ドラえもん 太鼓リズムマシン 修理 スピーカー交換

太鼓リズムマシン

ドラえもん 太鼓リズムマシン 修理 スピーカー交換

外来で勤務しております、地域のおもちゃ病院で、先輩ドクターからのバトンタッチで診察をしました。

バチをもって叩くと太鼓が電子音で鳴り、リズムを刻んだりゲームができたりします。

太鼓の達人のような感じです。

持参された際は、電源を入れても起動しないし、太鼓を叩いても変な音しかしないそうです。

実際、試してみると、電源ONにしてもうんともすんともで試しに太鼓を叩いてみると、”バサ”というなんか雑音めいた音しかしません。

この”バサ”という雑音に騙されスピーカーは鳴っていると思い込んでしまったのです。

( ;∀;)

最終的には原因は分かったのですが、この動作が診断の大きな障害になりました。

開封し、本体内部の電源経路や断線などを調べました。

本体は、単三乾電池2本で動いており、電池を挿入すると、自動的に起動されスリープします。

電源ボタンは、電源の印加ではなく、Wake upのトリガとなっております。

マイコンの制御でもよくあるやつでです。

目視断線もピーピーチェッカーでも断線もなく、電源の電圧も正常に基板端まで印加されております。

太鼓
電源スイッチ配線
電源スイッチパターン

診察当日は、時間が限られていたので、入院扱いで預かり持ち帰りました。

帰宅後再度、動作確認をしてみると、何かかなり小さい音が起動時になっているではないですか!

『ぼく、ドラえもん…』って言ってる。けど、小さすぎて何を言っているのか、ほぼ分からん。

※因みに、ドラえもんは、大山 のぶ代さん世代なので、声優さんも違うとハタと気づく次第でした。

スピーカーが変なんじゃね!?

そうなのです。

地域のおもちゃ病院が開催されている会場は、環境音が大きいので、この小さな音が聞き取れず、代わりにガサという雑音だけを聞いていただけでした。

27mm スピーカー

スピーカーを取り外し調べてみると断線はしておりませんが、ボイスコイルがマグネットの溝に干渉しており雑音しか発せなくなっておりました。それが原因では、ドラえもんの起動音声は聞き取れず、代わりに太鼓の雑音は聞き取れたという始末でした。

スピーカーは、Φ=27mmのスピーカーです。

原因調査を難航させたのは、起動時は音声のみしか鳴らないとう製品設計でした。

てっきりLEDもなんらか点灯するもんだと先入観があったので、それにも騙され感じでした。

何はともあれ、スピーカーの交換で修理ができました。


デビルっちのたまごっち 修理 フォロー

デビルっちのたまごっち 修理 フォロー

今回は、とても残念な記事を掲載しないといけません。

たまごっちの潰れたネジを取り除いて欲しいということで、依頼者様の近隣のおもちゃ病院に潰れたネジあけをお願いしたところ、いい加減な修理作業で筐体の破損が起きた記事となります。

依頼者様お持ちのデビルっちのたまごっちの裏蓋のネジが潰れたそうです。よくあるネジの溝潰れです。

依頼者によると、蓋は開封できたが、ネジの頭だけ取れてしまい、なぜか液晶も付かなくなったということで、埋まったネジの残骸の除去と点灯しなくなった液晶の修理を依頼されました。

1次診察では、画像を拝見できなかったので、まぁよくある事案だろうと高を括っており、届いたまたごっちをみて、『なんじゃこれは!』と思わず声が出てしまいました。

(∵)

予想ですが、まず、ネジ自体を回転させ綺麗に取り除くことに失敗し、何としても蓋を開けようとネジ頭をドリルで削ったようです。蓋の穴の状況からルーターなどの扱いが下手のようで、手元が狂いまくり穴周辺も汚く削った跡があります。

次に何とかネジの頭を取り除いたのだが、蓋が取れない事態に遭遇したのでしょう。

作業をしたドクターは、ネジの頭を取ったのになぜ蓋が取れないの?と焦ったでしょね。

当たり前です。ネジの溝がまだ蓋に噛んでいるからです。

それを知らずに、今度は、蓋の隙間にマイナスのドライバーを差し込んでこじったようです。

現状は、こんな状況です。

蓋を開けるこが、一番の目的でたまごっちはどうなってもいいはずがありません。

酷い1
酷い2
酷い3
酷い4
酷い5
酷い6
あああ”

この蓋はもう使えません。傷だらけのローラ状態です。

お聞きしたところ、ご近所で開催されているおもちゃ病院に持ち込んだところ、ドリルでゴリゴリやっているようで、依頼者様も作業を横で見ていたらしく、不安になっていたようです。

対面のおもちゃ病院で作業のお願いをすると、口をはさむだけで逆に叱られるようなドクターも居るので、口を挟めなかったのでしょうかね。とても残念でしかたありません。

ネジ穴が破損しもうネジは留まりません。蓋下部のツメも折れて無くなっており、酷く下からこじった傷が痕が多く見えます。

依頼者様もボロボロになるとは思っていなかったと思います。

ここで悔やんでいても、もう仕方ありません。

できるだけ、元に戻せるよう頑張りましょう。

まず、点灯しない液晶を先に確認します。液晶が修理不可能であれば、その他の作業も不要かもしれませんしね。

まず、全く点灯しない原因は、使っていたボタン電池が膨れて空になっていたためです。

膨れたボタン電池

早速、外部電源をつなげてみると点灯しました。

列抜け

ですが、液晶の1列抜けていますね。

液晶と基板間の導電ゴムの接触不良か異物を挟んだとかでしょうか。早速調べます。

液晶と基板

まず、液晶モジュールをはずし導電ゴムの表面を拡大鏡で目視確認しアルコールで洗浄。

次に基板側の金パットの接点も目視確認し異物など挟まれたいないか確認。

基板の配線を眺め断線やビアホールの不具合もないことを確認しました。

であれば、過去の修理事例で覆い導電ゴムの押し圧の低下も懸念し0.1mmのプラバンを挟み点灯確認をしました。

0.1mm プラバン

いづれも原因ではありませんでした。うーん、これはIC側の問題かもしれません。

そこで、手持ちの部品取り用のたまごっちの液晶モジュールで点灯確認してみます。

やっぱり

液晶の列抜け出ますね。ここで、液晶モジュールは白と判明しました。

では、プリント基板はIC側に問題あります。目視確認で基板上に不具合は無さそうです。

たまごっちは、ICをCOBでモールドパッケージしているので、ここで冷却スプレーでモールドを冷やして手早く装着し点灯確認します。

COBパッケージ

おおお!すると、部分的に抜けていたドットが付きました。

しばらく置くと元に戻りました。

ボンディングワイヤーが断線していますね。これはおもちゃ病院のレベルでは修理できません。

コスト度返しでどうしても修理した場合は、X線解析で断線箇所を探します。次に資格を持ったエンジニアか請け負い業者にモールドをドラフト内で薬剤で溶かしワイヤーボンディングを露出させます。断線したワイヤーを何とか綺麗に取り除くかできなければ、根本をカット(できるのかしらんけど)してマニュアルのボンダーで再度ワイボンし蓋をします。

こちらのような企業様ホームページが参考になります。

液晶の列抜けですが、ワイボンの断線の原因は、なんだったのでしょうか???

潰れたネジ開封時の振動とかでしょうか。。。

話をたまごちに戻します。

液晶は、悔しいですがもうどうしようもないので、このまま列抜けでお使いになるかヒアリングしました。残念ではあるが、列抜けのままでよいとのことなので、ネジの方の調査をします。

傷が酷いので、裏面のケースと蓋を丸ごと別のたまごっちから移殖するかお聞きしたところ、蓋は手持ちがあるので、埋もれたネジを除去し溝を再建して欲しいとのことでした。

埋まったネジ

蓋を取った後、恐らく少しはネジの残骸の先が出ていたのでしょう。

ニッパーか何かで摘まんだのかこじった痕もあり綺麗に無くなっています。

もうこうなると、ネジの残骸を綺麗に取り除くことはできませんので、現状以上見た目が酷くならないようにネジの受け溝の再建を目指します。

過去の修理経験で、裏側からルーターの削り用刃先でくり抜くと、その回転方向から残骸の先が出てきた経験があります。

今回も裏面からルーターで削り始めます。

ですが、残念ですが今回はビクともしませんので、そのままくりぬいしまいます。ただ、表面をカツカツで残しますので、影響は最小限にします。

削る

後でプラリペアを充填するので円筒状にくり抜きます。

残骸

うまく除去できました。影響も最小限です。少し穴の形状を整えます。

穴形状整え

では、ネジ用の受け溝を再建します。

蓋をしてネジを装着し固定します。蓋はもう使えないので、手持ちの蓋で代用します。

ネジ止め

穴はこんな感じです。

ネジ

ここにプレリペアを流し込み固めます。

プラリペア充填

しばらく放置し表面も確認します。

プラリペアの溶剤で少し周辺が溶けたようですが、溝はできておりました。

このプラリペアでの再建は、元のような強固なネジ溝には、もちろんですがなりません。裏蓋の留めるだけの強度しかありませんので、締めすぎると溝は削れ折角の作業が無駄になります。

