DWE 両面デジタル プレイメイト修理

DWE 両面デジタル プレイメイト修理

中古で購入されてから一年程で、カードの進みが悪くなり音声も再生されなくなったそうです。購入当初から不具合の兆候はあったそうです。

カードで手で押してあげると、時々成功することもあるそうで、ご自身でもいろいろ事前にお調べになったとのことでした。

  • 電源ボタンを押下すると、赤ランプで1回点滅
  • メモリカードのスロットを1番から2番に変えると、赤ランプが3回点滅
  • 電池を新品に交換しても効果なし。

修理の期待が過剰になるのを抑えるために、修理を受け付ける前に一応ですが、当医院の実情をお知らせしました。

当医院は、ソニー製のカードプレーヤーの修理を得意としており、保守、消耗部品も自前で容易し交換できる体制を整えており、修理実績も多く故障修理に関する多くの知見もありますが、それ以外のカードプレーヤーにおいては、対処療法的に、できる範囲での対応に限られる。

つまり、部品交換が必要になる事態は、ほぼ修理不可能である。また、故障に関する知見も少ないため、そもそも原因不明で修理不可能と判断せざるを得ない事態も考慮してもらいたい。

もちろんですが、修理可能の場合でも修理作業料および部品代などのご負担が必要になることもあわせてご検討いただきました。

ご検討の結果、修理不可能であるというリスクも了承いただき、拝見することになりました。

以上、諸々のリスクを許容していただいたので、いつも以上に気合を入れて診察します。

まず、事前にお知らせいただいた内容から、電源投入後に赤LED1回の点滅しているので、SDカードの認識は問題なさそうです。2番スロットへ、差し込み口を変えると、赤LEDの点滅が、1回→3回に変化しているので、SDカード認識に関しては、何らかの機能はしていると思われます。

では、早速拝見します。

電源を入れてカードを差し込んでも自走しません。ですが、内部でモーターの回る音はしているので、空回りの可能性があります。

そこで、カードの自走を手でサポートしてあげます。

このプレイメイトは、名前の如く、デジタル方式でカードに印刷されたバーコードを機器で読み取って再生する仕組みを採用しております。

磁気カードのようにアナログでの記録方式でなら、テンポや速度も厳密に合わせなくとも、でたらめでぐちゃぐちゃな音声でも何かしら音は出ます。

ですが、バーコードを読み込むには、読み込み仕様に則った速度でバーコードをリーダーのフォトリフレクタあて”ずらす”必要があります。

自走サポート

テンポが運よくあえば、バーコードを認識してくれて音声を再生してくれます。

本機も上手に速度を合わせこんでやったところ、無事音声が再生できました。ご依頼者様が、『カードを手で押し込んであげると、時々成功することがある』とあったのですが、バーコードの読み込み速度があったタイミングだったのだと思います。

ということから、再生故障の原因は、カードをスライドさせる機構に不具合があることは確かですね。次に開封して、その原因を探ります。

上蓋のネジを外して開けると、原因は、直ぐ分かりました。

ゴムローラーとピンチローラー

カードを挟んでも、ゴムローラーが回転していません。不具合は、その前段ですね。

ゴムベルトの劣化滑り

モーターからゴムローラーまでは、プーリーが2箇所あり、画像の通り、ゴムローラー側をゴムベルト1と呼び、モーター側をゴムベルト2と呼ぶこととします。

ゴムベルト2が、完全滑っておりました。カード再生故障の原因は、このゴムベルトでした。

劣化ゴムベルト

経年の劣化で固化が進んでおりましたので、2本とも新品の平ゴムベルトに交換します。

プーリーグリス

ソニー製のカードプレーヤー同様にプーリー軸のグリスが劣化し粘度が低下しているらしく、回転時に抵抗が生まれています。特に、ゴムローラーが付いている側のグリスの劣化が顕著で、手で回してみても明らかに抵抗があります。

ゴムローラー軸

プーリー軸にグリスを塗布しようとしましたが、ゴムローラーが圧入されており、取り外せない状況でした。無理に引っこ抜けば、取れますが、そもそもゴムローラーの替えがないので、できません。隙間から軸部分にシリコンスプレーを吹いてみましたら、あら不思議と、くるくる軽々回るようになりました。

ただ、そのような状況を確認すると、劣化が今後さらに進んだ場合、最悪軸に粘着して回転できなくなりますね。今回は、ゴムローラーの表面もアルコールで拭いておくだけになります。

交換ゴムベルト

ゴムベルトを交換し組み上げて動作確認をします。

制御基板配下にフラットケーブルが通してあるのですが、基板をはめ込む際にちゃんと水平に固定しておかないと基板が収まりません。

フラットケーブル

問題なさそうですね。以上で修理完了です。


丁寧なやりとりとお仕事をありがとうございました。

感謝の気持ちでいっぱいです。

最初は、もし治らなくてもしょうがない、買い替えるのも高いし、違う方法で英語学習やっていこう、と考えたりもしましたが、 やっぱり診てもらって良かったです。

これから長く使えるように大事に使おうと思います。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 リピート再生故障 修理不可

