くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

くすぐりエルモ

くすぐり エルモ ギヤ割れ交換 電池ボックス電極 修理

外来で勤務をしている地域のおもちゃ病院にて、エルモ 2体の修理を受け持ちました。今回は、その内の1体のエルモの修理についてご紹介をしたいと思います。

まず、このくすぐりエルモとは、顎、お腹、左足首のスイッチを押すと、笑い転げてくれる、とても楽しいぬいぐるみです。たぶん、かなり有名なので、動作については詳しい説明は不要かと思います。

さて、ご依頼の内容は、笑い転げる動きが変ということです。

通常は、いづれかのボタンを押下すると、左腕を上下に振り笑い始め、次に尻餅をついて、両足をバタバタ笑い転げて最後に起き上がるのですが、動きが緩慢で動作の途中で止まることもあります。モーターが空回りしている、ウィーンという回転音はするものの、ぬいぐるみの動きは止まったままという感じです。

やはり一時期、商品がバカ売れしたおかげでインターネットには、修理記事が沢山掲載があります。特に、この点の動きが変という事案では、ピニオンギアの割れが原因の殆どのようです。

さて、前振りはこのぐらいで診察開始です。

切り開き

まず、背中の縫い合わせに沿って切り開きます。ですが、赤いパイル生地に赤い糸で縫い合わせているので、糸が非常に分かりずらいです。間違ってパイル生地の布地側を切り開いてしまわないように注意が必要です。また、舶来品なので、縫い合わせの品質も少しテキトーな感もありますので、糸は綺麗に外そうとせず、バシバシカットして開いた方が早いです。

また、首を結束バンドで固定しておりますが、300mm長のバンドで間に合いますので、綺麗に外さずにカットして交換した方が早いです。

開封

では、ピニオンギアの所在ですが、腕用のモーターは、画像に移っている上側のモーターで両足用のモーターは下部のモーターとなります。早速確認します。

腕駆動モーター
腕側モーターのピニオンギア

腕側のモーターに付いてあるピニオンギアですが、画像はピンぼけですが、縦割れを起こしておりました。

8T m0.6 1.9

このピニオンギアは、8Tの穴径が、Φ1.9mmでmは、0.6となります。

次に両足を駆動するモーターのピニオンギアを確認します。両足のギアボックスのカバーを開ける必要があるのですが、スプリングの付いていない左足側を外す必要があります。

股関節固定のネジ

股関節固定用のネジ2本とその下に両足同期用のシャフトのボール受けがあるので、それも外します。

電極

ここで、重要な部品が現れます。両足が、今どの角度の位置にあるかという位置を認識するため、円形の電極基板があります。その基板のランドと接触してランド間の導通をする、画像の電極とバネパーツが出てきます。大事な部品なので、破損や紛失などしないようにします。

接触導通状況

さていよいよギアボックスの開封です。止めネジを外すとピニオンギアが現れます。やはり割れを起こしておりました。

両足駆動モーターのピニオンギア

ですが、このピニオンギアは、特殊規格となり入手できません。8T 穴径Φ1.9mm m=0.6ではあるのですが、ギアの長さが、10mm必要です。

他のドクター様のおかれては、割れた部分をワイヤーで巻いて固定したりと皆様ご苦労をされて居られる記事を拝見しました。ですが、私は、時代の利器を活用させていただきました。

3Dプリンター♪※ドラえもん風

日本おもちゃ病院協会では、3Dプリンターにて該当ギアを製作されたドクター様が居られそのギアを配布使用させていただきました。

タフレジン製ギア

穴径

修理実績のあるギアを配布いただいたのですが、本案件のモーターのシャフトは、少し細いせいか、付加がかかる場面で空回りを起こすことがありました。そこで、エポキシ接着剤を併用し接着固定を行います。

接着固定

2点のピニオンギアの交換で無事にエルモは動作するようになりました。

ですが、電池ボックスに正極の接触不良のような不具合もありました。挿入した電池にもよるのでしょうが、正極の電極が曲がってしまい、出っ張りに届かない電極なので、曲げを戻します。

正極電極の曲がり

以上、縫い合わせを元に戻し、修理完了となります。

縫い合わせ

補足ですが、規格違いのネジが多く、分解時に場所と本数は、よくよく注意した方がいいです。


夢の子 ミルル クリスタルと圧電素子交換

ミルル

夢の子 ミルル クリスタルと圧電素子交換

夢の子 ミルルの修理のご依頼です。

ミルルは、女の子なのですが、同じネルルちゃんよりも歌える歌が多い点と学習機能も備えているそうです。

初期設定を行い数回会話すると、全く動かなくなるとのことです。リセットや電池の交換も効果なしで、そのままひと月放置していたら、こちらの記事のユメルと同じように乾電池が空になる症状が観測されたとのことです。同じ症状であれば修理可能ではないかということでご依頼がございました。

