ソニー トーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム部品交換

CP-1000

ソニー トーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム部品交換

当医院では、お馴染みにCP-1000の修理のご依頼です。約20年程まえに購入されたトーキングプレーヤーということで、故障の症状もカードを挿入しても動かず、手で押してみるとかすかな音がスピーカーからしているとのことです。ゴム系部品の劣化と推測されます。

どの機種もそうですが、ゴムローラーの溶解がカードを差し込む隙間から目視で見えなかった場合は、カードを少し手で押してもらえると故障の診断に役立ちます。

カードの再生音が、おかしいなりにスピーカーから聞こえてくるようでしたら、スピーカーの故障や磁気読み取りや音声の増幅などの電子回路の致命的な故障は恐らく出ていないこと分かります。また、カード差し込んで検知スイッチが反応した際に、本体に耳をそば立てていただくとモーターの回転音を聞くことができます。もし、何も音がしない場合は、モーターやモーター制御回路に問題が出ていることが分かります。まぁ、どちらにしても送付いただき修理作業を行いますが、致命的な故障の場合、修理不可能である場合もあり得ます。

ゴムベルトの伸び

やはり、ゴムベルトが伸びて固化しておりました。交換を行います。よくある、溶けて粘着していないためお掃除が容易なので助かります。

ゴムローラー

ゴムローラーも現状では、なんとかカードをスライドさせるだけの摩擦は残っておりましたが、画像からも表面のテカリで固化も進んでおりましたので、ご依頼様ともご相談し交換することになりました。

磁気ヘッド

因みに、磁気ヘッドですが、かなり酷いわけではありませんが、摩耗が進んでいます。往年のオープンリールやカセットテープを本機種の再生方式は、機構的な部分異なります。

トーキングカードでは、厚さおよそ0.3mmの厚紙に貼られた磁気へ―ドをゴムローラーが直接磁気ヘッドに押し当てるため、継続的な使用はそのまま磁気ヘッドの摩耗につながります。摩耗が進行すると、正常な磁気を読み取ることができなくなり、最悪修理不可能となります。残念ながら、当医院では、交換できる磁気ヘッド部品がない状況です。※いろいろ通販サイトなども調べてはみたのですが、やはり見つけるこはできませんでした。


開封し、カードを入れて、音が流れることを、孫も大変喜んで、一緒に発音しています。

カードを差し込むと、最初は、音が小さく、二度目は音が少し大きくなります。始めから一程の音量ではないのですが、これは仕方ないのかなと思っております。ボリュームがボタンなので、音量の大きさがわからないから。

修理の依頼から修理完了まで短時間で終わったことに感謝しております。

孫が出してきて、音が流れなかった時はどうしようかと思いました。学研やソニーで調べたり。20年以上前の購入なので、半ば諦めかけながら、トーキングカード修理で検索してみたら、瀧下様のページにたどりついた次第です。高い教材でしたので、捨てるには勿体ないので、すごく助かりました。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 ゴム部品交換

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 ゴム部品交換

カードのスライド速度がゆっくりになり音声が不明瞭とのことです。

劣化ゴム部品

ゴムベルトの伸びとゴムローラーの固化で滑っていましたので交換にて修理完了です。

ゴムベルト
スポンジ

さて、今回は、スピーカーのスポンジもボロボロで粉々になっておりましたので、交換をしておきました。ボロボロになると、本体内部のお掃除おたいへんですが、幾分音質の改善もできるので交換します。


ソニーカードリピーターCP-55 音程調整

ソニーカードリピーターCP-55 音程調整

今回は、ソニーカードリピーターCP-55 2台の修理依頼がございました。以前、同じCP-55の修理を行った1台と新たな1台の合計2台の修理となります。

以前、ご依頼を受け修理行ったこちらのCP-55ですが、再生速度を下げることで音程を下げて欲しいという要望でした。

音程調整 CP-55

音程ですが、もちろん製造メーカー様は、出荷時にテストされ出荷されておりますが、経年でやはり幾分のずれが出てきます。ですが、今回は、持ち主様のご要望でご希望の音階にまで調整を試みました。

私には、絶対音階がございませんので、調整具合は、動画でご確認頂きながらで調整を行います。

さて、本機CP-55もそうですが、ソニー製カードプレーヤーに使われているモーターは、回転速度が制御できるモーターが使用されているので、調整し速度を早くも遅くもできます。

