ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 プリント基板断線修理

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 プリント基板断線修理

ここ最近ご依頼が集中している、CP-7000です。今回も原因不明の連続稼働時の音量低下が不問という条件でご依頼を受け付けました。

ご依頼の内容としては、長期間保管した際に乾電池を入れたままにしておられ液漏れを起こしていたそうです。※まぁ、カードプレーヤーの故障あるあるですね。

そこで、乾電池を新品に交換しても起動しないということでした。早速ですが、状況を確認します。

まず、乾電池が液漏れをしていたというので、恐らく電極に粉が吹いているだろうなので、乾電池での動作確認は不可能と思われますのでACアダプターを準備しておきます。因みに、このCP-7000は、センターマイナスなので、特に極性には十分注意が必要で、過去のCP-7000の修理事例では、極性違いのACアダプターを誤って使用したことによる電源系の制御トランジスタの破損(VEBのブレークダウン現象による過電流)を見たことがあります。

では、開封して確認しましょう。

液漏れ腐食

液漏れで粉を吹いて腐食もしていますね。これは、洗浄して綺麗にし腐食を研摩します。※強アルカリ性なので、取り扱いにはくれぐれもご注意ください。水溶液が皮膚に触れると化学火傷を起こします。

話しを起動故障に戻します。

電池ボックスの腐食による電源導通不良かとも思い早速ACアダプターにて電源を供給し動作確認をします。ですが、ACアダプターでカード差し込んで挿入検知のスイッチを反応させてもモーターが起動せずカードもスライドしません。うーん、やはり電池ボックスの液漏れ以外にも故障が起きていそうですね。ですが、ACアダプターで動作確認をする際、カード検知スイッチを入れた際にスピーカーから”うれしい”ノイズを確認できました。

そうです、アンプに電源が入ったようで、起動時のポップノイズが現れました。

これは、基板側への電源は供給し始めたのだが、モーター側には何らかの理由で電源が供給できなくなっているようです。マルチメーターでモーター側の供給電源を確認しても電圧は上がっていません。

ここで過去に解析したCP-7000のモーター制御回路図が役立ちました。

手書き回路(一部)

モーターとカード検知スイッチから起動回路を逆に辿った時の回路を確認していくと、何と!途中に断線が見つかりました。うぉー!やった感いっぱいです。

モーターの起動制御は、カードを挿入した際の検知スイッチで直接電源をモーターに供給するようにはなっておらず、マイコン(富士通製4bitマイコン)からのイネーブル信号が出ていました。このイネーブル信号が断線しておりました。

断線箇所

目視では分からないレベルなので、ピーピーチェッカーで確認すると完全に断線しております。しかも、テストポイント用のTPパットも用意されているので、やはり重要な制御線だったんだと分かります。

迂回配線

さて、どきどきです。この断線が原因でモーターが起動できなかったのか?どうでしょうか、、、。

組み上げ恐る恐るカード検知スイッチを入れると、無事にモーターが回り始めました。

\(^_^)/

カードを通してみると、音声も無事再生できスピーカーから正常に聞こえます。

ゴム系部品

後は、粛々と劣化したゴム系部品を交換し修理完了です。

組み上げ
ゴムローラー

今回の修理ですが、電池ボックスの液漏れとは直接関係はなさそうですが、マイコンの制御線の断線を無事見つけることができ一安心です。不具合の現象から思いつく故障個所をたどるのは、不良解析の経験がたいへん活きました。特にマイコン制御となると、動作の仕様も必要になりますし、元々マイコンの設計も経験しておりましたので、このように社会に貢献できるのはたいへん良いですね。


ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200 磁気ヘッド故障 修理不可

CP-1200

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200 磁気ヘッド故障 修理不可

CP-1200の修理依頼が続きましたが、今回の記事は修理不可能であったという内容となります。

当医院では、できるだけ可能な限り修理できるよう尽力しておりますが、交換のできないキーパーツにおいては、移殖以外に手が無い場合があります。少量ですが、ジャンク品から部品を確保しているケースもありますが、潤沢に用意できるはずもなく、今回の修理事案では交換のできない部品の故障を紹介します。

症状としては、カードのスライドはできるが、再生音声が小さいとのことです。早速ですが、状態を拝見します。

再生状況を確認しましたが、カードは滑りながらも何とかスライドできておりますが、再生音量が、非常に小さいというか、ほぼ音が出ていませんが、カードの一部分のみ微かにスピーカーから音が出ている感じです。

