ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000修理

20年程前に購入され長らく保管されておられ、最近カードを通したところカードが自動でスライドせずもちろん再生もできない状態とのことでした。

まず、当医院に依頼のあるソニー製のカードプレーヤーのほぼ100%でゴム系部品の経年劣化によるカード駆動の不具合が出ています。それ以外にもプーリーのグリス固化やアンプ回路の故障など様々な状況があります。

さて、今回のCP-1000を拝見します。

ゴムベルト溶断

ゴムベルトが溶けて切れていますね。しかもプーリー類に粘着しています。

プーリーの軸もグリスの劣化固化でカッチコチになっています。

ゴムベルトの残骸

粘着しているのでこそぎ取る必要があるんですよね。

エタノールが一番よくとれますが、最近パーツクリーナーでもよく落ちることが分かりました。

プーリー類

粘着したゴムを綺麗に洗浄しゴム系部品を一式新品に交換します。

左:劣化ゴムローラー 右:新品ゴムローラー

隅々まで綺麗に清掃もします。

綺麗に洗浄

カードプレーヤーをご自身で修理されるような場合は、部品交換のみという方が多いかと思いますが、末永くご使用になる場合は隅々までのメンテナンスをお勧めします。

組み付け

磁気ヘッドのアジマスも問題ありません。

最後にカードの再生速度を調整しますが、モーター内のツマミの接点が劣化か錆で接触が悪く調整に少々難航しました。

現状のままでツマミを調整しようとすると、なぜか固くツマミの溝も何かゆるゆるか削れてうまく調整できません。接点復活剤を吹き一グリグリし接点の表面を削り再度微調整をしました。

修理完了

問題ありませんね。

これにて修理完了です。


突然の連絡にも関わらず、すぐにご返信下さりありがたかったです。

私が子供の頃に使っていたので、もうこの機械も古いから使えなくなってしまったかなと諦めかけていましたが、修理していただけて嬉しいです。

修理もすぐにしてくださり、内容も丁寧にご連絡くださったり、動作確認後の請求など、とても親切でした。 本当にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム粘着事例

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム粘着事例

今回は、修理不可能になってしまう事例を紹介します。

CP-1000という機種では稀なのですが、カードをスライドさせるゴムローラーが経年で溶解し磁気ヘッドに粘着します。その影響で磁気ヘッドコア部(アモルファス)に浸食し正常に磁気を拾えなくなります。

既に依頼者様で分解しこの事態を目視しておられたので、『修理の見込みはあるのか?』というご相談からありました。

スタッフブログに掲載のCP-33機種における修理不可能な事例を同じく溶解したゴムローラーが磁気ヘッドに粘着した場合、その多くは修理不可でした。まともに磁気が拾えなくなっています。

では、今回の事態を画像で確認しましょう。

フライホイール軸

既にボロボロになったゴムローラーは除去されたのですが、その様も容易に想像できる事態ですね。

CP-33という機種でこの症状が多いのですが、CP-1000では2例目です。

推測ですが、一度メーカー様に修理にだされ、ゴムローラーを交換したのだが、その時のゴムローラーの素材が製造当初から変更になっており、CP-33と同じ素材のゴムローラーに交換されていたのかもと予想しました。

では、肝心の磁気ヘッドを確認しましょう。

粘着

おおお!すごいですね。

かっちこちに固化し粘着しています。

で、ここで無理に剥がすとダメージが大きくなってしまうんで、慎重かつ丁寧にそっと剥がしていきます。

剥がした跡

できるだけ慎重に剥がしたのですが、ヘッドのコアも損傷を受けていますね。当初の予想通りいなりそうです。

この状態で、ゴムベルトとゴムローラーを交換し再生確認をしましたが、まったく音が拾えておりません。微かに再生音が聞こえる程度です。

手前が今回のご依頼のCP-1000で奥が、当医院のCP-1100です。

また、アンプ回路やスピーカーなどの故障で音が小さくなっているかもということもあり得るので、当医院で用意している検査治具に磁気ヘッドのみを接続して音を鳴らしてみます。

検査治具

やはり、同じようにまったく磁気が拾えていませんね。

アンプ回路にも故障があり、起動時と停止時にピューンという鳴りがでます。パワーアンプ回値のコンデンサーにも何か劣化が出ていそうです。

今回は、経年によるゴムローラーの溶解で磁気ヘッドにゴムが粘着した場合の影響についての記事でした。残念ながら修理不可能となりましたが、数十年経過しているので、致し方ないのかもしれません。


ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 スピーカー修理

CP-1100

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 スピーカー修理

約2年程前にゴム系部品の経年劣化で修理のご依頼のあった方より、カードを差し込んでも自走せず再生もしないとのことで修理のご依頼がありました。

既に前回の修理から2年を経過しているので、以前修理した箇所に何か不具合でも再発したかとドキドキしながら診察を開始しました。

到着して直ぐ再生確認をしようと電池ボックスを確認したところ原因が直ぐ判明しました。

極性間違い

単一の乾電池4本が必要なのですが、その内の1本が逆に挿入されており、マイナス同士が向き合ったおります。

もしやと思い電池ボックスの端で電圧を計測すると、電圧0Vで電池間で導通しておらず、乾電池単体でも正常な電圧をキープしておりました。このマイナス同士は、乾電池のカバーの厚みで導通しておらず、災難を免れた形をなりました。

もしですが、このマイナス同士が導通した場合は、この逆に挿入された乾電池が充電状態になりそうで、そうすると液漏れや膨れが出るように推測します。

さてさて、逆の挿入された乾電池を正常に入れなおし、カードを挿入すると無事にゴムローラーが回転をはじめカードを引き込みました。

ですが、音がでていません。

まったくのウンスンです。

再生系に何か故障が起きていそうなので、開封して原因を調査します。

ボイスコイル断線

原因は直ぐ分かり、CP-1100でよくあるスピーカーの故障でした。テスターでもO.Lを示しており、ボイスコイルが断線しているようです。別途クリップ付きのリード線で別のスピーカーをつなぐと無事に再生音が出てきました。

ということで、スピーカーを交換します。

CP-1100で使用されている外径規格が同じスピーカーは流石に入手できなため、電気的な規格の同じスピーカーで装着します。

従来は、ウレタンを手で加工して台座を作り装着していたのですが、ウレタンの在庫が底を付いたので、今回からはおゆまるくんで台座を作成します。

型取り君と同じですが、同じものがダイソーでもおゆまるくんとして売っているのでそれを使います。

おゆまるくん
台座

熱湯で柔らかくしたおゆまるくんをケースに設置しスピーカーを中央にはめ込んでカバーをハメます。

台座

ばっちりですね。綺麗に台座が作れました。

今回はスピーカーのみの交換でしたが、ついでに磁気ヘッドもお掃除をしておきます。

また、カードの再生速度も速めにズレておりましたので、再度調整をしておきます。

約2年程という期間ご使用いただいておりましたが、以前修理した箇所も不具合の再発もなく稼働しており一安心でした。以上で修理は完了です。


カードを試してみましたが、きれいに再生されており安心しました。 子供とまた楽しむことが出来ますこと、嬉しく思います。

~依頼者様のご感想より~

ベネッセ ワールド ワイド キッズ カードリーダー スピーカー故障

カードリーダー

ベネッセ ワールド ワイド キッズ カードリーダー スピーカー故障

今回は、ご友人から譲り受けた、ベネッセの教材についての修理記事となります。

今夏、機器の再生音量がかなり小さいという症状で、当初はご相談がございました。

同じ機種のスピーカー故障を春に修理しており、その記事をご覧になってご相談されました。

音量が小さいなりにご使用を続けられておられたのですが、やはり修理をということでした。

音量が小さいといっても、本機種はそれほど音量が大きいわけでもないのですが、製品仕様による、そもそもの仕様なのか、何か不具合が起きてのことなのかが気になります。

実は、他の製品でも音量が2段階で切り替えることができる機種があるのですが、持ち主の依頼者様の期待する大きさではなかったので修理を依頼されたことが過去にあります。ですが、実際に現物を拝見すると、それはそもそもの製品の仕様だったという経験があり、往復の送料も掛かってしまい残念が結果になったことがあります。

ボタンを押すクリック音の方が大きいことや、実際に稼働時の再生動画を見比べていただいたところ、やはり使用に耐ええない程とのことでした。以下は、正常時の音量大側での再生動画です。