状況確認

まず、着ているお洋服を脱がし電池での動作確認を行います。

ボタン電池残量

単二乾電池は、新品が同封されていたのですが、データバックアップ用のボタン電池は、残量ゼロでした。実は、7月下旬より2か月以上お待ちいただいておりましたので、その間、乾電池を抜いているとボタン電池も残量ゼロになりますので、しょうがないです。

さて、ボタン電池、単二乾電池とも新品を入れて起動してみると、うんともすんともでした。当初、ご相談いただいた初期設定すらも起動できなくなっておりました。

故障症状が進行しているようです。

では、ご依頼様にご承諾をいただき、頭部、本体を切開します。ユメル同様なのですが、今回のネルルは、ボタン電池でデータをバックアップするバージョンなので、大掛かりに切り開きます。

切開
結束バンド

ぬいぐるみの修理を行うとだいたい結束バンドで筐体とぬいぐるみがとめてあるのですが、細長いタイプってホームセンターなどではおいてないんですよね。私は、所属しているおもちゃ病院協会より以下をご紹介いただき修理に使用しております。

さてさて、基板や配線の状況を目視確認します。配線の断線もなく、基板端での電圧も確認できました。次にアンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんのタッチペンなどでも故障の多いクリスタルが基板中央に目につきます。

故障

オシロで測定しても発振していません。当初は、まだ発振できていたのだが、数か月経ち劣化も進み発振すらしなくなったようですね。

ユメル、ネルル修理の修理実績が多数ある、おもちゃドクター様の修理記事より、このクリスタルは、32.768kHzと判明しているので交換をしてみます。

クリスタル

無事、初期設定が起動するようになりました。このままの状態で1週間程、連日稼働をさせ動作状態と最終日には、乾電池の減りに異常がないかを確認します。

ですが、すぐお昼寝ができない不具合が見つかりました。同様に就寝もしないことになります。

お昼寝と就寝は、姿勢(傾斜)センサーと胸の圧電素子の2つで実行できます。

まず、横にすることによって、姿勢センサーが横になったことを感知し、胸の圧電素子をトントンすることで、眠くなるといった具合です。

ですが、眠ってくれません。”眠くなったわ~”というセリフすら発しません。

姿勢センサーか圧電素子に不具合がありそうです。ご依頼様にもその旨確認をしたところ、胸ではないが、以前より頭のタッチの反応が悪くなっているとのことでした。では、2つのセンサーをチェックします。まず、姿勢センサーです。

姿勢センサー

姿勢センサーは、首の根本部分に接着固定してあります。ファービー修理の時のように蓋をカパッと開くことが簡単にできないので、思い切って切り開くかどうか悩みました。誤って電極側を分解してしまうと元に戻せない可能性もあります。

ここでもネットよりおもちゃドクター様の修理記事記事を拝見させていただきました。電極のあるであろう箇所からそれた箇所に小さな穴をピンバイスで開けてそこから接点復活剤をスプレーしてみます。コロコロをさせて接点の汚れが取れることを願います。開けた穴は、カプトンテープで塞いでおきます。

接点復活剤で復活できなければ、最終手段としてセンサーの筐体を分解してお掃除してみようと考えておりましたが、センサーの反応の故障は、圧電素子側であったため姿勢センサーは、現状のメンテナンスのみとしました。

圧電素子

目視は、問題無さそうですが、胸の圧電素子を手持ちの素子を交換してみたところ、反応が見事に復活しました。感度も良好です。

ただですが、数日稼働をさせると、やはり姿勢センサーの感度が落ちてきます。やはりですが、分解メンテナンスが必要そうなのですが、元に戻せないリスクもあるので、今回は接点復活剤のスプレーまでとし、今後さらに悪化が進行した場合に最終案として分解掃除を実施しよとご依頼者様とご相談しておきました。

この状態で、1週間の動作を確認します。

  • 初期設定の可否
  • 初期設定時刻での起床、就寝動作
  • お昼寝、就寝動作
  • お歌の動作
  • 留守番モードの動作

などなど。乾電池の異常が減りもなく、無事1週間を過ごせました。

1週間を過ごすと、学習機能も働き、お歌のレパートリーも増え、当初は昭和の同様ばかりでしたが、違う歌も加わりました。

おしゃれは、足元からよ!