カードのスライドはできているが、カードプレーヤーで音が出ていない原因を過去の事例から考えてみます。

  • 磁気ヘッドのアライメントが狂ってしまっていて磁気が読み込めていない
  • 磁気ヘッドが故障してしまい磁気がそもそも読み取れない
  • 音声の増幅回路(プリ側/メイン側)に故障がある
  • スピーカーが故障している

考えられる原因を一つづつ潰していきます。スピーカーは、スピーカーチェッカーで確認し正常に音を出せておりました。次に磁気ヘッドの状況を確認します。

磁気ヘッドモジュール

特にアライメントを調整した痕はありませんが、磁気ヘッドの摩耗がありますので、磁気ヘッドを確認します。磁気ヘッドから磁気情報(音声)が正常に読み取れているかは、簡便なチェックとしてクリスタルイヤホンを使用します。

増幅音声の経路解析などに重宝します。以下で購入できます。

磁気ヘッドモジュールのアライメントが狂っている可能性も考慮し大きく調整幅を振りながら音を耳で確認します。通常ですと、微かですが、音声がイヤホンから聞こえてきますが、どんなに調整しても何も聞こえてきません。

一方、磁気ヘッドの故障があった場合、アライメントの狂いがあってもどのような調整においても音が拾えません。

磁気ヘッドの摩耗

コイル部とケースに大きく段差が出ています。やはりここまで摩耗してしまうと磁気も拾えなくなってしますのですかね。残念ですが、この時点で磁気ヘッドの替えができないため、修理不可能という結論になりました。※ところで、研摩をご自身で行い修理復活させてします強者が居られることを最近知りました。

後日談ですが、基板上の後段のオペアンプと電源系には問題ありませんでしたが、プリアンプ部のトランジスタも怪しいかもと調査解析を継続しております。追ってスタッフブログでレポート追加しようと思います。


ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200 ボリューム交換

CP-1200

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1200 ボリューム交換

カードが自動でスライドできずに手でサポートしないと正常にスライドしないとのことで修理のご依頼を受けました。経年劣化のゴム系部品の交換は必須のようですね。その他の不具合が起きていないか確認します。

ゴム系部品

やはり、ゴム系部品の劣化でカードが正常にスライドできなくなっていました。ゴムローラーは、ツルツルになっておりゴムベルトの伸びて保管時の曲がり癖が付いていますね。総交換します。

ゴムローラー

CP-1200のゴムローラーですが、他機種と設計が異なっております。これは、カードを差し込んでいない時の空転時に磁気ヘッドを摩耗させないように配慮するためで、カードをスライドさせる機構と磁気テープ読み取りの機構を別々にした結果となります。そのため、他機種のゴムローラーの約半分の円柱の高さとなります。

ゴムベルトとプーリー

プーリーの古いグリスも洗浄して綺麗にします。

ボリューム

さて、今回の記事は、ボリュームのガリノイズについてです。

よく長期保管しておいた機器のボリュームを久しぶりに回してみると、”ガリガリ”とスピーカーからイヤなノイズが聞こえますよね。接点に異物が付着したり接点が酸化していたりなどなど、、、。こちらも参考になります。

根本的な修理は、分解して接点を洗浄するか、ボリュームを新品に交換する必要があります。ですが、玩具に使用されている廉価な部品は、そもそも分解などできないもの多く、以前は、接点復活剤を隙間から吹いたりしていたのですが、残念なことにひと月もするとノイズが復活してしまいます。やはり交換できないかと思案していたのですが、これもまた残念なことに、CP-1200の筐体には、ボリュームを取り付ける溝が付いているのですが、筐体設計時にキッチリハマるように溝切りがなされておりますので、市販のボリュームがそのままはめ込むことができません。凸凹の溝のせいで斜めになってしまいます。また、Aカーブ品も入手性が悪いこともあります。さてさて、、、どうしたもんですかねー。

今回は、適切なサイズのワッシャーを探して接着固定しねじ込んでみました。ワッシャーもM8でして、そのままでは、はめ込み用のボスに干渉してしまうため、少しずらして固定という荒業となりました。次回は、固定用のワッシャーを自作しようと思います。