CP-7000

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000 リピート再生故障 修理不可

ソニーリピートカードプレーヤーCP-7000の修理のご依頼がありました。現状でカード再生をすると、再生音がこもっており、また再生速度も遅いとのことです。手で押してあげると、正常に再生できるとのことでした。

また、CP-7000には、修理不可能な持病ともいうべき、連続再生を行うと徐々に再生音量が小さくなってしまう症状があります。

当医院でCP-7000の修理を承る場合は、上記の故障症状については修理不可能としております。詳細は、こちらの記事にもあります。また、こちらの有料修理のご案内にもその旨を明記させていただいております。

今回もこの点については、事前に不問ということを前提に受け付けをさせていただきました。

早速、状況を確認します。

まず、届いた状態でカードの再生確認を行うと、カードが全く自走できません。完全に滑ってしまっておりました。

滑り

そこで、手で押してあげると、再生の音声が出てきますので、まずはゴムローラーの交換は必須ですね。

ゴムベルトの状態を確認しようとしたら、恐らくは落下の衝撃か何かで支柱が折れておりました。

支柱折れ

カード検知用のレバーの抑えも折れております。

レバーの抑え折れ

ついでに、モーターを固定する筐体も部分的に割れて部品が本体内部に転がっておりました。他の機種でも多いのですが、落下の衝撃でキャプスタン軸のフランジが曲がってしまい、磁気ヘッドとカードの磁気テープに大きな隙間が空いてしまう故障もあります。今回は、諸々プラスチック部の破損で済んでおりました。

さて、これらの破損は、カード再生の問題には影響をしていないため、最後に接着固定するなりで対応します。

引き続き、ゴムベルトをの状態を確認します。ゴムベルトも経年で固化が進み、ゴムベルトも交換が必要でした。

ゴム系部品

まずは、ゴム系部品一式を暫定交換し、その他の故障がないか確認します。

ですが、残念なことに、先のリピート再生時に再生音量が小さくなってしまう症状が出ておりました。確認当初は、リピート再生時も音声がある程度出ていたのですが、今回は、10枚程度の連続再生で既に現象が出ております。

リピート再生時の音量不良

カードを自走させ再生する場合は、問題ないのですが、リピート再生時の音量が、小さくなっております。ほとんど聞こえません。

動画途中でボリュームをMAXまで上げておりますが、それでもほとんんど聞こえません。リピート再生のAUTO/MANUALどちらの動作モードでも同じでした。

過去に同様の機種を数台見ているのですが、このリピート再生時の音量低下は、非常に不安定で、発生確率も低く、発生しても小さくなったり、大きくなったりと非常に解析も困難な事象です。

残念ですが、今回のご依頼は、修理不可能とさせていただきました。

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム部品交換

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1000 ゴム部品交換

トーキングカードプレーヤーをさし込むと何かしらの反応はするのだが、カードが自走しないので、音声の再生もできないとのことでした。

では、早速拝見します。

液漏れ

まず、電池ボックスの負極に液漏れによる腐食があるので、綺麗にしておきます。腐食によ電圧が降下していたので、他の故障原因を調査する前にまずは、正常な電力が供給できるようにします。あまりにも腐食が酷くバネが折れたり応力もない場合は、電極のバネ自体の交換もしますが、研磨を行っても強度が保てる場合は、研磨を行い導通確認で正常な起電圧があれば研磨のみで対応します。

さて、次にカード自走の原因を探ります。

本体内部は、ある程度は綺麗だったのですが、先の液漏れによる粉が本体内部に飛散しておりました。

さて、カード駆動不良の原因は、プーリーベルトが、溶解して切れておりました。溶けて粘着するようなレベルではなかったので、容易に剥がせました。

ゴムベルト切れ
切れたゴムベルト

ゴムベルトを交換し、カード再生テストを行うと無事音声が再生できました。

ゴムローラー

現状でもカードを直に駆動するゴムローラーの摩擦は残っており、カード数枚のレベルですが、再生確認はできました。まぁ、でも画像からも表面の劣化は出ているので、ご依頼様に如何するかご相談をした結果、ゴムローラーも新品に交換をすることになりました。

新品ゴムローラー

その他の故障箇所としては、キャプスタン軸の受けが剥がれていたので、綺麗に表面を研磨し接着します。

軸受け研磨

接着は、いつもと弾性の強力接着剤を使います。

軸受け接着

その他の部品は、綺麗に洗浄して組付けます。

その他部品

磁気ヘッドのコアも摩耗は少ないので、使用頻度も低かったのかと思います。再生品質も問題ありませんでした。

さて、今回は、便利工具をご紹介します。

プリント基板上のケーブル接続のためにコネクターがいろいろ取り付けられたいることが多いですよね。このCP-1000にも、モーターや磁気ヘッドなど接続するためのコネクターがあります。

専用の引き抜き工具がない以前は、ラジオペンチなどで引き抜いていたのですが、なかなか抜けない時は、コキコキこじって抜くことも多く、その度にコネクターの筐体の破損や電極の半田にクラックなどの問題が出ないかハラハラしておりました。

