おやすみホームシアター メンテナンス修理

2台のおやすみホームシアター

今回のご依頼は、2台のおやすみホームシアターから選りすぐりの部品を取りまとめ、1台のベストな状態のおやすみホームシアターを完成させるというご依頼です。※末永く1台を使い続けたいとのご要望でした。

さて、このおやすみホームシアターは、TOMY社がタカラ社と合弁する以前の古い機種となります。過去に修理の実績もありませんが、まずは内部の構造から解析します。

まずは、それぞれの状態ですが、トップ画像向かって左のおやすみホームシアターは、電源を入れてもうんともすんともな状態です。向かって右のおやすみホームシアターは、一応は動作するが、ノイズが酷いとのことです。

※キーパーツが、動作不良でかつ代替えが効かない場合を除いて、できれば2台とも綺麗に直したいというモチベーションで臨みます。

その1.動作機の詳細調査

電源投入するとカセットの画像も投影され回転し音楽も鳴ります。ですが、やはりスピーカーの音割れやモーターの駆動音が大きいので、おやすみというよりは、うるさいかなぁという感じです。音割れの原因を探るべく分解しスピーカーとみてみると、よごれやほこりもそうですが、コーンもところどころうねっていました。

音割れスピーカー

Φ50mmでジャストサイズではありませんが、手持ちの同規格のスピーカーで鳴らしてみると、これがまぁ綺麗に再生されます。スピーカーコーンの吸湿など経年劣化も相まって音声不良になってしまったのでしょう。

純正スピーカーの直径は、Φ57mmですが、このおやすみホームシアターは、スピーカーの抑えが付いているので、Φ50mmの手持ちスピーカーも取り付けできました。新規の部材を取り寄せると送料なりかかってしまうのですが、ご依頼者様にご相談したところ、音質を重視されるとのことで、直径純正サイズΦ57mmを別途調達し聞き比べをしました。

Φ57mm新旧スピーカー

聞き比べたスピーカーは、以下のとおりです。

  1. Φ50mm 8Ω 8W品
  2. Φ57mm 8Ω 1W品
  3. Φ57mm 8Ω 0.5W品(純正規格:音割れノイズ品)

出力が異なるので、同じボリュームでも音量が違ってくることは、分かっておりますので、比較は、音質のみということで聞き比べて頂いた結果、 Φ57mm 8Ω 1W品 となりました。スピーカーは、新品の Φ57mm 8Ω 1W品 で換装することになりました。電子音を聴くわけですから、ある程度の見切りをつけてもいいと思います。

次にモーターの駆動音ですが、内部を分解しオーバホールをします。

焦げグリス

古く焦げたグリスを取り除き、コミテータ―とブラシの接触点の清掃と研摩をおこないました。コミテータの溝と焦げたグリスの相乗効果で接点に不具合が出ていそうですね。

オーバホール

コミテータの研摩をし過ぎると破損するので注意が必要です。また、カーボンの除去には、フラックスクリーナーがとてもよく聴きました。ブラシ用のグリスを負荷して視聴します。※モーターを視聴するっていうのもあれですが、、、。

ノイズ視聴

オーバホール後のモーターは、新品と間違える位の静音が達成できました。別途新品のモーター交換という手もありますが、この手のモーターは、トルクや動作規格を調べないと交換ができなく、外形の見た目が同じでも市販のマブチモーターなどと交換をしてしまうと、速度が違ってしまうので、この点も要注意です。恐らく、カセットの絵柄の回転速度が速くなるように思います。

さて、スピーカーの音割れとモーターの駆動ノイズは改善できそうです。動作機をベスト機として、ある程度目標のレベルで完成できそうです。

その2.不具合機の詳細調査

不具合機は、うんともすんともなので、開封して調べてみると、電源用のプッシュスイッチの接触不良でした。試行的に短絡させ電源を投入すると、無事起動し音楽も流れました。しかも、なんと!こちらの方が静音で状態が良いです。電源のプッシュスイッチが早くに故障したため、稼働時間が短いのでしょうね。

