DX 龍召機甲ドラグバイザーツバイ修理

DX 龍召機甲ドラグバイザーツバイ

DX 龍召機甲ドラグバイザーツバイという、恐らく仮面ライダーのアイテムと思われる修理依頼がありました。

お持ちのカードで認識不良が出ているとのことで、ご自身で修理に挑まれたそうです。

分解の際に顎の付け根のネジが潰れてしまい開封できなくなったことと、あちこちのネジを外した際に本体内部のバネらしき部品が飛び出てしまい収拾つかなくりご相談をいただきました。

潰れたネジの開封とバネの装着、カード認識不良の3点の修理となります。

では、診察しましょう。

届いた状態でカードを挿入してみると認識不良が多いです。

この玩具は、認識エラーと起こすと『認識不良』と言います。

潰れたネジ
ネジ

当医院は、何故か潰れたネジの特にたまごっちの開封依頼を多くいただき、開封に際しコツなども多く、この程度の潰れはサクッと外してしまいます。

まず懸念の潰れたネジを外せたので、その他のネジも外して開封します。

ですが、おでこの辺りがどうも開封できません。

注意が必要

上記画像の辺りですが、上側からのネジ2本を外しても左右に開きません。

強引に開くと割れてしまいます。

このパーツのネジの台座が少しパーツに食い込んではめられているので、本体を左右に開きながら、かつパーツの上に持ち上げると開封できます。

実物の組み上げ状況を見ながら作業すれば特に問題なく開封できます。

さて、次なるバネの装着です。

取れたバネ

バネというか先にプラスチックの部品も付いてしますね。

開封すると直ぐ取れた場所が分かります。

ここ

本体内部に同じようなパーツが転がっていました。よく見るとカードを挿入セットする際にひいたりするレバーのバネでした。

ちょうど上下に一つづつセットするようで、依頼主様がレバーを開封した際に外れてとれたのでしょう。

装着

レバーのネジを外し、こんな感じにレバー内部に装着します。

2点目も解決しました。

最後のカード認識不良の原因を解析します。

本体内部

カードには複数の穴があいており、その穴をプッシュスイッチ側の検知スイッチで穴の有無を認識するというメカニズムです。

カードスロット

スイッチの突起がスロットの穴から出ていてカードの縁でカードに密着します。

レバーの引いたり押したりすることでスロットが開閉しカードとスイッチの突起が密着しON/OFFが切り替わります。

スイッチ形状
位置関係

1番から7番までがカードの穴と対になっており、0番のスイッチが恐らくカード自体の有無を検知しているようです。

この手のスイッチの接触不良は、電極の汚れか酸化膜で、本来であればスイッチを交換すべきです。

ですが、同じスイッチがそう簡単に入手できないため現品のスイッチの接触をどうにかして回復できないか検討します。

因みに、基板との半田付けも念のため再半田しておきます。

まず、現状でのON/OFFをハンディテスターで確認します。

チェック結果

ほぼ全滅です。

このスイッチは、オープンな状態でクローズ(短絡)になっている、ノーマリ―クローズタイプのスイッチです。従いまして、カードを挿入しない状態で長期保管すると、スイッチが短絡されたままで保管されることになります。

さてさて、真っ先に思いつくのは、接点復活剤ですが、ここでちょっと待ったです。

先の画像のようにこのスイッチの突起は、カードに密着するので、むやみに吹き付けてしまうとカードに染みが付いてしまいます。

自分は、この手のカードを良く知らないのですが、大事なカードだったりすると染みが残念な感じになります。

そこで、2段階で検討します。

揮発性の高いクリーナー(今回はフラックスクリーナー)を吹き付け液をスイッチ内部に浸透させ、ON/OFFを繰り返し電極の接触部をコキコキします。

クリーナー
クリーナー結果

クリーナーを吹き付けコキコキすると、おおよそ全てのスイッチが改善しました。

もちろんですが、カードの認識も問題ありません。

経過確認

実は、ここで少し浮かれており、このままで状態が持続してくれればいいなーと思っていました。

そうです、この点の接触不良はそう簡単に回復しません。フラックスでもないので酸化膜なんぞはとれないでしょうね。

数時間で数枚のカードで認識不良が再発しました。

既に策が付きているので、最終手段の接点復活剤をスプレーし念入りにコキコキします。

やはりコキコキ後は正常に認識するのですが、この状態がどこまで続くのかだけです。

依頼者様には、当医院で提供できる策はもうないとお伝えし、先の潰れたネジの在庫がなかったので発注したネジが届くまで経過観察することにしました。

ですが、ここでも残念ながら数日で再発しました。

ネジが届くまでそのままというのもイヤなので、強制的に全スイッチを押し込むことができるカードを作成しました。

自作カード

このカードを挿入すると全スイッチを強制的にON/OFFできます。

保管時や認識不良が発生した際に挿入していただきスロットの開閉を繰り返しスイッチの接点を回復していただきます。

スロット

潰れたネジを装着し修理完了となります。

交換ネジ
ネジ装着
口のカード挿入箇所
エヴァみたい

このアイテムですが、角出して口を開くと、エヴァンゲリオンにそっくりですね。

最終動作確認

どうかこの状態が長続きするように祈るばかりです。


動作確認もバッチリできて、自分の持ってるすべてのカードを認識することができるようになり、とても嬉しいです。

修理してくれた瀧下様には感謝しています。

~依頼者様のご感想より~