通常、他の修理案件でもカードのテスト再生で、やはり速度が遅くなっていることがあるので、速度調整はしますが、如何せん当医院には、テストカードがありません。

オープンリールやカセットデッキですが、再生速度を記録された音声の周波数を測定器で試験する、テストテープが存在するのですが、カードプレーヤーでは、測定できる程長く再生できる長いカードか、永遠ループするカード!?のようなものがあるのかもしれません。

当医院では、耳で再生音を確認し音程を調整しておりますが、在庫しており新品の機種と比べてみたり、再生音低の高低のズレがわかりやすいカードを使用しております。※なので、動作確認動画では、早口ことばのカードと女優、声優でお馴染みの岸田今日子さんカードを利用しております。音程が狂うと、はっきりとその差を分かるためです。

さて今回はというと、再生速度を最低にしても、ご希望の音階には少し届きませんでしたが、ご依頼様にご了承をいただき、最低での再生速度で調整をさせていただきました。

次に新規に他のCP-55の修理のご依頼もありました。

こちらは、CP-55でよくあるカップリングコンデンサの容量抜けにて音量ツマミ最大でも音量が小さいとのことです。また、それに伴って、音量が最大なので、ノイズレベルも大きくなっているので、合わせて改善して欲しいというご要望です。

最後にですが、トーキングカードでのリピート再生時にカード前半が聞こえないとのことでした。これは、kumonシールのある機種は、専用カード用に設計されており、リピート用の録音時間が短いのです。残念ながら製品仕様ということ了承いただきました。以前ご依頼のあったCP-55は、kumonnシールの無い製品でしたので、リピート録音時間が、kumonシール版に比べ4倍長く録音できます。

搭載されたTi製のレコーダーチップの仕様では、外付けのDRAM容量は、256Bと1MBの2種取り付けられ、kumon版は、OKI製の256Bが搭載されています。シールの無い機種は、1MBが搭載されています。

OKI製 256B DRAM

因みに、基板上部にあるリード穴ですが、これは拡張用にDRAMがつけることができ、デフォルトでは、未搭載です。恐らく製品開発時に以後の拡張性に基板に用意していたのでしょう。XCASは、XCAS1からXCAS4まで用意されており、最大4つのDRAMを搭載し、4 フェーズまで対応できるようです。TIの仕様から。

また、いつものゴム系部品も交換を行いましたが、以前の持ち主様が、適正サイズのゴムベルトをお持ちでなかったのか、やむなくサイズ調整のためにカットし接着剤で固定しておられました。

それが、原因となり再生時にプーリーに接着面が差し掛かると、かなりの振動とノイズを発していました。もちろんですが、交換しました。最後にこちらの機種も再生時の音階を同じく最低速度で調整しました。

今回は、音階の調整ということをさせていただきましたが、絶対音感をお持ちの方は、やはりすごいなと実感して修理案件でした。

音階調整前の動作確認動画です。


ソニートーキンカードプレーヤー CP-1100 ゴム系部品交換と磁気ヘッドアライメント

ソニートーキンカードプレーヤー CP-1100 ゴム系部品交換と磁気ヘッドアライメント

30~40年ぶりに動かしてみたところ、最初の1時間ぐらいは、正常に動いていたが、その後カードを正常にスライドできなくなって再生音も変になっているのとのことです。お子様にも是非使いたいとのことで、修理のご依頼を受けました。

ゴム系部品に問題がありそうですが、最初の1時間は正常だったのは、恐らく稼働させている間に脆くなったゴムが伸びきってしまったのでしょうね。

さて、早速開封して状況を確認します。

ゴムベルト

やはりゴムベルトが伸びておりプーリーを回転できなくなっておりましたので、新品のベルトに交換をします。この時点で、動作確認用に同封いただいた5枚のカードは再生できるようになりました。今回は、ついでにゴムローラーも固化劣化が見られたので、ゴム系部品は、まるごと交換します。

ゴム系部品

また、ボリュームにもガリノイズが出ていましたので、クリーナーで内部を洗浄し接点回復剤を吹いておきます。※一時的な回復は見込めますが、恒久対策としては、ボリュームの交換が必要ですが、致命的でもないため今回は洗浄のみに留めました。