プッシュスイッチ交換

その他の部材も動作機同様にモーターのオーバホールメンテナンス、スピーカーの交換を行えば、不具合機も生き返りますね。

さて、以上をまとめ修理方針を決めます。

  • 代替えのきかないキーパーツの不具合はない。
  • モーターのオーバホールで静音にできる。
  • スピーカーは、純正サイズのΦ57mmを注文し交換。
  • プッシュスイッチもすべて新品に交換。

また、部材パーツの交換以外にも、以下のメンテナンスを実施します。

  • ギアボックスの古いグリス除去し新しくグリスを付加。
  • ゴム系のプーリーやローラーは、アルコールで洗浄掃除。
  • 光学系レンズもアルコールで洗浄掃除。
  • 本体内の埃もお掃除と筐体もアルコールで洗浄。
  • ビリケン球を新品に交換。
  • LED球の使用可否を確認するため試行的に実験
ギアボックス
光学系お掃除

2台のおやすみホームシアターは、無事動作できるようになりました。できる限りの静音も達成でき、これで末永くまたご使用ができると思います。

球の焦げ

ビリケン球も使用時間が長くなると黒くなってしまい交換にて、明るく鮮やかさが戻りました。球が古くなると見えていなかったで、球の交換後に不具合かもと思い込んでしまったのですが、旧を新品にし輝度があがるとレンズのスリットも見えるようになります。

レンズのスリット

以上で、当医院で提供できるメンテナンスおよび修理は以上となります。

ビリケン球と同じ規格のLED球の交換テストも行いましたが、指向角狭いLEDは、スポット的に対象を強く照らすような場合には良いですが、広い角度に明るく光って欲しい時には向きませんでした。そのため、投影中央に黒いムラが現れ調整ネジでも消すことができずでした。また、輝度も明るすぎて色合いも白く眠りにつくには、ビリケン球の温かみのある色合いはよいと思います。※LED球への交換は、耐久テストもしておりませんので、自己責任でとなります。

今回の修理メンテナンスは、個人的な達成感が非常に高くおやすみホームシアターも製品購入時の状態に近くできたように思います。ご依頼者様におかれましても、末永くご使用になられたらと思います。

たまごっち ネジ外し

おおお!

たまごっちの裏蓋のネジ外しのご依頼です。

リベット打ちか見紛うかというくらい、ネジであった状態でなくなっています。開封の条件は、傷を可能な限り付けないというご要望です。

今回も綺麗に溝がなくなっております。画像だけでは、ほんと、どう開けるか困りますよね。※当医院には、いろいろ開封のご依頼がありますが、自分でもよく開けるなと感心しております。

まずは、適切なサイズの精密ドライバーでダメ元でも抵抗感が残っているか確認します。

残念、まったくありません。T_T

若干サイズ大きめのドライバーで強く押しあててネジの摩擦を減少させて回せるか確認します。

残念、空回りするというか、一層ネジの開口が進みました。※おまけに手のひらが内出血で真っ赤っかです。 T_T

名誉の負傷

先日のネジ外しから、日も間もないので完治前にまた負傷してしまいました。

困りました。傷を付けないという条件では、もう策がありません。ネジ頭の周囲に溝を掘り精密ニッパーなりで開封したり、ネジ頭自体を削り取る場合は、傷がどうしてもついてしまいます。方針の角度を変え、いっそのこと蓋自体を同色のものと交換できればと考えましたが、そんなに都合よく中古品が格安で見つかるわけでもなかったです。

そうこう思案していると、一案が浮かびました。

本来は、別の用途で使用する特殊治具なのですが、回転するときにあるコツを使うと残っているネジ頭を回転できるかもと思いチャレンジしてみました。

うまくいきました。無事綺麗に開封できました。 v( ̄ー ̄)v

頭がでてきました。
無事開封

我ながら綺麗に開封できましたね。※ほんと、自分でもよく毎回綺麗に取れるなと感心しています。

別件ですが、最近の2件のご依頼とも市販の液状のネジ外しを使用して失敗しておられます。特にたまごっちのネジは、ネジの締め付けの強さをネジ頭の強度が、締め付け力 >> 頭の強度 なので、締め付け力を落としてやる必要があります。自分でもそうですが、手のひらが酷く内出血するぐらいなので、下手するとドライバーの押し付けが滑り手のひらに刺さるような大けがをするかもしれません。