一応最終の動作確認を行います。

蓋留め

今回は、他ドクターの尻ぬぐい的な記事となってしまいました。

スタッフブログにも掲載しておりますが、人様を診る病院と一緒でおもちゃを修理するおもちゃドクターもいろいろな方が居られます。

信頼できるおもちゃ病院のおもちゃドクターであるかどうか判断するのは難しいですが、心配になった時は修理をやめてもらうよう伝える勇気といい加減な修理の場合は、クレームが言える良き環境になるよう願っております。


あれだけ、思い切り入り込んでいたネジも取って頂き、また中蓋、外蓋のネジ、ネジ穴の修復も綺麗にして頂き誠にありがとうございました。

配列抜けは残念ですが、他の動作はしっかりできて感動しました。

こんなことなら最初から瀧下様にご依頼をお願いしていればよかったと後悔が残りますが…

最初のおもちゃ病院の修理不可からここまで修繕して頂き誠にありがとうございました。

これからは大切に使いたいと思います。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ディズニーミストファン 修理

 ミストファン

ディズニーミストファン 修理

ディズニーリゾートのパーク内で販売されている、いわゆるハンディ扇風機なのですが、霧吹きが付いている、霧吹きを吹きながらファンで風も送れるというアイテムです。

猛暑の折、急患でのご依頼をお受けしましたので、その情報共有となります。

どちらもうんともすんとも動かないとのことです。

一応念のため受け付け前にモーターのグリス固着の懸念もあったので、その確認もお願いしておりましたが、どうもグリスの固着でもないようです。

では、ベイマックス機の方から拝見します。

ベイマックス

電池を入れてもやはりうんともすんともなのですが、ファンが指で回してもキツキツで回りません。モーター内の固着なのかどうかですね。

軸干渉

よく見るとファンのカバーが本体側に干渉してキツキツになっています。保管時の何かの拍子にファンが強く押され絞められたようです。

このカバーを少しこじって緩めてあげるとゆっくりですが、回り始めました。

ですが、パワーが全然たりません。モーター内の錆や固着がありそうです。

ネジ位置

モーターと取り外すには、ファンの裏側のネジ3本を外す必要があります。

ネジ

ファンのカバーに干渉しますが、小さめのドライバーでネジを回せます。

裏面のシール

裏面には、ウレタンのシールが貼ってあるので、割けないように剥がします。

このモーターは、カーボンブラシのハイパワー型のモーターで分解を誤ると、カーボンのブラシを破損する危険性があります。そこで、裏面から接点接点復活スプレーを吹いてみます。

吹いては回し、回しては吹いてパワーの改善を観察すると、カーボンの表面とコミュテータとの導通が改善され、ビュンビュンと勢いよく回ります。

固着除去
ビュンビュン

さすが、ハイパワーで風切り音も半端ないです。

その他、電源のスライドスイッチの接点にも接点接点復活スプレーを吹いておき、ファン内部も清掃しておきます。

修理完成

で、このベイマックスのミストファンですが、分解して判明したことがあります。

実は、ファンの角度を切り替えることができるのですが、外部からは切り替えることができないようなっており、切り替えるには、分解しなくてならないようです。

ファンの角度を上にすると、ミスト無しで回せることができるみたいでした。


次にミッキー機を診断します。

ミッキー

ミッキー機は、以前にも分解修理の経験があるので、だいたいの故障の予想が付いていました。

こちらも、モーターか配線かスイッチの類だと思われます。

乾電池を入れてもうんともすんともで、モーターはクルクル回ってはくれます。

直回し

分解しモーターを直に回すと弱いながら回ってはくれます。こちらのモーターもグリスの劣化が出ているようですね。

調べてみると、電源用のスライドスイッチの接触が悪くなっております。

接点接点復活スプレー程度では、改善はするものの、やはり接触不良は録り切れないほどになっておりました。

サイズに合う電源用のスライドスイッチで交換します。

交換スイッチ

手持ちのサイズがあうスイッチは、ノブが6mmと高かったので4mm程度にカットして使います。また、パネル留め用のネジ穴のバリが干渉しスライドがきつくなっていますので、バリもルーターで削っておきます。

バリ取り

ミッキー機も同様にモーターの裏面から接点接点復活スプレーを吹いて、回しては吹き、吹いては回します。こちらもハイパワーの回転が復活しました。こちらも風切り音が半端ないです。

YouTubeの動作では、撮影機材のフレームレートのストロボ効果の関係で回転が遅く見えてしまっていますが、風切り音がものすごいくらいのハイパワーになっています。

これで、今夏の猛暑を乗り切ってくださいね。

ご覧の皆さんのミストファンも、何かパワーがないなと思ったら、モーター内のグリス劣化などを疑ってみてください。


数年前に購入したので、処分するか悩んでいましたが、直していただけたので本 当に感謝の気持ちでいっぱいです!

本当にありがとうございましたm(__)m

~依頼者様のご感想より~

ファービー 電池ボックス 液漏れ腐食 フォロー修理

ファービー

ファービー 電池ボックス 液漏れ腐食 フォロー修理

ファービーの修理の依頼がありました。

依頼者様のお住まいの近隣のおもちゃ病院(名前は伏せておきます。)に持ち込んだところ、電池ボックスの液漏れは修理できたのだが、本体内部の修理はできないため返されたそうだ。

電池を入れて動作させても誤動作のため動きが全く不安定だそうです。

依頼時に電池ボックスの画像を提示いただいたのがこちらです。

液漏れ修理したという画像

┐( ̄へ ̄)┌」

液漏れ修理してなくね?

手抜きだよね。

気を付けてみると、正極の端子の先が少し削ってある程度のようですが、これでは、おもちゃドクターとしては失格です。ねぇアンパンマン! おしゃべりDXの記事にも書きましたが、液漏れの腐食は徹底的に落としてください。小手先の研摩で、その場しのぎで導通させても、今回のような事態になります。

他のおもちゃドクターのホームページでも指摘ありますが、手抜きや中途パンパな作業は、誰か指摘をしてあげてください。とりあえず、その場しのぎで作業をすると、迷惑をかける事態になります。

受け取り早速診断をしてみると、今度は全く動かなくなっています。

そうりゃそうだよね。こんな錆じゃね。

粉まだ残っているよ

液漏れの粉もまだ残っています。

本当に修理したのだろうか疑問です。

あちこち錆があがっております。

この処置は本当酷いものでした。

次にぬいぐるみを外します。ファービーは、底面と結束バンド30cmで顔面横を内部でネジ留めしており、おでこをホットボンドで固定しています。

ネジ位置

かなり上までたくし上げないネジは見えません。

また、耳の縫い付けをはずします。

脱皮

ファービー2に比べたら段違いの簡単さです。

さて、電池ボックスの液漏れ腐食が犯人と思われるので、電池ボックスを先ず外し外部から電源を供給し動作を確認します。

液漏れ粉

液漏れは内部の端子にも及んでいますね。

外部電源を用意し動作を確認します。

外部電源動作

やっぱり、動き出しだぞ。やはり電池ボックスの液漏れが原因だったようだ。

ですが、動画後半で電源を入れなおしてみると、ハングをするので、電池ボックス以外にも何かありそうですね。まとめて診断します。

電圧降下

まず、電池ボックスを外し電池入れて電圧を計測してみると、なんと!