そんな時の工具をしてコネクター抜きがあり、かなり便利に使っております。

基板コネクター抜き

コネクターの長短をツマミ真上に引っ張り抜きます。ツマミ部分には、凹みがあるので、その凹みにがっちりコネクターが噛むようにします。

この工具で、簡単に確実に抜けるようになりました。


娘が到着をとても楽しみにしており、ウキウキしながら箱から取り出し、何度もカードを通して当時を懐かしんでいる姿に私も感動しました。

小さかった当時の話に花が咲き家族で懐かしく素敵な時間となりました。

おもちゃ病院の診断書にもユーモアが溢れて滝下ドクターのお人柄が感じられました。

入院治療していただき本当に感謝しています。ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 磁気ヘッドコア 粘着異物除去

CP-1100

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1100 磁気ヘッドコア 粘着異物除去

カード送りが不安定で送ることができない場合もあるそうです。また、再生音も小さく、ボリュームにガリが出ているとのことで修理のご依頼がありました。

カードが自走しない原因の多くは、ゴム部品の劣化でしょう。ボリュームも新品に交換するとして、再生音が小さいのは、気になります。スピーカーやアンプ部の故障も考えられますね。

では、早速拝見します。

ゴムローラー

ゴムローラーが、固化してツルツルですね。若干縮んでいるので、磁気ヘッドとの隙間も空いています。もしかすると、音が小さい原因は、この隙間かもしれません。

ヘッドのあたり

カードをさし込むスリットを横から除き込んでみます。やはり、ゴムローラーとヘッドのコアに相当の隙間が空いていますね。ゴムローラーを交換する場合、アジマスの調整は最終段階で再生音と速度をチャックしながら行います。

ゴムベルトも劣化して固化し伸び切っていました。一式交換します。

ゴムベルト

また、このプーリーですが、初期ロットの場合、ネジ止めの支柱に干渉して再生中に『カラカラ』と音がするので干渉部分を削っておきます。もちろんですが、プーリーのグリスも交換しておきます。

削る支柱
経年劣化ゴム部品

当医院での修理は、本体内部は、一式丸ごとアルコールで洗浄して綺麗にしておきます。

プーリーとキャプスタン

さて、次にガリが出ていいるボリュームも交換をしますが、このボリュームは、CP-1100専用に設計されたものか、製造段階で筐体の金型をこのボリュームにあわせたのかは定かではありませんが、現在入手できるボリュームではありません。そのため、今入手できるボリュームを探しても筐体にフィットするボリュームはないので、別途専用に用意する必要があります。

ボリューム

市販のネットなどで入手できるボリュームは、軸の高さが合わないので、筐体に収まらないし、そもそもローレットタイプであってもツマミの溝の高さにもあいません。

さて、ここで再生音量が小さい件の原因を調査します。

先の推測では、ゴムローラーとの隙間が原因かと思っていたのですが、犯人は違いました。

隙間

アジマスを調整しゴムローラーに対して水平と垂直を出し調整を行っても、まったく改善しません。というか、全く変わらないのです。

これって、おかしいです。磁気ヘッドで何らかの時期が拾えていれば、調整でおかしいなりに何らかの変化があるはずです。

ということで、そもそも磁気ヘッドで磁気を拾えていない事態であるか確認します。

故障原因の切り分けのため治具を用意しております。

故障原因が磁気ヘッドなのか、電子回路なのか、機構部なのか?

磁気ヘッド確認治具

磁気ヘッドに直接クリップを接続してこちらの音声が増幅再生できる治具の方で音が拾えるか確認します。

ですが、こちらの治具でも音量が拾えておりませんでした。従って、磁気ヘッド自体に何か起こっております。

異物

まぁ、当初からヘッドに何やら付着していそうなことは分かっていたのですが、やはり磁気を拾えておりませんでした。磁気テープが、ヘッドのコアに密着できなくなっております。