他機ではよくある、スピーカーの断線も電子回路の不具合もなくカードの読み取りと音声の増幅を確認できましたので、これにて修理完了です。

因みに、このCP-1200ってモーターも他機種と少し違っており速度調整が簡単にできないタイプです。防磁ケースを外しモーター側面の調整穴からマイナスドライバーで調整ネジを回して確認しなくてはなりません。そのため、調整→確認→外す→調整→確認…と調整のたびに筐体から外さないといけない代物となります。


完璧だと思います。

孫がどんなに喜ぶかと思います。

本当に有難うございます。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム系部品交換

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム系部品交換

保管状態が良く、筐体や内部金属パーツともとても状態が良いのですが、やはり30年以上を経過するとゴムは、硫黄抜けや温度湿度の変化にて変質固化してしまいますね。

劣化ゴム部品

今回のCP-1000もゴム部品の劣化にてトーキンカードが正常にスライドできなくなっておりますので、一式交換を行います。また、各所可動部分の洗浄と古いグリスも交換します。

洗浄とグリスアップ

CP-1000では、お馴染みですが、ボリュームの大小を切り替えても殆ど変化が無い仕様なのですが、ボリュームスイッチは、滑りを改善するためシリコンスプレーをオルタネイトスイッチは、接点回復剤を吹いておきます。

交換ゴムベルト

無事動作確認も完了し修理完了です。


修理をありがとうございました。

娘たちが使ったおもちゃを、孫が使えるって、幸せですね。

直って、本当に嬉しいです。

孫の代では厳しくすることもなく、のびのびと自由に楽しませてあげられるようにと、娘に伝えると、とても喜んでいました。

リカバリーをありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

DWE ディズニープレイメイト アナログ版 ゴムベルト スピーカー修理

プレイメイト

DWE ディズニープレイメイト アナログ版 ゴムベルト スピーカー修理

アナログ版(磁気カード版)の修理実績が非常に少ないのですが、修理のご依頼がありました。

30年程前に使用していたものということですが、カードを差し込んでも全く動かないとのことです。早速拝見しましょう。

ゴムベルト切れ

まず、開封して直ぐゴムベルトが切れているのが分かりました。カードがスライドできない原因は、このゴムベルト切れによってフライホイールが回転できなくなっているようです。ちょうど在庫がございましたので、暫定交換をして動作をみます。

ですが、カードは動き始めましたが、音が出ていません。生徒さんモードも先生と一緒モードでも音が出ません。調べてみるとスピーカーが故障しておりました。

楕円スピーカー

この楕円形のスピーカーって、CP-1200にも使用されており、ほんと故障が多いですね。しかも、交換できる同じサイズのスピーカーが入手できないときています。しかたないので、CP-1200と同じように筐体に入るスピーカーに交換するための策を練ります。

77mm スピーカー

おおお!手持ち77mmのスピーカーがぴったりじゃないですか!あとは、固定方法を考えます。

埃混入防止のフェルトシートは、ボンドで筐体カバー側に接着固定します。スピーカー本体は、ちょうど両側にネジ穴があるので、針金で抑えを自作します。

抑え

ジャジャジャジャーン。アルミの太目の針金で抑えを作りました。更に、スピーカーの上下は、接着剤で固定し、スピーカーと針金も接着しておきます。これで、簡単には外れないでしょう。

次に、ゴム系部品の残りであるカードを直にスライドさせるゴムローラーですが、プレイメイト用の用意がありません。ソニー製でしたら、在庫を揃えているのですが、プレイメイト用となると、別注規格品になり、また小ロットなので部品単価が高くなると予想されます。

ゴムローラー

案の定、部品業者へ製作費用の試算をいただいたところ、やはりかなり高額なってしまったので、今回はご依頼者様とご相談しアルコール洗浄のみということになりました。

ゴムベルトを交換し、ゴムローラーを組みなおしスピーカーも交換後、動作確認をします。

ですが、ここでリピート再生時にカード送り戻す際に擦れた音が出始めました。

なんだ???