1.2Vしかありません。

6.0V →1.2V と4.8Vの電圧降下してますね。

腐食の錆の抵抗分が原因ですね。

依頼者様も新品の乾電池でしばらく動作させていたようで、新品の乾電池もこの影響で容量が低下しておりました。動作はしないし、乾電池は減っちゃうし。┐( ̄へ ̄)┌」

電池ボックスを外した際にスピーカーも外すことになるのですが、スピーカーの端子台も外れていたようで、ボイスコイルの導線だけがカツカツで繋がっていたため、スピーカーの取り外しと共に断線してしまいました。

端子台取れ

ファービーのスピーカーは、40mmなので在庫のスピーカーと交換をすることにします。

ですが、スピーカーの固定がすごいですね。溶かして溶着しています。

交換スピーカー

ここまでをまとめます。

電池ボックスを液漏れ腐食は徹底的に錆取り補修をします。破損のスピーカーも交換します。低血圧のせいか、寝起き時の起床が悪いので、姿勢センサーの金属球の汚れも確認します。

動作途中のハングが気になるので、組み上げ後に電源再投入とリセット動作を確認します。

姿勢センサーの金属球の汚れは、接触不良となり寝起きが悪くなります。過去記事のこちらを参照。

再度、外部電源とスピーカーも外部スピーカーを取り付け、その他の不具合がないかを確認します。

やはり寝起き動作のやり方が悪いんか、なかなかすんなり起きてくれませんね。

その他の反応は問題なさそうです。

では、粛々と作業を進めます。

電池ボックスの端子と取り外します。

錆端子
錆端子

すごいですね。粉も錆も。洗浄し残った錆は研摩します。

綺麗

なんども言いますが、液漏れの粉を洗浄する場合、強アルカリ溶液にはくれぐれも気を付けてください。

残った錆は、ルーターで研摩し最後に接触抵抗を測定して確認します。

抵抗値測定
研摩後

ニッケルメッキを剥がすので、できれば再メッキしたいんだけど、設備投資が難点で研摩のみとしております。

腐食が原因で渡り端子のツメが折れましたので、接着して固定します。また、接触ツメも折れましたので、半田で繋げておきます。

電池ボックス

電池ボックス側も綺麗に洗浄しておきます。

一式を組み上げて電圧を確認します。

計測

バッチリですね。次に姿勢センサーの金属球の汚れをチェックします。

蓋は、溶かして付けてあるので、カッターなどで切り込み入れ蓋を開けます。

姿勢センサー

姿勢センサーは、金属球が仕込まれたモジュール部品で正位、横向き、逆さまを検知し、3端子がつながっています。念のため、断線の有無を確認しておきます。金属球は、金メッキされておりとても綺麗でした。

金属球

金属球を仕込みなおして端子間の短絡をチェックしたところ、全て問題ありませんでした。

寝起きが悪かったのは、センサーの接触不安定ではなく、起こし方に問題があったようです。

取扱説明書には、以下のように記載されておりますので、依頼者様にコツを掴んでもらうようお伝えしました。っていうか、恐らくは持ち主の方が上手なのですよね。たぶん。

取扱説明書の抜粋

金属球をアルコールで拭きセンサー内部の接点接点復活スプレーを吹いておきます。蓋を今度は、接着剤で固定しておきます。粘度の低い接着剤が必須です。瞬間接着剤のような液体では、センサー内部にしみ込み大変な事態になりますので、ご注意ください。

電池ボックスの液漏れ修理をし、スピーカーを交換し、センサー内部をメンテナンスしました。

ハングするようなことはなく動作確認できましたが、起こし方には、やはりコツがいるようです。

しばらく、横にしたままの方がいいのかな!?

以上で、ファービーの修理フォローのようなでもある修理は完了です。


音量も大きくちゃんと動きました!!

早速、ファービーの『かくれんぼ』で遊び ファービーが楽しそうにダンスをしていました!

このファービーは私が小さい頃にトイザらスで買ってもらい家族でも思い出のファービーです。

本当に、瀧下さんに修理して頂き心からの感謝でいっぱいです!

はじめにファービー修理で検索をしたときに一番に出てきたのも瀧下さんでした。その時、初めておもちゃ病院の存在を知り、すごいと思いました。

ただ、家の近くにあるかな?と、いろいろ調べたところコロナの影響でデパートやトイザらスで、おもちゃ病院は中止しているとのことで市が月に1回開催している、おもちゃ病院を見つけ 修理を依頼しやっと動いたのですが誤作動が続き… 最後の頼みの綱が瀧下さんでした。

瀧下さんのおもちゃ病院ホームに、 『顔も見えないドクターに大切なおもちゃを預けるのは、勇気がいるかもしれませんー』 と書いてあるのも読みいろんな面で安心しました。

よく手に職と言いますが、本当にその通りだと思います!

瀧下さんはおもちゃの名医です!!!

また、困ったことがあれば瀧下さんにお願いしたいです!

この度は本当にありがとうございました!

~依頼者様のご感想より~

くすぐりエルモ 重症患者 修理

くすぐりエルモ

くすぐりエルモ 重症患者 修理

当院でもお馴染みになりつつあるくすぐりエルモです。

3箇所のくすぐりポイントでの起動反応はあるが、手が上がらず、その後も正常な動作もしないとのことです。また、笑い声も途中で止まってしまうとのことで修理のご依頼がありました。

到着して直ぐに診断を開始しましたが、故障箇所が多岐に渡っており、そのほとんどが困難が作業でした。では、時系列順に並べてみたいと思います。

手縫いされている

診断のためぬいぐるみの縫い目に沿って糸を切ろうとしたところ、

おや!?

手縫いされているぞ。一度誰かが開封してることがすぐ分かりました。念のため記憶に留めておきます。

さて、診断開始直後では、以下の3点の故障が判明しました。

1.スピーカーの断線

スピーカー断線

スピーカーの断線は、芯線の腐食で脆くなっており取れたので半田すればよいです。

このエルモは、基板とケーブルの固定に接着剤で固定されているのですが、経年劣化でボロボロになりケーブルの根本も取れ易くなっています。他のフラットケーブルも取れ易くなっており、取れて付け直すのは、かなりの心労でした。

断線

芯線が腐食しているので、ケーブルを丸ごと交換してしまいます。

ケーブル交換

因みに、過去の修理事例では、スピーカー自体の故障で交換した経験もあります。サイズ規格は、Φ=50mmで16Ωです。

2.各ギアボックス内モーターのピニオンギア割れ

この白筐体のエルモで多い故障であるピニオンギア割れが、腕上下用のモーターと腰曲げ用のモーターで起きておりました。まず、腰曲げモーター用のギアボックスを開いて確認します。

開封して、少しびっくりしておりました。

というのは、ピニオンギア割れが起きていると予想してギアボックス開けてみたのですが、開いてみると、どこかで見たことのあるピニオンギアが取り付けてあります。

協会のピニオンギア
3Dプリンター ピニオンギア

そうなのです、日本おもちゃ病院協会で支給されている3Dプリンター製のピニオンギアが既に取り付けたあります。しかも、挿しっぱなしでゆるゆるで滑っております。

先の、手縫いの痕といい、このピニオンギアといい、既にどこかの日本おもちゃ病院協会所属のおもちゃ病院かドクターの手に一度かかっているポイですね。そこで、お聞きしたところ、別のおもちゃ病院に修理を依頼され、修理不可能ということで戻されたそうでした。そのような理由から、当医院に修理を依頼されたようでした。

※どの点が修理困難だったかまではお聞きしておりませんが、、、。

ですが、この3Dプリンター製のピニオンギアは、差し込むだけではダメです。

腰曲げのトルクは相当なので、かならず接着剤で固定しなければなりません。

なので、エポキシ接着剤で固めておきます。

位置確認

固定位置も噛み合わせ位置を考慮して固定します。

それとですが、モーター固定用のカバーも割れておりますので、ワイヤーと接着剤で固定します。

カバー割れ
固定

腰用のギアボックスは、これヨシとします。

次に腕の上げ下げのギアボックスを確認します。

ピニオンギア割れ
8Tギア

割れたピニオンギアは、同じ8Tのピニオンギアに交換しておきます。

面一合わせ

とここまで作業しているところで、致命的な破損が発見されました。

3.腕上下稼働用モーターのギアボックス内のギア欠け

ギアボックスのギア割れの交換も済んだところで動作確認をしても、ガガガと異音を立てて動きません。というか、動くけど中途半端です。

ギア欠け

当初は、塗布されたグリスに埋まって見えていなかったのですが、黒枠のギアが欠けて、欠けた部分の噛み合わせできていませんでした。

ギア欠け1
ギア欠け2

恐らく腕の上げ下げを手で強引に動かしてしまったのでしょう。その力に耐えられず欠けてしまったようです。

ネット上の他の修理でも同じギア欠けを補修されております。

うーん、どうしょうか、、、。

この形状のギアは、代替えが効かないし、ネット記事のアルミ削り出しってのも自分にはできない。

当初は、ここで依頼者様に修理は難しい旨、お伝えしました。

もし、当医院でなくても、他のおもちゃ病院に依頼して診てもらえれば、何か策があるかもしれないとお伝えもしたところ、修理不可能であればそのまま飾っておかれるとのことでしたので、ダメ元でこの欠けたギアの補修方法を検討することにしました。※といっても簡単じゃないですよ。

まず、破損のギアを観察します。

深さ測定

欠けた部分は、山のある上部で下方の2mmは、ギアの噛み合わせに寄与していないようです。ギアも手持ちの8Tのピニオンギアと同じ仕様でした。

8Tピニオンギアで代替え

ここで閃きました。

ギアの上部山のある部分のみを削り取り、その上に手持ちのピニオンギアを載せて、下段1mm程を丸ごとプラリペアを充填して固めてしまえば補修できるぞ!