なんていう事もおしゃべりします。これにて無事修理完了となります。


メッセージを録音できるおもちゃ

名前不明

メッセージを録音できるおもちゃ

大事なメッセージが録音されており、その音声がでなくなったとのことで修理のご依頼がありました。おもちゃの名前は不明でした。

早速お送りいただきました。底面に音声再生用の押しボタンがあります。

押しボタン

ですが、この手のおもちゃに興味のある方であれば、なんで基板の電極が見えるほどの穴があいているの?という疑問が湧くと思います。ハイ、自分もそうでした。開封するとその理由ははっきりします。

基板

開封すると基板が見え、COBのみが実装されております。電源用の電解コンデンサーは、裏面に実装されていました。さてさて、シルクをよく見ると、RECとかVCCとかGNDとかが見えますよね。

そうです。

このおもちゃは、底面の押しボタンは再生専用で、声を録音する場合は、何か専用の基盤に乗せて、先の電極がポゴピン(※参照)で接続されるような仕様と分かります。

なるほどー。

さて、修理作業に戻ります。分解作業を続けます。

ボタン電池

(*´Д`)はぁ~とため息が出る光景でした。

ボタン電池内蔵なんです。これでは、電池が切れると動作しなくなります。しかも、隙間から緑の何やらが見えます。そうです、アレです。

液漏れ

使用中に電池が底を付き液漏れを起こしておりました。その影響で基板の負極に電解液が付着し電極が剥がれ断線もしておりました。

めくれ断線

さて、動作不良の原因ははっきりしましたが、修理の策を練ります。

  • このままめくれた電極を修復してボタン電池を入れてもまた容量が尽きた時に液漏れしてしまう。
  • ボタン電池も入手の困難(ダイソーで購入できるかどうか基準)なLR42という薄型だった。

そこで、電池ボックスを外付けしてしまおうと思います。

こんな感じ

メリット:外付けにすれば、電池の交換も用意で単三乾電池なので、入手も容易。

デメリット:基板裏面の電極のVCCとGNDから電源をとるので、前述の録音する機材に乗せることは今後できない。

諸々、ご依頼様とご相談し外付けの電池ボックスで対応することになりました。

では、めくれた電極からお掃除をして復活させます。

接着固定

まずが、剥がれた箇所を接着し固定します。次に断線した箇所は二か所になります。そこを半田付けします。

半田付け

ピーピーチェッカーで導通を確認します。

次に電池ボックスの電極をVCCとGNDに接続します。因みに、事前に電極パッドのVCCは、ボタン電池の正極に電極パッドのGNDは、ボタン電池の負極に接続されていることも確認します。

電池ボックス
完成

電池ボックスのリード線は、ぐらつきで取れないよう根本と筐体をエポキシで固めておきます。

さて、メッセージですが、先の基板腐食の進行も今後懸念されるため、別途他の媒体へ録音しておくことをお勧めしておきました。

以上で修理作業は完了です。


早々と、画像の通りきちんと修理してくださり、音声を聞く事が出来て嬉しかったです。

修理の際も、丁寧にメールで連絡して下さり、本当にありがとうございました。

~ご依頼者様のご感想より~

こえまねワンちゃん 電源スイッチ接触回復

こえまねワンちゃん

こえまねワンちゃん 電源スイッチ接触回復

音声に対し反応をしなくなったということで、修理のご依頼がありました。

まねまねシリーズでもお馴染みですが、発声した音声をボイスチェンジしてオウム返しするという機能が搭載されております。以前、モーターのブラシ焼損による過電流で制御ICが機能しない事例がありました。さて今回はどうでしょうか?

到着し動作確認を行うと、やはり音声に反応しません。念のため、電源を入れなおしてみると、”ビクッ”と動きますが、直ぐ止まります。オウム返しはいづれもしてくれません。

( ,,`・ω・´)ンンン?電源スイッチかも?

といことで、本体を開封する前にチェックできるポイントである、電池ボックスのチェックと電源スイッチをチェックします。

電池ボックスは、液漏れの腐食もなく良好です。残す電源スイッチの接触不良を疑い秘密兵器の登場です。

電源スイッチ

このスイッチレバーの隙間にスプレーを吹きかけON/OFFを繰り返します。数回の切り替えで反応するようになりました。どうも、電源スイッチの接触不良が原因のようですね。

さて、修理は接触不良を復活させただけでは不十分です。

電源スイッチ自体を交換しておりませんので、数日すると接触不良が再発する恐れがあります。そこで、ここでも数日にかけて接触不良が再発しないか確認します。

地域のおもちゃ病院でなら、再発時は、再度来院してくださいと伝えてもいいのですが、宅配を利用したおもちゃ病院では、送料を考えるとそうも行きません。念には念を入れて三日間電源のON/OFFの切り替えを行い連続10回の起動確認をします。※でもしかし、一番重要なのは、数時間おいた一番最初の電源投入時なんですよね。