正常時音量の基準サンプル

また、保険的にもし再生音量が正常な場合は、デフォルトの再生音量を回路定数を変更して何とか音量を上げることができないかも検討するとしました。

では、診察します。

まずは、小さいという音量を耳で確認します。

音量不良

これは小さすぎますね。

お子様は、よく頑張ってこられました。静かに聞くと分かりぐらいです。何か不具合が起きていますね。

スピーカー自体の故障であれば交換を、電源の発振回路であれば原因を突き止めます。

では、開封します。

スピーカー

スピーカーは、Φ=40mmで8Ωです。表面の筐体にボンドで周囲を接着されております。

目視上は、問題は無さそうです。※SPってマジックペンの跡が気になる。。。

コーンの状態を確認すべく外そうと頑張ったのですが、この接着剤がほんと取れないです。

カッターで切り込みを入れ、小さいマイナスドライバーでこじったのですが、その応力で電極の台座が外れてしまいました。もちろんですが、ボイスコイルとの接続も切れてしまいました。( ̄▽ ̄;

電気的な不具合は解析できなくなってしまいました。

故障スピーカー

コーンが少し盛り上がっているのは、こじった際の反動だろうと思われます。このぐらいに力を入れてこじらないと外せませんので、外す際は交換前提と考えた方がいいです。

で、コーン面にも目視上の問題は無さそうでした。膨らんだコーンは、指で戻しておきます。

さて、スピーカーの交換で音量が正常になるのかを確認します。

スピーカーを仮組して接続し音量を確認します。

音量が通常レベルにまで回復しましたね。スピーカー側の不具合だったようです。

※といっても何が問題だったのかは今になってしまうと迷宮入りとなりました。

今回は、スピーカーの交換以外にも、折角なので押しボタンの接点と本体内外の汚れ取りも行っておきます。

内部清掃

それと毎回気になるのですが、電池ボックスの電極の半田付けが心もとないのです。ぽきっと折れそうなので被覆を被せておきます。

心もとない被覆
再半田
収縮チューブ

スピーカーのボンドも乾いたころに動作確認をします。

問題なさそうですね。音量も元に戻りました。

以上で今回の修理は完了です。


音量、はっきりと聞こえるようになっていて、 子供達も早速楽しそうに遊んでいました。

この度は迅速、丁寧なご対応に本当に感謝しかありません。

本当にありがとうございます。

~依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 修理

ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 修理

ソニーリピートカードプレーヤーCP-33の修理依頼がございました。

内部のゴムベルトが溶解し粘着している点と電池ボックスの電極に腐食がある旨お聞きしておりました。

画像も事前に拝見できていたのですが、スタッフブログにも掲載しておりますが、CP-33は、そのほとんどで経年によるゴムローラーの加水分解でゴムがボロボロになり、保管中に継続して接している磁気ヘッドのコアを侵食します。この侵食で、磁気ヘッドの再生不良が、ご依頼の案件の半数で起きており修理不可能になるケースが多いです。

ゴムローラー

今回は、事前に撮影された画像を提示いただいたので、少なくともゴムローラー起因の磁気ヘッド不良の可能性は低いだろうと推測できました。

約20年前ということですが、ここまで立派に形を留めているゴムローラーをはじめて見ました。では、早速拝見します。

ゴムベルトの溶解
ゴムベルト溶断

ゴムベルトが溶解しておりますね。

修理可否などを確認するためには少なくともゴムベルトをハメることができるまで綺麗に除去しないといけません。

除去洗浄

他の機種もそうですが、ゴムが溶けた場合の洗浄には、エタノールが最適です。

過去の記事で灯油との比較を行いましたが、作業性に段違いに差がありました。

といっても、粘着したゴムを綺麗にしかも、再生音質に影響のないレベルまで綺麗にするのは、とても大変な作業です。

ゴムローラー

ゴムローラーは、目視では、表面にテカリと固化が見られますが、ひとまずこのままで作業を続けます。ゴムベルトを綺麗に取り付けないと動作確認もできませんし。

各所粘着したゴムを綺麗に除去しアルコールで洗浄します。

フライホイールの溝

モーター用のプーリーとフライホイールの溝に入ったゴムをこそぎ落とします。

ここでやっと、作業料見積のために暫定動作確認ができます。

とりあえず綺麗にしたプーリーとフライホイールに交換用のゴムベルトを装着し暫定再生確認を行うと、無事カード再生ができました。前述のゴムローラーは、交換不要そうなので、依頼者様には、ゴムベルトのみ交換として了承をいただきました。