くれぐれも無理をなさらず、早めにご相談、ご依頼をください。

【ご注意】

当医院で掲示している手法をご自身の判断で行い怪我をされても、当医院ならびに関係者含め一切の責任は持ちません。実施の判断は、自己責任にて行ってください。


今回は、急なお願いにもかかわらずご対応いただき、とても感謝しております。 全くの無傷で戻ってきたのでとても感動しました。また、綺麗にネジを外していただき、さすがだなぁと思いました。 本当にありがとうございました。 今後も何かお願いすることがあるかもしれません。 ボランティアでされてるので大変なこともあるかと思いますが、がんばってください。 この度は、本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

仮面ライダー 変身ベルト メンテナンス

タイフーン

当医院のホームページの診察一覧を見られた方が、同じ症状でお困りとのことでご依頼がありました。

具体的な症状は、スイッチの入れても”うんともすんとも”ということです。もちろん、事前に新品の電池にてご確認もして頂きました。

さて、不具合をチェックしてみると、なんと!問題なく動きました。

自分でもびっくりです。私は、おもちゃに触れずして修理ができてしまう、まさに神の手を持つ医師なのかもしれません!

という冗談は、さておき、当医院で受け取り動作確認をすると、問題なく動作をしておりました。おもちゃ病院では、よくあることなのですが、ご自宅では、不具合があったのに、おもちゃ病院の会場に持参すると、なぜか問題なく動いてしまう。よくある、おもちゃ病院の”あるある”です。

今回の変身ベルトも長らく保管されていたとのことなので、輸送中の振動でモーター内部の接点なりが、良い意味でズレてしまい、モーターが起動したのかもしれませんね。

要因は、憶測の域を出ませんので、折角お送りお送りいただきましたので、内部チェックとメンテナンスを行いお返しすることにしました。

主電源スイッチと起動プッシュスイッチ

この変身ベルトは、通電用の主電源スイッチがスライド型のスイッチで搭載されております。変身時の起動スイッチは、プッシュスイッチが付いていています。どちらのスイッチの接点にもコンタクトスプレーを吹いておきます。

内部の全体像
モーターのオーバホール
接点グリス

コミテータ接点にあるカーボンを除去し、モーターブラシ用の接点グリスを付加しておきます。

ギアボックス

次にギアボックス内にもグリスを付加しておきます。

きれい

最後にアルコールで筐体の全体をふき取り作業完了です。因みに、赤色のベルト部分は、本革仕様の高級感いっぱいです。

長らく保管しておいた状態で、電源を投入しても動かない場合、モーター内のグリスや、スイッチの接点など酸化膜や劣化したグリスの固着など原因は、いろいろあります。

メンテナンスだけでも承っておりますので、ご相談をください。


変身ベルト、無事到着しました。 早速電池を入れ、祈る様な気持ちでスイッチを押すと、音とともに風車も回り、光エフェクトも問題なく起こりました。 ありがとうございました。 例え直接手を入れて頂いていなくても、開封して中を確かめ、メンテナンスまでして頂いた安心感で感激しております。 本当にありがとうございました。 この使い捨ての時代にこんな素敵な活動をなさっている方が居てくれる事、素晴らしいと思います。

~ご依頼者様のご感想より~

Sassy Black&White ロックンロール・ディベロップメンタル・ジム

本体モジュール

ちょっと聞きなれないおもちゃですが、お子様をマットの寝かせその上に吊るされたいろいろなおもちゃを触ったり、ひっぱたり、またこの星型のモジュールは、音楽を鳴らすことのできる機能を有しており、鏡面裏側の中央にボタンが仕込んであり押すとロック調の音楽が約5分流れてくれます。

ご依頼は、二台ともいつの間にやら再生時間、短くなってしまい困って居られるとのことです。

早速調べてみると、まずはご使用になられた電池の容量チェックです。

SR44

SR44を三個使用するのですが、その中の1個の電圧が落ち込んでいます。しかも膨らんでもいました。

膨らんだボタン電池

因みに、サイズは一緒なのですが、LR44とSR44とがありまして、この手の持久力が必要なおもちゃにはSR44が適していますね。メーカー様も推奨しているようで、電池の蓋にSR44と明記されています。