下手に除去すると、コアを傷つけるか、粘着性の異物がさらに広がったりして高域の音声が、拾えなくなるので、除去作業は慎重に行います。

溶剤で溶かしある程度柔らかくなったところで、研磨用#10000のペーパーで拭き上げます。

幸いに綺麗に除去でき、アジマス調整後に再生音も無事復活しました。

モーターの再生速度も遅くなっておりましたので、調整を行い修理完了です。


昔、録音した学校の友人や先生の声を聞けて嬉しいです。

この度は本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 ボリューム ゴム系部品交換

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 ボリューム ゴム系部品交換

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100の修理のご依頼がありました。

カードは、自走せず、手で押してあげるとスピーカーから音とはしているとのことです。また、電池ボックスの負極のバネに錆が上がっているそうです。

電池ボックスの錆び

致命的ではなさそうですね。ルーターで研磨してみます。

錆を綺麗に落とそうとルーターで研磨すると、錆は表面だけではなく、導体の芯近くまで及んでおりました。そのため、錆を落とすとバネが部分的に細くなってしまいました。

直ぐ、ぽきっと折れるというレベルではありませんが、補強のため半田を盛っておきます。

半田盛り

黒く変色すた部分もあるのですが、これ以上研磨すると強度的な問題になるので、研磨はバネの強度との兼ね合いで研磨の程度を調整しました。

さて、再生不良の原因を探ります。

空回り

モーターのプーリーのゴムベルトが、固化し伸びてゆるゆるになっています。空回りの原因は、これですね。

カードの再生テストをしてみると、ゴムローラーも完全に滑ってしまっているので、ゴム系部品は、丸ごと交換します。

ゴム系部品

因みに、今回ご依頼いただいたCP-1100は、初期ロットなので、モーターの速度調整が難しい機種でした。

モーター

CP-1200でよく見かけるのですが、回転速度を調整する場合、モーターのカバーを外し内部の回転体にある調整ネジ(恐らく可変抵抗用)を回して調整するのですが、分解→調整→確認→再分解→再調整→再確認・・・と速度が合うまで繰り返しになります。

以前、やったことがあるのですが、ぴたっと合ったかと調整しても、直ぐ狂ってしまったりとたいへんだった記憶しかありません。

ただ、今回は、速度確認で問題なかったので、そのままの状態で部品交換をします。

干渉支柱

これも初期ロットでのあるあるなのですが、プーリーのゴムベルトが、支柱に干渉しますので、削っておきます。ロットが増えていくと、製造段階で削られていることがわかります。

お掃除

その他の部品類も一式メンテナンス清掃しておきます。

ボリューム交換

ボリュームにガリノイズが出ていましたので交換をします。

ガリノイズについては、カード再生には、致命的が問題ではありませんので、交換の要不要は、ご相談の上決定しております。

組み上げ完了
動作確認

再生品質も問題ありません。これにて、修理完了です。


メーカーに問合せた時は修理対応終了とのことで残念に思っていたのですが、 滝下様のところで修理できることが分かり、また、丁寧なご対応を頂き大変有難かったです。

帰ってきたトーキングカードプレイヤーを家族で確認してると、 皆、内容を思い出して口ずさんだり、「懐かしい!」とワイワイ楽しむことが出来ました。

最初は両親が保管していたことに驚いたのですが、 いつか孫が使うかも、と大事に保管してくれていたことへの感謝とともに、 それを使えるように修理していただいた滝下様には大変感謝しております。

また楽しく遊び使っていきたいと思います。 この度は本当にありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ソニーカードリピーターCP-55AK 磁気カード不良とゴム系部品交換

CP-55AK

ソニーカードリピーターCP-55AK 磁気カード不良とゴム系部品交換

20年以上前にご自身で使用していたCP-55をお子様にもということで修理のご依頼がありました。

溝の挿入したカードが、自動でスライドせず、もちろんですが、音声の再生もできないとのことです。本体内部から、、何かの差動音はしているそうなので、モーターは可動していそうですね。

早速拝見します。

到着後、可動させてみましたが、モーターの回転音は、直ぐ分かりますが、やはり本体内部で空回りしているようです。

ゴムベルトが無い

ゴムベルトが、はまっていないですね。切れてどっかに絡まっているのでしょう。

その他、本体は大事に保管されていたらしく綺麗です。

基板

次に、機構系のモジュール裏面を確認します。

絡まり

やはり、ゴムベルトが切れてモーターのプーリーに絡まっていますね。かろうじて、溶けてはいなさそうで安心しました。

三つ編み

まるで三つ編みのようになってました。綺麗に取り除きます。

さて、ここまでで、切れたゴムベルトは交換を行って、カードを直にスライドさせるゴムローラーの状態と磁気ヘッドも確認します。

ゴムベルトが切れていても、手でカードを押してあげると再生音が、おかしいなりにスピーカーから出ておりましたので、磁気は拾えているようでした。

磁気ヘッド

問題はなさそうですね。次にゴムローラーを確認します。

目視では、表面は幾分経年で固化が進んでいますが、まだ辛うじてカードはスライドできそうかなというレベルでしたが、実際に走行テストしてみると、やはり部分的に滑っていたり、摩耗のため、カードが逆上がりしてしておりました。

左:劣化ゴムローラー 右:新品ゴムローラー

表面の劣化は、一目瞭然でしたね。

ゴム系部品

そのため、ゴム系部品は、一式交換をします。

CP-55の故障あるあるで、再生音量が、小さくはなっていないので、ACカップリングコンデンサーの交換は不要そうですね。

一式洗浄お掃除

あとは、粛々とお掃除や洗浄を行い組み上げます。

組み上げ

再生音量、音質、速度の確認を行い修理完了です。

動作確認

今回、ご依頼のCP-55AKは、トーキングカードの7.4secをフルで録音できる機種でした。動作確認では、CP-1000やCP-1100などのトーキングカードもリピート再生できます。

補足ですが、カードプレーヤーの修理をご依頼いただく際は、皆さまにお持ちの磁気カードの同封をお願いしております。

故障や不具合の原因が、カード側にもあることがあるので、併せて診断したいためです。

今回の故障の原因は、機器側でしたが、同封の磁気カードに磁気不良があったので、ご紹介します。

ちょうど、同封のカードと同じカードを当医院でも所有しておりましたので、比較再生できました。前半が、同封いただいた磁気不良カードで、後半が、当医院在庫の正常カードです。