では、作業の了承も得られましたので、各所の洗浄とグリス交換等を行います。

プーリー

途中のプーリーも溝に入ったゴムを取り除きアルコールで洗浄します。

また、CP-33のプーリーの稼働軸は、カシメられておりので取り外すことができません。従いまして、パーツクリーナーで古いグリスを軸をプーリーの隙間を含め綺麗にします。

本体内部

本体内部もスイッチ部の接点含め綺麗にしておきます。もちろんですが、電気的な接点は接点回復スプレーを吹いて稼働させて接点を復活させます。

ここで、最終の動作確認をします。

あれ!?

wallというカードで滑りが出ています。当初の動作確認ではこのような滑りは出ていなかったのですうが、やはりゴムローラーの表面のテカリ固化は、数回程度の動作確認では、運よくカードも自走しますが、ゴムローラーも新品に交換が必要そうでした。

ゴムローラー

原因を調べてみると、wallカード裏面に凹みができており、その凹みを差し掛かるとスリップを起こしておりました。

凹み

トーキングカードは、製造から数十年が経過しており、当医院の修理のご依頼のある場合は、ほぼすべてのカードで何かしらの劣化があります。そのカードを再生できるレベルまでを修理理のクライテリアとしております。

他のゴムローラー交換済みのCP-1000では、滑りは起きませんが、この点を踏まえ、ご依頼様にご相談した結果、今回はゴムローラーの交換は不要ということでご指示をいただきました。もちろんですが、その場合は、劣化カードでの再生不良含め、今後の動作不良に関しては一切不問で大丈夫ともご承諾をいただけました。

ということで、今回はwallカードでもスリップ動作が残りましたが、残る電池ボックス電極の錆をルーターで研摩して修理完了とします。

ゴムローラーの加水分解もなく磁気ヘッドへの影響もありませんでしたので、カードにはよりますが再生できるまで修復できました。


ソニーカードリピーター CP-55/CP-55A 修理

CP-55/CP-55A

ソニーカードリピーター CP-55/CP-55A 修理

フリマで購入されたカードリピーター 2台とも動作不良とのことで修理のご依頼がありました。どちらも正常に再生できないのですが、1台は、まったくカードが自走せず、もう1台は、カードの自走が溝の途中で止まってしまうそうです。

どちらもカードを差し込んだ際には、本体内部でモーターの回転する音がしており、止まるカードの自走も手で押してあげると、おかしいなりにスピーカーから再生音がしているというのも事前に確認できました。

どちらも致命的な故障ではなさそうです。では、CP-55の方から拝見します。

因みに、CP-55とCP-55Aの違いですが、今回の機種では、CP-55Aは、サイズの大きいカードもリピート録音再生ができる、録音時間の長い機種でしたが、過去の修理実績では、CP-55Aであっても、録音時間が短かったりしたので、詳しくはわかりません。

恐らくOEM供給されていたのだと思いますが、CP-55Kとかもあったりします。

CP-55

CP-55

今回は、CP-55が2台ですので、ケースや電池ボックスのカバーの付け違いを申しするため、養生テープで印をつけておきます。因みに、本体底面のカバーは、裏面に型番が刻印されています。

不具合の原因は、ゴム系部品の経年劣化で、ゴムベルトが伸びてカードを駆動できておりませんでした。

ゴムベルト伸び

カードを直に駆動するゴムローラーは、かろうじて摩擦が残っておりましたが、ご依頼様とご相談の結果、まとめて交換することになりました。

ゴム系部品

このゴムローラーですが、長い期間そのままで保管すると、ピンチローラーに直に接したままとなり円筒形の下部に凹みができてしまうんですよね。

凹み

この凹みは、カード再生には致命的ではありませんが、この部分差し掛かった時にガクガクとなるので、できればゴムローラーは交換をお勧めしております。

では、粛々を作業に取り掛かります。

ゴム系部品以外にも内部のお掃除や劣化したグリスの交換、スイッチ類の接点に復活スプレーを吹いて反復動かし接点を綺麗にしておきます。

溝の内側もアルコール清掃しておきます。CP-55は、CP-33と違い使用しているゴムベルトの素材が異なり経年で溶解することはないので、非常にお掃除が楽です。

一式洗浄

一式を綺麗に洗浄します。その他、本体内部も綺麗にします。

ゴムローラー

さて、ここで最終の動作確認をしますが、音量をゼロにしてみると、何か擦れるノイズが出ていることに気づきます。

カードプレーヤ全般そうですが、軸の擦れや筐体との干渉で擦れノイズがよく出ます。

フライホイールの軸、グリスを交換したプーリーなどチェックしますが、どれも違います。しまも、確認のために駆動モジュールを外し除くとノイズが止んで、取り付けるとまたノイズがし出すといった始末です。