さて、この容量不足の電池で再生をしてみると、やはり初回は起電力が戻っているので、1~2分は流れるのですが、一旦止まり電圧が落ち込むと最終的には数秒で止まってしまいました。ご依頼者にも確認をしましたが症状も同じでした。

というわけですが、当医院では、電池の容量不足が原因と簡単には片付けません。原因をもう少し探ります。

ご依頼者様は、ボタン電池を2セット分新品で購入され、それを使用したのにも関わらず使用している途中で止まり始め最終的には、数秒で止まってしまったとのことです。なぜでしょうか?

ボタン電池の不良品が混入していたかもしれませんが、ボタン電池の膨らみからすると何か行った感じがします。

まずは、本体が問題ないのかどうかを電池の容量と切り分けて調べます。安定化電源で、4.5V 200mAリミットで供給し動作を見ます。この時の再生時間を基準にします。インターネットで検索すると、5分~10分というキーワードがヒットするので、その位かなと見当を付け再生時間を計測します。

字が汚くてすんません。。。( ̄▽ ̄;

上段が安定化電源での確認結果で、5分~6分が再生時間のようですね。インターネットの時間範囲にも入っております。次に容量の十分なボタン電池で同じ再生時間を計測してもだいたい同じ時間でありました。実験前後で電池の容量チェックもしましたが、問題なしです。下段がその結果です。

本体は、問題なさそうですが、ではどうしてご依頼者様の動作では、時間が短くなったのか、例の独りブレストしてみました。

  • ひとつだけ電圧の低下したボタン電池が混ざっていた。
  • その電池は、膨らんでいる。
  • ボタン電池は、新品で購入した。
  • 二台のどちらでも途中で止まってしまう。

ボタン電池の”あるある”ですが、3個直列に入れる電池ボックスなので、その中の1個を誤って逆に入れても動いてしまう電圧であれば、表向き動いてしまいます。このおもちゃは、音声再生用のLSIをスピーカーのドライバあたりが消費電力を食うのではないかなと思うので、新品であれば2個分の電圧でも駆動に十分な電流は流せる可能性があります。では、逆に挿入されたボタン電池はその時どうなっているかというと、充電状態にあります。過充電されると、内圧があがりそれが原因で膨らんでいたのだと推測しました。推測される原因を、ご依頼者様に±の方向はお気をつけてとお伝えしました。

※ぶっちゃけ、この手の電池ボックスって、+/-の向きが本当に分かりづらいです!

電池の容量不足というだけで、返送するととても残念なのですが、調査の最中にLEDの断線を発見し修理しておきました。

断線

以上で診察は全て完了となります。


子どものお気に入りのおもちゃが壊れてしまったけれど、幼い子どもたちを連れて行けるところにおもちゃ病院がなく、とても困っていました。

インターネットで郵送でやっていただけることを知り、修理の問い合わせをすると、親切丁寧に対応していただき、安心してお願いすることができました。

お忙しい中、迅速に修理をしていただき、修理結果も動画や計測結果を添付したメールで、とても分かりやすく教えていただきました。

素人の変な質問にも丁寧に回答してもらい、不明だったことや今後の注意点まで教えていただけました。 大満足です。子どももお気に入りのおもちゃが直ってとてと喜んでいます。 本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

フラッシュキング 肩関節 軸折れ 修理

フラッシュキング

お恥ずかしながら、フラッシュキングを知らなく調べてみると、1986年から1987年に放送された、スーパー戦隊シリーズ「超新星フラッシュマン」に登場する巨大ロボとのことです。テレビ放送したヒーローもののキャラクターが玩具として発売されるといったのでしょう。確か、似たような構成内容のヒーローものが、手を変え品を変えで連続して放送されたような、、、。

さて、余談はこのぐらいにして、ご依頼の内容は、左肩関節の軸が折れてしまい、ご自身で接着を試みたのだが、失敗してしまいお困りとのことです。

合体模様
軸折れ拡大図

この肩関節は、ロボ自体が合体変形するための一部分の機能も担っており、左足からにょきっと出ています。分解して中を拝見すると、腕をカクカクと回すために山を切った軸受けが、ばねを介して軸とねじ止めされます。また、ご依頼者様が、瞬間接着剤でこの軸の接着を試みた時に折れた軸と軸受けもろともくっついてしまい、目的の軸自体は接着できなかったようです。