ボリューム

さて、今回記事では、過去にも経験のある磁気カードの磁気劣化と磁気ヘッドも摩耗によるカード再生音の異常についてです。

特にメロディ主体のカードでは、顕著に再生音の歪みが気になってしまうのですが、原因のカードの磁気は、元に戻すことができません。また、磁気ヘッドにおいても、交換部品が流通しておりませんので、摩耗の酷い場合は修理不可能(こちらの記事参照)で再生音の異常においても改善は不可能になります。そこで、何とか少しでも改善はできないかと磁気ヘッドのアライメントを微調整してみました。

調整前では、1枚目のデモンストレーションカードにおいて再生音の歪みがあります。アライメントを調整し、同じ他のCP-1100と新品のCP-7000で再生音の比較を行いました。

新品のCP-7000においても歪みが聞こえるので、やはりカード自体の磁気劣化が支配的な歪み原因ではありますが、対象の改善はできたようです。

修理完了

最後に、モーターの回転速度も遅くなっておりますので、速度調整を行い修理完了です。


いずみ書房 トーキングリピーターDX カード検知スイッチ修理

いずみ書房 トーキングリピーターDX カード検知スイッチ修理

3年程、保管しており、久しぶりに使用したところカード再生をしなくなっていたとのことです。いずみ書房トーキングリピーターは、アナログ版の修理実績は、こちらにあるのですが、DX版は初めてとなります。

前回のアナログ版は、修理不可能でしたので、今後のDX版は、気合いが入ります。

さて、アナログ版とDX版は、何が違うのかというと、往年の磁気カードを磁気ヘッドで再生する旧来の機種がアナログ版でDX版は、いわゆるデジタル対応がなされています。

カードには、パンチで明けられた穴が開いており、その穴のパターンをフォトリフレクターで読み取ります。読み取ったパターンで、本体側にセットされているコンパクトフラッシュ内の音声を再生するという感じです。

DWE デジタルプレイメイトと同じ設計思想です。カードと音声メモリは、セットが必須ですね。さて、今回のカード再生不良を診察します。

コンパクトフラッシュ
本体内部

カード検知スイッチと横に並んだ複数のフォトリフレクタ。恐らくパンチの穴は、二進数で表現されてて10bit分なので、2^10 = 1024パターンを表現できるのですね。

目隠しされている制御マイコンとTI製 DSPとDRAMとDWE デジタルプレイメイトとすごい似ています。

さて、カード再生しない原因は、直ぐ判明しました。

カード検知スイッチ

このカードが挿入されたことを検知するスイッチが反応していませんでした。端子の電極が上に出ているので、試しに短絡してみるとカード挿入を検知します。※因みに、カード検知のみさせると、鳥のカッコーの鳴き声でエラーであると教えてくれます。

さて、この手のスイッチは、交換しても少し経つとまた接触不良を起こすので交換が一番なのですが、どこを探しても同じ検出スイッチが見つかりません。仕方ないので、洗浄剤をパッケージ外部からスイッチの接点のありそうなところに吹き、つづけて接点回復剤を吹いてスイッチのON/OFFをひたすら繰り返し反応をみます。

検出スイッチ

かなり回復したのですが、やはりまだ検知しないことがあります。このまま返送すると、また接触不良がすぐ再発するかもしれません。そこで、時間経過と共に状況がどのように変化するか1週間経過をみます。

時間経過

やはり、未検知の数が日を追うごとに増えてきます。スイッチの交換以外に完全な修理は無理なのかと取り扱い説明書を見ていると、それらしき原因の記載に目が留まりました。

取り扱い説明書の抜粋

乾電池の消耗!?

乾電池が消耗すると、別途LEDでアラーム警告されるし、そもそもカード再生できてるし、、、。( ,,`・ω・´)ンンン?