ノイズ源を探るのは容易ではありません。

ゴムベルトを外して空転などさせると止んだりします。

調べてみると、小サイズ側のゴムベルトを取り付けるとノイズがし出すので、モーターかプーリーが発生源ということが判明しました。

ベルトプーリー

モーターの軸に取り付いてある、ベルト用のプーリーですが、取り付け位置の深さが深かったため、途中のプーリーと面一になっていないため干渉ノイズが出ていました。面一になるように調整すると、ピタッとノイズが止みました。

CP-55

以上でCP-55の修理は完了です。


では、次に2台目のCP-55Aの作業に移ります。

CP-55A

CP-55A

こちらも養生テープで目印をしておきます。

CP-55Aも、CP-55同様にゴム系部品の劣化で駆動不良が起きておりました。

ゴム系部品

CP-55A側もご依頼様と相談をし、ゴムローラーも交換することになりました。こちらは、特に稼働ノイズの発生もなく粛々と作業ができました。

アルコール清掃

可動部のグリスを交換しアルコールにて綺麗に洗浄しておきます。

内部清掃

本体内部の黒くなった汚れも隅々までアルコールで拭いておきます。

このCP-55Aは、サイズの大きいトーキングカードでもリピート録音できます。

CP-7000では、どのサイズのカードでも録音時間を気にせず再生えできますが、このCP-55Aも同様に大小サイズのカードに対応します。

以上で、今回のCP-55/CP-55A 2台の修理内容のご紹介でした。


丁寧に対応していただき安心できました。

音もしっかり出ていてこれから活用できそうです。

~依頼者様のご感想より~

アナログ プレイメイト 発振ノイズ 修理

プレイメイト

アナログ プレイメイト 発振ノイズ 修理

DWE製のプレイメイトは、アナログ、デジタルと両カードプレーヤーを修理してきましたが、新デザインのアナログプレーヤーの修理は初となります。

旧デザインのアナログプレーヤーの修理実績は数件あるのですが、新デザインの修理は初めてです。

旧デザインのプレーヤーは、可変抵抗で音量調整できたのですが、新デザインになってから、音量の調整が2段階のみとなりました。ソニー製のトーキンカードプレーヤーCP-1000のようです。その後のデジタル版のプレイメイトでは、可変抵抗のボリュームに戻りました。

2段階の音量調整は、どのメーカーでも不評だったのでしょうね。。。

さて、今回のご依頼は、中古で購入したアナログプレイメイトだが、購入後しばらくは問題なく使えていたが、ある時から音量大に切り替えると、大きな機械音がして使い物にならないということです。ダメ元でもと切望をされて居られたので、頑張って修理に挑みます。

電池ボックスには、液漏れの腐食があるので、ACアダプターでの使用を前提としている旨をうかがっていました。腐食もまとめて修理もしましょう。

負極腐食
正極腐食

届いて直ぐの状態で動作確認してみると、やはり酷いノイズです。

音量大側に切り替えると、カードを再生しているいないに関わらず、ノイズが出ており、過去の経験からアンプ部からの発振ノイズのように感じました。

磁気ヘッドをずらし固定して何も触れないようにしていてもノイズが出ます。

音量を小側にするとパタッとやみます。こんな感じです。

ノイズ

ゴムローラーも回転しているので、物理的に何かに干渉した擦れ音かもと思ったのですが、動作確認のとおり、ボリュームの切り替えでノイズが発します。

そこで、基板を眺めボリュームの切り替え仕様と確認します。

このアナログプレイメイトは、音量大側のデフォルトの音量設定となっており、小側に切り替えると、カーボン抵抗にてパワーアンプ入力前の音源信号がGNDに接続され振幅が絞られるという回路仕様です。

ここでこの手の回路に詳しい人なら気付くかと思いますが、発振ノイズであれば、信号経路の定数が変化してフィルター定数が変化し発振してしまったのかもと推測できます。

パワーアンプにサンヨー製のLA4145が搭載されており、データーシートからも外付けキャパシタの設定仕様が規定されております。

推奨回路
各キャパシタ

では、まず基板の眺めましょう。

とここで、基板の裏面に異変を発見します。

なんじゃこれ?