ピニオンギア合わせ

ご覧の通り、手持ちピニオンギアの長さもぴったりで換装できそうです。

噛み合わせ位置確認

噛み合わせ位置も微調整できそうなので、この補修計画でうまくいけそうです!

明るい兆しが見えました。早速、作業に着手します。

まず、換装するピニオンギアが、軸をくるくる自由に回れるように穴径を拡張します。

ドリル歯

大雑把にドリルで開け微調整はルーターの研摩刃で拡張します。

微調整

自由にくるくる回るように拡張します。

土手作成

プラリペアを充填するので、せき止める土手を紙で作成しておきます。手持ちΦ=4mmのパイプがあったので、それにコピー用紙を巻き付けて作成します。

こんな感じ

こんな感じで被せ固定してからプラリペアを充填します。

充填する高さは、先のギア噛みに寄与しない下方1mmまでの高さにします。実は、盛りすぎてしまい、後からの補修微調整が大変でした。

次に欠けたギア部をカットします。

破損ギアカット

山の位置を合わせるために目印をマジックペンで書いておきます。

代替えピニオンギア

代替えのピニオンギアを当てて位置関係を確認します。よさそうですね。

ここで、このピニオンギアをそのまま接着なんてできません。腕の上げ下げのトルクで接着なんぞでは直ぐ取れてしまいます。

で、次にプラリペアを充填するため土手をはめます。

型枠

土手といっていますが、これは型枠といった方がいいですね。

そして、静かにプラリペアを下の方から充填していきます。溶液が全体に滴るようにしないと、途中粉が残るようですと、その部分で破断してしまうので、十分注意します。

プラリペア充填

ギアの下、1mm程度でいいのですが、約半分程を固めてしまったので、この後ギアの山を削り出すことになりたいへんでした。では、十分時間をおき、型枠を外します。

プラリペア充填

盛り過ぎたせいを反省し次回はもっと浅く充填しようと思います。

こんな感じ

カッターナイフとルーターで形を整えギアの噛み合わせを確認しつつ作業します。

補修成功

無事噛み合わせも調整できギア欠けの補修は成功です。腕の上げ下げも快調です。

達成感がとても高いです。

さて、ここまで修理でやっと動くところまでできたと思い込んでおり、分解したパーツやら補修したパーツを組付けて動作確認をします。

あ”-!何かおかしいぞ!

腕の上が下げは、完璧になったけど、腰曲げの動作がおかしい。

お辞儀はできるけど、戻らない。

曲げた腰が戻らない

( ,,`・ω・´)ンンン?

まだまだ故障箇所がありそうだ。

かなりの沼にハマった感がハンパないです。

ここは意地でも元通りにせねばなりません。

姿勢センサーの故障で腰が曲がったことを検知できないのかもと思い、次に寝かしたまま起動してみます。

寝かしたまま

本来の仕様であれば、横になったママで起動すると、姿勢センサーが横向きを検知し起き上がり、当初の立位まで姿勢を戻し起動します。

ですが、寝かしママでも普通に起動しちゃいました。

あ”-、姿勢センサーの検知不良が起きてるっぽいですね。

そこで、まず腰曲げの角度を検出する基板の接点とフラットケーブルの断線がないか確認します。

問題なし

電極もケーブルの導通も問題ありませんでした。念のため、再半田をしといます。

次に、姿勢センサーを分解し内部をお掃除します。

姿勢センサー

姿勢センサーといっても、モジュール内部に金属の球と電極が仕込まれたよくあるセンサーです。

姿勢の位置で導通の電極を検知し、今現在の姿勢を認識するってやつです。ファービーにも使われていますね。

蓋開け
金属球

うーん、特にこれといった目視上の問題は無さそうですが、一応アルコールで拭いておき、内部の電極には、接点復活スプレーを吹いておきます。

さぁ、メンテナンスもしましたので、組み付けて再度動作を確認します。

残念、何も変わっていませんでした。_| ̄|○

ここで状況を整理します。

腰曲げができるが、元の戻せないのは、曲がっているという位置を検知できないのではなく、そもそも戻せないのかもしれない。

そうです!

他のエルモの修理記事にもある、Hブリッジのモータードライバの片方である、つまり逆回転側のトランジスタのどちらかか両方が壊れてしまう、正転はできるが逆転ができないのかもしれないということです。

しかも、他の故障修理記事では、トランジスタの交換記事も目にします。

これは、有力な故障情報でした。※はやく気が付けよというのはなしです。

ではではということで、腰曲げ用のモータードライバの回路解析します。

回路解析

基板からHブリッジの回路を起こします。

表面にディスクリートのA1273とC3205のHブリッジで、負荷の電流を稼ぐために裏面にチップ型の型番BDC33のNPNを組み合わせたモータードライバです。また、貫通電流防止のために排他処理用のチップトランジスタ(NPN)も実装されておりました。

このトランジスタですが、コレクタ電流が、2Aまで流せる仕様で、A1273とC3205は、コンプリメンタリです。破損するのだとすると、このどちらかのトランジスタなので、どちらのトランジスタも交換してみます。

やはりですが、国内では容易に手に入らないので、海外から調達しますが、またもやトラブルに見舞われました。もう、英語でどうのこうのというやり取りは、たいへんでストレスなんですよね。ひと月まったのに。。。

というのも、通販サイトでは、A1273とC3205の2種を注文したはずなのですが、A1273しか届きません。お店に問い合わせると、日本語のサイトでは、A1273とC3205の2種となっているが、本当のお店の表示では、A1273のみとなっており、言語設定のバグが起きていたらしいです。あ”-!まただーと、悔やんでもしかたないので、A1273のみを交換してみます。

まさしくビンゴでA1273のQ11が故障しておりました。

A1273
壊れています

やっと、やっと、やっとここまで解析できたぞ。T_T

早速動作確認だ。

交換作業で新たにケーブルが取れたりしましたが、全て正常になりました。

T_T

ぬいぐるみを被せ縫い合わせ最終動作も問題ありません。

長かった。依頼を受けてから三ヶ月かかった。

途中でくじけそうになったが、一度他の病院で修理不可能と診断され、修理できなければそのまま飾っておくとのことだったので、最後まであきらめずに挑んでよかった。


修理過程の記事も拝見し、あらためて大変な作業をしていただいたのだと強く感じております。

今回の修理のために大変な労力と数々の手を尽くしていただき、誠にありがとうございました。

十何年眠っていたエルモを、昨年生まれた息子にも元気な姿で見せてあげられることに 感謝の気持ちでいっぱいです。

これからまた大切に使用させていただきます。

本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

動く電動の犬のぬいぐるみ 修理

動く電動の犬のぬいぐるみ 修理

30年程前に購入された電動で動く犬のぬいぐるみの修理依頼がありました。

故障が多岐に渡りほぼ蘇生に近い修理作業になりました。

目視上は、前足の骨折があり、電池ボックスの電極も液漏れで腐食し液漏れの粉がぎっしりで、もちろんだけですが動作もしません。頭もリボンも取れかかっています。

当初のお問い合わせ時は、ワンワン吠えた後に回転するとお伺いしておりましたが、後にどうも動作が違うことがわかりました。また、修理作業を進めるにあたり、その他の問題も次々と現れました。

ご依頼から、何と三ヶ月の長期に渡りお預かりすることになり、途中部品調達でトラブルにも発生しましたが、一応ご依頼者様のご納得できる状態での修理もできました。

今回は、このような修理記事となります。

全体像

右前足が折れていますね。ぬいぐるみもそれ相応の汚れもあり、軽く手洗いのリクエストもありました。

リボン

頭のリボンも当初付いていたぬいぐるみの毛に絡まり伸びてカツカツでぶら下がっております。

液漏れ

電池ボックスの蓋のツメもかなり脆くなっており電極にも液漏れの粉がぎっしり付着しております。この電池ボックスの電極は、汎用的な電極でないので、電極を外し粉と腐食を研摩してみます。使えそうな場合は、流用しますが既にボロボロな場合は、銅板で新規に電極を作成します。