経験上この手の折れに接着はNGですね。接着面積に対し強度が足りなくしかも回転する際のカクカクの振動にも耐えうる修復方法を検討せねばなりません。

折れた軸と根本
折れた軸のサイズ計測

折れた軸を調べてみるとバネを抑えるタッピングネジの穴が貫通しております。また、折れた根本の方にもくぼみがあり底に新たなネジをねじ込むことができそうです。

つまり、通常はバネを抑えるためだけのネジだったのですが、長いネジを用意してバネも軸も一緒に固定してもらおうという作成です。軸の中抜き穴は、Φ2.1mmでしたので、M2.6が使えそうです。手持ちにM2.6の皿ネジがあったのですが、バネを抑えるためにM3のワッシャを噛ませました。

こんな感じ
ぴったり
良い感じ

実は、ご依頼者様から届いた際、折れた軸にタッピングネジがそのままねじ込まれただけで、あったであろうバネが付いて無かったのです。お聞きすると、最初からバネはなかったそうで、ただ普通に回転させていたそうです。( ̄▽ ̄;

なので、いっそのこと、紛失したバネも見つけてまとめて修理をすることにしました。

まず、軸の折れた左肩は、まず軸を直して、当初あったであろうバネは、右肩から移植します。なぜかというと、ネジをねじ込む際、前述のくぼみが浅く強度に不安がありました。そこで、嫌気系の金属向けの強力接着剤をネジを軸受けの根本に付加して強度を増そうという作戦でして、どうしても先にこの作戦の成果を確認したくバネが直ぐ必要でした。右肩からまずは移植し修理の強度を確認し、大丈夫そうだったら、もう片方のバネを別注して用意することにしました。

無事強度も確認できましたので、左肩は完了としはずした右肩のバネを探し出し注文することにしました。

バネサイズ
別注ばね

ぴったりサイズではありませんが、近いサイズのバネをみつけ待つこと3週間。ペンチでサイズが合うように微調整し、外した右肩に再装着して、今回の修理は終了としました。

フラッシュキング

ひと昔であれば、このような部材の入手はたいへん困難で、ひとつ間違えば工場への特注で高額になろうかと思います。インターネットの時代に感謝です。

グレンラガン フィギュア 足首関節 破損 修理

グレンラガン

『天元突破グレンラガン』というアニメに登場するロボットのキャラクターのようです。なんと凛々しいポーズでかっこいいですね。

お持ち主様がとても大事なされていたフィギュアの右足首の関節が割れてしまい、その修理のご依頼となります。

以前、コンバトラーVの肩関節の修理記事をご覧になられたとのことでご依頼を決意されたとのこと、気合をいれていきましょう。

まずは、破損の関節を確認します。

全体図
破損足首

足首は、金属製の関節と樹脂製のボールジョインで構成されており、樹脂製のボールジョイン側が真っ二つにわれてしまったようです。

画像からではわからないのですが、実際の大きさは、とても小さなパーツで、コンバトラーVの肩関節修理などで適用した0.5mm穴を開けてワイヤーを通しエポキシで固定する手法は使えないことが早々に分かりました。

また、以前他のフィギュアの関節破損で修理をした件は、プラリペアで関節パーツ自体を複製したこともあります。ですが、今回の破損関節は、金属のスプリングピンを中心に持つタイプでした。恐らく製造の段階は、樹脂パーツを金属パーツに軸中心でアライメントを取りスプリングピンを押し込むのですが、このピンが外れないため、複製しても軸を通すことができません。

さて、いろいろ思案した結果、関節部を新規に作成することにしました。

作戦としては、スプリングピンの稼働部分は、1mmの銅板でピンをぐるっと囲み加工し、ボールジョイント部分は、ボールのサイズに合う受け側の市販パーツを購入し、先の銅板加工した部分をエポキシで接着するという作戦です。以前樹脂製の関節だった部分を金属にしているので、稼働はゆるゆるになっていまいますが、ご了承をいただきました。