と調べておりましたら、左側の録音側の軸ですが、軸を少し浮かしてゴムローラーに取り付けないとフライホイールに干渉してしまい擦れてしまいます。

もろもろ作業を終え動作確認を行い修理完了です。


今回はお忙しい中またコロナ禍の中、無理を聞き入れて頂きありがとうございました。

常に連絡を入れて頂きこちらの希望を聞いての修理に安心してお任せする事が出来ました。 またその際にも分かりやすく画像、動画を添付していただき機械には全く疎い私にも分かりやすいようにしていただき有難かったです。

紛失したネジやクリーニングシートも有難うございました。 今回おねがいしたプレイエイトは思い入れのある物で壊れていてもすてられませんでした。

いつか孫が生まれたらと思っていたので、今回瀧下様に直していただき ほんとうに嬉しかったです。

まだ孫には会えていないのですが、会ってこのプレイメイトで遊ぶ姿を見れると思うと今から楽しみでなりません。

修理期限を過ぎ販売元さんも修理できない物を直していただき感謝の気持ちでいっぱいです。 大事に使わせていただきます。

ほんとうにありがとうございました。 

~ご依頼者様のご感想より~

ソニー トーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム部品交換

CP-1000 2台

ソニー トーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム部品交換

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 2台の修理依頼となります。

1台目は、カードはゆっくり進むが再生音声が低くなっているそうです。2台目は、カードは、まったく動かず手でサポートしてあげると音声はスピーカーからは出るそうです。

では、早速1台目から診察しましょう。

カードを差し込んで再生確認するとやはりカードのスライドがのろのろで、そのせいもあって音声が低く出ています。そこで、開封してみると、まずモーターが何やら交換されている痕がありました。

修理痕

むむむ、何やら何方かが修理したのでしょうか???まぁ、よくある前任のドクターか何方かが作業されたのかもしれません。ゴム系部品の経年劣化でカードが正常にスライドできなくなっていた、以外にこれといった不具合はなかったので、まずはゴム系部品を一式交換します。

ゴム系部品
グリス交換
ゴムベルト
磁気ヘッドモジュール

プーリーのグリスも交換し、一式組み立てここで再生確認をしてみます。

んんん?動画では聞こえづらいですが、モーターからノイズが出ているようだぞ。冷蔵庫のポンプみたいな低いウーンというノイズです。カードを差し込み音声がスピーカー出る前やカードとカードの再生音が出ていない間のモーターノイズです。

原因を探ります。

原因は、先の交換の痕があったモーターからノイズが出ているのですが、何やらプーリーの高さ位置もおかしいぞ!

プーリーの位置
足りない ToT

ノイズ発生の原因は、誰かが他機種のモーターを移殖したらしくモーターのプーリー位置が、このCP-1000には低すぎました。その理由は、一目瞭然で他機種からの移殖なので、シャフト軸が短いためです。

それとは知らずにゴムベルトをはめ込み回転をさせていたので、モーターの回転軸が外側引っ張られており、恐らくブラシの位置がずれノイズの原因になっていました。

この不具合を知らずに、結構モーターを回したしまったせいか、軸位置を元の位置に戻しても回転速度が不安定になってしまい、不規則に速度が早くなったり、遅くなったり、止まったりするようになっています。

あ”~、何かまたリカバリ的な作業になってきました。

まず、ノイズを消すには、分解してオーバーホールしなければなりません。ブラシの位置もズレているようなので、元に戻す必要もあります。無事ノイズが消せた場合は、プーリー位置が面一になりようにしてゴムベルトをはめ込みます。

実は、カードプレーヤーに使用されているモーターは、速度制御回路がモーターに内蔵されており筐体も強固にカシメられているので分解がたいへんです。でもしかたありませんので、一式分解しグリスアップとブラシ位置の再調整をしました。

面一

モーターのオーバーホールの時は、もうどうなるかと思いましたが、無事ノイズも消え修理完了できました。


次に2台目の作業に移ります。

2台目も同じようにゴム系部品の劣化でカードがスライドできなくなっておりますので、一式交換をメンテナンスをします。

プーリーとゴム系部品
ゴムローラー交換
ゴムベルト交換

ここで一式交換後、再生確認をすると再生音が1台目に比べ明らかに小さいです。一応ボリューム切り替えのボタンがあるのですが、大にしても音量が小さいので、基板上の可変抵抗を調整してMAXにしてもまだ小さいです。

磁気ヘッドモジュール

原因は、磁気ヘッドのアライメントが狂っており、カードとのあたり位置がズレていたためでした。アライメントを取り直したところ、無事音量も大きくなりました。

CP-1000 2台の修理でしたが、無事修理完了できました。


カードを通してみたところ、声も大きくはっきり聞こえるように 直っていました。

ありがとうございました。

これからも子ども達と楽しく遊びたいと思います。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 フライホイール軸受曲がり補正

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 フライホイール軸受曲がり補正

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000の修理のご依頼となります。CP-7000ですが、こちらの注意書きにもある通りですが、連続稼働時の音量低下が起こるという故障症状には対応できない旨の条件付きでの受け付けとなっております。