特に2枚目の磁気カードに雑音が出ておりました。やはり磁性体が塗布されたテープ部分も経年での劣化や温度、湿度などの変化、近くに磁石を置いてしまったなどもあろうかと思います。

そのような不具合をできるかぎり防ぐため、保管は、金属製の箱に乾燥剤を一緒に入れておくと安心ですね。注意点は、乾燥剤とカードが触れたままになると変色してしまうので、触れないように配置固定しておくといいでしょう。


早速使ってみたところ、スムーズに再生出来ました。

子供も初めて見るおもちゃに喜んでいました。

今の時代もっと進んだ技術が使われた物がたくさんあるとは思いますが、せっかくカードがあるので、一緒に遊びながら英語に触れさせてあげられたらなと思っています。

大切に、長く使っていきます。

見積、修理、発送ととても早く対応していただき、助かりました。

逐一状況をわかりやすく教えて頂けて、安心してお願いすることができました。

保管方法などのアドバイスもありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 ブラシノイズ対策

ソニートーキングカードプレーヤーCP-1100 ブラシノイズ対策

今回は、ソニートーキングカードプレーヤーでよくあるゴム系部品の交換ではなく、再生中に聞こえるノイズ対策を行った事例をご紹介します。

トーキングカードを差し込んで、自走はするが音がしないとのことで修理のご依頼がございました。自走=自動でスライドするが、音が出ない症状は、スピーカーの故障か磁気ヘッドがカードから離れてしまい音がでない経験があります。

特に最近では、こちらの記事のように落下の衝撃でフランジが曲がってしまい磁気ヘッドとの隙間があき再生音が変になったという修理事例があります。

また、他機種ですが、CP-7000では、その隙間が大きすぎて全く音がしないという事例もありました。

さて、今回の故障原因は何か調べてみます。

まず、到着して直ぐ動作確認をしましたが、カードを差し込んでもスピーカーから何も音がしていないのですが、ほんと全く何も音がしないのです。ボリュームMAXでも静かです。

スピーカーの故障ですね。すぐ分かります。

本来であれば、基底にあるホワイト性のノイズがあって、無音であってもスピーカーからスース―っと音がするのですが、全くしていなので、完全にスピーカーが故障していますね。チェッカーやマルチメーターで計測してもO.Lでボイスコイルが断線していました。

早速、手持ちのスピーカーに交換しつないでみると再生音が出てきました。

ですが、やはり、ゴム系部品の劣化でゴムローラーの表面はツルツルでゴムベルトも伸びており、辛うじて自走はするが、カードによっては滑ってしまっています。

まずが、スピーカーとゴム系部品の交換が必要と判明しました。

交換部品

テスト再生

ここでカードを再生してみると、再生音が出ているにはいるのですが、何か音量も低く、音質も悪いです。また、カード再生中、無音部分で”プチプチ”といったノイズが、突発的に起きています。

磁気ヘッドのアジマスも調整し、できる限り最良になるように調整をしても改善しません。

音量については、スピーカーを交換しているので、ある程度の個体差のある音量差があることは分かっていたのですが、それ以上に音量が、20%ほどダウンしています。

ボリュームMAXにしても、うるさくなく聞こえます。通常は、ボリュームMAXだと、うるさくてたまりません。

また、音質についても、磁気ヘッドの摩耗である程度の音質劣化は承知しているのですが、高音域が出ていません。全体的にこもったような再生音です。

プチプチノイズのあるので、何かもっと故障がありそうなので、ご依頼様に状況を報告しました。

ゴム系部品の交換やスピーカーの交換まででしたら、お見積り額もそんなに高額になりませんが、前述の音量、音質、ノイズ対策まで行うと、やはり工数的に高額になりますので、このまま修理を継続するか、代替え機を代わりにご提供するかなどをご相談しました。

まずは、現状作業できたところまでの動作確認用の動画をご提示しご確認いただきました。

状況確認動画

でもしかしですが、音量、音質、ノイズ問題を解消できる良案も持ち得ていないので、以下の2案をご提示しました。

  1. 磁気ヘッドを手持ちの部品取り機から移殖してみる。
  2. 基板上の電解コンデンサーを一式交換してみる。

過去の経験から、高音域の音質不良は、だいたい磁気ヘッドの摩耗や劣化によって起きております。特に、他機種のCP-55やCP-33で、劣化したゴムローラーが、ヘッド表面に粘着すると、同じような音質不良が起きます。

また、音量についても、CP-55では、ACのカップリングコンデンサーの容量抜けで音量が小さくなって、最悪、音が出ないことも経験しているので、有力が策と考えていました。

また、ノイズについても、電源系から回り込んだノイズと推測し、これも電源系のパスコンの容量抜けで起きているのかもとしてご提示しました。

それぞれも工数や部品代を考えると、お見積りが、かなりの高額になってしまったのですが、思い入れのあるCP-1100ということで、是非本機を修理して欲しいとのご希望もあり、気合を入れて修理に臨みました。