結果
無事成功

再発もなく無事接触が復活したようですね。

ご依頼者様には、症状と原因をご説明し、今後も同様な症状が出た際は、接点復活剤を電源スイッチに吹いてあげてくださいとお伝えしました。以上で修理完了です。


STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

Gigapets

STARTWARS gigapets 起動不良 修理不可

購入後しばらく保管され開封したところ、初期設定が進まないという症状でご依頼がありました。

たまごっちのような育成型のおもちゃかとは思いますが、R2D2なので育成ではなさそう…。

早速症状を確認します。

まず、届いてからボタン電池を挿入したところ、ウンスン状態でした。背面のリセットスイッチを押す(このリセットスイッチが硬いんだ。。)と初期設定画面になり、ピッピッと音が鳴り続けます。表面の押しボタンも無反応でピッピッと音が鳴り続けます。

初期設定

この時は、何が起きているのか分からなかったのですが、後々で再起動を繰り返していることが分かりました。

表面の押しボタンに無反応のようなので、分解しボタンの接点を確認します。

接点の清掃

ボタンと液晶のゴム接点の金パットを綿棒とアルコールで洗浄してみると、表面の汚れは取れましたが、目視では接触不良になるとまでの致命的な汚れは確認できませんでした。

因みに、液晶のゴム接点についてですが、こちらでコネクターが紹介されております。商品名としては、『異方導電性ゴムコネクター』と呼ばれているそうです。

話しはそれますが、半導体の設計・開発でSoCの評価・検査治具に取り付けるソケットで大変お世話になったことがあります。接触圧を掛けると埋め込まれた電極が接触し導通が取れます。このすごいところは、AC特性が非常によいので、高速I/Fの選別治具にも使用できる点でした。

話しを戻します。さて、接点をお掃除して組み立て直しても症状は改善しませんでした。次に、回路的な故障を探るため基板上に目をやります。

インダクタとクリスタルと電源用の電解コンデンサーが目に入ります。

実装部品

アンパンマン おしゃべりせいかつずかんでよく逝っているクリスタルを念のため確認します。※起動動作はしているので、動いてはいると思いますが、念のため。

ブレブレ

画面がぶれていますが、32kHzで振幅しております。

と、ここでいろいろ調べながらいじっていると、起動し始めました。

押しボタンも反応し時計や名前などの初期設定もクリアし動き始めました。

動いたー!

その時の動作確認動画です。

実は、この時点で復活しと、糠喜びしていたのですが、復活はしておりませんでした。TT

というのも、原因を突き止めてもいおらず、作業していたら自然に回復した時ってだいたい、直っていないんですよね。この経験から実はかなり怪しく思っており、電池を抜いて数時間おいた時点で再稼働させて改めて確認しました。

電池を抜き、それから半日経過。。。

起動してみると、ピッピッと音が鳴り続ける現象が再発し、ボタンも無反応になっております。やはり、予想は的中しました。

ここで整理します。

  • ボタンに無反応なのは接点の接触問題ではなかった。
  • 何らかの拍子に動作し始めても、ボタンを抜き時間を置くと不具合が再発する。
  • 電池の容量が問題ではない。

次に基板上で目にした電解コンデンサーを疑ってみます。

ピッピッと鳴る症状が、もし再起動を繰り返しているようならば、電源系の故障で、電源の補償用のパスコンである電解コンデンサーを交換してみることにしました。ですが、症状は改善されず、電解コンデンサーの犯人説は否定されました。

交換前
交換後

うーん手づまりです。

ところで、何らかの拍子に動き始める点が気になっていたので、もしかすると、電気の導通をしばらく続けると、COB内部が暖まり不具合が解消されていったのかもしれません。このCOB内部が暖まる点については、半導体IC開発の経験から、ICパッケージのモールド樹脂が、経年か温度変化で膨張か収縮し配線材の接触を妨げる現象は過去の開発業務で経験があります。多いところでは、剥離によってボンディングワイヤーが切れる症状ですが、モールドしてるので、金パットから薄く剥がれるような感じです。そうです、電源を入れ暖気が済むとカツカツで離れていた接触が、しっかり接触するようになったのかもしれません。もしこの端子がクリスタルや電池のの端子だった場合は、初期設定から進まないというのは、再起動を繰り返していたという現象で説明がつきます。

そこで、先の『ピッピッと音が鳴り続ける』状態のまま放置してみます。

すると、、、

約2分ほどでピッピッという音が終息し押しボタンが不安定なりも反応し始めました。

そうです、前述の動いたを勘違いしていたのは、暖気のおかげで正常に動き出したように見えていたようです。一度暖気が済んだ場合は、電池を入れ替えても正常に起動するようになりました。