腐食?
腐食

実は、先の電池ボックスの液漏れですが、ちょうど基板の裏側に位置しており、前オーナー様が液漏れをされその腐食の影響が基板に現れたようです。

でも、しかし酷いですね。ブクブク沼の泡のようです。

目視で懸念される配線に断線など出ていないをチェックしたところ、とりあえず断線や大きな抵抗成分は発生していませんでした。

一応念のためクリーナーで腐食部分を洗浄してみると心持ち綺麗になったかな位にはなります。

とここで、動作確認を再度行ってみると、あらびっくり音量大側でもノイズが綺麗に消えているではありませんか。

いろいろ調べてみたのですが、もうノイズが出そうにもなくなりました。

依頼者の方にも確認をしたのですが、一時的にノイズが消えても再度現れるとのことは分かっているが、では再度ノイズの再発するような時間的な情報も無いとのことです。

困りました。このままでは、ノイズをもう再現できなくなりますので、以降は、ノイズの発生原因を発信ノイズと推測し対策を考えます。

まず、回路上の腐食箇所は、できる範囲で研摩し腐食を取り除きます。腐食の進行に備えて迂回配線を別途施しておきます。

この腐食によるノイズ発生の可能性は低いと思われますが、腐食をそのままにはできませんので、対策を講じます。

次に、プリアンプ、パワーアンプのフィードバック、デカップリング用や電源回路中のパスコン用の電解コンデンサーを一式丸ごと交換します。

これは、旧デザインのプレイメイトでも周辺の電解コンデンサーの劣化で音が出ないもしくは起動時にノイズが乗るなどの故障経験があったので、やはりコンデンサーの容量抜けが何かしらの遠因になっているものと推測しました。

ここまで補修作業を行い、しばらく連続稼働させ、先のノイズが再発した場合は、対処療法にはなりますが、音量大側の音量切替を無効にしたいと思います。

では、作業にかかります。

まず、基板上の電解コンデンサー全数を交換します。

電解コンデンサー

極性はもちろんですが、部品選定にて耐圧なども十分許容範囲であることを確認します。

次に配線作業にかかります。

腐食配線補修

腐食にみられたパターンをルーターにて研摩し表面を綺麗にします。

研摩しすぎるとパターンをめくってしまうので、あくまでも腐食を剥がす程度です。

レジストも剥がれパターンがむき出しになるので、半田の薄くのせておきます。

次に、該当配線全てで導線による迂回配線をします。これでしばらくは腐食による断線を大丈夫と思います。

迂回配線

ここで基板を組みつけ連続稼働再生確認をします。

しばらく稼働確認をしましたが、ノイズの再発もなくしばらく稼働できました。

ノイズ対策としては、以上で完了とし最後に電池ボックスの腐食研摩しておきます。


90年代のプレイメイトでしたが、ノイズ音がすっかり無くなり母子とも喜んでおります。

治った事も嬉しいのですが、何よりご丁寧な仕事ぶりに脱帽です。

原因から提案までとても丁寧に対応してくださいました。

大事に使わせていただきます。誠にありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~

ランゲージパル モーター故障

ランゲージパル

ランゲージパル モーター故障

今回は、修理不可能と思いきや返送後に正常に戻ったという事例を紹介します。

当医院は、ソニー製のカードプレーヤーの修理を得意としております。その他のカードプレーヤーについても修理の受け付けはしておりますが、交換部品や修理の知見も乏しく修理不可能である場合が多いです。

まず、過去の修理記事をご覧になられた方から修理のご依頼がありました。

2台のランゲージパルを所有されておられ、その内の1台のカード再生速度が速いとのことでした。

ソニー製のカードプレーヤーの殆どは、速度調整できる仕様のモーターなのですが、その他の機種となると、そもそも調整できるモーターの仕様かという点がポイントとなります。

また、そもそもモーター自体に故障があった場合は交換部品がないため、修理不可能となります。カードプレーヤーの殆どモーターは、回転速度制御されており、その回路がモーター内部に仕込まれております。

以前、ソニー製のカードプレーヤーのモーターを修理しようと試みた経験がありますが、そもそも用意に分解できるモーターではないのに、強引に失敗して元に戻しても回転ムラが出てしまうようになってしまいました。