そっかー!完全に動作できなくレベルではなく、回路の動作が不安定になるギリギリのラインのため、カード検知の不安定がなったのかと思い、乾電池を調べます。

実は、同封の乾電池は、新品の同封をお願いしていたので、てっきり新品かと思いきや、なんと!容量低下している乾電池ではないですか。。。これに気づいたのが、10/27(火)の時点でした。

早速、容量の十分な乾電池に交換したところ、カード検知不良が完全になくなりました。


ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 スピーカー固定修理

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 スピーカー固定修理

カードがスライドしてくれないということで、修理のご依頼がございました。

不具合の原因は、ゴム系部品の経年劣化でしたので、ゴムローラーとゴムベルトを交換します。

ゴムベルト

カード送れない主因は、ゴムベルトが伸びていたためでしたので交換します。

ゴムローラー

ゴムローラーは、まだ現状でもカードを送ることだけの摩擦が残っておりましたが、ご相談の結果交換ということで作業をさせていただきました。

今回の記事は、スピーカーを固定しているツメが折れておりましたので、その補強について共有したいと思います。

スピーカー台座

ソニートーキングカードプレーヤーではスピーカーの固定は、磁石部分をすっぽり周囲を被せる形でツメがついております。何らかのはずみでしょうか、ツメが3本折れてしまい、スピーカーが本体内部でぐらぐらしています。

さて、修理方法ですが、ご経験がある方は、接着などでは固定なんで無理と直ぐ分かります。その他の方法で固定したいのですが、簡単に低予算で固定をします。

結束バンド

画像を撮り忘れてしまったのですが、スピーカーの磁石が被さるツメ周辺をぐるっと結束バンドで固定します。ツメ2,3本程度でしたら、この固定方法で十分です。

もし、もっと大幅に折れてしまった場合は、他の方法を検討せねばなりませんが、今後の検討材料としたいと思います。


カードも通りますし、音も流れます。

油性ペンの汚れまで落として下さり、綺麗になって戻り感動しました。

修理依頼して届いてすぐ取りかかって下さり、すぐ直った事にも驚きです。

丁寧に連絡下さり安心してお任せできました。

もう使えないかと諦めかけていたので、本当に感謝しています。

また何かあればぜひお願いしたいと思います。 本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニーカードプレーヤー他/中央出版 トーキングUFO 修理

CP-1100
CP-1000
CP-55
中央出版 トーキングUFO

ソニーカードプレーヤー他/中央出版 トーキングUFO 修理

今回は、教育施設様よりご使用になられておられたカード再生機 8台の修理依頼を受けました。当医院では、お馴染みのソニー製 CP-1100, CP-1000, CP-55と中央出版 トーキングUFOとなります。

ゴム系部品の経年劣化による再生不良が主なのですが、今回は、他の不具合原因にフォーカスをしご紹介をします。

■CP-1100

CP-1100 3台の修理依頼でしたが、3台中 2台で磁気ヘッドモジュールのアライメントが狂ってというよりは、適当にネジを回していたので、ズレまくっておりました。他の機種でも過去に磁気ヘッドのモジュールのアライメントの調整を度々行ってきました。どれも、ゴム系部品の劣化にも関わらず、再生不良の原因は、この磁気ヘッドモジュールのネジの調整で何とか直せるのかと思ったのか、安易にネジを回してしまったようです。

これ、大変危険です。

磁気ヘッドのモジュールは、製品出荷試験時にテストカードを使用して再生速度や、アジマス、ジニース、高さ、ラップなどのヘッドアライメントを取ります。シンクロスコープなど専用の設備と治具で厳密に調整出荷されたアライメントは、安易に調整してしまうと、もう元の最適な状態に戻すことは、ほぼ不可能です。今回も、中古で入手された機器が、このような状態で再生不良を起こしておりました。

オーディオ機器、特にテープデッキの開発経験のあるエンジニアの方であれば、ご理解を頂けると思います。

さて、当医院では、設備も治具も持ち合わせていないので、本来であれば修理不可能であるのですが、”状態のよりカードを使用して耳で聞いて最適な状態にできるだけ戻す”ことしかできません。

アライメントずれ

当医院の記事を拝見されておられる方が、ご自身で修理に挑んでおられるブログ記事も拝見しますが、やってみたけどどうも直らなかったとヘルプ依頼を受けたこともあります。どうか、この記事を見た方は、ご自身では一切手を付けずに修理のご依頼をください。