どうもCOB内部で事が起きているようです。

既に思いつく点は調査しておりますので、COB内部の犯人説が有力として成す術なく修理不可能としてお返ししました。

現状は、暖気によって動き始めますが、剥離が原因だった場合は、症状は進行する懸念もあります。

ピクサー カーズ メーター スピーカー 振動センサー交換修理

メーター

ピクサー カーズ メーター スピーカー 振動センサー交換修理

電池を入れてもエンジンが掛からず走行もしないとのことです。以前、カーズシリーズの他の修理案件と同じご依頼様で今回のメーターも走行方法は同じとのことです。

早速診断させていただきます。

スピーカー

先ず、運転席の裏側にスピーカーが仕込まれておりますが、このスピーカーが故障しております。ご依頼者様より27mmのスピーカーのご提供がありましたが、29mmのスピーカーサイズでしたので、当医院の在庫スピーカーに交換します。27mmのスピーカーでは、筐体カバーのサイズが合わず走行中カラカラ音がしてしまいます。

スピーカーサイズ

さて、スピーカーを交換した時点で振動にてエンジンも掛かり走行しだしましたが、感度がよくありません。振動や傾斜センサー部品のあるあるですが、電極の接点が汚れるとか錆びることで感度が悪くなります。

かなり大振りに振ると反応はするのですが、ご依頼者様にご相談しスピーカーと一緒に交換もすることになりました。

振動センサー

メーターに使用されている振動センサーは、縦置きで接着固定されております。ノーマリオープンもしくはクローズのどちらかが使用されております。

振動検出の仕様を確認すると、起動時は、OPENでもCLOSEのどちらでもよくON/OFFの繰り返しがあると反応します。プログラム的には、RiseかFallのどちらかのエッジを検出しているようなので、手持ちのセンサーで実際に接続確認します。

ノーマリオープン

ノーマリオープンの振動センサーが部品の大きさ的にも動作的にも問題なかったため、ノーマリオープンタイプのセンサーを横置きで設置しました。起動時はONでもOFFでも構わないので、ON/OFFの繰り返しさえあれば問題ありませんので、横置きでも大丈夫です。というか、リードの長さ的に横置きにしました。

交換振動センサー

これで、エンジンの掛かり具合を見ます。

エンジンの掛かりも問題なさそうですね。以上で、今回の修理は完了となります。


試運転も行い動くようになりありがとうございました。 このシリーズは、孫も大好きなシリーズで 動くようになったと早速報告します。

~ご依頼者様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX 赤外線LED交換 修理

アンパンマン おしゃべりせいかつずかん SuperDX

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん SuperDX 赤外線LED交換 修理

電源を入れると、本体正面のLEDは点灯するが、起動音声も絵本の絵柄への反応もしないとのことでご依頼がありました。

届いて直ぐ起動確認をしたところ、起動音声の『アンパンマン おしゃべりせいかつずかん スーパーデラックス』と戸田さんのセリフが流れます。

おや!?起動音はなるぞ?では、絵柄への反応はというと、全くの無反応でした。

では開封します。

SuerDX版のネジは、▲の特殊ネジが使用されていますので、専用のビットでネジを回しますが、ここで思わぬ事態に遭遇します。ネジ穴に入りません。というか、フィットしないのです。

ネジとドライバービット

1.8mmの▲ビットですが、ネジの穴が製造誤差なのか、製造が適当なのか奥まで挿せません。そのため、ネジを回す際に滑ります。

奥までささらない

一応、押し付けながらならネジの開封はできましたが、絞めることは不可能でした。これ以下のサイズのビットは、ネットでもみつからず入手できそうにないので、仕方なくY型のビット使用しました。

Y時ビット

さて、内部を拝見します。

新型

SuperDXの新型らしく、ペン先は、イメージセンサーとが処理ICがモジュール化されており、基板とモジュールは4軸のフラットケーブルで接続されております。画像認識のICも旧SONIX社製からヌヴォトン製(旧パナ)になっております。

パナさんも半導体事業を分社化し、私も転職前だったので自分自身は経験しておりませんが、モトローラ時代にもそのような分社化の波が起きておりました。東芝さんもFlashメモリの分社化などもあり、80年代の半導体の勢いも衰退し時代の波なのでしょうかね。

こちらの情報から画像認識のSoCは、ARMのCortex-M0コア 49MHzで動作しSPI. UARTなどのペリフェラルのI/Fを備えておりますね。

『N569SAK2 Cortex®-M049 MHz 64KB Flash 128Mbit 2.4~5.5 16,000 6 KB 18 SPI, UART 8 – DPWMDAC √ – 3-ch Voice8-ch MIDI LQFP48』

M0の開発経験は、SONYで経験しておりましたので、急に親近感が湧いてきました。もちろんですが、市販の汎用SoCではないので、データシートは社外秘だろうから入手できないでしょう。

さて、気になるのは、フラットケーブルの断線ですが、ハンディテスターのピーピーチェッカーで調べ断線はありませんでした。ちょうどよい機会だったんで、フラットケーブルの信号を調べてみます。