到着後、直ぐにカード再生確認すると、やはりカード再生速度が速くなっております。

いろいろ調べていると、今度はゴムローラーも滑り出しカードがスライドしなくもなりました。

さて、今回の原因を探ってみます。

スポンジボロボロ

本体をあけると、妙に粉々していました。調べてみるとスピーカーのスポンジがボロボロになっていたためでした。肝心のモーターを確認します。

モーター

おお、調整できるタイプですね。

早速、速度調整をしますが、おかしいです。

可変抵抗のツマミが止まりません。360°回転してしまいます。これは、可変抵抗の軸か何かが壊れてしまい、抵抗値を正常に制御ICが読み取れていないようです。

いろいろ試してみましたが、どうやっても速度は若干の調整はできますが、それでも早いままです。

先のゴムローラーの摩耗も手伝って全くカード再生できません。

ゴムローラーの状態も調べてみると、摩耗が進行しており径が目視でも分かる位収縮しております。そのため、摩擦が低下しカードをスライドできなくなっております。

ランゲージパルは、先生モードと生徒モードで再生でき、6mm幅の磁気テープの上と下で磁気ヘッドの位置を移動させ、それぞれのトラックを分けて再生しております。

ゴムローラーの摩耗の幾分すくない側にヘッドを移動させる若干移動し始めたりするので、やはりゴムローラーの摩擦が無くなったためにスライド不良が起きていることは確かそうです。

もちろんですが、モーターの回転速度が速いのも手伝って状況をさらに悪化させてはおります。

困りました、ランゲージパル用のゴムローラーは持ち得ていないのと、そもそもランゲージパルは、このゴムローラーを容易に交換もできないようになっていそうです。

モーターの故障は修理不可能である点とゴムローラーの摩耗もあり交換もできない旨をお伝えすると、修理は断念されるとのご判断をいただきました。

カードプレーヤーは、替えの効かない磁気ヘッド、モーターなどのキーパーツが故障した場合、部品取り機でもない限り修理不可能となります。

たいへん残念ではありますが、今回は修理が不可能であった事例の紹介となりました。

2022年9月30日(金)追記

返送後に依頼者様より返信があり、動作をさせてみると無事正常に稼働したとのことです。

何とも不可思議で作業時は速度が速く調整ツマミの回路も故障しているようでどうすることもできませんでした。一応ツマミは、接点復活スプレーを中に吹き付け、速度が遅くなるであろう方向には回して返送をしたのですが、その後、可変抵抗の電極表面の異物か錆が上手く取れたのかもしれません。ですが、原因がはっきりとしていないため、不定期に再発するかもしれない点は、懸案事項として残ります。


先日はランゲージパルで大変お世話になり有難うございました。

こちらに到着してから、カードを昨日かけてみましたら、スピードがややゆっくりですが、ほぼノーマルな状態で音声を再生することができています。

解体してお掃除していただいたおかげではないかと思います。

有難うございました!

~依頼者様のご感想より~

ソニー カードリピーター CP-55 修理

CP-55

ソニー カードリピーター CP-55 修理

カードが自走せず、手で押してあげても再生音が小さく雑音もあるとのことで修理のご依頼がございました。

早速拝見しましょう。

カードが自走しない原因は、ゴム系部品の劣化が多く、再生音が小さいのはCP-55特有のカップリングコンデンサでしょうね。

ゴムベルト

ゴムベルトが伸びておりプーリーを駆動できなくなっております。

因みに、ネット通販で市販されているゴムベルトは使用しては“だめ”です。

購入したことがあれば分かりますが、オーディオ機器には使用できない、ゴムチューブを手作業で輪切りにしたセット販売で品質が最低です。

段差があったりし、径のサイズが歪でカードを再生すると段差や歪の箇所で音が歪んでしまいます。また、手作業で輪切りにしているので所々太くなっていたり細くなっており、補足箇所で破断することもあります。