さて、この状態ではもちろんだけですが、ピクリとも動きませんが、その他の不具合もないか分解して中身を確認します。

電池ボックスを完全に外さないといけないのと、ぬいぐるみも手洗いしますので、今回は完全にバラバラにします。

4本の足と頭部と首の縫い目に沿って糸を切って開きます。

お尻の穴

おや?お尻周辺は既に脆くなっており開いていますね。

首回り

首回りも何か変です。切り開いてあり胸に至っては縫い合わせされておらずホットボンドで接着固定してあります。

首回り

昔のこの手のぬいぐるみは、このような仕様だったのでしょうかね。。。

口と顎

口を顎周辺も何か切り開かれていたのがホットボンドで接着してあります。

何かおかしいニオイがしますね。

頭部のロックワッシャー

頭部は、2本の軸で固定されており、どちらも軸がカシメられてワッシャーで留められております。

本体内部の軸の固定の方々でこの軸のカシメがあります。

元に戻す際同じようにカシメなければ軸が外れてしまいますが、当医院には油圧式の軸をカシメられるペンチがありません。

うーん、困った。

数日考えた結果、カシメられた軸は、潰れた箇所をルーターで削り軸を抜きます。元に戻す際は、ロックワッシャーを軸に圧入し固定することにしました。

ロックワッシャー

ネット上で、この手の軸の固定で悩まれて居られるドクター様は、このロックワッシャーで固定することをお勧めします。※ただ、国内での入手は厳しいので、やはり海外からの入手になります。

さて、話しを修理に戻します。

ぬいぐるみを剥ぐだけで、これだけの不審点があったので、ご依頼者様にお聞きいたのですが、ご自身で修理してことも、誰かに修理してもらったこともないとのことでした。

本体内部を分解調査していくと、どうも下腹部などを他のぬいぐるみから移殖したようなのが分かりました。後述しますが、そのため、修理を行ってもまともに正常に歩行せず動作がおかしくなっておりました。※この点については、ご了承の上、修理作業を行っております。

かわはぎ1
かわはぎ2

綺麗に三枚に下ろせました。

では、故障部分を確認していきましょう。

骨折

前脚は、ぽっきり折れていますね。

骨接ぎ

骨接ぎをしようとしましたが、割れた欠片がなくなっていますね。脱ぐるみの中にはなかったので、どこにいったのでしょうね。。。

仕方ないので、銅板で欠損部分を補い補修します。

折れた状態
型取り

0.5mmの銅板で型取りをします。

穴あけ

内部の湾曲に合わせ形を整えワイヤー固定する穴をあけていきます。

ワイヤー固定

ワイヤーでそれぞれの箇所を固定します。

裏側
表側
ワイヤ―固定完了
接着剤固定表
接着剤固定裏

この手の樹脂製の足の固定には、弾性のエポキシ接着剤を使います。

多少の応力により歪みがあったも耐え得るだけの補修ができました。

さて、その他の不具合の調査を継続します。

脚部

後ろ足の軸の先が筐体に擦れないようにしているカバーの位置も変です。この位置では、動作している間、カバーの縁と軸先のカバーが擦れたままになります。

足軸ずれ

後ろ足の軸位置も電池ボックスの収まるべき位置には収まらずにこの点もおかしいです。まっすぐ入れると、今度は電池ボックスが収まりません。この位置ズレによってまとも動かなくなっており、ロデオの馬のような飛び跳ねます。

フイゴ

頭部内のフイゴの笛は無事でした。笛の根本が抜けかけているので接着しておきます。

毛のからまり

頭部の笛吹きを切り替える軸にぬいぐるみの毛が絡まっています。取り除きグリスを塗布しておきます。

軸曲がり

前脚の骨折の際の影響でしょう。軸が曲がっています。

次に頭部の上下運動と笛吹きを制御するギアを確認したのですが、衝撃的な光景を目にします。

ギア溶けてる?

なんで溶けてるの?しかも焦げてるっぽい!?

熱が加わるような事態は想像できないのですが、なんで溶け焦げているの?

ギア割れ

しかも割れて滑っております。

なんで掛けたのかは想像もできませんが、誰かが修理に挑戦した際に誤って半田ごてを当ててしまったのでしょうか?

その他のギアにおいても割れがところどころに発生しております。

割れの症状は見えますが、辛うじて動作はするので、この時点で修理はかなり厳しい旨の中間報告をしたのですが、ご依頼様は、何とか動くところだけでもお孫さんに見せたいとのことなので、頑張って何とか動くところまで頑張ります。

完全に滑っている割れたギア箇所は接着剤で固定し、歯が欠けたギアは、プラリペアで補修することにしました。

その他の割れ筋が見えるギアは、現状で持ちこたえるだけとし、今後割れが進行し動作しなくなる旨もリスクとしてお知らせしました。

では、欠けたギアを補修します。

型取り

まず、欠けていない歯で型取りします。

型取り

その型を掛けた部分にあててプラリペアを充填します。

充填

プラリペアを充填し固まるのを待ちます。

仕上げ

もちろんだけですが、バリや位置ズレが起きますので、ヤスリで仕上げていきます。

噛み合わせの抵抗もなくなりスムーズに噛み合うまで念入りに調整します。

ここで手を抜くと噛み合わせの力で簡単に割れてしまうので注意します。

仕上げ

割れて滑っているので、接着剤で固着しますが、幸いに根本のギアの方は、首振りに寄与していないギアの山なので、丸ごと接着剤をもって固めてしまいました。

もうここまででお腹いっぱいなのですが、故障箇所はまだまだ続きます。

次に電池ボックスの対処します。

既に液漏れの腐食があるのですが、腐食がどの程度進んでいるのか確認します。

地獄絵図

予想以上に綺麗な青に少し驚いておりましたが、地獄絵図のごとくですね。

スイッチ内

スライドスイッチ内の電極は流用不可能でした。

では洗浄します。

ボロボロ電極
錆取り

錆取り後に徹底的ルーターで研摩を行います。腐食で元の形状すらない電極は新しく銅板で作りその他は何とか流用できるまで修復します。

スライドスイッチ内電極
研摩電極

この接触部分の盛り上がりの調整には一苦労しました。

盛り上がりすぎると、スライド時のスライドがしづらく、一方盛り上がりを弱くすると今度は接触ができなくなるとう微調整が必要です。

収まり

電極に一部に折れがありましたが、半田で固定もできました。導通と抵抗値確認を行います。

モーターもコミテータをオーバホールしておきます。

グリス交換

まずここまでの作業を行い、先の通販で注文していたロックワッシャーの到着を待ちます。約一月後に届くはずでしたが、今回はトラブルが発生しました。

誤配達があり、見知らぬ他人の荷物が代わりに届きました。

原因は、集配センターで日本向けのラベルの貼り間違いがあり、ロックワッシャーがどこかの知らぬ誰かに配達され、代わりに自分には見知らく方の荷物が届きました。

まぁ、海外通販ではよくあることなのですが、誤配による返金申請も却下されてしまい、泣く泣く再度ロックワッシャーを注文する羽目になりました。因みに、このような事態は日本ではありえませんが、海外ではよくあるケースでしかも返金もされませんので、一度の注文は取り戻せなくてもよい金額内にします。

さて、話しを修理に戻します。

さらにひと月待つことになったので、仮り組みを行い動作を確認します。

腰抜け

やはり後ろ足の位置が変です。軸が前過ぎで腰抜けのようです。

後ろ足の軸が、電池ボックスの溝に収まるはずなのですが、収まりません。

おかしい

収めようとすると、今度は電池ボックスがハマりません。高さもおかしいし。

明らかにおかしい

前述のとおりですが、電池ボックスを含む脚部を他のぬいぐるみから移殖したという見解がどうもただしいです。不整合の箇所も他にいろいろありましたのですが、ご依頼様のご希望の通りに現状でできる限りは尽くします。