銅板とボールジョイント
接着加工
後ろ

しかしですが、もともとのパーツの高さと新規パーツの高さが、若干高くなってしまい立位時にちょっと斜めっております。

右足首が高い
後ろから

関節を元に戻すことが優先課題でしたので、見た目などは、ご依頼者に了承を得て修理完了としました。

接着剤を使用して関節などの小さなパーツを作成する場合、ボールジョイントのはめ込みや稼働試験中に再度割れてしまうことや接着面が取れてしまうことが多く、冷や冷やしながらテストしました。

無事稼働テストまで良好でしたので、ほっと一安心してお返しができます。

※アニメのキャラクターは、勉強するようにします。

UMINO TAMGOTCH 海のたまごっち ネジ外し

海のたまごっち

たまごっちの裏蓋のネジつぶれの修理のご依頼となります。

全体像
左ネジ
右ネジ

溝は、まったくなくなっておりますね。

さて、以前のたまごっちも他のネジつぶれの案件も同様ですが、まずは精密ドライバーで回せるだけの抵抗感が残っているかを確認します。

幸いに目視では、まったく分かりませんが右ネジに、ほんの少しだけ抵抗が残っていたので、定石の強く押してゆっくり回すを実行します。

格闘すること10分右ネジは、無事頭部分がニッパーで摘まめるまで取り出すことができたので、きれいに取り除けました。

ネジ穴

さて、左ネジは、まったくの抵抗感がないので、蓋のネジ穴周辺の拡張かネジ頭の削り取りかなーと思案しておりました。ダメ元なので、一度大きめの精密ドライバーでこじってみましたら、なんとキュ、キュと音がしてきました。目視では、動いているのかどうかもわからないです。

ネジ頭

こちらも格闘すること10分でネジの頭が出てきました。あとはニッパーで摘まみ開封します。

因みに、この強く押すという具合ですが、使用しているドライバーの跡がくっきり手のひらに残るぐらいです。※内出血もしておりますが、、、。

ドライバーの押し付け痕(良い運気ありますかね)

なので、経験や工具の関係もあろうかと思いますので、開封しようと頑張らずに、少しでもネジの溝が削れたら、ご依頼を検討くださればと思います。

無事開封

ネジ穴周辺もこじった傷もありましたので、ルーターできれいに研磨して修理終了です。動作確認も問題なし。

動作確認

私が使用している精密ドライバーは、こちらで購入できます。


これまで壊れたオモチャはどうしようも出来ないと思い諦めていましたが、オモチャの病院がある事を始めて知り、実際に修理して頂けて、感動しました。 これからも大切にオモチャを使いたいと思います。 本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

元気なピカチュウ 分解方法

元気なピカチュウ

最近、勤務医をしている地域のおもちゃ病院にて、TOMY製の『元気なピカチュウ』のヘルプ要請をいただきました。

本体内部を確認したいが、ソフビ筐体内部の本体が取り出せないとのこと。

ソフビの着ぐるみ

このピカチュウは、着ぐるみのようにソフビの皮の中に動作をする本体が設置されております。

底辺の電池ボックスから開封を試みると、両手と頭部の角が障害になり本体が底辺から抜けないことが、直ぐわかります。

ヘルプ要請を頂いた先生からも、分解にはソフビの皮を割く必要があるかもと相談を受けておりました。

自分も最初は、悩みましたが、おもちゃの製造段階を考えると、ソフビの皮に後から本体を挿入する以外に製造方法はないと決断しました。

では、両手と角は、本体挿入後に装着したはずなので、外して本体を抜くことができると確信していました。

両手と角を外した状態

注意深く内部を観察し、隙間に指を入れそれらしい差込口を発見できましたので、後は運に任せて、力ずくでずらすとツメが外れてくれました。こういった、運に任せるのも必要なんだと思います。

取り外しにお困りのドクターの皆様への共有となります。

BABY GUNG くまのぬいぐるみ ネジ外し

くまのぬいぐるみ

今回のご依頼は、電池ボックスの蓋をとめるネジの頭の溝が、ドライバーでの締めか開封時に削れてなくなったしまい蓋が開けられなくなったとのことです。

ネジの頭の溝が削れてしまう事象は、たまごっちでよくご依頼をいただきますが、基本は、適切なサイズのドライバーで強く押してゆっくり回すです。ですが、今回のくまのぬいぐるみでは、残念ながら、それが通用しませんでした。では、状況を確認しましょう。