交換磁気ヘッド

まず、施策1の磁気ヘッドを部品取り機から交換してみました。

まさしきビンゴで、音量と音質がかなり改善されました。特に音質である、高音域が無事磁気カードから拾えており、音声がかなり明瞭になりました。また、音量もほぼ改善できました。

不具合の原因の殆どが、磁気ヘッドにありました。

ですが、プチノイズは、改善されておりませんし、音量もできれば、もう少し上げたいとうこともありますので、施策2の基板上電解コンデンサーを丸ごと交換します。

基板

電源系のパスコンは、もちろんですが、プリアンプのトランジスタやパワーアンプ間のカップリングコンデンサーも丸ごと交換しました。

さらに、音量も改善され、音量と音質に関しては、施策1および施策2で完全に解決できました。

施策適応中

ですが、、、

ノイズが、、、

まだ、出ています。😨

参った、、、この手のノイズって厄介なのは、重々承知をしております。

マイコン開発でもEMI評価をした業務経験がありますので、ノイズの元を探り元から対策するのが鉄則なのですが、元が分からない場合は、一つ一つ地道に潰していなかいとイケないですよね。

磁気ヘッドは、常時ゴムローラーの表面に接しているので、何か影響を与えているのかと思い再生中に指で話してみたのですが、犯人ではありませんでした。

ゴムローラー犯人説

ですが、この調査作業中にプチプチノイズの発生源はすぐ分かりました。

カセットテープデッキなどの修理でもリール用のモーターが劣化すると、ノイズが出ちゃうことは前から知っておりました。こちらが参考になります。

そこで、今回のプチプチノイズの発生源と思しきモーターの電極を外して動作させると、ノイズがピタッと止まりました。

モーター犯人説

やはり、ノイズの原因は、あなたでしたか、、、。

犯人が判明したので、対策を打ちます。

モーターのノイズ源は、ほぼブラシから出ている接点起因のノイズであるので、分解し黒く焦げたグリスや酸化したブラシを綺麗にしてやるべきです。

新品のモーターが手に入るのなら新品のモーターに交換すべきです。

が!そうはできません。残念、、、。

このCP-1100で使用されている、モーターは、キャプスタン軸を回転させる時にも使用される、回転制御回路が、モーターのハウジング内にある特殊なモーターです。

以前、オーバホールで分解したことがあるのですが、途中で壊してしまい回転にムラが出てしまいました。

こちらの記事にもあるように、分解はお勧めしておりません。自分も失敗しました。

失敗するリスクもあるので、ノイズは、外側で対策することにします。

ブラシからのノイズの特性を解析し外付けでノイズ取り用のコンデンサーを追加します。

ですが、このCP-1100の回路では、ノイズが取れません。

というのも、モーターの起動スイッチ回路は、モーターの負極側を2SC1570が制御しており、カード挿入を検知するスイッチで直接、ASC1570のベース電流を制御しておりました。モーターの正極は、Vcc=6Vに接続されております。

そうなのです。GNDが弱いのです。2SC1570のVCE(sat)=0.5Vで、GNDレベルから0.5V程浮いているのです。

自分は、プリント基板の設計経験もあるのですが、この2SC1570のコレクタの配線が細く長いです。GNDは、インピーダンスを下げるため太く短くが鉄則ですが、CP-1100基板の配線では、インピーダンスも高くなりノイズに弱くなります。

GNDが弱い基板

GNDノイズに関しては、こちらが参考になります。

モーターからの外来のノイズが、モーターの負極から回り込んでGNDに侵入しておりました。

試しに、このインピーダンスの高くなっている配線をピンセット摘まんでやると、あら不思議ノイズが消えてくれます。GNDが弱いことが確証されました。

ですしかし、対策が限られます。

モーターの制御方式から、回路をいじることはできないので、パスコンの設置を工夫します。

モーターのカバーケースと負極間にパスコンを追加しケースをGNDに落としてあげます。

パスコンは、0.1uFと0.01uFを並列に入れてあげます。

パスコン追加

モーターのノイズ対策でよくある対策ですが、如何せんモーターの制御が負極側なので、GND線を追加で引っ張ってくるしかありません。

さて、試聴してみると、最低限聞こえるレベルのノイズは、残りますが、ほぼ他機種と同レベルまでノイズは、抑制できました。通常使用では、問題ないレベルです。

無事完了

かなりの難治案件でしたが、思い入れのあるCP-1100ということで、何とか修理完了できました。


ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 ヘッド故障 修理不可

CP-33

ソニーリピートカードプレーヤーCP-33 ヘッド故障 修理不可

『ゴムベルトが切れている』という完結な修理依頼を受けました。1次診察で、詳細な故障状況のヒアリングをしたかったのですが、どうもメールでのやりとりに不慣れだったようなので、機種名のみお聞きして、あとはこちらで良きに計らうことにしました。

ゴムベルトが切れている以外のことは、全く分かりませんので、以下の点について調べたいと思います。

  • モーターは、回っているか?
  • 磁気ヘッドは、故障していないか?
  • 電子回路(アンプ部、電源部etc…)は、故障していないか?
  • スピーカーは、故障していないか?