当初のお問い合わせ時は、プレーヤーに何らかの衝撃を加わって音が出なくなったということでのご依頼でした。※ん( ,,`・ω・´)ンンン?衝撃とは?ですが、早速診断開始です。

因みに、このCP-7000は、電池ボックス上のスライド式のホコリの侵入防止のスリットカバーが黄色と白色の2色があるようです。

再生確認をするとやはりですが、カードが滑ってスライドしてくれません。ゴムローラーが固化して滑っているのもありますが、それ以上に磁気ヘッドが、ゴムローラー側に一番近い位置に調整してもなおゴムローラーの劣化以上に隙間が空いています。

これは、以前のCP-7000と同じかもしれません。目視では、特段不具合らしく状況は確認できません。

磁気ヘッドとの隙間具合
遠目確認

やはり遠目で目視しても分かりませんね。分解し確認します。

まがっとる!

やはり軸受けが曲がって磁気ヘッドとゴムローラーの間に隙間ができていたようです。でも不思議ですが、CP-7000でこの症状が2例目です。

でもって、この軸受けの曲がりですが、簡単に曲がるわけでもありません。プライヤーでかなり力を込めないと元に戻らないレベルの強さなので、実際曲がった際も同じような力が加わったはずです。※隙間からマイナスドライバーのような鋭利な物でこじったような感じでもなければここまで曲がりません。

さて軸受けの曲がりも元に戻します。また、ゴム系部品も一式交換が必要なので交換を行います。

元に戻す
劣化ゴム系部品

ゴム系部品の交換後、再生速度の調整と軸受の曲がり補正も行っているので磁気ヘッドモジュールのアライメントの取り直しを行い修理完了しました。

修理完了

早速手持ちのカードを使ってみたところ、明らかに以前より音の質が良くなっていて母と感激いたしました。

壊れた当初はもう古いし諦めかけていたのですが、とてもご丁寧に見ていただき、こちらでは分かっていなかった問題点も含めて解決いただき感謝しております。

おかげさまで世代を超えて活用できそうです。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム系部品交換

CP-1000 2台

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム系部品交換

CP-1000 2台の修理のご依頼です。トーキングカードが正常にスライドせず、もちろん音も出ず手で押してあげると音が出るとのことです。音声再生系の不具合はなさそうですね。

では、診断します。まず、まず1台目から。

裏蓋のツメが折れており筐体にはめることができなくなったいました。セロテープで止めていた痕がありました。ちょうど、当医院に傷がたくさんついていますが、止めることのできる歌蓋の在庫があるので、これに交換します。

上:在庫の傷だらけの裏蓋、下:爪が折れた裏蓋

さて、動作不良の原因ですが、開封してすぐ判明しました。磁気ヘッドモジュールの止め方がおかしいです。

おかしい

明らかに何方かが開封して修理を試みたのでしょうかね?開封し少し分解はしてみたものの、元に戻した時にずれたまま取り付けたしまったのかもしれません。画像のように取り付けてしまうと、磁気ヘッドは、上下に稼働できず、さし込んだトーキングカードをはさんだままになりますので、スライドできず、もちろんですが、音声の再生もできません。

また、カード再生ですが、ゴム系部品は、まだ辛うじてスライドできるだけの摩擦は残っていましたが、今後のご安心して使用したいとのことなので、総交換します。

劣化ゴム部品

プーリーのグリスも除去洗浄して交換します。

グリス交換

1台目は、これで無事修理完了です。


では、次に2台目に診断に取り掛かります。

こちらは、ゴムベルトが切れていたため動作不良を起こしていました。2台目も今後も安心してご使用になられたいとのことでしたので、その他のゴム部品も総交換します。

プーリーとピンチローラー

各所アルコール洗浄します。

フライホイールと磁気ヘッド

特にボムベルトが溶断した場合は、溶けたゴムを綺麗に取り除かないといけません。


ソニーリピートカードプレーヤー CP-7000 電子回路修理

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤー CP-7000 電子回路修理

CP-7000の機種は、原因不明の症例があったので、修理をお断りをしていたのですが、たいへんお困りとのこともあり、先の症例に関する不具合が発生しても不問でよろしいということで修理のご依頼をお受けしました。