ご依頼をいただいた、CP-1100 3台は、無事音出しまでは修理できました。

カード検知マイクロスイッチ

不具合の件数は、多くないのですが、カード挿入時の検知スイッチに接触不良がありました。このオムロン製の検出スイッチは、特殊形状で恐れく本機専用設計のようで交換スイッチが、探せませんでした。分解接点清掃を行いかなり回復できたのですが、数十回の一度の頻度で検知不良が残ってしまいました。特殊形状のため、代替えスイッチの交換もできないため、エクスキューズが残ってしまいましたが、カード未検知の場合は、再挿入にて対応を頂く旨お願いしました。

■CP-1000

CP-1000 2台の修理のご依頼を受けました。どちらもゴム系部品の交換にて無事カード再生できるようになりました。1台にて、ボリュームスイッチの破損がありHi固定化してました。CP-1000のボリュームスイッチは、製品仕様上、ほぼHi/Lowの差が小さくほぼ機能していないので、ご相談の結果、ボリュームスイッチの交換はせずにHiのままとしました。因みに、このボリューム調整の原理は、スピーカー間に挿入する抵抗値を可変抵抗を使用するのではなく、並列抵抗の挿入のするしないと切り替えスイッチで切り替え抵抗値を変化させています。

破損スイッチ

■CP-55

CP-55 2台の修理依頼を受けました。2台ともゴム系部品の交換が必要で、CP-55ではよくあるカップリングコンデンサの交換にて修理完了しました。

ACカップリングコンデンサ交換
基板腐食

内部清掃の際に基板裏に何か水分の侵入における腐食の広がりがありました。白い粉を吹いています。乾電池の液漏れかと思いましたが、電池ボックスには、その痕跡がないため、保管時に何かをこぼしてしまったのかと思います。

基板腐食

白い粉を取り除くと半田部分とプリント基板の配線パターンに腐食が広がっています。現時点は、電源系や再生系、駆動系に問題は出ておりませんが、今後腐食の進行によって影響が現れる可能性があります。交換基板の在庫もなく今回は、清掃とCRCを表面に吹いておきました。

■中央出版 トーキングUFO

当医院で在庫している保守部品は、ソニー製トーキングカードプレーヤーやカードリピーターのみとなります。その他の機種については、残念ながら在庫しておりません。さて、トーキングUFOですが、再生時に音が出ない旨の不具合ということで、原因を調べてみたところスピーカーの故障でした。スピーカーの故障は、CP-1100, CP-1200でよくみられる症状です。

中央出版のトーキングUFOは、77mm 8Ω規格です。ちょうど在庫スピーカーがないので、単価の安い海外より部品発注をしたのですが、納期に約1か月かかります。ご依頼者様に納期の承認をいただき、発注をしたのですが、よくある売り主に返送されてしまう事態に遭遇し、再注文の場合さらに1か月かかってしますので、別の策にしました。当医院在庫のCP-1000は、同じ規格スピーカーでしたので、単価は高くなってしまうのですが、CP-1000から部品を取り取り付けることにしました。


ソニートーキングカードプレーヤー CP-1200 磁気ヘッドアライメント

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1200 磁気ヘッドアライメント

カード再生が不安定とのことで修理のご依頼がありました。

まず、受け取った際に付属のカードに異常な反りがあることに気づきます。

反り

恐らく、長期保管時に反りがついてしまったようですが、この反りが致命的になりました。カードに反りがあると以下の弊害があります。

  • カードが挿入されたと検知するスイッチが反りによってレバーに接触不良を起こす。
  • 磁気テープにも反りが出ていると、磁気ヘッドに正常に接触できず、極端に音量が小さくなるか音がでない。

うーん、困りました。反りがあるカードでは、正常な動作確認ができないため、残念ですが、ご依頼者様へお手持ちのカードでは、正常に動作させることができない旨をお知らせしました。本機の修理は、断念されるか、状態の良い当医院在庫のカードで修理を継続するかのご判断をお願いしたところ、当医院のカードによる修理をご希望ということで作業を継続します。

本機は、カードの駆動系機構と磁気の読み取り機構が独立しているため、カードの反りに弱くなっておりますが、旧来のフライホイール軸にゴムローラーが一体となっているタイプだと、ある程度のカードの反りも再生できる可能性があるように思います。