次にカードを直に駆動するゴムローラーも経年劣化で固化していますので、ゴム系部品は一式まるごと交換をしてしまいます。

劣化ゴム系部品

次に再生音が小さい原因と推測されるカップリングコンデンサも一式まるごと交換しますが、その他の故障箇所がないかも確認します。

音が全く出ておりませんので、磁気ヘッドに不具合がないかと確認します。

カード検知でモーターは回るので、外付け治具で再生確認します。

大丈夫ですね。無事再生音を鳴らしております。スピーカーも問題ありませんので、後は粛々と作業を進めます。

部品交換

CP-55では、よくある故障なのですが、音質改善でパスコン含めて他機種でも交換をすると音質が改善できるかもしれませんね。

洗浄

古いグリス類は洗浄して交換します。可動部にもグリスアップします。

ゴムローラー

無事修理完了し動作の最終確認も大丈夫ですね。


ランゲージパル CR-80 修理

CR-80

ランゲージパル CR-80 修理

当医院では、修理実績の非常に少ないランゲージパルという磁気カードを再生するカードプレーヤーの修理依頼がありました。

過去に、同じランゲージパルでもLP-IIという機種を診たことがありますが型番違いのようですね。

早速拝見します。

同封のカードを差し込んでもうんともすんともです。

ゴム系部品が、劣化で滑っているようでもなく、モーターの回転音なども一切しません。

早速、開封し確認します。

ゴムローラー

ゴムローラーの損傷もなさそうですね。

因みに、ソニー製以外のカードプレーヤー用のゴム系部品は、用意がないので今回は表面をアルコールで拭いておくくらいのメンテナンスとなります。劣化も無いようなので、今回はこれで十分でしょう。

ゴムベルト

ランゲージパル CR-80は、モーターの回転をゴムベルト1本でフライホイール軸に伝えておりますね。ゴムベルトも目視、損傷などもありません。粘着もないですね。

少々伸び掛かっておりますが、ゴムベルトも今回はアルコールで表面を吹いておくメンテナンスとします。

さてさて、カードが再生しない原因を探します。

検知スイッチ

どのカードプレーヤーも同じなのですが、カードが溝に挿入されたことを検知するためにマイクロスイッチが実装されております。

ランゲージパルも同じようにオムロン製のマイクロスイッチが実装されておりますが、このスイッチの接触が悪くなっております。

ダメ元で接点復活剤を吹いてみますが、多少の改善はありますが、この手の接触不良は、一時的に接触を回復させても時間をおくと再発します。他のカードプレーヤーで経験済みです。

また、分解してみると分かりますが、スイッチの突起の隙間から復活剤をスプレーしても接点には届きません。残念!しかも、分解するにはリベットを外さないといけません。残念!!

内部の構造的に電気的な接点は、奥まったさらに奥にあり隙間からのスプレーぐらいでは接点まで液が届きません。従って、復活剤で何とかするには、液体にスイッチ部品を浸すぐらいでないといけないですね。

廃盤などで部品が入手できない場合は、分解して接点を研摩しますが、このマイクロスイッチは、現在でも市販されておりますので、新品のスイッチに交換してしまいます。

左:新品 右:不良品

これで接触も回復できました。

録音用のブランクカードも動作確認用に同封いただけたので、先生と生徒で録音テストも行い問題ありませんでした。

さて、別件で相談があったのですが、このランゲージパルで使用できるACアダプターが必要とのことでした。

このランゲージパル用のACアダプターは、市販品で多い仕様とは逆の接点極性で、しかもDCプラグの内径も大きいです。

それと知らずに、手持ちにあった挿せそうなACアダプターを電気的仕様も確認せずに差し壊してしまった事例があります。こちらの方もご苦労なさっておられますね。

ソニーカードリピーターCP-33やCP-7000も極性が逆なので、誤って差し壊してしまった案件を修理したことがあります。よく、電源用のトランジスタが割れて壊れたのを拝見します。

使用できるACアダプターはあるのですあ、DCプラグの先が抜けてしまう危険性があり、万一抜けた際に誤って逆さししてしまう危険性があります。

そこで、筐体横に極性を明示するためのシールをはり、DCプラグは、ランゲージパル専用として先が抜けないように収縮チューブで固めてしまいます。


以前、壊れたSONYのトーキングカードの機械をとてもよく修理していただいたので、 今回も修理を依頼させていただきました。

ランゲージパルも丁寧に直していただき、また使えることになりました。

段ボール三箱分のカードがゴミになるところを助けていただきました。

アダプターも購入することができてよかったです。

また、極性表示のシール、アダプターの販売と調整ありがとうございました。

これで電池での使用が避けられます。

そして明らかに音声がクリアになっており、感謝しております。 (動画で聞いたときは私の思い違いかな?と思っていましたが、 実機で聞いて音声がクリアになっていると思いました。)

初めはとにかく元通りに音がきけさえできればいいと思っていたのですが 予想をこえてよくなって帰ってきてとても嬉しいです。

ありがとうございました。

~依頼者様のご感想より~