さて、故障の症状は、電源が入らないとのことです。ですが、ソニー製のカードプレーヤーは、乾電池を入れただけとか、ACアダプターとつないだらとかでLEDが点灯し電源が入るよな製品仕様にはなっておらず、カードスリットに差し込み検知スイッチのレバーでスイッチを押して初めてモーターが回り始める仕様になっています。

なので、電源が入らないという表現というよりは、カードを差し込んでも引き込みスライド再生をしないといった方が正確です。さて、内部を拝見しましょう。

まず、到着後、乾電池での動作確認ではまったくカード検知せず動作もしないのですが、ACアダプターでは無事カードを検知しゴムローラーが駆動しました。開封すると電池ボックスの負極にかなりの腐食がありました。

腐食

実は、ご相談の時点で本体内部でカラカラと音がするとご説明もあったのですが、この電極の先の一部が錆びてもげており本体内部に転がっておりました。乾電池での動作不良は、まずこの腐食が原因の一つでした。ACアダプターでは、モーターは回転するので、その他の故障については、一先ずACアダプターで確認します。

カードを駆動するゴム系の部品も劣化が出てしますが、電子回路系の動作確認は、手でカードを押しながらで音がスピーカーから出るか確認します。

ですが、ほぼ無音に近いほど何も音が出ません。スピーカーチェッカーでもスピード自体には問題ありませんでした。うーん、何か起きています。

音声の増幅回路の解析を行う際は、クリスタルイヤホンで出力段から遡って回路の不具合箇所までたどり着くようにします。

CP-7000では、過去にも多いオペアンプまわりから攻めます。

BA526

オペアンプは、オーム社のBA526(ディスコン)というICが使われおります。OUTはもちろんですが、INにもアナログ音声が入力されていません。故障は、もっと前段のようです。

ということで、プリアンプ回路を調べてみます。

ところで、CP-7000は、他の機種と違い、TI社製の録再生LSI TMS3477ではなく、ソニー製のCXDナンバー付きのLSIが使用されております。キャッシュアウトを抑えて自社製のLSIにしたのですね。で、そのLSIより前段のプリアンプ部ですが、そもそも音声が増幅されておりません。磁気ヘッドでの音声は小さいなりに入力できているのは、クリスタルイヤホンで確認できましたが、プリアンプの回路に沿ってトランジスタを順を追って確認しても音声が確認できません。

プリンアンプに問題ありか!?

と、ここで、原因が分かりました。プリアンプのトランジスタには、NPNトランジスタが使用されておりますが、コレクタ端子の電源が上がっていません。これでは、音声は増幅できませんね。つまりプリンプに電源が供給できていなということです。回路仕様を調べてみると、プリアンプの電源は、先のBA526の9ピンにあるリプルフィルター端子から供給をされております。

ブロック図

実は、手持ちのBA526のデータシートは、抜粋版しかなく、この9ピンのリプルフィルター端子の役目が分からなかったのですが、内部回路でスッキリしました。

内部回路図

まぁ、つまり、電源のリプルを抑えた安定した電源のIC内部で生成して供給するという役目ですね。CP-7000のようなオーディオ機器用のプリアンプにはもってこいです。

さて、では9ピンにリプルフィルター後の電源が出ていないので、別回路でプリアンプの電源を供給してみることで故障の正当性を確認します。

R8抵抗のざっくりとした値を計測し3ぴんVccからジャンパー配線してみます。

BA526のIN端子に、無事プリアンプからの音声が印加されるようにはなりましたが、まだスピーカーから音声は出てきません。プリアンプの電源未印加も問題の一つではありましたが、まだ原因の追究が必要です。では、逆にOUT端子からの出力を確認すると、Vccに電源は印加されていますが、出力は出ていません。以前の修理事例と同じくこのBA526のオペアンプが故障しているのが、音声が出ていない理由と判明しました。

早速、手持ちのBA526に交換を行います。

BA526

無事再生ができるようになりましたが、電源OFFからの起動時に”ブオン”というノイズが出ています。電源OFF時から時定数を持つということは、電源系のコンデンサーも一式交換が必要のようですが、修理費用も嵩みましたので、詳しい原因解析は行わず、このままでのご使用となりました。

次にですが、カード再生中とリピート再生中のみ点灯するはずのLEDが点灯しっぱなしです。通常は、電源OFFボタンを押すと消灯するのですが、乾電池やACアダプターをつなげると直ぐ点灯してしまいます。カード再生はできているのですが、これでは電流を消費してしまうので、この原因も追究します。