内部清掃

長期保管時の不具合で多いゴム系部品の劣化がもちろん出ておりましたので、交換をします。ただ、CP-1200は、ゴムローラーの交換に注意が必要です。

CP-1200は、製造時期によってゴムローラーや磁気ヘッドなどの駆動系の機構の仕様が異なります。今回のCP-1200は、カードを送る機構をカードの磁気テープを磁気ヘッドになぞる機構が独立しているタイプとなります。

独立タイプ

注意点としては、ゴムローラーにカードを押し付けるプーリーが、磁気ヘッドのモジュールと独立をしており、軸止めがはまっていて容易に取り外せないため、フライホイールの固定ネジにドライバーを差し込めないという弊害があります。

ネジ穴位置

フライホイール軸のゴムローラーが付いたままでは、ネジを回せないため、取り外しができません。うーん、ピン留めを外せばいいのですが、錆もすごので、できれば外さず解決したい。そこで、フライホイールを筐体に取り付けた状態のままでゴムローラーを交換することにしました。

ゴムローラー
ゴムローラー交換

もちろんですが、ゴムベルトも交換を行っております。さて、次にタイトルにもあるように磁気ヘッドモジュールのアライメントを行います。

長年の保管のせいか錆が酷く当初は、調整ネジがビクともしませんでした。磁気ヘッドが、ゴムローラーを面一で接するように位置調整と水平、高さ調整をします。また、水平時の当たり確度も調整し最適なポイントを探ります。

製造メーカー様では、調整用にカードを読み取った磁気のピークを観測する測定器と調整用の治具があるかと思いますが、もちろんですが、当医院にはそのようなものはございません。従って、耳による再生状況の確認を微調整でできる限り最適なポイントを探ります。

ネジ止め

最後にネジ止め剤を付けておきます。

パネル

パネルの落書きも綺麗に落とし修理完了ですが、1点 エクスキューズが付きました。

カードを挿入した際の検知スイッチの反応から、増幅器の電源連動に若干のタイムラグが残ります。約0.5秒。モーターの不具合か、オペアンプの電源回路か、、、。既に、磁気ヘッドのアライメント調整などで工数が、かなりかさんでおりましたので、本件を対応するとかなりの高額負担が予想されます。今回はカードを差し込んだ際に若干の空回りをさせることで対処をお願いしました。

反りのあるカードも反りをあるていど手で戻し再生を試みると、再生できるカードもあればやはり再生できないカードも残りました。目視確認するとやはり、磁気テープ部分の反りもですが、磁気の劣化も出ているようです。


子供たちも問題なく遊べています。ありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200磁気ヘッド不良

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200磁気ヘッド不良

今回の記事は、修理不可能であった案件を紹介いたします。

CP-1200の再生音が小さいという症状で、もちろんですが、ゴム系部品の劣化もあったのですが、磁気ヘッド不良が致命的でしたので修理不可能でした。

CP-1200の修理において再生音が小さいという故障モードは、初めてです。一番多いのは、もちろんゴム系部品の劣化でカードが正常にスライドしないですが、次に多いのが、スピーカー故障です。

スピーカーが故障した場合は、全く再生音がしませんので、スピーカーの故障ではなさそうです。CP-55では、再生音が小さいという故障モードがあり、プリアンプ前後のACカップリングコンデンサの容量抜けという原因が多いです。さて、今回のCP-1200は、どういった故障でしょうか・・・。

機構分離

CP-1200は、過去の製品の不具合の教訓がいかされているのか、磁気ヘッドにカードを押しあてる機構とカードをスライドさせる機構が分離されています。他のカードプレーヤーの場合、ゴムローラーのゴムが磁気ヘッドにカードを押し付ける役割とカードをスライドさせる役割の二つを担っています。ですが、カードが挟まっていないカードを差し込む前とカードのスライドが終わった後に空回り期間、ゴムローラーが磁気ヘッドを無意味に押し付け空回りしているので、磁気ヘッドの摩耗を招いております。

多数修理を行っていると、新品時に曲線を描いてあったであろうヘッド部分がフラットに摩耗しているのを拝見します。そのような摩耗が再生品質に影響するので、CP-1200では、磁気読み取り機構をカードをスライドさせる機構を分離したのだと推測されます。