一応ですが、ロデオのような動きです。

一応、ご依頼様にもこの動画は、ご確認いただき修理を進めて欲しいという、インフォームドコンセントを行って作業を進めております。

さて、待つことさらにひと月、ロックワッシャーが無事届きカシメのあった軸にハメて固定します。

ロックワッシャー
ロックワッシャー

部品代も微々たるものなので今後もカシメ部の固定に使用したいと思います。

無事本体の組み立てが完了したところで、ぬいぐるみを被せて縫い合わせます。

事前に手洗いをしたのですが、長年の汚れが取れ真白になりました。

お洗濯後

ここでやはりというか、移殖の形跡が判明しました。

位置ズレ

足の位置とぬいぐるみの足の位置がズレています。特に後ろ足は、もっと後ろにあるはずのサイズ感です。

リボン
リボン

取れかけていたリボンも綺麗に縫い付けて修理完了です。

ご依頼を受けてから、約三か月間、故障も多岐に渡っており、部品調達のトラブルも何とか超え一応の動作ができるまで修理できました。

思い入れのあるぬいぐるみで、恐らく他医院では修理不可能となる事案かもしれませんが、私の力で何とか動くところまで修復に尽力しました。

30年来の動作にお孫様が、喜んでくれたらと思う次第です。


記憶とは、いい加減なものだなと二人で言っております。

実際動いているの見ると「あーこんな感じ だった」と、大変懐かしく嬉しく見ております。

娘も「30年も前のやのに直してもらえるんやと」綺麗になった犬を眺めていました。

もうすぐ1歳になる孫も初めて鳴くぬいぐるみの様なおもちゃ見たので動く事より鳴くことの方に興味あったみたいです。

顔に喜んでると言う表情はなかったんですが、不思議だったんでしょうね でも、その後、その孫に短い生命を絶たれてしまいました。 覚悟はしてましたが。

短い時間でも、もう一度動くところが見れて私共満足感謝しております。

本当大変だったと思いますがありがとうございました。

又、ご縁があれば宜しくお願いします。

瀧下様にお願いして本当に良かったです。

~依頼者様のご感想より~

アナと雪の女王 クレーンキャッチャー 修理

クレーンキャッチャー

アナと雪の女王 クレーンキャッチャー 修理

地域で外来勤務しているおもちゃ病院のヘルプとフォロー要請がありました。

修理に際し、内部構造など、情報共有をさせていただきます。

当初、前任ドクター2名からのバトンタッチという流れで応しました。

さて、経緯を少しお話しすると、当初の故障の症状は、景品を拾うアームが動かないという症状のみだったようです。(前任ドクター談およびカルテより)

ですが、私にヘルプ要請があった際は、景品の乗せて回るターンテーブルが動かないという要請のみでした。

では、ターンテーブルが動かないという前提で診察を開始しました。

まず、電池の容量を確認し動作確認します。

電源をいれるとアナウンスと共に”ガガガガ”とギアがズレて滑っている音がします。

ギアズレ

あれ!?

ターンテーブルが動かないって言ってたけど、違うじゃない。。。

どちらにしても、この”ガガガ”という異音の原因を探ります。恐れく、このガガガ”という異音の原因は、元のギアボックスが、ターンテーブルを回していると思いますので、その線で探ります。

まず、ターンテーブルを駆動しているギアボックスとモーターは、本体底面にあるので、底面を開封します。

制御基板

全ての動作は、この制御基板で制御されております。ICとその下部にモーター用のドライバが2個みえますね。

ドーム開封検知スイッチ

景品が入っている透明のドームは、外されていると動かないように検知スイッチがあります。修理の際は、外して洗濯バサミなどで挟んでおくと作業しやすいです。

で、肝心のギアボックスのモーターは、中央のモジュールになります。

ギアボックス

ここで、この仕組みを知らないと底面のネジを全て外してしまいそうですが、その必要はありませんでした。

青丸+黄色丸のネジ・・・ギアボックス固定ネジ

ギアボックスを外す際は、このネジだけで十分でした。

黄色丸のネジは、表面のアームの支柱を固定しているネジなので、アームのみを外して修理する際は、黄色丸のネジだけで大丈夫です。

では、今回は、ギアボックス内を確認するので、青と黄色のネジを全て外します。

ギアボックス内

おや?

特に不具合は無さそうですね。モーターも導線を外して電圧を別途印加してみると良好に回転します。

ギアボックス動作

問題ないよね?

あれ?さっきの”ガガガガ”って鳴ってないし。

おもちゃ修理あるあるで、一度分解し組み立てたら動き出したってやつかもしれないので、もう一度組み立てて動作を確認しましたが、やはり”ガガガガ”と鳴ります。

これは、底面のギアボックスの問題ではなさそうです。

スライドテーブルの回転軸

調べたところ、景品を前に押し出すスライドテーブルは、回転軸が円盤の円周を移動することによって、上部のスライドテーブルの横溝を左右になぞり回転運動から前後運動に変換されておりました。

で、その回転軸が、溝から外れて変な場所に引っかかったいたために先の”ガガガガ”という異音を鳴らしておりました。

溝に軸をはめることで無事にターンテーブルもスライドテーブルも稼働するようになりました。

当初は、ターンテーブルとスライドテーブルが動き出したので、もう修理は完了と高を括って動作確認をしました。

すると、アームが降下しだし景品を拾うと思いきや、ショベルが動きません。

( ,,・ω・´)ンンン?

再度チャレンジすると、今度は降下したアームがスライドテーブルの縁に衝突します。

( ,,・ω・´)ンンン?

おかしいぞ、故障はターンテーブルだけど聞いていたのに、アームの動作もおかしい。。。

( ̄▽ ̄;

仕方ないので、アームの動作不良も拝見しましょう。

おかしい動作のポイントを整理します。

  1. アームが降下する際にアームの先がスライドテーブルの縁にぶつかったり、ぶつからなかったりと動作不安定である。
  2. 景品をすくうショベルが全く動作しない。ピクともしない。

アームの稼働を制御するギアズレと断線が懸念されます。

と、ここでカルテを拝見すると、既にアーム内の故障修理も実施済みとのこと。拝見すると、導線の全てが断線していて、それを再接続したとあります。

なるほど、断線が再発してのかもしれませんね。では、分解して確認します。

アームの支柱固定ネジ

アームを分解する際は、支柱を外す必要はありませんが、外す際は、黄色丸のネジ4箇所は外します。

また、景品が滑り落ちる滑り台を固定している、黄色丸のネジ4箇所も外します。

支柱を外すと作業性がアップしますが、外さなくてもアーム内は分解できるので、作業者の好きな方法で行ってください。

こんな感じで外せます。

まず、アームの肩にある稼働軸に長めのネジでネジ止めされているので、それを外し肩から肘までのカバーを外します。ネジは、4箇所とツメで留めてあります。

キックバネ

すると、肘に肘から手先に動力を伝えるギア数個とキックバネで留めてるギア2枚があります。黄色矢印のキックバネは、外れておりますが、正常な場合は、外れていてはいけません。外れていた場合は、何らかの不具合が出ている可能性が高いです。

ですので、今回もこのキックバネが、外れていたので、故障原因の一つであることが後に判明しました。それと知らずに、分解でバネが外れてしまったのだろうと誤認しアームの先の分解を進めました。

分解を続けます。

肘から手先にて、ショベルを稼働させるギアボックスは、各ギアとモーターを検知用のマイクロスイッチ2個で構成されています。

マイクロスイッチ
ギアズレ

ギアが噛み合っておりません。断線修理の際にはめ込む位置を間違ったのでしょうね。ハメなおします。

モーター用の導線が、2本。マイクロスイッチ用の導線が4本の合計6本の導線が、本体からアームの先まで配られております。途中、アームの関節の稼働もあるので、断線が起きるのは、必然のように感じますね。で、モーター用の導線の断線が再発しておりました。

モーター断線

1本は、モーターの電極根本で1本は、断線処理した収縮チューブの中で起きておりました。

マイクロスイッチ

マイクロスイッチの導線も取れていますね。

このマイクロスイッチは、ショベルの開閉で拾う時の検知と落とす時の検知に使用されております。

心配なので、6本すべての導通を基板端と導線の先端でチェックし、数か所で断線が再発しておりましたので全て再接続しなおしておきました。これでアームは大丈夫だと、またもや高を括っておりました。

(T_T

断線の接続をしなおして分解したアームを組み立てし直していると、前述のキックバネが、どうしてもハマりません。

なんかおかしいよね?

引き継いだ際に収められていたバネではあるので、このバネが元々から付いていた正常なバネと信じて疑わずに装着を試みました。

外側ギアの穴に収まるバネの曲げがあるので、その穴にバネを引っかけてもなんかおかしいです。この状態でアームに取り付けても、アームがスライドテーブルの縁に衝突します。

( ,,`・ω・´)ンンン?

どう取り付けるんだ???