LED点灯回路

パネルにあるLEDは、二つのトランジスタで駆動されております。Q208の旧三菱製 2SC2603が、直接LEDをドライブするトランジスタでその電流は、Q212の2SB739で供給されております。調べてみると、Q212の2SB739が壊れておりました。

PNP型なので、PN接合のダイオードとして見えているのかと思いますが、そもそもトランジスタではなくなっています。この2SB739は、以前の修理事例でも割れていたりするので、信頼性的に弱い部品なのかもしれませんね。早速手持ちの2SB739に交換を行い、無事再生中のみの点灯と電源OFF時の消灯を確認できました。

最後に、ゴム系部品も劣化しておりましたので、総交換を行い再生確認できました。※ただし、電源OFF時からの起動雑音は、解析見送りとなります。

ゴム系部品

今回もCP-700も電子回路系の故障でしたが、回路解析により無事原因も特定一安心です。


しっかり動くようになり感動しております。

遠い青森まで行かずとも、こんなにあっという間に治していたくことができるなんて、本当にありがとうございました❗

動かなくなってから、長い間 処分するにはもったいなくてどうしたものかと思いながらずっと保管しておりました。

この度、おもちゃ病院に相談させてもらったところ、すっかりなおしてもらうことができ、本当にうれしく思っています。

慣れないスマホでのやりとりで、ドキドキしましたが、大変わかりやすく丁寧な説明と速やかな対応を頂き、すっかり安心してお願いすることができました。

とても難しい技術のいる修理で、大変な作業だったことと思いますが、本当に感謝の気持ちで一杯です。

~ご依頼様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤー CP-33 基板換装

リピートカードプレーヤー CP-33

ソニーリピートカードプレーヤー CP-33 基板換装

カードが再生できないということで修理のご依頼がございました。長期保管時に乾電池を入れたままだったようで、液漏れを起こしているそうです。早速状況を確認します。

液漏れの懸念があったので、ACアダプターで稼働させると、ゴムローラーは回りはじめるので、乾電池で操作しない原因は、やはり液漏れの腐食のようです。電極も液漏れの粉で腐食が広がっているので、除去洗浄し研摩しておきます。

電極腐食(研磨済み)
ゴムベルト溶断

電池ボックス電極の腐食以外にもゴムベルトが溶けて切れておりますので、除去清掃し交換をします。ですが、これかなり厄介なんですよね。。。

こびりつき

粘着したゴムを丹念に綺麗に除去し溶剤で綺麗にします。プーリー、フライホイール、モーターぷーりー全てにこびり付いています。

綺麗
交換完了

ゴムベルトは無事交換できました。カードを直にスライドするゴムローラーは、まだ摩擦も残っておりましたが、劣化も見られたのでご相談の結果、交換をということで、ゴム系部品は全て交換します。

以上で、当初の不具合箇所の対処ができたので、最後に動作確認をしたところ、なんと!カード再生音が出ない。。。おかしい、もう一回入れてみると、音がでた!今度は、リピート再生時に音がでない。。。LEDも点灯しっぱなし、、、なんとも不安定が症状が起きています。

当初の診断時は、数回のカード再生検査のみだったので、運よくこの不具合が出ていなかっただけのようでした。さて、困りました、原因の解析をと基板を眺めていたら、乾電池の液漏れにより腐食が、基板側にも広がっています。

腐食

恐らくこの腐食が原因と思われますが、基板上の腐食は、修理ができないのと症状との因果関係を解析するには、回路図が必要でしょう。もちろん、そんな情報はないので、リバースエンジニアリングでもしないといけないのですが、ちょうど部品取り用の基板が手持ちにあります。

基板

CP-33の基板についてですが、初期ロットでは、TI製のTMS3477 ICチップが使用されておりますが、CP-33もICチップ内製化を進めたらしく、CXDナンバーのICチップに置き換えが進んでおります。今回の機種は、置き換え後の基板となり、ちょうど同じ基板の在庫がございました。早速基板を交換してみると、無事再生できLEDも点灯と消灯もできました。

安心材料として、不具合の基板と交換した機種では、同じ不具合である音が出なかったりとい不安定な症状が再現されましたので、基板が原因であることは間違いありません。

接着剤

因みに、ケーブル類を固定する際に部品間に接着剤で止めているのですが、この接着剤が取りにくいです。下手をすると部品を破損しかねませんので、十分注意をします。