ですが、今回の故障原因は、このような故障防止策も効果がなかったという事案になります。

磁気ヘッドの摩耗 再生NG

目視でも分かるぐらいに摩耗し削れております。後述の解析の結果、この摩耗によってカードの磁気が十分に読み取れず再生音が小さくなったと結論づけました。

再生OK品

以前、修理を行った同期のヘッド画像と比べてみると、歴然と摩耗が具合が違います。

実は、この結論に至るまで故障個所原因の切り分けにかなり難航しました。まずは、物理的に磁気を読み取るメカニカルな機構の不具合なのか、音声を増幅再生する電子回路系の不具合かを切り分けます。

まずは、磁気ヘッドの摩耗は気になりますが、正常に読み取れアンプの前段まで音声が来ているかを確認します。

電子基板

構成としては、磁気ヘッドから拾った音声をプリンアンプ段として2SC1345 2個で構成されたダーリントン回路で増幅しボリュームを介し1701刻印のオペアンプで増幅しスピーカーを鳴らすといった回路です。それぞれの段間にカップリングコンデンサが挿入されています。

一応、音は小さいなりにボリュームの増減はするので、回路に入力された入力レベルが小さいと予想されます。この手の解析には、いつも使うのですが、クリスタルイヤホンで回路途中の信号を直に耳で確認します。

結論からいうと、オペアンプの入力以前に既にレベルが足りていません。2SC1345のダーリントン後でのレベルもほぼ無いです。そこで、段間に挿入されたACカップリングコンデンサを総とっかえしましたが、不具合は解消されず、最終的に2SC1345も取り外しチェッカーで確認しましたが、問題ありませんでした。どうも電子回路にも問題なさそうです。

部品交換チェック

そこで、磁気ヘッドのチェックに戻ります。

磁気ヘッドモジュール

ヘッドが摩耗しているのなら、実はカードの磁気部分に押し当てるポイントにズレが生じているかとも推測し位置調整のアライメントを取り直してみます。

確度、押し付け強度、上下高さ位置を調整ネジで調整できます。出荷時には、位置ズレが起きないようネジ止めが各所に塗られております。ですが、どう調整してみ音量の改善には至りませんでした。

CP-1200の磁気ヘッドは、替えの部品を在庫していないため、もう打つ手がありません。カードプレーヤーの場合、替えの効かないキーパーツとして、モーター、磁気ヘッド、フライホイールなどの機構部品があります。今回の事例は、そのキーパーツの不良による修理不可能事例でした。


ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 修理フォロー

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 修理フォロー

今回のご依頼は、ご自身で修理に挑まれたが、うまくいかずそのフォローを行った案件となります。ソニートーキングカードプレーヤーの不具合は、経年によるゴム部品の劣化によってカードが正常にスライドできなくなる事象がほとんどです。

特にゴムベルトなんかは、日常にある輪ゴムなどで代用できないかと交換を試みる方が時々居られます。試したことのある方は、ご存知かと思いますが、規格サイズ、ゴムの強度など純正のベルトに比べ全く異なるためはめ込んでも動作しません。

輪ゴムでの代用

モーターからの動力をプーリーを介してフライホイールに伝えるため、強度がまったく足りません。今回も、輪ゴムで代用してみたが、カードを正常にスライドできないとのことです。

また、カードを直にスライドさせるゴムローラーも劣化しているでしょうから、輪ゴムのみ交換を行っても直せないと思われます。

交換作業
ゴムベルト交換

因みに、当医院では、2種類の材質規格のゴムベルトを使い分けております。また、今回は、致命的ではありませんが、電池ボックスの負極端子に錆があがっておりましたので、研摩しておきました。完全に導通していなければ、気づきにくいかもしれませんが、錆によってい電圧が低下していた場合、カード駆動に支障もでかねません。

スピーカーコーン

修理の対象ではありませんが、スピーカーコーンの中央のセンターキャップがへこんでいます。これは、主に振動コイルに埃などの侵入を防ぐためですが、高音域の音質にも影響があるかもです。高級オーディオでもないので、リスクをおかしてまでも元に戻す必要もありませんので、このままにしておきます。

以上で動作確認も終え修理完了です。


動作も問題なく購入当時と遜色ありません。 大変喜んでおります。動作確認〜修理まで丁寧な対応頂き感謝してます 本当にありがとうございました

~ご依頼様のご感想より~