業前に動作的な問題が出ていないかを確認します。

スピーカーと電池ボックスは外部で繋ぎ絵柄への反応を確認します。

曲がったペン先

大丈夫そうですね。

では、慎重に曲がったコネクタを元も戻します。基板側のコネクタピンをペンチで挟みがっちり固定し曲がったコネクタ側をゆっくり曲げ戻します。

で、コネクタとピンの半田付けを一通り再半田しておきます。

まっすぐ

ふー、綺麗に戻りました。メデタシめでたし。

次に懸案の負極の支柱折れに対処します。

電池を入れっパにすると、負極のバネの応力が四六時中かかるので、小手先の補修ではダメですね。

負極バネによる支柱への応力をネジ穴の支柱に逃がせるようにプラバンを挟み込み接着固定します。

プラバン1
プラバン2

さらにその周辺一帯をプレリペアで充填し固めてしまいたいのですが、粉が飛散しないように土手を作っておきます。

マスキングテープ

マスキングテープで折れた支柱横に土手をつくります。

諸共一帯にプレリペアを充填するので、粉も溶液も量を消費しますが、負極のバネの応力を経年で耐えるにはこれが一番良いと思います。

支柱固定

これで完全にぐらぐらしなくなります。負極の半田部分は、基板側との接触防止のため、カプトンテープで絶縁しておきます。

絶縁

基板側も絶縁しておきます。

絶縁

負極からの液漏れの腐食がこの回路にもろあたります。

取れていたLEDも半田しなおして動作確認をします。

反応も問題ありませんね。

修理完成

いろいろありましたが、無事修理完成しました。

今回は、無事修理ができましたが、一歩間違えれば回路故障で修理不可能になるやもしれない事案でした。

ご自身で修理に挑みたいお気持ちも分からなくもないですが、ご面倒でもおもちゃ病院に相談いただければと思います。

最後にお顔の塗装剥がれもマジックペンで塗っておきました。

塗装剥がれ
マジックペン補修