取り付けては動作確認してやり直しては動作確認をしての繰り返しで丸一日費やしました。

結論としては、元々ついていた正常なバネと信じていたバネですが、サイズがおかしい点や加工痕があったので、これは加工でもしたのかもと推測しました。

かなりの疲労だったので、メールで『もしかしてバネを加工でもされましたか?』と投げて就寝しました。

翌日の回答で、持ち込まれた際に元々付いていたバネが破損していたので、代替えに流用できそうなバネを加工して付けていたそうでした。詳細内容をお聞きせずに引き継いでいたので、コミュニケーションミスが起きてしまいました。

( ̄▽ ̄;

※もっと早く気付くべきでしたが、このバネは正常なバネではありませんでした。

2つのギアの動力を伝え、かつ余ったトルクを逃がすための構造なので、2つのギアのツメをキックバネが、両側から挟む構造が正解です。実は、参考用にと持たされた別の正常なクレーンキャッチャーがあるので、同じ箇所を分解し確認すると、なんとバネが違うではないですか!

ほらね。挟んであるでしょ。

参考機種

外側のギアにある穴は、製造上の穴でバネを引っかけてたりするためのものではありません。全くの無関係でした。

ギアをバネ

上が、動力を伝えるギアで外側のギアが、動力の元で内側が動力が伝わるアーム側となります。下が流用バネ。

さてさて、バネが純正品ではないので、どう補修しようかという計画から練りなおします。

サイズ的にあうキックバネが、入手できれば交換しますが、そんな運よく見つかるはずもありません。

余ったトルクを逃がす機能は捨てて2つのギアをツメの部分を針金で固定するという案を検討しました。

イレギュラーが事態に備え余ったトルクを逃がすための機能ですが、アームの昇降時に何かを挟めたり引っかかったりということが起きた際は、直ぐ電源を切りアームを正常に状態に戻してもらうという、運用上の制約を持たせることで対応してもらいます。

そこで、針金で固定をしてみたのですが、この案もダメでした。

固定自体はできるのですが、稼働に耐え得る太い針金を選択すると、ガタが大きく、そのガタのせいで、これまた、アームの降下時にスライドテーブルの縁にこすりつける事態になりました。どう調整しても回避することができませんでした。

やはり、キックバネでの補修が必要そうです。

仕方ないので、工具用のペンチや剪定ばさみ用のバネを扱っている近くのホームセンターで物色していると、なんと使えそうなキックバネが、あるではありませんか!

キックバネが

内径が、8mmなので、内径を広げる必要があります。また、ループ回数が3巻きで、このまま挿入すると、高さが高すぎてギアボックスのカバーに干渉します。

3巻きを2巻きに加工し高さを低くしギアのツメ位置で折り曲げるように加工します。

バネは、とても固くギアもはめ込んだままペンチで加工すると、プラスチック製のギアのツメが破損し、終わりの世界になりますので気を付けてください。

慎重に慎重にかつさらに慎重に加工作業をします。

加工キックバネとギア

サクッとやってそうですが、かなり難易度高いです。このバネの金属は、バネ用のステンレス鋼なので、ラジオペンチなどでの加工は難しいでしょう。

このキックバネを利用した稼働のメカニズムを動画で紹介します。

余分な稼働の力を逃がしギアを保護してくれます。

以上、長きにわたり盛りだくさんの作業でしたが、無事アームの稼働位置調整もできました。


トーキングウッディ修理

ウッディ

背中の紐が途中で止まってしまっていて引っ張れないし、元にも戻らない。発声ももちろんしないといったご依頼でした。

当医院では、タカラトミー製のトーキングウッディの修理を過去にも行っておりますが、そのほとんどが紐の引きバネの折れです。

過去に撮影した紐を引き模様の動画をご覧ください。

本来の引きバネを引くといった動作ではなく、ねじるという動作で紐を巻いています。そのため、金属疲労でそのうちバネが破断します。

これは、宿命というか必然となる故障ですね。

今回の故障も同じくバネの破断でした。

破断バネ

ちょうどバネの中央で真っ二つに折れています。

ですが、今回の破断箇所が悪かったです。先かお尻のどちらかに寄っていてくれれば止めのリングを作り直し再度稼働させることもできるのですが、中央での破断となると、バネとしての強度と導通電極としての役目が果たせるか不明でした。

仕方ないので、より状態によい画像の向かって右側のバネで再構築します。

再構築

一応、状態のより良い方を選んだのですが、やはりバネとしてと電極して機能するかどうかは、実装してみて確認します。

電極の抑え

やはりバネの幅が足りませんでした。

元々電極の抑えは、バネ本体に接触し軸ごと抑えているのですが、電極は、バネから伸びたリングと軸のみに接触だけとなります。

紐を引っ張ることで導通する回路は、このバネを通して回路が成り立っているので、

因みに、導通回路の経路としては軸は無関係です。

右電極端子→バネのリングと本体→ボビンに仕込まれた電極→回転電極→左電極端子

といった流れです。

また、ボビンに仕込まれた電極は、紐が巻かれると沈み込み右側の回転電極を離れ接触しません。紐が引かれると、沈んでいた電極が浮き上がり右側の回転電極と接触できるようになるというメカニズムです。

なので、紐を引っ張る際は、最後まで引き切ることが最重要で、強く引くとか速く引くとかは全くの無関係です。

接触が悪く発声に失敗すると、強く速くひきがちですよね。特にお子様の場合は、強く引っ張ったしまいます。これが、このバネの破断の原因になるので、”ゆっくりと最後まで引き終わる”が鉄則です!

さて、修理に話しを戻します。この状態で組み込み発声するかどうか確認します。

よさそうですね。

残ったバネもお返しし、今後いつかまたバネは折れるので、その際に残ったバネの方で再構築してあげれば、また遊べそうです。

ですが、このバネ折れの補修方法は再検討が必要です。

サイズ的な新品は探せてもバネ定数や弾性定数などの力学的に同じバネを探すとなると大変です。しかも玩具修理に耐え得るような価格でないといけません。


すみっコぐらし すみっコパッド ケーブル差し込み口 修理

すみっコパット

すみっコパッド USB 修理

最近ですが、すみっコぐらしというキャラクター製品の修理相談や依頼が急増しております。


USBコネクタ破損故障は、同じコネクタが実装された基板に交換をするという前提に修理を常時受け付けできるようになりました。お問い合わせフォームより種別を選択のうえ、お問い合わせください。

また、おもちゃドクター様におかれましては、販売条件はありますが、部品実装基板を販売しております。詳細は、こちらお問い合わせフォームより種別を通信販売で選択のうえ、お問い合わせください。


以前、パソコンの起動故障にて希望の期限内に修理が完遂できなかった案件マウスの断線修理などの修理経験があります。

今回は、同じキャラクターのタブレット版のモバイル端末の玩具の修理のご依頼となります。

故障箇所は、USBタイプCコネクタ本体のレセプタクル側の電極が破損してしまったため給電できなくなったしまったそうです。もちろんですが、データ通信もできません。

おおお!

中の電極の壁の両側が破損し電極も無残な状況となっていました。

お聞きすると、コネクタの接触が悪くグリグリとやってしまうことが多かったためとのことです。

ですが、少し疑念が残りました。

このUSBタイプCコネクタは、お馴染みのコネクタで最近ですと、PD用途にも広く使われるようになり、スマホやパソコンの給電やデータ伝送の主流コネクタになりつつありますよね。

USBタイプCコネクタの規格詳細については、こちらが参考になります。

そんなグリグリとやってしまうくらい接触って悪くはならないように感じたのですが、実はそれには理由がありました。これです。

コネクタ口

コネクタの口が、本体側面に面一になっておらず、奥まった内側の奥にコネクタが設置されております。分解した基板で確認すると分かります。

内部
コネクタ位置

画像の右下位置になるのですが、コネクタの口の位置が内部の奥まったところにあるので、差し込み時に位置が狂い一度ではさせないことや、挿せても浅い場合に再度挿しなおすなどやっておられたようです。こちらのユーザさんもご苦労をされているようですね。

さて、故障に話しを移します。

コネクタの破損は、他のおもちゃ病院やアマゾンのフィードバックでも拝見できる程、他の方々にも起こっている故障事案のようで、メーカーも修理対応をしていないようです。

コネクタの破損が多いのか、最近の販売製品には、やさしく取り扱う旨のシールが貼られていますね。

そもそもUSB給電ができなくとも乾電池でという運用もあるはずなのですが、このすみっコパットは、たいへんな食いしん坊で、新品の乾電池での連続稼働時間は、4時間だそうです。