溝の状況
拡大

もう、ネジだったのかも分からないくらい溝がなくなっております。

ドライバー各種

使用するドライバーには、サイズの表記があります。

プラスドライバーNo.0No.1No.2No.3
ネジのサイズ1.4mm~2.6mm2.0mm~2.6mm3.0mm~5.0mm5.1mm~8.0mm

また、ドライバー先端の形状にも多種ありますので、適切にサイズと形状を選びながらの作業になります。さて、試しに若干でもドライバーでの回転に抵抗が残っているか確認すると、ほんの少し、ほんとーに少しだけネジを回せるだけの溝の残りがありましたので、かなりというか、手のひらが真っ赤になるくらいドライバーを強く押しつけて回すと少しですが、回ります。

しめた!

と思い回わしました。手のひらがかなり腫れて痛いですが、およそ10分ほど、強く押しながらずらし回しておりましたが、もう限界に近くなりました。残り少ない溝が削れてなくなりそうです。

困りました。これでは開封はできないのですが、強く押してゆっくり回す戦法以外の策は、筐体の加工などになるので、しばし悩みました。もしかすると受け側で何か起きていると思い本体側を開封することにしました。

ですが、本体側のネジの溝も実は、こじった形跡があり、開封するのにも苦労はしました。

こちらのタッピングネジも溝が削れております

もう、はじめからそうすればよかったのですが、開封するとネジの受けのナットは緩んではいたのですが、かなりきつく、しかもネジが長いので、かなり回さないとネジはとれません。これでは、ネジの溝もなくなりますね。

さて、しばし悩みましたが、溝の残りがあるうちは、回してみようと覚悟を決め、継続した結果、30分ほど格闘し無事外すことができました。手は真っ赤っかです。

開封成功

蓋のネジは、外れ止め付きのネジでサイズは、M2.6です。こちらのネジは、外れ止め付きではありませんが、通常のネジの手持ちがありますので、それで交換します。しかし、本体側のタッピングネジは、手持ちがありません。

サイズを計測すると、こちらもM2.6です。M3より小さいネジって店頭在庫がなかなかないんですよね。。。しかも、タッピングだし。

インターネットで検索すると以下のように総額が高額になるので悩みました。

地方は、送料もかかり、100本も要らないのに数本でも買えない、、、トホホホ。

ということで、ダメ元で近所のホームセンターに寄ってみると、案の定在庫は置いてなく、ふと横をみると、なべ型ではなく、皿型がありました。しかも、セットで200円程度でした。長さは、若干長いのですが、これで部品代を削減することができます。

電池ボックスの止めネジ用のナットは、キャップが取れていましたのでエポキシで接着固定します。

ナット止め接着

皿ネジなので、若干見た目に違和感がありますが、ここは、ご依頼様にネジ在庫の関係でと了承を得て 無事に交換作業を終えました。

ネジ換装

ありがとうございました!
出産祝いに親族からもらったぬいぐるみで、0歳児のとき、泣く娘をあやすのによく動かしていました。電池切れになり、ネジを開けようとした時にネジ穴がすでにがたがたの多角形のような形になっておりびっくりしました。
自力で開けようと、ネットで調べて輪ゴムや接着剤を使用してみたのですが、余計にネジ穴を広げたような気がします。
他に直す方法はないかと、検索してみたのですがうまく見つからず、半年ほど放置していていました。この度瀧下様のブログを拝読し、お願いしようとご依頼をさせて頂きました。
修理実績を読ませて頂き、大変ご苦労をおかけしたとのことで恐縮です。
到着したぬいぐるみを動かしてみせると、娘は楽しそうにくまのおしゃべりを真似してくれました。
以前動いていたとき娘はまだあかちゃんで、ぬいぐるみの動きを眺めていただけだったので、娘の成長のほどを感じることができました。
これも瀧下様が修理してくださったおかげです。
重ね重ねありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