特に、交換のできない専用部品は、市場で入手できないため、故障して使えない場合は、部品取り機からの移殖なども検討しなければなりません。

では、早速拝見します。

到着して直ぐ、ACアダプターで動作確認してみると、モーターが空回りしているのは、音で確認できました。ひとまず、モーターは回るっと。

ゴムベルトが切れているということなので、状況を拝見します。

???

ゴムベルトは、よくある故障の、溶解して切れていたのでしょうね。

あちこちに溶けたゴムが粘着しています。ゴムベルトの代替えに、おそらくマスキングテープらしいテープを細長く輪にしたものが挟まっていますね。

ここら辺は、綺麗に洗浄して代わりのゴムベルトに交換できます。

次に肝心の音声の再生系をチェックします。

まずは、磁気ヘッドです。

ボロボロ

CP-55やCP-33では、よくあるのですが、経年でゴムローラーがボロボロになります。

長期保管の間、そのゴム部分は、磁気ヘッドに密着しています。

カードプレーヤーの仕様上、磁気ヘッドをゴムローラーに押し付けて挟まった磁気カードのテープの磁気を読み取るのですが、カードが挟まっていないとヘッドとゴムが密着したままとなります。

ボロボロ

ゴムローラーはボロボロですね。

磁気ヘッドの状態を確認します。

磁気ヘッド
粘着したゴム

アモルファスコアに解けたゴムが、浸食して表面にこびり付いています。ちなみに、取り外した際は、もっと表面全体にこびり付いており、IPAで拭きとってもこのレベルまでしか取り切れませんでした。

浸食したゴムで、磁気が読み取れないですね。当医院の他の稼働するCP-33に、この磁気ヘッドのみを交換して再生確認したところ、高音域が全く再生できなくなっており、全体的に、濁りこもったような音声になっています。

磁気ヘッドの再生は不可能なので、今回の修理のご依頼は、修理不可能ということになりました。

実は、CP-55やCP-33で、このような溶けたゴムの浸食で修理不可能になる機種が多く、当医院にも数台あります。表面を研磨し、なんとか磁気ヘッドを再生できないかと挑戦はしているのですが、失敗の連続で見た目で綺麗にできても、磁気を拾うという機能は、まったく別物なのだと思います。

ある程度の摩耗は、メーカー側も想定しているのでしょうが、粘着した異物を取り除くために研摩した場合は、想定が違うのでしょう。


DWE アナログ プレイメイト 修理

DWE アナログ プレイメイト

DWE アナログ プレイメイト 修理

近隣のおもちゃ病院へ修理を依頼されたそうなのですが、平ゴムベルトの持ち合わせがないため修理できなかったとのことです。ご自身で、この平ゴムベルトをインターネットでお探しになられ、当医院の修理記事を発見されたそうです。

平ゴムの入手のため仕様のご相談があったのですが、情報の開示は難しく、そこで当医院で修理を承ることになりました。

※他のカードプレーヤーでも、交換部品の材質や寸法、入手先、または部品を個別に譲ってほしいという、ご相談をいただくことがありますが、恐れいりますが、それはできません。有料となりますが、当医院で修理を承っております。

では、早速状況を確認します。

既に平ゴムが切れているとのことなので、開封して確認します。

あら?

いきなりですが、このスプリングが、なんで電池ボックスのに入っているの?このスプリングは、手で持つ取っ手のところに入っているはずなんですが、、、

ゴムローラー

プレイメイト用のゴムローラーは、交換部品がないので、表面の掃除と固化が激しくなければ表見を荒いペーパーでざらつかせます。

アルコールで洗浄

表面をアルコールで洗浄するだけでも、まぁまぁ摩擦は回復するのですが、また直ぐ汚れて滑ってしまいます。

左:テカリゴムローラー  右:ざらつかせたゴムローラー

本来であれば、新品のゴムローラーで交換すべきなのですが、部品代がかなり高額になります。

ソニー製のカードプレーヤーですと、修理案件がある程度あるので、在庫確保し準備もできますが、DWEのプレイメイトとなると、受注案件数も少ないため在庫を持つのはリスクを伴います。そのため、個別案件毎に発注となると、部品代がかなり高額になります。

そこで、まだカードをスライドできるだけの摩擦を確保できそうな場合は、表面のメンテナンスでご了承をいただいております。ただ、固化が進行し、どのようにメンテナンスしてもカードをスライドできない場合は、ゴムローラーの交換などを検討せねばなりません。懸案事項として宿題となります。

さて、修理に話を戻します。粛々と内部を確認します。

輪ゴム

輪ゴムがついていますね。お聞きしたところ、修理をお願いしたおもちゃ病院で取り付けたようです。輪ゴムは、何度も言いますが、溶解し粘着のうえ、プラスチックのプーリーの場合、溶かしてしますので、取り付け厳禁です。

粘着ゴム

あら?