フラットケーブルのVDDとGNDが両端になっております。前述の画像向かって左端がVDDで右端が、GNDです。残る2線を調べてみます。

2線の矩形波

オシロの1番プローブはデータIOで2番プローブがクロックとすると、クロックは、約25kHzで立下りエッジでキャプチャするとすると、0b101010110となります。MSBが先かLSBが先かはわかりませんが。。。

この波形は、ペン先を外した状態で計測しているので、電源投入初期のハンドシェイク時の波形で、IDかなにかの読み取りに成功したら、画像認識の波形になると予想されます。

というのも、当初ペン先のモジュールが付いた状態で計測するとアナログ波形が観測され、電源投入時から観測してもアナログ波形に矩形波が重畳していたので、真偽の程は不明。

アナログ波形

50Hzの波なのですが、ペン先を絵柄に近づけると振幅が大きくなります。恐らくですが、以下のようなフローじゃないかと思われます。

  1. 電源を入れる。各所起動。
  2. SoCとペン先のモジュールIC間が通信し認証を確立させる。この認証が成功しないと絵柄の読み取りはしない。ペン先故障時のような事態を想定。アナログ波形に矩形波が重畳して送信。前述の2線の矩形波は、ペン先を外した状態。
  3. 一旦スリープモードに入り、絵柄へのタッチまで待つ。その間は、ペン先からは、アナログの波形が出ており振幅の増減を待つ。この間は、赤外線LEDはOFF。前述のアナログ波形がこれ。
  4. 振幅が大きくなったら、絵柄へのタッチがあったとして、赤外線LEDを照射コマンドを送出し絵柄を読み取り絵柄のIDを返送する。
  5. 読み取った絵柄のIDから発声音を再生する。※画像取得忘れ。

ただ、この症状は、赤外線LEDが故障している状況で観測できた波形なので、本当に正しいのかは不明なので、次回、正常稼働中にちゃんと波形を取っておこうと思います。一旦製品の通信仕様の解析はここまでにして、故障の箇所を探します。旧来製品と違い、基板用にクリスタルもなく、基板上の液漏れ腐食などもありませんでした。

フラットケーブルの断線は、確認済みなので次にペン先を調べます。赤外線LEDを調べたいのですが、先のフローにより電圧は絵柄に近づけた際の一瞬でハンディテスターのレベルでは、一瞬1.5V近辺まであがったら直ぐ下がってしまいます。赤外線LEDの照射と絵柄の認識は、一瞬なのでしょう。ということで、スマホのカメラで直に点灯を確認しましたが、やはり一瞬も点灯しておりませんでした。目視でも確認は難しいのかもしれません。外して確認します。

新型のタッチペンのペン先は、カバーが外れにくいです。小さいマイナスドライバー2本で片方のツメに差し込んだまま、もう片方をこじってスライドさせあけます。

開封
点灯確認

SuperDXの赤外線LEDは、他のドクター様の記事から850nmと分かっておりましたので、1.5V, 20mAで検査します。取り外した2本の赤外線LEDは、どちらも故障して点灯しませんでした。

交換する IR LED※暗くしていたのとカメラの感度もよいので光りすぎに見えます。

因みに、正常であればこの程度に点灯します。これで、赤外線LEDの故障と判明しましたので、赤外線LEDを交換して再度動作を確認します。

良好ですね。でここで大きな問題に直面します。

先の交換した赤外線LEDがカバーに入りません。LEDの半田付け後に判明したので、ショックが大きいです。 ̄▽ ̄;

形状の違い

ことばずかんのペン先をあけた経験があれば、ご存知かと思いますが、旧来のカバーは全体を覆いかぶせるドームのようなカバーなのですが、新型のカバーは、テーパーが掛かったようなより部品にフィットするようになっております。赤外線LEDも3mmの筐体がちょうどすっぽりジャストフィットするようになっております。

手持ち交換した赤外線LEDは、3mmのサイズではありますが、よく見るとリード線とモールド下部の境界に盛り上がりのツメがありここが障害になりカバーに入りません。仕方ないので、ルーターで削ることにしました。