もっとおりこうおやすみユメル 音声不具合 修理

ユメル

先日修理依頼のありました、ユメルくんとはバージョンに異なるユメルくんの修理依頼となります。

先にお伝えしますが、当医院での診断の結果修理不可能という決断に至りました。他医院の先生向けに情報共有をさせていただきます。

故障の症状は、乾電池とボタン電池の交換後に発声の音声がとても小さくなり音割れしているかのようになり、まったく聴き取れなくなってしまったとのことです。他の動作は問題ないとのこと。

届いてすぐ電源投入し音割れを確認しましたが、ご依頼内容の通り、耳をそばだてないと聞こえないくらい小さくしかもノイズが入り交じり雑音だらけでした。スピーカーの不具合かもと推測を立て開封します。

ですが、このユメルくん先のユメルくんとは異なり開封がとてもたいへんです。スピーカーは、頭部に中にありその頭部も縫い合わされた顔面の表層を縫い目に沿って糸を切り開く必要があります。しかも、切り開けても頭部をネジを外すには、胴体も開封しなければならないという代物になります。

開頭手術

さて、無事開封できたところでスピーカーを検査しますが、まったく動作に問題ありませんでした。( ̄▽ ̄);

手持ちの検査器においても再生音がきれいに聞こえ、インピーダンスをマルチメータで計測しても32オームを表示します。

スピーカー

では、次に音声の再生回路を回路図に起こします。

音声回路の再生&増幅回路

COBから出力をRCフィルタを通し、NPN 8050トランジスタで増幅するというおもちゃでよくみる回路構成です。

スピーカーに問題がないので、COBから出力を耳とオシロスコープで確認します。

8050に印加されているベース信号を手持ちのクリスタルイヤホンで聞いていますと、ノイズもなくきれいなユメル君の声が聞こえます。COBの出力も問題ないのかと高をくくっていたら、オシロ波形で問題が分かりました。

音声波形

ベースへ印加するバイアス電圧が、0.456Vと低すぎます。クリスタルイヤホンは、感度がいいので辛うじて聞こえたんだろうと思いますがコイル式イヤホンでは、聞こえなかったのかもと思います。

このベース電圧では、8050の閾値を超えることはできないので、 ベース電流も流せずで音声の増幅もできないと思います。

Vpp振幅

また振幅もPeak-to-Peakで0.488Vとこちらもまた小さいです。先のノイズは、恐らくPeak付近で0.6Vを超えたりするだろうから、8050がスイッチONし音声に連動した波形上側のプチプチノイズを出していたのでしょう。

なら、8050 NPN トランジスタの特性変化も疑い、基板から取り外して検査しても問題ありませんでした。

トランジスタ検査器
バイアスグラフ

通常は、Vin-Voutの関係グラフのトランジスタの直線領域を使って増幅しますが、バイアスがシフトしてしまったので、振幅が取れなくなります。

まとめると、COBからの音声出力信号が、何らかの原因で小さくなっており、8050では増幅できなくなっている。COBの仕様が分からないのですが、IOの劣化不良が懸念されます。IO回路のESD保護ダイオードにリークが発生し、IOLH, VOLHの特性が悪くなりフルスイングできなくなっているのではないでしょうか。※玩具向けなので、信頼性的な検査も設計も恐らくしていないのでしょう。

さて、通常ですとここでCOB不良として修理不可能で終了となるのですが、先の微小振幅の波形を何とか増幅できないかと検討してみました。

要件は、以下

  • ユメル内蔵の電池ボックス 6Vで駆動できる方法
  • 数百円から掛かっても1000円程度で実現できる方法
  • 筐体のスペースの制約からIC1個と周辺パーツで構成できること

ですが、手持ちのオペアンプも限りがありますので、3回路を試行しました。

LM358

LM358

LM386

LM386(データシートの推奨回路)

結論は、どちらも実用レベルでの増幅は不可能でした。やはり入力レベルが低すぎてまずは前段で電圧をもちあげないとだめですね。

最後に、ダメ元でS8050をダーリントンで構成しましたが、閾値を超えないのでこちらもだめでした。ということで、残念ではありますが、修理不可能として返却をさせていただきました。