┐( ̄へ ̄)┌」

省電力設計の限界だったのでしょうか、、、。

実は、乾電池の起動ですが、1本あたり、1.4V程に低下すると電池交換を促されたので、0.1V * 4本 = 0.4V程の消費で乾電池を交換せよとのことです。

┐( ̄へ ̄)┌」

なので、乾電池は、エネループなどのニッケル水素の充電池を使用した方が経済的ですね。

ニッケル水素の充電池は、ご存知の通り、1本あたり1.2Vなのですが、電流容量が多いのですが電池の残量が少なめに出ますが、起動もでき、そこそこ稼働もできるので、断然経済的ですね。

従いまして、すみっコパットの乾電池の容量モニターは、単に電圧だけをモニターしているのではなく、電流容量もモニターしているように思います。

製品レビューは、このぐらいにして修理に話しを戻します。

さて、破損したコネクタですが、破損はコネクタ部品のみで、基板側には影響がなかったので新品のコネクタに交換してあげればいいですね。まずは、破損コネクタを外すため付いている子基板を外して眺めます。

子基板
コネクタ

このコネクタは、16ピンタイプのコネクタで、インターネット上では他のおもちゃ病院でも換装作業をされております。

同じく任天堂のゲーム機スイッチのコネクタも良く破損するようで、YouTubeなどでは交換作業が動画で交換されております。因みに、すみっコパットは、技適対象製品ではないので、当医院で対応できます。

さて、USBタイプCコネクタは、信号線の16ピンとプラグシェルの足 4箇所が基板に半田付けされておりますので、リワーク用のヒートガンを使います。

業務でリワークしていた頃は、専用のリワークステーションを使っていたのですが、流石に個人では投資できないので、手持ちの手ごろなヒートガンでリワークしました。

手持ちのヒートガンは、温度管理ができないため、熱風を当てては離し、離しては当てるという作業を繰り返します。失敗すると、基板やパターンを壊してしまいます。

リワークあるあるですが、あたため最中に動かしてしまいパターンを剥がしてたり、そもそも熱風を当てすぎて温度があがりすぎて基板上のパターンが剥がれたりします。

過去の経験と事前練習は入念に行いコネクタを外しました。

カプトンテープで養生

カプトンテープで熱風を当てたくない箇所を覆います。

半田箇所には、半田付け用のペーストを盛っておきます。

無事外せた

コネクタの下に針金で台を作り自重で下から押し上げるようにしておきます。無事外せたのですが、すこしレジストを焦がしてしまいました。電極パターンではなく、プラグシェルの足の箇所だったので、電気的な影響はなく済みました。

次回までに腕を上げるか、温度管理できるヒートガンと低温半田を使用しようと思います。

基板

焦げたペーストを除去しました。電極箇所は、綺麗に残っているので、このまま新品のUSBタイプCコネクタを取り付けることができます。

ですが、気になります。

このまま再度、同じくコネクタを付けたあげても、その内またコネクタを破損してしまい、元も子もないです。このUSBコネクタ付近の回路を調べました。

回路

USBタイプCのコネクタは、給電とパソコンとのデータ転送の役目を担っております。給電は、配線パターンとケーブルの太さに気を付けるとして、データ伝送について調べてみます。

付属のケーブルは、USB-AとUSB-Cのオス-オスとなっており、USB 2.0規格でした。

おおお!そうですか!

基板もD+とD-は、ESD保護チップを経由してJST SHコネクタのポストに繋がっています。

なんだ、転送速度や拡張性も考慮してUSBタイプCコネクタになっていたのかと思ったのですが、USB 2.0での接続で十分でした。

であれば、破損しやすい元のUSBタイプCに戻すのではなく、扱いやすいUSBタイプAのレセプタクル(デバイス側なので)に換装し位置も本体に面一にしようと思います。

設置場所

ちょうど、コネクタケーブルのつまむ箇所が収まるスペースがあり、サイズスペース的にUSBタイプAのサイズぴったりなのです。

次にコネクタの接続と固定方法を検討します。

先の回路図の通り、A7-B7は、D-で、A6-B6は、D+でしたので、ESD保護チップUL26の足に半田付けします。VBUSとGNDは、SHコネクタの足に半田付けすることにします。

さて、かなり悩んだのは、コネクタの固定方法です。

お子様が扱うので、抜き差しし易くなってもコネクタ自体を強固に固定しなければ、コネクタ自体もその内外れてしまいます。接着などの方法では、経年で直ぐ取れてしまいます。物理的に強固に固定する方法を考えました。

ちょうど、筐体のスペースの縁にコネクタを引っ掛けることができる箇所があるので、コネクタの固定用のツメがその位置にあるコネクタを探します。

USB-A レセプタクル

ちょうどよいコネクタが見つかりました。

固定

コネクタのツメを内側に折り曲げ、かつ銅板で覆い半田付けします。

固定

これで物理的に筐体の縁が破損でもしなければコネクタは容易に抜けません。

子基板の高さ調整もあるのでいろいろ位置調整は必要ですが、なんとか収まりました。

配線

最後に最大の難関データ通信の検証と給電の検証をします。

高速系の信号用基板の設計経験があれば、この方法は、配線のスタブのためにEyeが小さくなります。また、スタブの長さによって、反射波が戻ってきます。

スタブ配線長で約1.5cmあります。本来は、TDRオシロを使って信号波形の評価でもすべきですが、そんな設備は個人では無理です。TDRオシロは、業務でも使っておりましたが、テクトロさんやアジレントなどの機種になると、目が飛び出るほどですよね。

なので、実際にパソコンでデータ通信をしてみます。

動画のようにカメラで撮影します。

撮影後パソコンに接続し画像をコピペします。ちょうど、隣にあったエルモを撮影しました。

エクスプローラー画面

無事転送できました。複数枚の転送も無事確認できました。

もちろんですが、パソコンやUSB ACアダプターからの給電も無事確認できました。

差し込んだ状態
コネクタ口

コネクタの収まりは、スペースに隙間ができるので2mmのプラバンとブチルタイプの強力両面テープを挟んでおります。

コネクタの取り外しから、別タイプのコネクタへの換装と動作確認など、かなり大変な案件ではありましたが、無事修理もでき今後も安心してコネクタの抜き差しができると思います。


もう直らないと思って諦めていた時に、こちらのブログを拝見してずっと依頼できる日を待っておりました。

こんなにも早く、迅速に対応していただき、更に使いやすいようにアダプタまで変換してくださりありがとうございました。

祖父母からのクリスマスにもらったプレゼントだったのでどうにか修理したいという気持ちもありましたので、本当に感謝しております。

これからはより一層気をつけて壊さないようにしたいと思います。

~依頼者様のご感想より~

トーキングウッディ バネ折れ修理

トーキングウッディ

地域の外来勤務しているおもちゃ病院でのヘルプ対応となります。

ウッディ修理は、お馴染みになった感じですね。

既に前任のドクターよりバネ折れの症状が出ている旨は伺っていたので、過去の修理事例にもあるように折れたバネを除去し残ったバネで新規に折れたバネ部分を再構築します。

さて、内部を拝見します。

負極断線

おや?電池ボックスの負極も取れていますね。恐らく、前任ドクターの作業中に取れてしまったのでしょう。半田しておきます。

電池ボックスの電極途中にヒューズも仕込まれております。

本体モジュールをぬいぐるみから取り出すために背中の輪を外しますが、瞬間接着剤で紐が固定されております。

今まで修理したウッディは、だいたい輪に直接結びつけられていたのですが、今回のウッディは、紐が発声モジュールの中に引き込まれないように手前で一回、固結びされここも瞬間接着剤で固定されています。

今まで作業時は、紐が引き込まれないようにピンセットで挟んでいたのですが、この方がとても便利です。今後は、このように少し手前で一回、固結びしておこうと思います。

バネの状況を確認します。

折れたバネ

真っ二つに折れていました。いつものように残ったバネ部分で破損部分を再建します。

再建

こんな感じでいいでしょう。早速取り付けます。

以前は、紐が引き込まれないようにピンセットで固定しながら巻いていたのですが、まず、固結びしている紐が止まるまでボビンに紐を巻きます。

巻方向には注意してください。

次にボビンが緩まないように指で固定しながら再建したバネをネジ止めします。かなり作業性が向上します。

さて、以下の動画のように紐を引くたびにこのバネにが、いろいろな力がかかり、やはりその内、金属疲労で折れるのは、時間の問題で必然的と思われます。

また、今回は、電池ボックスの負極も再半田したので、ついでに電源スイッチの配線回路も調べておきました。

2極3投式のスライドスイッチが使われており、OFF時は、コンデンサーを300Ωでディスチャージしており、日本語と英語の切り替えには、MODE信号をVDDにPull up接続するようになっておりました。

電源スイッチ

スイッチの詳しい用語は、こちらが参考になります。

問題なさそうですね。