本来であれば、削っても正常に点灯することを確認できた赤外線LEDと交換すべきところですが、既に半田付けしてしまっているので、今回はつけたまま削ります。

センサーの入光口の養生を忘れずに

最後に結構なトラップがありましたが、無事最後の動作確認までできました。


3mmの赤外線LEDで下部の突起の無い部品を見つけることができなったので、今後の修理は事前に削ったものを用意して対応したいと思います。

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 タッチペン 電源スイッチ ツマミカバー修理

おしゃべりせいかつずかん

アンパンマン おしゃべりものしり図鑑 タッチペン 電源スイッチ ツマミカバー修理

スイッチを投入しても反応しないとのことで修理のご依頼がありました。

こちらのせいかつずかんは、身の回りにあるいろいろな生活の場にある物事について教えてもらえる図鑑になります。

到着時に動作確認をすると、電源を入れてもウンスン状態でLEDも点灯していないので、電源が入らなくなっているようです。

開封すると、原因は直ぐ分かりました。

ツマミカバー

他のシリーズのタッチペンにもあるのですが、この電源スライドスイッチ用のツマミカバーですが、側のカバーをスライドさせても電源スイッチ側のツマミがスライドしきらない不具合が、結構あるのですよね。今回もその状況でした。

開封し再度電源スイッチを上げてあると、ツマミの可動域が広がり無事電源が入るようになり起動音声が流れます。

スライドスイッチのスライド不良もあるのかもしれませんが、ツマミカバーの可動域が狭いための不具合と予想されます。

念のため、電源スイッチに接点回復剤を吹き、ツマミカバーにはシリコンスプレーを吹きて滑りを改善します。本体カバーをはめ反復動作確認にて問題ないことを確認し修理完了です。

根治には、筐体のツマミの可動域を広げるため、ルーターなどで削ってあげればいいとおみますが、そもそも電源スライドスイッチの滑りにも問題あるのかもしれませんので、シリコンスプレーで今回は対応します。

修理完了


今回の修理、誠にありがとうございした。

開封後、早速、孫たちの取り合いっこが、始まりました。(うれしい 困りごとです。)

作業のやり取りですが、 逐次、丁寧なE-Mailを頂き、何の不安もなくお願いすることが出来ました。

コロナ渦のなか、健康に十分ご留意いただき 活躍されることを お祈りいたします。 ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんDX 腐食 断線 修理

タッチペン

アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかんDX 腐食 断線 修理

当院でのお馴染みの患者様である、セガトイズ製 アンパンマンおしゃべりいっぱいことばずかん DXのタッチペンです。シリーズは、日本語と英語が切り替えられるDX(デラックス版)となります。

数年前までに娘様がご使用になられて、そのまま保管しており、息子様が今度は使用するということで久しぶりに動かしたそうです。最初の数か月は、使えていたのだが、ここ一か月で、電源投入時に『ア・ア・ア』と途切れ途切れに音声が流れ、調子がいいといつもの『アンパンマン おしゃべりいっぱいことばずかん』と一通り流れるが、絵本のの絵柄には一切反応しなくなったそうです。

何か、進行性の故障が起きていそうですね。それと、『ア・ア・ア…』と起動時の音声になる原因は、セガトイズのFAQに電池容量不足という案内が掲載されております。

今回もその原因を懸念して新しい乾電池での動作確認もお願いしておりますが、症状は改善しませんでした。起動時の『ア・ア・ア…』という乾電池容量不足起因の症状が出ていているのは、もしかすると乾電池の液漏れで粉が電極に付着したままの場合、運よくいくらかの抵抗成分で可動した場合は、いくら新しい乾電池にしても改善はしないと推測されます。また、他のおもちゃですが、メーカー様に故障の相談をすると、電極を綿棒で掃除してみてくださいとお願いがあります。このような原因を推測してだと思います。

到着後、動作確認をします。無事起動音は、流れますが、やはり絵本の絵柄への反応はしません。では、開封してみます。

何やら粉々している!?

開封から何やら嫌な状況があります。通常は、ペン先は、ツメではめられているだけなので、カパッと外せるのですが、接着剤でもない、何か粉々した付着物がカバーの密着部分に粘着しており外すのがたいへんでした。正体は、後述。

ん?

ペン先に何か液体が付いていますね。いやな予感がします。基板の裏側も確認します。

液漏れ

やはり、電池の負極からの液漏れがあったようです。ご依頼者様に確認したとこと、以前電池を入れっぱなしの時に液漏れをさせてしまったようだとのことでした。

とすると、アンパンマンタッチペン故障あるあるである、その逆側の基板とその部品も腐食してしまっているはずですね。

腐食部品とパターン

以前の修理実績と同じで液漏れにより赤外線LEDのドライバ回路が全滅しています。恐らく原因は、赤外線の照射が出ていないためでしょう。一応、赤外線LEDの電圧を計測しますが、2つある赤外線LEDのどちらも、全く上がっておりません。腐食回路を解析すると、LED駆動回路のスイッチトランジスタ用の電流制限抵抗 8.2Ωのチップ部品のパット腐食でGNDへの経路が断線しております。そのため、赤外線LEDを駆動できなくなったおります。