おもちゃ病院の担当ドクター様は、元々ついていた溶けた平ゴムのお掃除もなさらなかったのですね。接着剤のように強固に付着しておりました。

粘着ゴム

ですが、もっともダメなことが発見されました。

金属球がない

分解された際に、本当は、このプーリーの軸の上に金属球が、位置決めのため付いているのですが、無くなっております。分解時に取れたはずみで紛失したか、そもそも金属球がこんなところについているのも、想像できずに組みつけしなかったのかもしれません。

たぶんこういう不備は、数をこなさないと再発するような人為的ミスなのでしょうね。

金属球
金属球

この金属球は、本来は上図のようについております。※グリスに埋もれておりますが、この金属球が、カバーに接触し平ゴムベルトの位置決めをしております。

金属球が無いと、回転時に上下にふらつくか、平ゴムベルトが外れてしまうかもしれません。

無いものは仕方ないので、在庫の金属球を取り付けておきます。

故障個所の調査を進めます。

ピンチローラー

ピンチローラー類も表面をアルコールで拭いて、軸にシリコンスプレーを拭いておきます。アナログ プレイメイトには、カード再生時の正回転用と録音時の録音用、カードをリピート再生するためにカードを戻す逆回転用が裏面にあります。

ピンチローラー
逆回転用ピンチローラー

逆回転用のピンチローラーですが、画像からも劣化が激しく、カードを戻す際の駆動力が弱くなっております。こちらも、新品部品への交換もできなく、表面をアルコールで拭いて綺麗にしておくくらいになります。ただ、逆回転機能は、再生し終わった際にカード再度スタート位置に戻す巻き戻しのような機能なので、どうしても滑って戻せない場合は、一旦カードおn抜き再度再生していただくようにお願いしました。

擦れる機構部の金属部分には、グリーススプレーを拭いておきます。

経年でケーブル類を固定するテープも粘着き剥がれいますので、カプトンテープで固定しておきます。

ケーブル固定

また、結束バンドも劣化しておりますので、全て交換しておきます。

ケーブル固定

ここで、電源用のパスコンに異常を発見しました。

電源パスコン

主に電源補償用とノイズ取りのパスコンですが、膨らみが出ております。いづれ破裂して液漏れしますね。ですが、10000uFは手持ちがないので、発注して交換します。

粛々を部品類をお掃除します。粘着したゴムも綺麗に取り除きます。

金属部品類

粘着したゴムは、ほんとうに除去が大変です。

綺麗に除去

ゴムローラーの取り付けは、特に録音側のピンチローラー軸の取り付けには、注意が必要です。フライホイールの内径にピンチローラーが密着し、しかも上下位置の位置合わせを正確にやらないと、フライホイールの内側に干渉して、酷いノイズを発します。

逆回転用ピンチローラー軸の位置合わせ

電池ボックスの内カバーは、両面テープで固定しておきます。電池ボックスの正極も半田付けが取れてしまっていましたので、半田付けしておきます。

電池ボックスの内カバー
正極取れ

全て組み上げて、ACアダプターおよび乾電池で動作確認をします。

溶解した粘着ゴムの除去と内部のお掃除、ゴムローラーのメンテナンスや各所の補修と今回のプレイメイトは、まぁまぁな作業料となりましたが、再びカードが再生できるようになりました。


(他院にて、)一度は部品が無くなおらないと言われましたが、瀧下様のホームページにたどり着き、修理していただくことができて本当によかったです。

数十年ぶりにカードを通し、音が出るのをみて、家族みんなで喜んでいます。

子供と遊ぶのがとても楽しみです。 (カードに録音された私の小さい頃の声も聞くことができました)

逐一、とても丁寧に状況を知らせてくださったので、安心してお願いすることができました。

本当にありがとうございました。大切に使いたいと思います。

~ご依頼者様のご感想より~

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム系部品交換

CP-1000

ソニートーキングカードプレーヤー CP-1000 ゴム系部品交換

トーキングカードを溝に差し込んでも自走しないということと、その際、本体内部ではモーターの回る音はしている。カードで手で押してあげると、その速度に応じてスピーカーから再生音声は聞こえ、その際、かなりの抵抗がある旨も教えて頂けました。

以上のような情報を事前に教えていただけると、かなりの確度で修理の可能性と参考費用のご提示も楽になります。

早速、内部を拝見します。

ほぼ、十中八九、ゴム系部品の劣化とプーリーのグリスが原因でしょう。

劣化部品

その通りでした。

まだ、ゴムベルトは、溶けて切れていないかったので、何よりも安心しました。ですが、かなり伸びて溶け始めていました。

ゴムローラー

ゴムローラーは、表面の経年劣化で固化し始めております。アルコールで拭いてみると、辛うじてカードをスライドできる摩擦は残っておりましたが、ご依頼様とご相談の結果、まとめて交換することになりました。

劣化ゴム系部品

新旧のゴムローラーの表面は、経年を使用の摩耗でこのくらい表面が違います。

左:表面固化、右:交換新品

では、粛々と作業を進めます。

洗浄部品

一連の部品を洗浄し、グリスも塗布を行い組み上げます。

因みに、使用しているグリスは、耐熱、耐寒性に優れたKUREのシリコングリスを使用しております。

機構系
電子回路系

カード再生速度が、遅くなっておりましたので、速度調整も行いました。以上で修理完了です。


動作良好です。

この度は、スムースな対応ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~