GND側への経路は、細長い基板を横断する形で結構長く配線されているのですが、結線するスル―ホールの部分に腐食が回ってこちらも断線しております。

腐食スルーホール
X:断線箇所

以前にも回路解析した際に、回路図が頭に入っていましたので、おおよその推測はつけることができました。腐食が広範囲に回っており断線が酷いです。スイッチ用のトランジスタ回りとSONIXチップへのパターンも一通り結線状態を確認し、回路図のX印箇所の断線以外は生きていました。断線箇所の再建は、チップ抵抗のパットが腐食でやられているので、リード抵抗で直性SONIXチップの足に半田付けして回路を再建します。

さて、その他の機能部分も一通り確認します。

16MHzのクリスタルも無事オシロで規定の周波数で発振していることを確認できました。また、SONIXチップとイメージセンサーモジュール間の通信もPin1~Pin 4までの通信波形を確認し通信はできていることを確認しました。波形は、こちらを参照。

絵柄への反応は先の断線で変化はないので、前述の抵抗部分の回路再建でいけそうです。

ここで、衝撃的な光景を目にしました。

ベアチップのお披露目

ペン先のイメージセンサーのモジュールですが、通常はハウジングのため接着固定されていますが、カパッと外れていました。開封時にペン先に何やら液漏れのような現象を見たのは、負極からの液漏れした液体が、ペン先部分にも及んだのかもしれません。はたまた、接着固定なので、絵本へのタッチする振動で外れていたのかもしれません。基板中央部にイメージセンサーのチップが見えます。

私事で恐縮なのですが、SONYにて長らくイメージセンサーの開発に従事しておりましたので、改めてイメージセンサーのチップを見返し懐かしんでおります。

イメージセンサーとSONIXチップ間の通信が生きていそうなので、外れたカバーは、慎重に接着固定しておきます。もちろんですが、外れたままにしておおくと、カバー側のレンズとセンサーとのピントがズレてしまい画像の認識ができませんので注意です。

さて、赤外線LEDの照射回路の再建に着手します。チップ抵抗のランドが腐食で使えないため、SONIXチップのQFPの足に直に1/8の小さな抵抗の足を曲げ調整して半田付けします。

抵抗で回路再建

かなり心労する作業でした。間違って隣の足に付けてしまったり、基板取り付け穴との干渉や本体カバーとの干渉も逐次確認しながらの作業です。本当、ヘロヘロになる作業です。

GNDは、イメージセンサーの足にGNDがあったので、そこで迂回配線しました。

最後に、カプトンテープを回路側と電池ボックスの負極に貼り動作確認をします。

暫定動作確認

良好そうですね。では、この状態で筐体に組み込みます最終動作確認をします。

最終動作確認

こちらも良好ですね。

腐食の浸食は、今後も進行し続けますので、後々新たな不具合が出ると予想されます。乾電池の液漏れによる腐食は元には戻せませんので、保管時の乾電池抜きは徹底しなければなりませんね。


絵本にバッチリ反応して、息子が大喜びして使っております!

息子には、落としたり投げたり強く叩いたりしないように…と注意しましたが、3歳なのでキチンと守れるとは思えませんが、せっかく直ったのだから、出来るだけ長く使ってもらいたいです(^^)

我が家のアンパンマンタッチペンがかなり修理困難だったことを痛感いたしました。

そんな修理を引き受けて下さり、また、直して下さったことに本当に感謝しております❗

アンパンマンタッチペンは故障も多く、メーカーもおもちゃの病院でもお手上げのところがあると聞いていたので、半分諦めていました。

そんな時に瀧下様のHP実績をみて、お願いすることを決めました。

瀧下様に修理をお願いして本当に良かったです(^-^)

ありがとうございました。

~ご依頼様のご感想より~

ピクサー バズ バギーラジコン 電源スイッチ交換

バズ バギーラジコン

ピクサー バズ バギーラジコン 電源スイッチ交換

バズが乗ったバギーラジコンの修理のご依頼です。

購入当初から、電源の入りが悪かったようで、騙しだまし使っていたが、とうとう電源が入らなくなったそうです。では、早速拝見しましょう。

プロポ送信チェック

開封前なので、先に送信機の送信確認をします。お手製の検波器でチェックします。2.4GHzですが、ダイオード版の簡易チェッカーでも反応しました。ゲージ付きの検波器でも貼りの振れが確認できました。※少々弱めなきもしますが。。。

さて、次に本体の受信機を確認します。

早々に原因が判明しました。

接触不良

電源の入りが悪いとのことなので、基板端に電源の電圧を計りますが、やはり上がっておりません。調べてみると、やはり電源のスライドスイッチの接触不良が起きておりました。

画像の通り、ツマミが8mmのスイッチなので、残念ながら6mmしかなく、8mmの在庫がありませんので、注文をしてしばらくまちます。

8mmスライドスイッチ

無事交換も終え修理完了です。